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2022/10/02

兵庫県神戸市コンビニ店長殺人事件その2(一審判決まで)

判決は懲役24年(求刑無期懲役)です。

まずは続報から(2021年12月4日報道)
1)2021年12月3日、神戸地検は、強盗殺人・死体遺棄容疑で逮捕、送検された同店の元アルバイト店員の男(28)について強盗致死罪に切り替えて起訴した。証拠関係から殺意の認定は難しいと判断したという。また、死体遺棄容疑については不起訴とした。
神戸地検は男の犯行当時の精神状態を調べるため、6月11日から11月29日まで鑑定留置していた(期間は1回延長)。その結果、刑事責任能力は問えると判断したとのこと。

2)捜査関係者によると、男は無免許で、ハンドル操作がうまく行かずに畑に転落したとのこと。男は逮捕前の任意の事情聴取に事件への関与を認めた。その際「事件に関わった男がもう1人いる」と説明したが、そうした人物は現在も確認されていないとのこと。

時系列
2021年
数日前  男がコンビニでバイトをはじめる。
05月05日
17:15頃 コンビニ前から被害者と二人で車にる
夕方   被害者の死亡推定時刻
18:45頃 住民が衝突音を聞き、横転している乗用車を発見
この時、乗用車近くに男性店員がいた為、通報されず
20:20頃 車が転落していると通報
その後  駆けつけた署員が遺体を発見
夜    アルバイト店員の27歳の男が死体遺棄の疑いで逮捕
05月27日 強盗殺人の疑いで再逮捕
05月11日-10月18日 鑑定留置
12月03日 強盗致死罪で起訴

***初公判(2022年9月21日)***
1)起訴状によると、男は昨年5月5日午後5時半ごろから約1時間の間に、同区山田町福地の寺の駐車場で、男性の顔や両手首に粘着テープを貼るなどしてトランクに閉じ込め、現金約13万円が入った長財布や約400万円相当の乗用車など約422万円相当を奪った。さらに乗用車を運転し、近くの路上で誤って車を畑に転落させ、トランク内に放置した男性を窒息死させたとされるとのこと。

2)被告は起訴内容を「大丈夫だと思います」と認めたとのこと。

3)検察側は冒頭陳述で、男は事件の数日前に被害者のコンビニ店で採用され、他の店員に売上金の管理方法を尋ねていたと指摘。事件2日前までに粘着テープを購入し、LINE(ライン)で実在しない人物のアカウントを作った上で、誘い出した被害者に「脅され、指示されている」と言って体を緊縛するなど、計画的な犯行だとしたとのこと。

また、男が運転操作を誤って車が畑に横転してからも男性を放置し、現場近くで財布を隠すなど、「犯行の態様やその後の行動は非常に危険」と述べた。また、被告の男側とは事実関係に争いがなく、量刑の争いになるとしたとのこと。

別の報道では
検察側は「粘着テープを事前に購入し、計画的に犯行に及んだ。結果が重大で責任がある」と指摘したとのこと。


4)弁護側は「男には自閉症スペクトラム障害と軽度の知的障害がある」と主張。裁判員らに「計画や行動に疑問を持ったり、うそをついていると思ったりするかもしれないが、障害の影響と考えている」と呼び掛けたとのこと。

別の報道では
弁護側は、被告には軽度の知的障害があり計画はずさんで、誤って車を転落させて予想外の結果を招いたと主張したとのこと。

更に別の報道では
弁護側は「被害者を殴ったりせず、ケガを負わせることまでは想定していなかった。計画性はない」と主張しました。

5)被告は弁護士の質問に対し「被害者は指示されているという説明を信用していた」などと主張した一方、検察側は「頼まれたからといって顔や手足に粘着テープを貼らせない」などとする被害者の次男の供述調書を読み上げたとのこと。

***補足情報***
兵庫県警によると、男は逮捕後、一貫して黙秘していた。県警は逮捕時から、刑事責任能力の有無を慎重に調べる必要があるとして、男の実名を公表しなかったが、神戸地検は鑑定留置の結果、刑事責任能力を問えると判断。逮捕から約7カ月後の昨年12月に起訴し、実名を明らかにしたとのこと。

***論告求刑公判(2022年9月27日)***
1)検察側は「身体障害のある弱者を狙った卑劣な犯行」と無期懲役を求刑したとのこと。

検察側は論告で「テープを貼って顔面を覆うなどし、(被害者の)視界や声を奪う行為は強盗の手段として危険」と指摘。「(被告は)祖母宅で生活しており、自分の小遣いが欲しくて事件に臨んだ」としたとのこと。

2)弁護側は、「テープで顔をふさいだりトランクに入れることはそれだけで死亡に直結するほど危険な行為ではない」などとして、懲役20年が相当だと主張したとのこと。

3)被告は最後に「すぐに救出していれば被害者は亡くなっていなかった。命、お金の大切さを軽く見過ぎていた」と述べたとのこと。

***判決公判(2022年9月29日)***
1)裁判長は「卑劣な計画的犯行だが、ずさんな面もみられる」などとして懲役24年(求刑無期懲役)を言い渡したとのこと。

2)裁判長は、男には精神障害があったが事件に与えた影響は軽微とし「責任を大きく低下させるものではない」と判断したとのこと。

3)被害者に抵抗させないよう第三者からの指示を装った点、事前にドライブレコーダーのカードの取り外し方を調べていた点などから「計画的犯行」と認めたとのこと。一方で「場当たり的に行動するなど、高い計画性があるとはいえない」とも述べたとのこと。

事件の発覚を恐れて被害者をトランク内に放置したことを非難したが、事故後に確認していない点などから「死亡する危険性が高いと認識していたとまで認められない」とし、同様事件の量刑傾向などから「無期懲役相当の最も重い部類に属する事案とはいえない」としたとのこと。

別の報道では
裁判長は「トランク内の被害者が声を出していたことなどから、死亡する危険性が高いと認識していたとまでは認められない」などと述べ、量刑について「最も重い部類に属する事案とはいえない」としたとのこと。

こんなところですね。
事件発覚当初の印象とは少しだけ違っていました。
死因が窒息死だったので、呼吸ができない状態にしたのだろうと推測していたのですが、どうも、ここが違うようです。
判決で「トランク内の被害者が声を出していたことなどから、死亡する危険性が高いと認識していたとまでは認められない」と言う話がでていますね。
でも、それならなぜ、窒息死したのだろう?と言うのは素朴な疑問なのですが・・・テープを巻かれただけでは、呼吸はできる状態だったけど、トランクに閉じ込められた段階で密閉度が高く、長時間の監禁で酸欠状態になり、窒息死したと言う事なのかな?

それなら、被告人の最終意見陳述?に「すぐに救出していれば被害者は亡くなっていなかった。」と言う言葉とも符号しますね。
ただ、事件の流れが分からないんですよね。どうして車で外出したのか?そして、運転できない車を運転する事になったのか?

このあたりを踏まえて、事件の内容を私なりに整理すると(推測、妄想が入ってます)
A)動機は金目当てで、店の売上金の管理方法なども事前に調べた上で、第三者に脅されている体を装って、店長に相談した。
 公判の内容から架空の人物によるLINEメッセージで脅迫された体だったのだろうと思うけど・・・この脅迫の内容が分かりません。
 店長自身に直接LINEが送られたのであれば、被告人が車に同乗して移動する意味が無いので、おそらくは、被告人のLINEに(架空の)犯人から脅迫が届いたと言う事でしょうね。
 そこに店長が関わるわけだから、脅迫内容は「店を爆破する」とか「店を放火する」とか店長が関わる内容だったのかな?
 あるいは、単純に指示通りにしないと、「自分(被告)や家族に危害を加える」と言う内容だったのかもしれません。

B)問題はこの後なんですよね。
 おそらくは店内で店長に相談しているはずで、用意した粘着テープも店内で使うのであれば、何も問題は無かったと思うわけです。
 ただ、なぜか、店長と2人で外出する事になってしまったんですよね。
 店長が「ここはまずいから」と場所を移そうとしたのか?あるいは、店内に別の店員がいて、店内での犯行は不可能だろうと被告が判断したのか?このあたりの情報が無いですね。
 しかし、時間的に深夜でも無いから、コンビニは営業中だったはずで、外出するから臨時休業すると言うわけにはいかなかったはずです。
 ここを考えると、店は別の店員によって営業が継続されているのだろうと推測します。この点で店内での犯行は不可能と言う判断を被告側がしたのではないか?と私は推測しています。
 これが被告にとって想定外だったのか想定内だったのか?は分かりません。

C)車で外出してから
 とりあえず、人気の無い場所に駐車して、今後の対応を相談したのでしょうね。
 ここでも疑問があって、最終的に「お金」が目的なのですが、被害者が店長とは言え、普段から大金を持ち歩く人物ではないだろうと言う事ですね。
 実際に犯行時、店長の財布には約13万円しかなかったわけです。
 そこから考えると、要求は「店の売上金を持ってこい」になるはずなんですよね。

D)どうやって店の金を持ってこさせるのか?
 被害者を拘束、監禁したのは偽の犯人に脅迫されているから協力して欲しいと言う事で店長を拘束監禁しのでしょうが・・・
 ここが最大の謎なのですが、車の運転ができる被害者を拘束監禁したら、誰が車を運転するの?
 他にも、店長の被害者が店の金の管理をアルバイトに完全に任せるとは思えないんですよね。
 推測ですが、店の金庫の鍵や番号は店長しか知らないのではないかな?
 だから、仮に店長から店に残った店員に電話しても、金庫の金を持ってこさせる事はできなかったのではないか?と推測しています。
 すると、金庫の番号を知るだろう店長の家族に電話して金を持ってこさせる事はできるでしょうが・・・その電話を聞いた家族が警察に通報する可能性は高いでしょうね。
 仮に持ってきたとしても、車の運転できない被告はお金を持ったまま、どうやって逃亡するのだろう?と言う疑問などが出てきます。

E)なぜ車の運転をするのか?
 どういう理由か被告は運転できない車を運転する事になります。
 店長も被告も携帯電話ぐらい持っているはずですから、外部への連絡や指示は携帯で出来たはずなんですよね。
 被告が運転時は被害者は拘束されて車のトランクに監禁されています。
 この時、何をしようとしたのか?が良く分からないのですが・・・どうも、この段階では被害者の財布の現金は奪っているようなんですよね。
 つまり、財布を奪ってから、店長をトランクに監禁した事になるので、この段階で店長も「おかしいぞ?」と考えたかもしれませんね。
 これは狂言強盗なんじゃない?と被害者が考えたとすれば、逃亡の為に車を運転するのは必要かもしれませんね。
 そもそもの犯行計画でいけば、全ての罪を架空の犯人に負わせる予定だったはずなのに、そこを見抜かれてしまっては、計画自体が破綻してますよね。
 ただ、犯人に「財布を持ってこい」と要求されたと言う言い訳はできるかもしれませんが・・・

F)事件の後処理をどうするつもりだったのか?
 慣れない車を運転して、どこかの場所で架空の犯人に店長の財布を渡したとして事件を終わらせるつもりだったのかもしれないけど・・・・
 それで事件が終わるわけが無いはずなんです。
 おそらく、店長は奪われた金額が小さかったとしても、次に同じが事が起こる可能性を考えて警察に通報して事件化するでしょう。
 警察が調べれば匿名のネット空間も匿名ではなくなるわけです。被告の狂言だと言う事はすぐにバレますよね。
 その意味では、そもそも、LINEの脅迫の相談をされた店長が「警察に通報しよう」として、計画自体が破綻する可能性もあるわけですよね。むしろこの可能性の方が高いかもしれませんね。
 でなければ、捜査段階で黙秘する必要がありません。架空の犯人の指示で仕方なくした事ですと供述してもおかしくないですからね。

とにかく、事件全体が疑問だらけです。
この事件を防ぐには?と考えるとかなり難しいですよね。
おそらく、被害者は雇って数日のアルバイト店員にも親身に相談に乗るような人の良い店長だったのでしょうね。
被告を同乗させて車で外出して、被告からの相談を聞いてしまったら、もう事件は無事に終わる事は無かっただろうと思います。

その意味では、被告をアルバイトとして採用するかどうかがこの事件を防ぐ最後のチャンスだったと思います。
とは言え、明らかに問題が予見できるような人物でなければ、大抵は採用されてしまうでしょうね。
なので、被害者側で事件を防ぐ事はかなり難しいと思います。
できる事としては、相談を受けた時に「店内で対応する」事ぐらいでしょうか。あとは、体力に自信が無いならアルバイトとは言え、「良く知らない人と2人きりにならない」ぐらいしか方法が無いですね。

被告側の対応としては、単純に「ちゃんと就職する」と言う事になるのでしょうが・・・それができないからアルバイトなんだよと言われると返す言葉もないですね。
そうするともっと遡って、学生時代にちゃんと勉強していればと言う事になるけど、障害がどの程度生活や学業に影響があったのか?が分からないのでなんとも言えないですね。
とは言え、被告側でできる事はもう「そこ」しか残ってないと思うんですよね。
被告の家庭が被告に遊ぶ金を潤沢に用意するなんて事は継続できるとは思えないし、そもそも「間違っている」と思うんですよね。
お金が無くなった時、結局、歯止めになる物が何も無いわけですからね。

一見ありふれた事件に見えるけど、防ぐ方法は簡単では無いですね。
亡くなった被害者のご冥福をお祈りします。

参考リンク
兵庫県神戸市コンビニ店長殺人事件

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