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2022/09/24

千葉県袖ケ浦市19歳女性殺害事件その5(一審判決)

懲役4年6か月です。

***初公判(9月12日)***
1)被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。

2)弁護側は、死なない程度に刺すことは被害者と同意していたが、「意外にも深く刺してしまった」と主張したとのこと。
別の報道では
弁護側は「被害者は死亡することも承諾していた」と述べ、情状酌量を求めました。

3)検察側も、刺すことの2人の同意は認めたうえで、死なせたことは「承諾の範囲外だった」などと指摘したとのこと。
別の報道では
検察側は冒頭陳述で、「被害者は、SNSで知り合った被告に入院する程度の傷を負うことを承諾したが、死に至るのは承諾の範囲外だった」と指摘したとのこと。

4)起訴状などによりますと、被告は2021年5月7日、袖ケ浦市蔵波の竹林で、近くに住む美容師見習いの女性(当時19)に、包丁で右太ももを突き刺す暴行を加え、出血性ショックによって女性を死亡させたとされるとのこと。

***判決公判(9月22日)***
1)判決で千葉地裁は、「周囲の人に気持ちを理解してもらうために入院程度の重傷は容認していたが、死ぬことまでは容認していなかった」としつつ、「主導的に犯行に導いたといえる」などと指摘し、被告に懲役4年6か月を言い渡したとのこと。

別の報道では
判決で、千葉地裁は被害者は死ぬことを容認していなかったと判断したうえで、「被告は重傷を負わせる具体的な方法などを被害者に提示し、凶器を購入させており、主導的に犯行に導いた」「重傷を負わせる以外の方法で、力になるべきだった」と指摘したとのこと。

一方で、「十分とはいえないが反省の言葉を述べている」とし、被告に懲役4年6か月を言い渡したとのこと。

***補足情報(どのタイミングの情報化不明)***
1)検察の冒頭陳述などによると、被告は去年5月5日、ツイッターに「死にたい」と書き込んだ被害女性に「殺して差し上げましょうか」とダイレクトメッセージを送り、その翌日からLINEで連絡を取り始めたとのこと

LINEでのやり取りの中で、女性は、被告に「うつで仕事も休んでいて、母親が自分の気持ちを理解してくれない」などと悩みを打ち明け、「殺してくれますか」と持ちかけたとのこと。やりとりが続く中、女性が「親が産んでくれた体なので、死ぬことは躊躇しています」と返信したとのこと。

すると被告は「では重傷にとどめて、心の苦しみを思い知らせるのはどうでしょう」などと持ちかけたとのこと。そして、体のどこの部分を刺すのか、実行現場をどこにするのかなどを提案し、被告は、包丁やロープなどを女性に準備するよう指示。「通り魔」に見せかけて、被告が女性を傷つける計画が立てられたとのこと。

事件当日、女性の自宅からほど近い袖ケ浦市の竹林で合流した2人。現場で女性の右太ももを刺すこと、刺された後で、女性が救助を呼ぶことを確認し、計画が実行に移された。ところが、結局、救助は呼ばれることなく、女性はそのまま出血性ショックで命を落としたとのこと。

このあたりが、殺人容疑から「傷害致死」になった理由のようです。

2)被告人質問の最後に、裁判長から「心の中に、今回の事件で、自分は悪くないと思っていないか」と指摘されると、被告は「その気持ちは一切ありません」と返答したとのこと。

3)弁護側は「救助を呼ぶかどうかは被害者本人の意思に委ねられていた」と執行猶予付きの判決を求めた。最後の意見陳述で、被告は「言い訳を述べることはありません。どんな刑でも受け入れるつもりです」と謝罪したとのこと。

4)被告は、高校を卒業後、仏教系の大学に入学したものの、中退。その後、決まった職には就かず、アルバイトを転々としていたという。法廷では、運転免許の試験に3~4回落ちたこと、パン専門店でのアルバイトで人間関係がうまくいかなかったことを明かしたとのこと。

それ以降、被告は「自分は何をやってもだめで、自分を低く見るようになった」という。また、小学校2年生で両親が離婚。実の父親や新しい家族との関係がうまくいかなくなり、特に父親に対しては本心を父に向けることが出来なかったとのこと。

そこから「死にたい」などとSNSに投稿している人に「殺して差し上げましょうか」などと返信することを繰り返すようになる。その理由について、被告は、最初は悩んでいる人の話を聞く中で、「自分自身の気持ちを吐き出すことを求めていた」などと話したとのこと。

しかし、次第に、心境に変化が見られ、「悩んでいる人の話を聞くことで誰かのためになる」と考えるようになり、「ネットの世界では普段の私ではなく、私が作り上げた架空の人格で、承認欲求を求めて依存していた」と明かしたとのこと。

こんなところですね。
公判も4日しか開かれて無くて、公判の情報もかなり少ないですね。

この事件、発生当初からの疑問の一つに、動機とか、殺意が無いならなぜ刺したのか?と言うのがありました。
公判でこのあたりの疑問が解消できましたね。

結局、被害者としては、「死にたくは無いが、入院するぐらいの怪我をしたい」と言う要望だったようですね。
で、被告人と相談した結果、太ももを刺して、刺された後に被害者自身が119番通報すると言う計画だったようです。
結局、119番通報する事なく、出血性ショックで被害者は死亡してしまったと言う流れですね。

被害者がそのような心境になる原因としては、どうも「自分の苦しみを周囲の人に分かって欲しい」と言う事になったようです。
被告にはこう話しています。
「うつで仕事も休んでいて、母親が自分の気持ちを理解してくれない」

「うつ」と言う事なのですが、被害者の個人情報となるので、報道されなかったのかもしれませんが、捜査段階の報道ではこのような報道は無かったと思います。
ただ、事件が5月に発生していて、その前の2月に被害者が職場異動の申請をして、別の店に異動になるが、5日ほど出社して以後欠勤状態になり、1ヶ月の休みを3月末に申請してます。そして4月末にさらに延長の申請をしてますね。

被害者女性の勤務形態が分かりませんが、正社員なら休職届などを会社に提出していて、その時に医師の診断書も会社に提出されると思います。
で診断が出れば、家族も「うつ」とか「妄想状態」とか何かしらの病状が出てくると思いますね。

まー「うつ」状態で被害者の思考力が低下していた可能性がありますが、「刺されて入院」しても、被害者の苦しみを周囲が理解する事はできないのではないか?と私は考えています。

ここは、被告人との話し合いがどのような展開で最後の結論になったか分かりませんが、「自分で刺した」なら自殺念慮などが懸念されて、重度の「うつ」と言う判断を周囲がしたかもしれませんが、「誰かに刺された」となると、単純に事件ですよね?

だから、運の悪い不幸な事件として周囲は受け止めてしまって、被害者の心情が理解される事は無いだろうと言うのが素朴な疑問ですね。

それでも、周囲に分かってもらうには「私が人に頼んで死なないように刺してもらいました」と言う話をする事になると思いますが、そんな事は言えないと思うんですよね。

なので、被害者本人が「うつ」で思考力が低下しているなら、請け負った被告人は「それで本人の願いが本当に叶うのか?」と言う点をもっと慎重に検討するべきだったと思いますね。

さらに、刺す部位も深さも(深さ14センチ)も不適切でしたね。結局、119番通報できなかったのは、出血性ショックが早い段階で進み、意識がもうろうとしてしまったと言う事だと推測します。本来なら、事件を主導した被告人が最後まで見届けて、すぐに119番通報できない場合は、被告本人が自分で通報するぐらいの事まで計画しておくべきだったと思いますね。

全ては被告人の杜撰な計画が最悪の結果へと導いたと言う事ですね。その意味で被告人の責任は重いと思います。

そもそもの話をすれば、自殺志願者を支援する目的で被害者に接触していたのであれば、裁判長も指摘してますが、もっと適切な支援方法があったはずです。
ネットで自分の承認欲求を満たす為だけに、表面的な支援だけをしてきた被告人の浅はかさが不幸の始まりだったのかもしれませんね。

この事件を防ぐにはと考えると、相談する人も選びましょうと言う事なんでしょうね。
心を病んで自殺しようと考えている人には「酷な話」かもしれませんが、「そんな貴方を騙そうと近づいてくる人が世の中にはいる」と言うのが現実です。(騙そうとしているわけでは無いが、実質的な相談ができない相手もいる場合もあります)

相談するなら「信頼できる人」に相談しましょう。
とは言え、「誰が信頼できる人なのか?」と言う問題がありますね。
とりあえず、公共機関の専門の窓口に連絡するのが良いかと思います。
(やはり、「いのちの電話」かな。)

亡くなった女性のご冥福をお祈りします。

参考リンク
千葉県袖ケ浦市19歳女性殺害事件その4(起訴)

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