まずは続報です。
1)捜査関係者によると、クリニック出入り口近くの非常階段周辺で、容疑者のものとされる財布が発見された。府警がこの財布を押収して調べた結果、所持金はわずか約1000円で、他はクリニックの診察券や運転免許証などしか入っていなかった。預貯金も底をつきかけていたとのこと。
2)容疑者は約35年前にマイホームとして購入した大阪市西淀川区の3階建て民家と、親族とともに相続した別の住宅を所有している。数年前まで他人に貸し出していたとされるが、府警の捜査でこの家賃収入も途絶えていたとのこと。
3)捜査関係者によると、事件後の現場検証で、ビル1階のごみ箱から複数の鍵が見つかった。一つは容疑者が所有していた大阪市西淀川区の住宅のものと確認され、他は使用していた自転車などの鍵の可能性があるとのこと。
府警によると、ビル周辺の防犯カメラに事件発生直前、自転車を止め、ガソリン入りの容器を入れたとみられる紙袋を持ってビルに入っていく男の姿が映っていた。府警は男は容疑者で、ビルに入った直後に鍵を捨てた可能性があるとみているとのこと。
4)捜査関係者によると、容疑者の親族とみられる男性が事件直前に「骨つぼが盗まれたかもしれない」と110番。墓の下から骨つぼが持ち出された形跡があった。事件後も骨つぼは発見されていないとのこと。
大阪府警天満署捜査本部は、容疑者が骨つぼを持ち出した可能性もあるとみて、事件前の行動を詳しく調べているとのこと。
5)捜査本部は放火の影響で閲覧できなかったクリニックの電子カルテを復元させることに成功。解析結果などから、容疑者が2~3年前からクリニックを定期的に通院していたことが分かった。診察時に容疑者は「仕事がうまくいかずに眠れない」と訴え、睡眠薬を処方されていたが、勤務実態などは判然としないとのこと。
6)捜査関係者らによると、容疑者は昨年と数年前の2回、大阪市此花区役所に生活保護申請の相談をしていた。本人から相談はあったが、申請手続きの段階で止まった。容疑者は担当者と話し合っていたが、途中で「もういいです」などと言って辞退したこともあったとのこと。
西淀川区の住宅に戻る前の一時期、容疑者は此花区内の2階建て住宅に住んでいたとみられる。此花区に生活保護を相談したのはこの時期と府警はみているとのこと。
7)容疑者(61)=死亡=のスマートフォンに、ガソリンの購入計画やクリニック院長の退勤時間などが詳細に記録されていた。
記録は昨年6月から始まっており、府警は事件の約半年前から本格的に計画を始めたとみて調べているとのこと。
府警によると、容疑者のスマホは昨年5月に契約されたもので、事件後にクリニック内で発見された。データを調べたところ、6月14日から始まっているスケジュールアプリに、ビル清掃員の有無や扉の寸法などの確認事項が記されていた。9月には「20時54分踊り場ドアが閉まった」「21時13分先生が1階出入り口から出てきた」、12月には「20リットル携行缶にガソリンを買った」などの記載があったとのこと。
スマホには「大量殺傷犯人の属性と行動パターン」などダウンロードされたファイルが残されており、京都アニメーション放火殺人事件や千日デパート火災、「死ぬときぐらい注目されたい」などの語句を検索した形跡もあったとのこと。
8)スマートフォンに昨年6月以降、詳細な犯行計画や行動記録を残していたことが明らかになった。現場の下見の時間帯やガソリン購入、前日の準備など、スケジュールアプリの書き込みは、大阪府警の捜査で判明した実際の行動とほぼ合致。平成29年3月以降、クリニックを112回受診していたことも判明した。半年前から下見を重ね、患者が集まる「金曜」を標的に周到に準備していたとみられるとのこと。
事件に関する記述は、木曜と金曜に集中していた。扉が閉まる時間や退勤時間を確認したのは木曜の夜。事件当日と同じ「リワークプログラム」が行われていたとみられる金曜午前には、患者の来院時間と人数を記録していたとのこと。
9)捜査本部によると、容疑者は大阪市内に所有する物件の家賃収入を得ていたが、令和元年9月で入居者が退居。容疑者名義の銀行口座はその翌月から残高が1万円未満の状態が続き、昨年1月に残高83円を引き出してからは0円となっていたとのこと。
同年5月には当時住んでいた住宅で、料金の滞納を理由に電気やガスを止められていたという。また、平成22年を最後に定職に就いておらず、給与収入はなかったとみられているとのこと。
10)大阪市内にある防犯カメラには、事件前日の午後9時前、容疑者とみられる人物が、自転車の前かごに荷物を積み現場方向へ向かう様子が残っていたとのこと。
およそ1時間後には、逆方向に走る姿も映っていましたが、前かごの荷物はなくなっているとのこと。
11)容疑者(61)は、事件当日、ガソリン入りのポリタンクを自転車で運んだとされていますが、事件前日の夜にも別のポリタンクを運び、現場から500メートルほど離れたコインロッカーに隠していたとのこと。
12)容疑者が生活保護の相談に訪れた行政書士の話
「私は長男を刺して刑務所に行っていた人間です。だから、家族には頼れないんですわ。出所して生まれ故郷の大阪に戻ってきたんやけど、就職の面接でええところまで行ってもネットで検索すれば過去の犯罪が出てくる。結局不合格や」と話していたとのこと。
13)大阪府警は3月16日、死亡した無職の容疑者(当時61歳)を殺人や現住建造物等放火などの疑いで書類送検したとのこと。
捜査関係者によると、容疑者は事件直前、大阪市西淀川区の自宅を放火した疑いもある。焼け跡から押収された21年2月5日付の自筆メモには、「心療内科」「ねだやしの意味」と書かれていたことが判明。府警は10カ月前から大量殺人を計画したと判断したとのこと。
クリニックでは毎週金曜、休職中の人たちの職場復帰を支援する「リワークプログラム」が開かれ、多くの患者が前向きに治療に励んでいたとされる。容疑者は事件の4カ月前から自身の診察日を金曜に変更。スマートフォンにはこの頃から下見やガソリンの調達を示す記録が残され、事件当日もリワークプログラムが開かれていたとのこと。
府警はこうした状況から動機を分析した結果、容疑者は自身と対照的に社会復帰を目指す患者たちに一方的な嫌悪感や嫉妬を募らせて襲撃したと結論付けたとのこと。
14)15年以降、家族や友人との接触は確認されず、スマートフォンのアドレス帳に知人の連絡先は皆無だった。17年には相談に訪れた区役所の担当者に、「前科を知った支援者の態度が変わったことに傷ついた」などと話し、就職をあきらめた様子だったとのこと。
15)大阪市北区曽根崎新地のクリニックで26人が犠牲となった放火殺人事件で、殺人や現住建造物等放火などの疑いで書類送検された無職の容疑者(61)=昨年12月30日に死亡=について、大阪地検は3月17日、容疑者死亡のため不起訴とし、一連の捜査を終結したとのこと。
さて、こんなところですね。
衝撃的な事件でしたが、容疑者が死亡して、被疑者死亡で不起訴と言う結末になってしまいました。
警察の推測する動機は「妬み」と言うあたりでしょうか・・・私としては、そんな一言で表せるような感情ではないのかな?と考えています。
職人気質で短気で強情だった性格が人生を変えてしまったのかもしれませんね。
正直なところ、不幸で不運だった面はあります。
A)遺産相続のトラブルで兄弟と疎遠となる。
B)結婚するが離婚
C)自殺を考えるようになり、家族を道連れに無理心中事件を起こす。
D)出所後は事件が原因で就職ができず。
E)経済的に困窮して生活保護を申請するが心が折れて、申請途中で辞退。
遺産相続で兄弟が絶縁と言う話は良く聞きますね。日本の離婚率は35%ほどあるようで、離婚も珍しい話では無いですよね。
問題はやはり、自殺念慮から一家無理心中を考えるあたりでしょうか。
これが容疑者の人生の分岐点ですよね。
もし、この事件がなければ、子供とも絶縁するような事はなかったでしょうし、その後も仕事をして収入を得る事ができたと思います。
あるいは、その前の離婚しなければ、この事件も起こすことはなかったでしょうね。
離婚は相手がいる事なので避ける事はできなかったかもしれませんが、心中事件は避ける事ができたんじゃないかな?
離婚を境に生活が荒れていきますね。気持ちは分からなくはないのですが・・・
「妻も子供も自分の人生とは違う人生を生きている。」と割り切れれば良かったのでしょうけど、「おまえなしでは生きて生きない」「おまえを殺して俺も死ぬ」と言う事になってしまったのかな?
どこか依存的な内面があったのか?
盗まれた骨壺はどうなったのだろう?もし、容疑者の犯行なら、既に死亡した自分の親に何らかの救いを求めていたのかな?
ただ、出所後は家族に連絡を取る事も無かったようですし、家族離れができたんでしょうね。
しかし、その後も事件が原因で仕事が見つからない状態になってしまった。これも不運な話です。
出所時の年齢がおそらく55歳前後ですよね。おそらく一般的な労働市場としては需要が無い年齢です。
技術や能力がなければ仕事を見つけるのは難しい年齢ですよね。
ただ、容疑者は職人として技術や能力があったので、選ばなければ、仕事は見つかったと思うんですよね。
実際、容疑者の話としても「私は長男を刺して刑務所に行っていた人間です。だから、家族には頼れないんですわ。出所して生まれ故郷の大阪に戻ってきたんやけど、就職の面接でええところまで行ってもネットで検索すれば過去の犯罪が出てくる。結局不合格や」こんな事を話しているので、心中事件がなければ、仕事を見つける事はそれほど難しくはなかったように思います。
この点でも不運だったと思います。根気よく探せば、元犯罪者でも受け入れてくれる職場は有ったと思うんですけどね。
この頃には、「自分がそれほど悪い事をしたのか?」「どうして自分だけがこんな目にあるのか?」と世間を呪っていたかもしれませんね。
で、最後のとどめが「生活保護の申請の辞退」ここも、根気よく担当者に話せば、生活保護を受給できたかもしれませんが・・・結局は心が折れてしまったんですね。無敵の人の完成です。
一方で「刑務所に入りたかった」と言う理由で事件を起こす人もいるんですよね。生活する為に「刑務所に入る」選択です。
結局、容疑者はそうした割り切りもできないぐらい、人生や社会に絶望していたんでしょうね。
そんな中で、仕事復帰に向けてリハビリする希望に満ちた人の顔がまぶしく見えたのかもしれません。
光が強ければ強いほど、闇は濃くなると言う台詞もありますが・・・ネガティブな感情が爆発してしまったんでしょうね。
この事件を防ぐにはと考えると、防ぐポイントは以外に沢山あるけれど・・・結局は心中事件を起こさない事ですよね。
それ以降は、就職も生活保護も運に左右されているように思います。
心中事件がなぜ起きてしまったのか?と言うのも本人が死亡してしまった事で真相はわからないままですね。
自殺を考えているあたり、「うつ」による「自殺念慮」なのか?とも思うのですが・・・
もし、そうならば、「うつ」の治療をすれば良いと言う事になるけれど・・・最近書いた、「埼玉県さいたま市犯罪心理学者妻殺人事件」も家庭の問題から「うつ」となって「自殺念慮」が反転して「他殺」に動いてしまったと言う経緯ですよね。
家庭の問題を簡単に相談できるような環境を作るのが良いのかな?
家庭の問題はなかなか近くの人に相談するのは難しい面もありますよね。まーよほど信頼できる相手がいなければ、相談する事自体が難しいです。
その意味では相談できる友達を作ると言うのも有りだと思います。しかし容疑者は生活保護で行政書士にも相談できているので、まるきり抱え込んでいるわけでもないのですが、運が悪かったのかな?
もっとも、このあたりは、相談する本人の個性や性格によるかもしれませんね。
結構、ハードな内容を簡単に話してしまう人もいますし、一方で抱え込んでしまう人もいる。
色々なタイプの人がいるから、誰でも簡単に相談できる、今ならネットで匿名相談っていうのが一番かもしれませんね。
ただ、この手の問題と言うのは昔からあったように思うのですが・・・最近になって急に問題となっているわけではないはずです。
昔と今で何か生活や社会で変わった事があるんでしょうか?
もっとも、昔の津山30人殺し事件も結局は似たような事件なのかもしれませんね。
亡くなった方のご冥福をお祈りします。
参考リンク
大阪府大阪市北新地放火殺人事件その2(まとめと印象)
埼玉県さいたま市犯罪心理学者妻殺人事件その2(一審判決)
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