新潟県新発田市女性強姦致死事件その3(別件一審無期懲役)
この事件に関連して
2013年09月 燃えた車の中から24歳女性Bさんが遺体で発見
2013年11月 22歳女性Aさんへの強姦致死事件(刑が確定)
2014年01月 20歳女性Cさんが行方不明
2014年04月 Cさんの遺体が川で発見
このCさんの事件の一審公判がありました。判決は無期懲役です。
***初公判(10月17日)***
1)起訴状などによりますと、被告は2014年、通勤中の当時20歳の女性が運転する車に乗り込んで連れ去り、わいせつな行為をしたうえで殺害した罪に問われているとのこと。
2)被告は起訴内容を全面的に否認した。
3)冒頭陳述で検察側は事故や自殺の可能性を否定。また、犯人性についても被告の行動歴などから「被告人が犯人と考えている」と主張しました。そのうえで…
「直接証拠はありません。状況証拠のみで立証していく」
防犯カメラや自白などの直接証拠がないため、状況証拠を重ね、立証する考えを示したとのこと。
別の報道では
冒頭陳述で検察側は、遺体発見現場の状況などから女性は事件の被害に遭ったと指摘した上で、女性の車のハンドルから被告と女性のDNA型が検出されたなどとして、被告の犯行であると主張したとのこと。
更に別の報道では
検察側の冒頭陳述によると亡くなった女性は一人暮らしで製菓工場で働いていました。通勤のため午前4時ごろ、車で自宅を出て赤信号で止まった交差点で被告が車に乗り込み拉致されたとのこと。
女性は拉致される2日前に成人式を迎えたばかりだったとのこと。。
また別の報道では
冒頭陳述で、検察側は「遺体が見つかった小川の水深、水流は大人が1人で溺れるようなものではない」と主張。「顔面を水没させるか首を圧迫するなどして確定的な殺意を持って殺害した」と女性は事件に遭ったと指摘…さらに、女性の車のハンドルからは被告と女性のDNA型が検出されたなどとして被告の犯行であると主張したとのこと。
別の報道では
冒頭陳述では、遺体発見時に女性の着衣がめくれ上がっていたとのこと。
4)弁護側は、「何があったのかは推測や想像にすぎない」、「女性が事件に遭ったことやそこに被告が関わったことに疑問が残る」などと主張し、無罪を強調したとのこと。
***第二回公判(10月18日)***
証人尋問:遺体発見時の捜査員2名
現場に臨場した捜査員は遺体が見つかった際、「直感として殺人の可能性が高かった」と証言したとのこと。
一方で、遺体が見つかる2カ月半前、被害者の車が見つかった際には、「年度末で科学捜査研究所の予算が足りず、DNA鑑定などがすぐにできなかった」と話したとのこと。
別の報道では
元県警本部捜査一課の捜査員は「水深の浅い川で絶命していることは不自然」で「直感的に殺害の可能性が高いと思った」と証言したとのこと。
また、元新発田警察署の捜査員は、発見現場の小川でマネキンなどを使った水没実験を行ったところ、「着衣が水の流れで乱れることはなく、人がかなり力を入れないとめくれ上がることはなかった」と証言したとのこと。
別の報道では
検察側の質問に対して、女性の遺体を発見した際の状況について「直感として殺人の可能性が高いと感じた」「水深の浅い小川の中に仰向けの状態で絶命していること自体不自然」と述べたとのこと。
一方、遺体発見の約2か月半前に350メートルほど離れた場所で女性の車が見つかっていた際の対応について、弁護側の質問に「車については交通事故、運転手については行方不明事案として対応した」「この時点ではどういう事件性があるのかわかりませんでした」と話したとのこと。
さらに女性の遺体が発見された際、着衣が乱れていたことを証言しました。
また、その乱れが川の水流によるものなのかどうか調べる実験が当時行われたことがあかされた。。
18日はその実験に関わった警察官も出廷し、実験結果について「発見時の乱れが水流によるものではないと思う」と述べたとのこと。
***第三回公判(10月19日)***
証人尋問:解剖医2名
解剖医は、女性の健康状態や現場と遺体の状況を調べ、事故死や病死、凍死などの可能性を排除したと述べたとのこと。
その上で、遺体が見つかった小川にいるものと同じ種類の微生物が女性の内臓から検出されたとして、「小川の水を吸引して死亡した可能性がある」と証言したとのこと。
また頭蓋骨の一部には、一般的に窒息したときに見られる出血が見られ、窒息死の可能性も捨てきれないと話したとのこと。
一方で、弁護側から自殺か他殺かを断定できるのかと問われると「解剖所見だけでは判断できない」と述べ、顔と首の一部が白骨化していたことから、首を締められた痕なども確認できなかったと話したとのこと。
別の報道では
医師は死因について様々な可能性が考えられたが、女性の遺体や車の状態から事故死とは考えられず、生前の健康状態や解剖の結果から病死も考えられないこと。
さらに複数の臓器に水が入った形跡が見られたことなどから消去法的に死因は溺死、もしくは窒息死と判断したと話したとのこと。
「首から上の損傷が激しく、解剖だけでは自殺なのか他殺なのか判断できない」
解剖医の経験や客観的な証拠を考慮して他殺だと判断したとのこと。
***補足***
19日に出廷した解剖医は遺体の二次鑑定を行い、「消去法で死因を溺死または窒息死と判断した」。現場の状況などから「他殺の可能性があると評価した」と述べているとのこと。
***第四回公判(10月20日)***
証人尋問:法医学者
この事件に関する司法解剖の資料などから死因について「残された遺体だけでは判断できない」「死因を不詳にすべき」と証言したとのこと。他殺の可能性についても「あるともないとも決められない」と述べた上で、誤って川に転落し、脳しんとうが起きて溺れたなど事故の可能性もあるとの見解も示したとのこと。
別の報道では
弁護側から女性の死因について問われると「溺死の可能性が高いと考えられるが頸部圧迫や鼻口閉塞も完全に否定できないとして結果的に死因の種類は不詳」と証言したとのこと。
また、他殺かどうかの判断についても「死因がはっきり分からない以上、不詳」と説明しました。さらに女性が竹やぶに入った可能性の1つとして、冬に脱輪した車から被害者が彷徨い低体温症になったことやアルコールを摂取して車を運転した可能性も考えられるとしたとのこと。
一方、検察からの自殺の可能性についての質問に対しては女性の車や遺体の見つかった状況などから「自殺の可能性は低い」としているとのこと。
***第五回公判(10月21日)***
冒頭陳述
1)検察側は被害女性の車のハンドルから被害女性と被告の混合DNAが検出されたこと、事件当日の朝、被告が遺体発見現場の近くにいたことなどから、事件の犯人は被告であると主張したとのこと。
別の報道では
検察側は2人は面識がないにも関わらず女性の車のハンドルから女性と被告の混合のDNA型が検出されたことなどを理由に「犯人は被告」と主張したとのこと。
2)弁護側は「現代の科学でも混合DNAから個人の特定はできない」、「現場近くでの被告の目撃証言には疑問が残る」と検察側の主張に反論したとのこと。
別の報道では
弁護側は「被告固有のDNAは1つも検出されておらず、現在の科学では混合DNAで個人の特定はできない」として、被告は犯人ではないと主張したとのこと
ハンドルからは被告でも被害者でもない別のDNA型も検出されていて、弁護側は「第三者が関与している可能性は否定できない」と主張したとのこと。
これに対し検察側は、女性の車をレッカー移動する際に業者が素手でハンドルに触れていたため「第三者のDNA型が出るのは自然」と反論したとのこと。
***第六回公判(10月24日)***
証人尋問:当時DNA鑑定を行った研究所の元職員
24日はこの女性の車のハンドルから採取した試料でDNA型鑑定を行った科学捜査研究所の元職員が検察側の証人として出廷した。
検察側から当時行ったDNA型鑑定について尋ねられると「ハンドルから検出された13か所のDNA型の検査結果は被告と女性のDNAが混合している」と述べたとのこと。
また、男性のみが持つY染色体を調べるYファイラー検査も行い、その結果「DNA型のすべての箇所が被告と一致した」と述べたとのこと。
一方で、“Yファイラー検査は個人を特定する制度が他の検査よりも劣る”との弁護側の指摘に対して同意したとのこと。
***第八回公判(10月26日)***
1)証人尋問:被害者女性の同僚
同僚の女性は被害女性が「人間関係でトラブルを抱えていた様子はなかった」と話した一方、悩みをあまり表に出さない性格だったと証言したとのこと。
また、もし女性が殺害されたとしたら犯人はどのような処罰を受けるべきかとの質問に対し「できる限りの重い刑を求めたい」と話したとのこと。
2)証人尋問:被告が働いていた建設会社の社長
事件があったと思われる2014年1月以降の被告の印象を検察側から聞かれると「久しぶりに会い、ものすごく痩せていた」と話しました。また、事件に対しては「ぞっとした。こんな残酷なことができる人がいるのか」と話したとのこと。
同じ日の被告の服装について「つなぎに黒の編み上げの靴」と証言したとのこと。
***第九回公判(10月27日)***
証人尋問:事件現場近くの女性住民
被害者女性の車が転落しているのが見つかった2014年1月15日、女性は午前9時過ぎに犬の散歩に出かけたところ近所では見かけない男に会い声をかけたとのこと。
検察側から男との会話の内容を尋ねられると「車を落としたから仲間を呼びたい。公衆電話はどこかと聞かれた」と証言した。
証人の女性は男の服装について、「つなぎに黒の編み上げの靴」と証言した。
また、女性は当時、雪が積もっていたにも関わらず、男は上着や長靴を身につけていなかったと話した。
一方、弁護側から会話をした男の名前を聞いたか尋ねられると「名前は聞いていない」と答えたとのこと。
別の報道では
住人は事件があった1月の朝に、30歳くらいで細身の見知らぬ男性が雪の積もった中から出てきて「公衆電話を探している」と言われたと証言。また、冬にも関わらず、男性は上着や長靴を身につけていなかったと話した。
別の報道では
現場近くで男を見かけた女性は、男から「車を落としたから仲間を呼ぶために電話を貸してほしい」と頼まれたと証言し、「男は30歳くらいに見え、編み上げの靴を履いていて足元は濡れていたと思う」と話したとのこと。
また、自宅から男のためにタクシーを呼んだという別の女性は、「寒い日だったにもかかわらず、温かい服装ではなかったため不審に思った」と証言したうえで、およそ4か月後に警察から被告を含む18枚の写真を見せられた際、「当時会った男をすぐに選ぶことができた」と述べたとのこと。
***第十回公判(10月31日)***
1)証人尋問:事件現場の近くで男性を乗せたタクシー運転手
運転手は「せきもと」と名乗る細身でグレーのつなぎを着た男性を諏訪町のコンビニまで乗せたと証言。本間新田で人を乗せることは滅多にないため印象に残っていると話したとのこと。
別の報道では
検察側が客の特徴について尋ねると、タクシー運転手は短髪・細身の男性でグレーのつなぎを着てスニーカーをはいていたと証言。26日に被告の同僚が証言した被告の普段の服装と一致したとのこと。
一方で客の男性は自身を「せきもと」と名乗っていたほか、弁護側がタクシーに乗せた男性は被告だったのかと尋ねると、「顔は覚えていない」と話したとのこと。
***第十一回公判(11月1日)***
証人尋問?:被害者の母親と姉
亡くなった娘について「真面目な性格で非行もなかった」「知らない人を車に乗せるようなことはしない」と証言した。
また、娘が行方不明になってから家がある山形から毎週末、新発田市を訪れたと話し、「どこかに監禁されているかもしれないと思って現場近くを探し回った」
「とにかく生きた心地がしなかった」と胸の内を明かしたとのこと。
最後に検察側から「被告に対して言いたいことはあるか?」と問われると
「正直に言ってほしい。死刑を望みます」と訴えたとのこと。
女性の姉も証言台に立ち、妹について「私の人生では欠けてはならない大切な存在」「なんで妹だったのか、なんで殺されなければいけなかったのか犯人の口から直接聞きたい」と涙ながらに話したとのこと。
***第十二回公判(11月2日)***
1)被告人質問
【弁護側質問】「犯行に関わったか?犯行に及んでなくても女性に関わったか?」
【被告】「犯行にも女性にも全く関わっていない」
「記憶があいまいなのに犯行に関わったことがないと言い切れるのはなぜか?」と弁護側に問われると「少しでも残っていれば覚えているけど記憶がないです」と答えたとのこと。
一方、検察側は、被害者の車のハンドルから被害者と被告の混合DNA型が検出された点について説明を求めました。
【被告】「本当に混合DNA型が出たのであれば、なぜ自分のものが出たのかわからない」
また、検察側が無期懲役の刑が確定した強姦致死事件に触れ「あなたの妹がわいせつなどの被害にあったらどう思うか」と聞くと、「許せない」と即答したとのこと。
さらに検察側は法廷での遺族の訴えについて被告に意見を求めた。
【検察側の質問】「『なんで娘なのか…なんで殺されなければいけなかったのか犯人の口から直接聞きたい』と訴えた遺族の言葉をどう感じたのか?」
【被告】「気持ちは分かるが、犯人は自分ではないので申し上げられることは何もありません」
別の報道では
証言などから被告は2014年1月15日の朝、女性の遺体が見つかった本間新田からタクシーを呼び、当時の自宅近くのコンビニでタバコ2箱とライターを購入したと検察側は主張。
これに対し
【被告】
「(検察の主張は)違います」
「(コンビニについては)なくはないがライターを買っているので自分ではないのでは」
「オイルライターを使っていたので」
2)遺族の意見陳述:母親、姉、祖母
母親は「人見知りで保育園に行く時には毎日のように大泣きしていた」と幼少期の女性を振り返り、歳の離れた弟が生まれるとおしめを替えたり、おもりをしたりし「遠足の弁当も作ってくれた」と語った。高校時代には成績が優秀だったが家庭のことを考えて進学せず、新潟県の製菓会社に就職したとのこと。
母親は「新発田市に住むことを勧めてしまった。私が選択を間違えなければ娘は生きていたかもしれない」「娘がいなくなってからは地獄のような日々だった。自分を責め、後を追おうと何度も考えた」と述べたとのこと。
姉は「なぜ加害者はのうのうと生きているのか。一生許すことはできない。死刑にしてほしい。妹の無念を受け止めてほしい」と訴え、祖母は「なぜ孫は殺されなければならなかったのか。絶対に許さない。悔しい。早く死刑にしてほしい。私が殺したい」と述べたとのこと。
***論告求刑公判(11月7日)***
1)検察は被告が「女性の車のハンドルに触れていた」などとして「女性を殺害したのは被告である」と主張。「被告の弁解は、全て苦し紛れの言い訳で、信用できない」と指摘した。
さらに、「被害者に何ら落ち度もないのに極限まで恐怖に落とし入れ、尊厳を極限まで踏みにじり残虐に殺害した。極めて悪質」「さながら被害者をもののように扱った人格人命軽視の態度が甚だしい、許し難い行い」と述べ、
「別の事件で7年半服役していたのにも関わらず、出所してからの犯行はエスカレートし」「反省の意思や遺族への謝罪などは見受けられず、更生は期待できない」として、被告に対し死刑を求刑したとのこと。
別の報道では
検察側は論告で「被告が女性の車のハンドルに触れていた」などとして「女性にわいせつな行為をしたうえで殺害した犯人は被告」だと改めて主張した。
そして『量刑』を考える上で特に重視すべき事情として挙げたのが、被告がこの事件のおよそ5カ月前から連続して起こしたわいせつ略取や強姦致死などの4つの事件。
被告は、2013年に同じ新発田市内で女性4人を相次いで暴行しそのうち1人を死亡させたとして、2018年に強姦致死罪などで無期懲役が確定し岐阜刑務所で服役していた。
検察側はこの過去の事件について「全く考慮しないのは適切ではない」として、「本件事案の犯情は極めて悪く、被害者が1名であっても死刑の選択が検討されるべき事案」だと述べたとのこと。
『犯行の動機』については「被害者の人格・生命を甚だしく軽視した身勝手極まりない動機と無差別的犯行。被害者に一切落ち度はなく、斟酌すべき要素は皆無」と指摘したとのこと。
また「被害者は生きて帰りたくて必死に抵抗し、殺さないでと懇願したと考えらえる」状況での犯行の態様については、「その被害者を少なくとも3分から5分程度顔面を水没させ頸部を圧迫した」ものであり「残虐ではない、残忍でないとは到底言えない」と強調したとのこと。
その上で別の事件で7年半服役して矯正教育を受けながらも、出所の後、連続して女性を無差別に襲っていることなどを挙げ、「犯罪性向はより凶悪化し、性犯罪に対する規範意識は完全に欠如していて、生命軽視の度合いは甚だしく、更生はもはや期待できない」として『死刑』を求刑したとのこと。
2)弁護側は最終弁論で、女性は事故などで水死した可能性が高いとした上で、検察側が証拠とする「女性の車から検出されたDNA型について個人の特定はできない」と反論し、また目撃者の証言について「事件現場で男を目撃した2人の女性と男をタクシーに乗せた運転手の証言に異なる部分がある」ので「被告が間違いなく犯人であるとは決して言えない」などとして、改めて無罪を訴えたとのこと。
3)被告の最終陳述
「罪状認否のときから言っているとおり、私はこの件に関しては全く関係していないです。以上です」
***判決公判(11月18日)***
1)判決で新潟地裁は事件性について解剖医の意見などを踏まえ、女性の死因は「溺死または窒息死」とした上で、弁護側が主張した事故や病気による溺死は、「わざわざ竹藪に入る理由がない。弁護側の主張は抽象的な可能性のみで無理がある」と退け、女性は何者かに暴行され殺されたとしたとのこと。
2)犯人性については、女性の車のハンドルから被害者と被告の混合DNA型が検出された検査結果について「矛盾はない」とし、「被告が被害者のハンドルに触れたと推認できる」と検察側の主張を認めたとのこと。
3)量刑について
被告は、2013年に新発田市で女性4人を相次いで暴行し、そのうち1人を死亡させたとして2018年に無期懲役が確定していた。
判決ではこの過去の事件について触れ、「常習性が非常に高い」とした上で、「犯行への関与を否認するなど、反省の情が見られない」などと厳しく非難したとのこと。
一方で、「死刑判決が出た他の事件は、犯情の悪質さが抜きんでていて、同列に論ずることはできない」として、無期懲役を言い渡したとのこと。
別の報道では
<裁判長>
「類似の判例をみるとほとんどが無期懲役となっていて、殺害人数1人で死刑になった例は悪質性が抜き出ている」
4)裁判長は最後に被告に対して「強い非難の気持ちを持っている遺族の気持ちを真摯に受け止めてほしい」と語りかけたとのこと。
こんなところですね。
事件発生が2014年、逮捕送検が2020年、一審判決が2022年、逮捕まで6年、判決まで8年かかった事件です。
2015年に前回の事件の一審判決が出てから、動きが無かったので、他の事件は無理なのかな?と思ってましたが、警察が頑張ってくれたようですね。
犯罪者には正しく罰を受けてもらいたいです。
さて、結構、難しい事件だったと思います。検察側も認めてますが、直接証拠が無くて、状況証拠の積み重ねで立証する事件でした。
驚いたのがDNA鑑定ですね。事件後にすぐに鑑定ができなかったのは、予算不足だったと言うのがちょっとあれですよね。
消防とか警察とか、必要な処には予算を割いて欲しいですね。もし、鑑定がされなかったら混合DNA型も検出できずに事故として処理されてしまったかもしれません。
それから、興味深い点としては3点
1)混合DNAから故人を特定する事はできない。
言われてみれば、そうなんだろうなと思うところです。そういえば、DNAは出たけど指紋は出てないんですね。
2)窒息死の特徴として頭蓋骨の出血
これがちょっと初耳でした。調べると「まぶたや眼球結膜の溢血」と言うのはあるのですが、頭蓋骨で出血と言うのはなさそうなんですけど・・・
3)首実検
今なら防犯カメラやドラレコの映像が決め手になりそうですが、当時は「首実検」なんですね。
とは言え、現在でも、田舎の民家の玄関に防犯カメラがある家なんて、まずありませんから、捜査での地域差と言うのはあるかもしれませんね。
他には以前に秘境の温泉で女性が殺された事件で、地域に防犯カメラを設置するのに賛否両論がありましたが、もし、事件がおきたらと思うと、あった方が良い気がしますね。
それに、都会ではタクシーにも車内カメラが搭載されていて、結構タクシー強盗などが逮捕されてます。田舎のタクシーにも搭載して欲しいですね。他に振り込め詐欺などにも効果があるかもしれませんね。
話がそれましたが、検察の求刑は死刑でした。
これがけっこう、微妙なところかもしれません。普通に考えると、死亡が1人で、おそらく罪状に強の字が一つなので、これだと死刑は難しいところなのですが、検察は前回の事件を考慮して、出所後7ヶ月で複数の事件を起こした悪質性や更生不可能と言う事で「死刑」を求刑してますね。
残念ながら、判決はこの点は「そこまで悪質じゃない」と言う事で「無期懲役」の判決となっています。
ただ、前回の無期懲役となった事件が2013年の11月で、今回の事件が2014年の1月なんですよね。
もし、連続強姦致死事件となっていれば、死亡者が2人で罪状に「強」の字が一つ、付いてますから、死刑の判決は有りだよね。と思うところです。
FBIの定義だと連続殺人事件は事件の間隔が24時間以上あるものと言う事らしい、それなら条件は満たされている。
有名な大久保清の事件は2ヶ月で8人を殺害していて、ざっと週1人のペースで事件を起こしている。こちらは8人に対する殺人罪+アルファで死刑となってますね。
最近では座間の9人殺人事件がありますね。こちらは2017年8月23日から2017年10月23日の2ヶ月で9人を殺害していて、こちらもざっと週1人のペースですね。
私の勝手な憶測では連続殺人になるには1週間ぐらいの間で事件を起こさないとダメと言う事なのかな?
他にこの事件では二重処罰の禁止と言うのも関係してます。
二重処罰の禁止とは、「いったん処罰されたのであれば、同じ事件について再度処罰されるということはない」と言う事です。
これに対して検察は
検察側は求刑の中で『二重処罰の禁止』について、過去の罪を処罰の対象として考えるのではなく、「犯行に至る重要な経緯等として考慮するのはよい」、つまり「量刑を判断する際の要素にしてもよい」と主張し、『死刑』を求刑しました。
と言う事です。
タラレバなのですが、この事件では冒頭に書いてますが2013年9月のBさんの事件があるんですよね。
もし、次に起訴されて裁判で有罪となったら、3人死亡でも無期懲役なのだろうか?と言う素朴な疑問はありますね。
さらに、例えば、最初に判決の出ているAさんの事件とこのCさんの事件を一つの事件として起訴していたら、死亡が2人で、罪状に強の字がついて、死刑も有りだったのでは?とも思うけど・・・今回のCさんの事件については直接証拠が無い状況だったので、とりあえず確実なAさん事件で起訴と言うのは検察としては、やむを得ないところなのかな。
亡くなった女性のご冥福をお祈りします。
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