富山県富山市元自衛官交番襲撃事件6(控訴審判決)
***控訴審初公判(1月11日)***
1)検察側は、殺人と窃盗の罪にとどまるとした1審判決は不当で、死刑が相当だと主張したとのこと。
検察側は、被告には当初から拳銃を奪う目的があったと主張し、強盗殺人罪を認めなかった一審は誤りだと指摘。一審はASDの影響を過大評価しているとし、死刑が相当だとしたとのこと。
さらに、被告が一審で黙秘したにもかかわらず、取り調べの録音録画を一部しか採用しなかったことは法令違反に当たると訴えたとのこと。
2)弁護側は心神耗弱状態だったとして有期刑を求めたとのこと。
弁護側は、被告はASDの影響で「犯行を思いとどまる力」が著しく低下していたと指摘。責任能力が低下した心神耗弱状態だったとし、不遇な子ども時代も考慮するよう求めたとのこと。
3)被告は出廷しなかった。
4)検察側は遺族の証人尋問や書証の取り調べを請求。弁護側も自閉症スペクトラム障害(ASD)の専門家の証人尋問などを請求したが、裁判長はいずれも却下したとのこと。
***控訴審判決公判(3月24日)***
名古屋高裁金沢支部は24日、死刑の求刑に対し無期懲役とした1審・富山地裁の裁判員裁判判決を破棄し、審理を同地裁に差し戻す判決を言い渡した。
1審判決は、拳銃を奪う意思が生じたのは警察官を殺害した後だった可能性を排除できないとして、強盗殺人罪ではなく殺人と窃盗の罪を適用したが、これに対し、裁判長は「被告人の行動を客観的にみると、命が尽きるまで警察官と戦い続けると考え、当初から拳銃を奪う意思があったとみるのが自然」と指摘。「1審判決は明らかな事実誤認がある」とした。その上で「強盗殺人罪の成立を前提として、量刑は裁判員裁判で審理を尽くして判断するのが相当だ」と述べたとのこと。
///追加情報///
***損害賠償訴訟(3月23日)***
2018年に起きた富山市の奥田交番襲撃事件で、殺害された警備員の妻が、県警の初動対応に問題があったなどとして県と、被告に損害賠償を求めている裁判。
富山地裁は3月23日原告の主張を全面的に認め、被告に2602万円の支払いを命じる判決を言い渡したとのこと。
裁判は、事件発生直後から周辺の安全確保が不十分だったなどと指摘されている県警と、実際に殺害行為を犯した被告とで分離して進められていて、このうち被告は具体的な反論は示さないものの請求棄却を求めていたとのこと。
23日、富山地裁で開かれた被告に対する損害賠償請求の判決で、裁判長は「原告が多大な精神的苦痛をこうむったことは明らか」だとして被告に原告の請求どおり2602万円の損害賠償を支払うよう命じました。
ただ、この債務は県と被告が連帯して支払うよう求められていて、支払いの割合は今後、県の裁判が終結してから確定することになるとのこと。
原告代理人・弁護士「被告から賠償金をとりたいとは全く考えていません。終わってしまったこと、忘れてしまったことにさせるわけにはいかないので、いくぶんでも彼が法廷で証言をする機会を持たざるを得なくなることによって、彼に改めて事件のことを考え直してもらうことが目的」とのこと。
こんなところですね。
一審では強盗目的でない場合が排除できないと言う判断だったのですが、控訴審では、最初から拳銃を奪う為に襲撃していると考えるのが自然として、強盗殺人を前提として審理のやり直しを指示したと言う事ですね。
2人殺害の強盗殺人となると、死刑判決が出る可能性はかなり高まったと言うところでしょうか。あとはASDの影響の評価で無期懲役と死刑の判断が変わると言う裁判員にとっては難しい裁判になりそうな気がしますね。
あと、損害賠償訴訟も行われていて、そちらでも判決はでているのですが、こちらの目的は、被告に裁判を通して、事件について証言させる事にあると言う事です。
一審も二審も被告は黙秘していて、ろくに事件について語ろうとしない。そんな被告に「事件は無かった事にはできないんだよ」っていう遺族側からの精一杯のメッセージと言う印象ですね。
控訴審も終わったのだけど、私としては、被告が黙秘している理由がちょっとわからないですね。
一審では「話さない方が有利」と言う事はあるかもと思います。ただ、一審で無期懲役の判決が出ているので、量刑をもっと軽くしたいと思うのであれば、法廷で遺族へ謝罪などして、減刑を狙うと言う方法もあったと思うのですが、控訴審でも黙秘というか出廷すらしてないんですよね。
「もうどうなってもかまわない」と言う気持ちで、控訴審にも興味が無いと言う事なのかな?とも思うのですが・・・
その一方で、最近では上告する方針と言う報道も出ているので、刑は軽くしたいが、証言はしたくないと言う事なのかな?
あるいは上告や黙秘が本人の意思では無いと言う可能性もあるのかな?
続報を待ちましょう。
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