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2023/08/30

東京都墨田区高3女子殺害事件その3(その後の一審判決までの続報)

一審判決は
男性被告懲役23年(求刑:懲役25年)
女性被告懲役18年(求刑:懲役22年)

21年10月11日報道
1)東京地検は11日、群馬県渋川市の無職男性(27)、妻の女性(28)両容疑者を殺人罪と銃刀法違反で東京地裁に起訴した。

21年10月12日報道
1)警視庁は12日、群馬県渋川市の無職男性(27)、妻の女性(28)両被告(殺人罪などで起訴)を未成年者略取誘拐容疑で再逮捕した。

発表によると、2人は8月28日夕、女子生徒に「10~15分で済む」と伝えて墨田区の駐車場に呼び出し、乗用車に乗せて連れ去った疑い。夫婦は当初、殺害を認める供述をしていたが、男性被告は「弁護士が来てから話します」とし、女性被告は黙秘に転じたとのこと。

女性容疑者は当初の取り調べ段階では、「夫が女子高校生とやり取りしているのを知り、嫉妬していた」などと話していたとのこと。

21年11月01日報道
東京地検は1日、女子高校生を連れ去ったとして営利目的等略取・誘拐罪で男性容疑者(27)=殺人罪などで起訴=と妻の女性容疑者(29)=同=を追起訴した。警視庁が最初の逮捕時に適用した死体遺棄容疑は不起訴処分とした。

時系列
2019年 女子高生と男性容疑者がSNSで知り合う
2021年
02月  女性容疑者を男性容疑者が女性容疑者の自宅に連れてくる
その後 女性容疑者が元夫と離婚
05月  男性容疑者と女性容疑者が結婚
06月頃 男性容疑者と女性容疑者が渋川市の自宅に戻る
07月  男性容疑者が女子高生と一度だけ会う
07月22日
未明  男性容疑者が実家から女性容疑者宅の渋川市の自宅へ夜逃げ
07月26日 無断欠勤の理由で男性容疑者が解雇された。
08月28日
午後   LINEで女子高生を墨田区内に呼び出す
15:30頃 女子高生が外出
その後   女子高生が墨田区内の駐車場で車に乗る姿が防カメに写る。
18:30頃 母親が女子高生が帰宅しないため110番通報
その後  渋川市の容疑者の自宅で3人は一晩過ごす。
08月30日
19:20頃 長野県内で女子高生が乗った車を発見。
その後、遺体遺棄を認める。
08月31日
02:00頃 女子高生の遺体を山梨県内の小屋で発見。
午前    妻と夫を死体遺棄容疑で逮捕
09月20日 両容疑者を殺人容疑で再逮捕
10月11日 両容疑者を殺人罪と銃刀法違反で起訴
10月12日 両被告を未成年者略取誘拐容疑で再逮捕
11月01日 両被告を営利目的等略取・誘拐罪で起訴

***初公判(23年06月02日)***
1)2人は「間違いありません」と述べ、起訴内容を認めた。

2)起訴状などによると、2人は2021年8月、都内の駐車場に生徒をおびき出し、乗用車の後部座席に乗せて連れ去ったうえ、山梨県早川町の小屋で生徒の首をロープで絞め、背中をナイフで複数回刺して殺したとのこと。

3)検察側は冒頭陳述で、男性被告は19年ごろ、ツイッター上で生徒と知り合ってネットで親密なやりとりを続けた一方、20年には女性被告とも知り合い、後に結婚したと説明した。その上で、男性被告は生徒との関係が悪化して逆恨みし、女性被告も嫉妬の感情を抱いていたと指摘。連れ去った後、いったんは帰すことも検討したが、連れ去りの発覚を防ぐ口封じ目的もあって殺害に至ったと主張した。

4)女性被告の弁護側は「当時、心神耗弱の状態で責任能力がなかった」と主張したとのこと。

5)男性被告の弁護人は、被害者へ思いがもつれた結果で「計画性はなかった」と訴え、量刑で争う姿勢を示したとのこと。

***補足***
事件の経緯を簡単にまとめると
(詳細は他の報道の方が詳しいのでそちらを参照ねがいます)

事件の2年前の19年、男性被告と被害者はSNSを介して知り合った。その後、性的な動画を送り合う関係に発展した。

男性被告は被害者とのSNS上での関係を継続しながら、20年にSNSで知り合った女性被告と結婚した。男性被告の結婚後、被害者は男性被告と距離を置くようになった。そして被害者には他に交際している男性もいた。

それから男性被告は被害者から裏切られたと考え、逆恨みするようになる。事件の1カ月前の21年7月末には、男性被告は話し合いを求めて被害者の住む東京都墨田区まで会いに行った。(この時が初対面)

その時、二人は肉体関係を持つ。同時にこれを最後に2度と連絡を取らないと約束したとのこと。
しかし、男性被告は被害者への憎悪を増していった。その結果、被害者にわいせつ行為で復讐しようと計画。女性被告にも協力を求めた。女性被告は被害者を疎ましく思っていて計画に同意し、計画を進める事になった。

8月25日、女性被告のアカウントから被害者に脅して1人で来るように呼び出すメッセージを送る。

8月28日、両被告は車で被害者の自宅付近で呼び出しに応じた被害者を拉致する。その後、自宅へ戻り被害者を監禁した。

8月29日、女性被告がアルバイトで留守にしている時に、被害者を暴行して計画を果たす。女性被告がアルバイトから戻ると被害者を車に乗せていったんは被害者を家に帰す為に、静岡県に向かった。

その後、事件の発覚を恐れた両被告は被害者の殺害を決意、偶然通りかかった山小屋で男性被告が被害者を暴行後に殺害した。

ロープで首を絞めて、サバイバルナイフで背中を4カ所刺して絶命させた。

その後は、報道の通りですね。

***第2回?公判(23年06月05日)***
被告人質問
1)女性被告は被害者や遺族について「取り返しのつかないことをしてしまったと、大変申し訳なく思っています」と謝罪したとのこと。

また、被害者を殺害した時の状況について、女性被告は「男性被告から『刺そうとして刺せなかったからかわってくれ』と伝えられたので、被害者の首をロープで絞めた」と供述したとのこと。

***論告求刑公判(23年06月12日)***
1)検察側は「殺害の態様は残虐かつ卑劣」として、男性被告に懲役25年、女性被告に同22年を求刑した。
検察側は論告で、「男性被告はゆがんだ独占欲を満足させるために殺害しており身勝手。主犯なのは明らかで、責任はより重い」と非難した。女性被告については「犯行を実行したのは本人の判断だった」として完全責任能力があったと述べたとのこと。

2)弁護側は男性被告が懲役17~19年、女性被告が同12年が相当と主張したとのこと。
弁護側は「誘拐当初から殺害を計画していたわけではない」と反論。「女性被告は依存性パーソナリティー障害の影響で男性被告の意図を最優先した」と述べ、心神耗弱状態だったと主張したとのこと。

3)最終意見陳述
両被告は「申し訳ない。どんな判決も受け入れる」などと陳述したとのこと。

***判決公判(23年06月20日)***
1)判決は、男性被告については懲役23年、女性被告については懲役18年とのこと。

2)東京地裁は判決理由で、「18歳という未来ある被害者の尊い命が奪われた結果が重大であることはいうまでもない」「一連の犯行により被害者が味わった恐怖や苦痛は想像を絶するものである」と指摘したとのこと。

その上で男性被告については、「一連の犯行に至る直接的要因は妻がいるにもかかわらず、被害者との関係を維持したいという身勝手極まりない動機にあった。犯行を主導しており刑事責任は非常に重い」としたとのこと。

一方、責任能力が争点になっていた女性被告については「男性被告の思いを被害者から自らに向けさせたいという自分自身の目的のもと、自ら判断して合理的な行動を選択している」などとして「障害の影響は限定的で完全責任能力があった」と認定したとのこと。

ただ量刑については「従属的な立場だった」ことなどを考慮したとのこと。

3)遺族のコメント
「被害者の命が軽く扱われすぎている。今の日本の司法は間違っている。娘は残虐かつ卑劣な殺人にあってしまった。それに対する量刑がたった20年足らずでは平等だとは思わない。公正であるべきである。この量刑は罪に対して見合わない。刑罰が軽すぎる。」とのこと。

こんなところですね。
公判の報道が少ないのか?私が見逃していたのか?ちょっと公判の情報が少ないですね。
事件発覚当初の報道内容よりも、実際にはもっと酷い事件ですね。

特に男性被告については、なんと形容するべきか言葉が難しいけど・・・自己中な獣といったところだろうか?
逆恨みしたあげく猥褻行為で復讐しようと考え、その上、殺害の直前にも暴行するあたり、思考回路がピンク色なのではないか?と思う。
女性被告はそれを知りながら、協力と言うのも理解できないですね。そんな男とは別れるべきですね。

男性被告については、欲望に飲まれた愚か者としかいいようがない。
拉致監禁して暴行して、事件の発覚が怖くて解放できないなんて、その頭は飾りですか?と聞いてみたい。

この事件を防ぐ方法を考えると
被告側はもう、事件以前の問題で、幼少期からの人間教育をもっとしっかりする以外に方法が無いと思います。

なので被害者側での方法を考えると・・・
A)ネットでの人間関係は割り切りが必要かと思う。
素性も分からない相手に、自分の秘密(弱み)を握らせるのは絶対にNGです。その結果、脅しのネタになり、要求に応じる事になる。

B)ネットで知り合った人間に会うには、時間を掛けて見極めてから、複数人か、公開の場で会うべき。
脅されたとは言え、1人で指定の場所に会いに行くのは危険ですね。それは罠かもしれないです。

C)脅されたら、相談しましょう。
警察でなくても良いので、相談しましょう。友達にでも相談していたら、展開は変わっていたと思います。

まー18歳の高校生ですから、性善説を信じていたかもしれないけれど・・・世の中には近寄ってはいけないタイプの人がいるので、常に注意を周囲に向けておくことが必要です。

参考にはASKAの事件簿を数年分読んでもらえば、こんな理由で人が殺されてしまうのか?という信じられない理不尽な事件がいくつも起きている事に気付いてもらう事ができると思います。

今だと、小学校からネットやSNSについての教育や指導は行われているけど・・・多分、子供達はそんな現実は知らないので、危機感とか緊張感は無いのかもしれませんね。
かといって、あまりショッキングな事例をだしても萎縮させるだけだろうし、さじ加減が難しいというのはあるのかもしれませんね。

亡くなった女子校生のご冥福をお祈りします。

参考リンク
東京都墨田区高3女子殺害事件その2(9月19日までの報道と妄想)

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2023/08/28

埼玉県川越市ネットカフェ人質立て籠もり事件 (送検まで)

2022年6月21日午後10時頃、埼玉県川越市のネットカフェで男(42)が女性店員(22)を人質に立てこもる事件が起きている。

男はおよそ5時間後、突入した警察に逮捕監禁の現行犯で逮捕されたとのこと。

逮捕された男性容疑者は2012年11月に愛知県豊川市豊川信金立てこもり事件を起こしていた。

容疑者は2012年に愛知県で人質立てこもり事件を起こして服役し、今年4月に出所したばかりだった。

容疑者は「自分の人生に嫌気が差した。事件を起こせば刑務所に戻れると思った」と供述。ネットカフェに立てこもった際、店員の女性に危害を加えるような発言をしたといい「死刑や無期懲役になりたかった」と話しているとのこと。

容疑者(42)が、6月に入り県内のネットカフェを転々としていたとのこと。

カッターナイフを持ち、カギの付いた個室に立てこもった40代の男。警察によると、午前中から店を利用していて、入店時には身分を表す会員カードを提示していたとのこと。

午前3時過ぎに捜査員が突入。容疑者は、逮捕された。人質の女性は病院に搬送されましたが軽傷とのこと。

現場は川越市にあるネットカフェ「快活CLUB 川越脇田新町店」で、捜査関係者によると、容疑者が立てこもったのは30部屋ある「鍵付き完全個室エリア」で、壁際にある部屋とのこと。

警察によると、21日午後10時過ぎ、客として入店した容疑者は、アルバイトの女性従業員(22)が清掃をしていた個室ブースに侵入し、女性を人質にとって立てこもった疑いがもたれています。部屋は2畳ほどの広さとのこと。

容疑者は21日午後10時ごろから約5時間、個室ドアを施錠し女性店員を人質にした。水や食べ物を要求し、県警が用意。容疑者がドアを開けて受け取ろうとした午前3時15分ごろ、死角で待機していた捜査員が突入し、逮捕監禁容疑で現行犯逮捕したとのこと。

容疑者は事件当日の午前に川越市の店に入店していたということですが、所持金は小銭程度で店の料金を支払えるほどではなかったとのこと。

容疑者の母親談:
「本人に対してはもう、罪を償ってと言うよりは、もう(刑務所に)入っててくださいって言いたくなっちゃう」とのこと。

出所後、県内で作業員として土木関連の仕事をしていたが、6月上旬に仕事先の宿舎から姿を消した。狭山市、蕨市など県内を中心とするネットカフェを転々としていたとのこと。

県警は23日、女性に軽い外傷があったとして容疑を逮捕監禁致傷に切り替え、容疑者をさいたま地検に送検した。

査関係者によると、今回の事件を起こした動機について「自分の人生に嫌気が差した。死刑や無期懲役になりたかった」と話しているとのこと。

さいたま地検は7月12日、逮捕監禁致傷などの罪で無職の被告(42)を起訴した。

時系列
2012年11月 愛知県豊川市豊川信金立てこもり事件
その後、服役(懲役9年)
2022年
04月01日 出所
その後、県内で土木関係の作業員として働く。
06月上旬 仕事先の宿舎から失踪
その後  埼玉県内のネットカフェを転々とする。
06月21日
午前中に容疑者が入店
22:00頃 110番通報、「女性従業員が客のいる個室に行ったが、戻ってこない」
06月22日
03:00過 警官が突入、容疑者現行犯逮捕
06月23日 逮捕監禁致傷で送検
07月12日 起訴

前回事件の公判情報
被告人質問では、以前に別の事件で刑務所に服役した経験に触れた上で「刑務による更生や、国の外交に不満があった」と述べたとのこと。
その上で、動機を「前科者で立場が弱く、社会への不満を発信する手段として「籠城」を考えた」と語ったとのこと。

名古屋地裁豊橋支部は、懲役9年の判決を言い渡した。判決理由では「支配欲や自己顕示欲を満たすための動機で、身勝手極まりない」と指摘している。判決は2013年に確定したとのこと。

服役中の情報
容疑者は模範囚でいた。2年間無事故(トラブルを起こしていない)でないと与えられない『赤バッジ』をつけていたとのこと。
容疑者は「ミシン工場の総班長だった」。総班長とは工場にいくつかある班を束ねる「事実上の工場ナンバー1」で、刑務官の「右腕的な存在だった」とのこと。

こんなところですね。
ASKAの事件簿としては、取り上げるほどの事件か?とも思うのですが、この容疑者が以前に起こした「愛知県豊川市豊川信金立てこもり事件」がASKAの事件簿で取り上げている為に、続報的な扱いで記事にする事にしました。

前回の事件の時も思ってましたが、刑務所に入りたい人なんですね。
本来なら誰もが嫌がる、自由の無い刑務所の中で、そこに適応とか順応とかしてしまったのか?あるいは、生まれつきの才能なのか?
一般社会では生きられなかった容疑者が、刑務所の中でこそ輝いてしまうと言う皮肉な現実ですね。
出所はしてみたが、結局、同じ事の繰り返しと言うよりは、もしかすると、容疑者の唯一の成功体験なんじゃないかな?
繰り返しと言うよりは、望んでそこに行きたいと言う状態なのかもしれません。

まー死者はでていないけれども、実際に監禁された若い女性にしてみれば、その恐怖は尋常な物じゃないでしょ?
普通に生活していれば、刃物で脅されて監禁される事なんて、まずないですからね。

なので、事件を起こさずに刑務所で働く方法があれば、容疑者もこんな事件を起こすことは無いと思うけど・・・

刑務所の中には累犯障害者が少なくないようなので、こちらの介護や指導などをする専門職を刑務所に住み込みで働く仕事を作ると言うのも有りだと思います。実際に累犯障害者の介護、指導を刑務官の方がやってるわけですよね?だとしたら、そちらの負担を減らして、更生の見込みの高い受刑者へのケアに労働力を回した方が建設的と言うか効率的な気がしますね。

それとも、受刑者と言う立場で無いと、刑務所の中でも生活できないのかな?

まー実際にこの手の人は一定数いて、時々事件を起こすわけですよね。
こんな理由で被害者が出てしまうのはなんとか防ぎたいですよね。
専門家の方には何か良い方法を考えて欲しいですね。

参考リンク
愛知県豊川市豊川信金立てこもり事件その2(続報)
累犯障害者 獄の中の不条理

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2023/08/26

大阪富田林市高1男子殺害事件その4(賠償不払い)

事件発生が2009年6月12日でした。
私立千代田高校1年生(15)の少年が富田林市の府立高校に通う3年の男子生徒(17)に殺害される事件でした。

事件から14年が過ぎました。
まさか続報が出るとは思いませんでしたが、予測されたニュースです。

犯人の少年は2011年2月10日の判決で懲役5年以上10年以下の不定期刑を言い渡されました。

その後、本人と両親に対して損害賠償を求める民事裁判を被害者の両親が起こしました。
2014年8月28日大阪高裁で裁判長は元少年のみに計約1億800万円の賠償を命じた1審大阪地裁堺支部判決を支持。両親にも監督義務違反があったと主張する遺族側の控訴を棄却しました。

続報によると
元少年の両親は当時「一緒に賠償する」とし、元少年の受刑中は両親から毎月10万円程度の支払いがあった。ところが、元少年が出所した約3年前、両親が一方的に「元少年だけが支払う」旨を連絡してきた。以降、元少年からの支払いはほとんどない。弁護士を通じて抗議しても連絡さえ寄こさないとのことです。

3年前に出所と言う事は懲役は約10年ぐらいになったと言う事かな?

私は9年前の2014年の損害賠償の控訴審判決のニュースで書いてますが・・・・

「判決は妥当だとは思うけど・・・実際に支払われるのか?が問題でしょうね。」

結局、懸念は現実となってしまいました。

ただ、もう少し状況は整理する必要があるかもしれない。
「元少年の受刑中は両親から毎月10万円程度の支払いがあった。」と言う事は月10万で年間120万、10年で1200万ぐらいは元少年の両親が支払っていたと言う事だと思われます。

元少年の両親の経済状態が分からないのでなんとも言えない部分ではありますが・・・もし年収500万ぐらいの世帯なら平均月収の3割以上を賠償金に使っていたかもしれません。

・・・だから十分とは言えないのですが・・・どうなんでしょうね。
昔の「北の国から」と言うドラマで息子のせいで子供が産めない体になった交際相手の女性の父親に主人公の役名五郎の田中邦衛さんがお詫びに行くシーンがありました。その時、相手役の菅原文太さんが「誠意、誠意って何だろうね?」と問いかける台詞がありました。
その言葉を聞いた田中邦衛さんが意を決して、将来ログハウスを建てる為に用意していた丸太を全て売り払い、賠償金を用意したと言うエピソードを思い出しました。ほぼ全財産を売り払った状態ですね。

他には歌手の「さだまさし」さんの歌で「償い」と言う曲があります。
これは交通事故で死亡した夫の奥さんに毎月賠償金をわずかずつ郵送してきた加害者側との実話を歌詞にした曲でした。

民事裁判で支払い義務は無いとされた元少年の両親はともかく、元少年本人には「償い」を聞いてもらいたいですね。

参考リンク
大阪富田林市高1男子殺害事件その3

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北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その6(ASKAの妄想)

まずは続報です。
1)捜査関係者によりますと、24日付けで札幌地検が3人の刑事責任能力を調べるために、鑑定留置を請求したとのこと。
期間は8月28日から2024年2月28日までの約半年間で、札幌簡裁は24日に請求を認める決定をした。

2)両親の弁護人は決定を不服とし、札幌地裁に準抗告した。

こんなところですね。娘については小学校の頃から持病があるとの話なので、想定の範囲内と言うところでしょうか。逆に現役で仕事をしている両親の精神鑑定が請求されたのは予想外でしたね。

それでは、今回はひさしぶりに妄想チックに事件の事を考えてみようと思います。
まず、簡単に現状をまとめると
A)男性がホテルで殺害されて首を切断された遺体が発見された。
 切断された頭部や男性の遺留品は現場からは発見されていない。

B)事件当日に被害者男性とホテルに入出した人物が1名いて、その1名は顔を隠して手袋で指紋をかくしていた。その人物は事件発覚前に1人で退室している。

C)逮捕された3人の自宅から遺体の頭部と被害者の遺留品、他刃物が20本、ノコギリ4本が発見されている。

D)3人の内、両親の2名は当初、弁護士の指示で黙秘している。娘は否認している(と思われる)
これは、当初の報道で3人は黙秘または否認しているとの報道があった事で、黙秘しているのが両親だとすれば、残る娘が否認していると推定されるわけです。両親は共謀を否定している。

E)事件後に会った娘の友人は「普段と変わらず、普通。久しぶりに会って共通の話題で盛り上がって、何も変わっていない。だから怖い」と話したとのこと。

この状況を上手く説明する方法があるだろうか?と妄想チックに考えた時に仮説を一つ思いつきました。
ポイントは実行犯と思われるが娘が「否認」している点です。
「否認」と言うのは私が思うに、「罪状を認める」以外は全て「否認」になると思っています。

娘の供述内容は現在のところ全く出ていません。なので、否認にもいくつか種類があると思うわけです。
あ)自分はやってない。
い)知らない人(真犯人)がやった。
う)身に覚えが無い。記憶にない。

あ)と(う)は似てるようで違いますね。

さて、今回の前提は否認の内容が「う)」の「身に覚えが無い。」「記憶にない。」と言う場合です。

普通の人なら自分が体験した事で1ヶ月程度前のかなりショッキングな事なら普通は覚えています。なので、「覚えてない」となると、メンタルか身体面に何らかの問題がある可能性が疑われますね。
ただ、この「事件の記憶が無い」と言う状況は「E)事件後に何も変化が無かった」事を説明できるわけですね。自分が事件にはまったく関係ないなら、何か心境の変化などがあるはずがありません。

なので、もし、娘の犯行であるとするなら、「記憶が無い」ことをどう説明するのか?と言う事になります。
私がこれを説明する為に考えたのは娘は「解離性同一性障害」ではないか?これは、いわゆる「多重人格」のことです。

事件を計画、実行したのは娘の別の人格(仮に第二人格と呼びましょう。)だったとしたら、現在、罪状を否認しているのは主人格で事件の事を知らなかったと言う説明ができます。
だから、事件後に主人格と会った友人は「いつもと変わらない」と感じても不思議では無いわけです。

ではこの場合で事件の流れを考えると
1)第二人格と被害者が知り合い、交際に発展する。
2)主人格と被害者がトラブルとなる。これを両親もトラブルと認識する。
3)第二人格が殺人の計画と準備をする。
4)第二人格が被害者と待ち合わせをして、ホテルに入り、男性の隙をついて殺害、頭部を切断して、自宅に持ち帰る。
5)その後、別のススキノのダンスクラブへ遊びに行く(これが第二人格なのか?主人格かは分からない)
6)事件後、第二人格は現れずに証拠品は自宅に残されたままになる。(出現しても事件に関心が無いと言う事もあるのかな?)
7)主人格は逮捕されるが、事件の記憶が無い為、「身に覚えが無い」と否認する。

ただ、この流れの中でどうも解決できない問題が出てくるのが、準備段階です。
刃物を父親と購入しているけど、この時の娘は第二人格だったと思われるわけで、精神科医の父親がそれに気付かないの?と言うのが疑問ですね。

これについてはもう一つの可能性が考えられます。例えば、第二人格が主人格を手紙やメールなどで「脅す」場合ですね。
「ナイフをいつまでに購入しろ」とか、「ノコギリを買ってもらえ」とかね。

しかし、この場合だと、主人格が誰か分からない人物から脅迫されると言う事になって、主人格が警察や両親に相談してもおかしく無いですよね。
そんな話が出てない事を考えると、父親と一緒に買い物したのは第二人格と言う事になり、一緒にいる父親が異変に気付かないのだろうか?と言うわけです。

多重人格で有名な話はビリーミリガンです。24人の人格がいたと言われている人物ですね。(当初23人で最後に統合役の24人目が出現した)
年齢も性別も違う23人の人格が交代すると声や話し方はもちろん、顔の表情まで別人のようだったと言われてます。

なので、人格交代があれば、身近にいる父親や母親が気付かないのか?というのは大きな疑問ですね。

ただ、もう1件、日本でのケースとしては、宮崎勤事件があります。1988年頃に東京埼玉連続幼女誘拐殺人事件を起こした人物です。
最後の再鑑定の時に3人鑑定医による鑑定で、1人は統合失調症、2人は解離性同一性障害と鑑定してますね。

この宮崎勤については周囲から解離性同一性障害を疑われるような話は無かったと思います。
(ただ、宮崎は家族と疎遠だったようにも見えるのでこの事件とは比較できないかもしれません)

あくまで私の妄想です。
精神鑑定の結果を待ちましょう。

参考リンク
北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その5(弁護士のコメント)

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2023/08/24

北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その5(弁護士のコメント)

まずは続報です。
1)事件後に女性(29)容疑者と会った友人の談
「普段と変わらず、普通。久しぶりに会って共通の話題で盛り上がって、何も変わっていない。だから怖い」とのこと。(8/17報道)

2)容疑者は当初、「娘の犯行を止めたかったが、止められなかった」と話していたとのこと。

これに対し18日午後、両親の弁護士がコメントを発表し両親による共謀などを否定したとのこと。

母親が、「娘の犯行を止めたかったが、止められなかった」と警察に話したかのような報道がありましたが、そのような事実は一切なく、報道は誤っています。

買物や送迎など、事実の存在自体は間違いないものの、各行為の目的や前提の認識について、誤った推測がなされていることが多々あります。

また、特に新聞メディア以外の報道に見られますが、事実そのものが誤っているものも少なからず存在します。

両親は、娘が事件を起こすなどとは全く想像しておらず、両名とも、被疑事実とされる殺人、死体遺棄のいずれについても一切共謀しておりません。とのこと。(8/18報道)

3)警察は、これまでの家宅捜索で、3人の自宅から4本のノコギリを含む約20本の刃物を押収したとのこと。

このうち数本は、女性(29)容疑者の部屋から見つかっていて、警察は、犯行に使われた可能性もあるとみて、刃物の鑑定を進めているとのこと。

4)捜査関係者などによると、女性(29)容疑者が自宅で使っていたパソコンを解析したところ、事件前に指紋や洗剤について調べた履歴があったとのこと。(8/19報道)

5)札幌中央署の捜査本部は、同容疑者が客室に持ち込んだカメラを設置し、襲撃時に動画を撮影したとみて動機や経緯を調べているとのこと。(8/20報道)

6)弁護人によると男性容疑者は以前から女性(29)容疑者の依頼でナイフをたびたび購入。事件前に購入したことについても「違和感がなかった」と話している。女性(29)容疑者は趣味でのこぎりを使った木工製作もしていたとのこと。

男性容疑者は「娘が普段から趣味でナイフを集めていたので違和感はなかった」、事件当日に女性(29)容疑者をホテル付近に送迎したことについては、「男性と遊ぶ約束をしていると聞いている」と話しているとのこと。(8/20報道)

7)女性(60)容疑者は「(トラブルになっていたので)男性と会うことを止めたかったが、止められなかった」とは話しているとのこと。(8/21報道)

8)6年前に女性(29)容疑者が通っていた教室の40代男性講師は特異な印象も抱いたという。女性(29)容疑者は「外を歩くのも怖い。転んでけがをしたり、誰かにけがをさせそうで怖い」と話していたとのこと。(8/21報道)

9)捜査関係者によると
「実はAさんは殺害される直前、後ろ手でオモチャの手錠をかけられていたほか、アイマスクのような物で目隠しもされていたことがわかったのです。女性(29)容疑者はAさんを襲撃した時の様子を動画撮影していたとのこと。(8/23報道)

10)親子3人は捜査本部の取り調べに対し、黙秘や否認を続けているとされていますが、弁護人は24日午前、両親の黙秘について「誤解がある」として、新たに下記の事実関係、コメントを公表した。

・初回接見時、弁護人が2人に警察に対する完全黙秘を指示
・2人と接見を重ね、概ね事実関係を把握できたので、検察に対しては黙秘を解除
・8月21日から2人は、検察には事実関係を供述
・女性(60)容疑者の誤った供述報道などもあり、警察には今後も黙秘を続ける

その上で、何かやましいことがあるから2人が黙秘しているのではないかなどの誤った憶測がされているが、そもそも黙秘権行使は弁護人の方針に基づくものであり、2人が自発的に黙秘を始めたわけではないとし、コメントも今回が最後としているとのこと。

こんなところかな。
ざっくりとまとめると
A)両親の弁護士が「殺人、死体遺棄」について共謀を否定している。
B)両親は黙秘しているが、それは弁護士の指示だった。逆に言うと、否認しているのは「女性(29)容疑者」と言う事ですね。
C)母親は「(トラブルになっていたので)男性と会うことを止めたかったが、止められなかった」と話したようだけど、この男性は被害者の事か?明確でないね。
D)父親が「男性と遊ぶ約束をしていると聞いている」と話しているが、この男性は被害者の事なのか?明確でない。
E)父親が娘はナイフの収集が趣味で、ノコギリで木工制作もしていたので、刃物の購入に違和感はなかったと話している。
F)自宅から刃物20本、ノコギリ4本が押収されている。
G)初期に報道された「動画」について、殺害時に撮影された物である可能性がある。

こんな感じですね。
とりあえず、印象というか感想を書くと
G)のビデオが不思議です。犯行時の映像だとしたら、殺害する瞬間の映像があるとは報道されていない。今の時点で報道されているのは、「何者かが手袋を着用した手で男性の頭部に触れる動画」なんですよね。つまり、殺害時の映像ならこれ以上ない決め手なので、女性(29)容疑者の犯行の証拠になり得るわけです。まー警察、検察が手の内を晒す必要は無いので、公判まで伏せていると言う事なのかな?そこは分からないけど・・・

問題はそんな決定的な証拠があるとしたら、実行犯と疑われている女性(29)容疑者はなぜ否認するのだろうか?
さすがに、自分で撮影した内容は自分で分かっているはずですよね?
ここで思いつく可能性は3つかな?

G-1)殺害の瞬間、遺体損壊の瞬間の動画は撮影されていない場合。
 この場合は、否認しても不思議では無いですね。ただ、逆に、なぜ、切断した遺体の頭部だけの映像を撮影したのか?が疑問になります。
もし、犯行の記録として撮影したなら、事件の全体(殺害から損壊まで)を撮影すると思うんですよね。
一つ思い当たるのは、切断の結果(事実)だけを撮影したかった場合でしょうか?
脅迫神経症でドアの鍵を何度も確認する人が、鍵を掛けた動画を撮影して、不安になった時にその動画で確認すると言う事があるようです。
事件だと、遺体の足を切断して、「遺体が歩けないようにした」と話した犯人もいましたね。
なので、女性(29)容疑者が事件後に「殺害した事実、死亡した事実」を繰り返し確認しようとした可能性かな?

G-2)自分が撮影した動画の内容を把握していない場合。
 そんな事あるの?と思うけど、メンタルに何らかの問題があって、健忘や抑圧で思い出せない場合でしょうか?
だとしたら、精神鑑定なども必要かもしれませんね。

G-3)他に真犯人がいる場合。
 多分、女性(29)容疑者が無罪になるのはこの場合しかないですね。
この場合は、自宅から発見された頭部とかビデオをどう説明するのか?が鍵ですね。

C)とD)が微妙な情報です。
ここで言う「男性」が被害者の事を指すのかどうかで事情が変わってくると思うんですよね。
母親と父親で認識が違う場合もあるので、結構、複雑になります。
分かりやすい例としては、母親、父親ともに、「被害者男性」と認識している場合ですね。
母親の方はずばり「(トラブルになっていたので)男性と会うことを止めたかったが、止められなかった」と言う事なので、事件前にトラブルとなっている被害者男性に娘が会いに行くことを知っていたと言う事になります。

父親の方は被害者男性に逢う事を知っていて、その被害者男性と遊ぶ為に娘を車で送っている事になる。
これについても、そんな事あるの?って話なんです。
一部で親族の証言として報道されているのは「不同意性行」があったと言う事ですが、そんなトラブルの相手の元へ送るのか?はかなり疑問です。

これについては、女性(29)容疑者の動きも疑問なわけです。
私の勝手な印象では女性(29)容疑者は感情で行動するタイプに見えるので、トラブルになって嫌っている相手に偶然会ったからと言って、3回目の会う約束をするのか?と言うのはかなり疑問ですね。

そう考えた場合、親族の証言の信憑性を疑った方が良いのかな?と思わなくもありません。

それから、実際の犯行過程を再度考えると(女性(29)の犯行と仮定した場合です)
あ)被害者と待ち合わせの約束をする
い)刃物、ノコギリ、手錠、カメラ、レインコート、洗剤を用意して殺害、頭部を切断する。
う)頭部を自宅に持ち帰る。

前述のビデオ撮影の理由が「死亡した事(殺害した事)の確認為」だとしたら、殺害は手段ではなく、目的だった可能性がありますね。
だとしたら、そもそも「男性とのトラブル」は無いと言う可能性もあるのかな?
これは見る角度によって違うかもしれないです。娘からみたら、トラブルでは無かったけど、両親からみたらトラブルだったと言う可能性もあるかもしれません。(どんな場合かな?)

現状で女性(29)が罪状を否認しているとしたら、それは、殺人と遺体損壊の容疑だから、具体的には「ホテルに被害者男性と一緒に入室した人物は自分では無い」と言う主張をしているんでしょうね。だとしたら、自宅から被害者の頭部が発見された理由はなんて供述しているのか、そちらが知りたいですね。

報道では、「初回接見時、弁護人が2人に警察に対する完全黙秘を指示」
そうか、これは両親の弁護士の話だから、娘の弁護士が娘に別の指示をしている可能性もあるのかな?
娘の側の供述の報道はいまのところ、全く無いですね。

最後に素朴な疑問としては、ナイフをコレクションしている娘を精神科医の父親はどう見ていたのかな?気になるところではありますね。

続報を待ちましょう。

参考リンク
北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その4(コミュニケーション)
北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その6(ASKAの妄想)

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2023/08/23

大阪市カラオケパブ女性オーナー殺人事件その6(控訴審判決)

***初公判(23年05月22日)***
1)控訴した弁護側は犯人性を争い、改めて無罪を主張。犯人だと認められたとしても量刑が重すぎるとしたとのこと。

2)検察側は控訴棄却を求めたとのこと。

3)被告本人は出廷せず、弁護人は「被告人質問をするために出廷するよう説得したが、本人が出頭していないので諦めざるを得ない」と述べた。審理はこの日に結審し、判決は7月10日に言い渡されるとのこと。

***判決公判(23年07月10日)***
1)裁判長は懲役20年とした1審・大阪地裁の裁判員裁判判決(22年10月)を支持し、被告側の控訴を棄却した。

2)10日は判決前に被害者の母(66)が法廷で意見陳述し「娘がなぜ殺害されなければならないのか何も分からなかった。被告は反省もしていない」と訴えたとのこと。

母は意見陳述で損害賠償に触れ、被告が「情状」とした損害賠償請求について

「(被告の口座にある)銀行の定期預金、微々たる金額を差し押さえられているだけ。(被告の)年金は差し押さえが不可能である。また被告の元妻は(犯行当時住んでいた)家を売却し、即日新居を購入している。私たち遺族の感情として大変許しがたい」とのこと。

***刑確定(23年07月24日)***
24日までに被告側と検察側のどちらも上告しなかったため懲役20年の判決が確定した。

***補足***
遺族側は、1審判決に基づき損害賠償命令を申し立てられる制度を利用。遺族側によると、この手続きの中では被告側は犯人性を争わず、2980万円の賠償を命じる決定が出た。ただ、実際の支払いは行われていないとのこと。

元妻が自宅を売却し、即日新居を購入したとは、被告は犯行当時、兵庫県西宮市の83㎡の分譲マンションに妻と子ども2人と暮らしていた。
逮捕後に妻と離婚して。被告は所有している分譲マンションをこの元妻に贈与している。そして、2022年4月に不動産会社に売却されたと同時に、元妻は別の物件を購入していた。

こんなところですね。
まーなんていうか、無敵の人の勝利と言うところなんでしょうか。(勝利というと語弊があるかもしれないけど、やりたい放題と言う意味です)
妻とも離婚して、慰謝料として家を贈与したんでしょうね。当然、妻は家を処分して別人として別の土地に住むでしょうね。
財産も家族も無くして、将来の希望も無い、失う物は何も無いと言う事なんでしょう。

裁判にも興味は無いのでしょうね。後は適当にやってくれと言うあたりかな。

それでいて、無実を主張しているのは「殺人犯にはなりたくない」と言うことなのかな?
このあたりは、遺族にしてみれば身勝手としかいいようがないでしょうね。
被告は今年で58歳かな?拘置所での勾留期間も受刑扱いになるので、実質的に18、19年ぐらいになるでしょうか。
出所するのは76歳ぐらいになりますね。再就職はおそらく無理でしょうから、年金のみでの生活になるけど、大企業で56歳まで年金を納めているなら月額20万ぐらいか、もう少し少ないぐらいだろうか?
それだけあれば、1人なら生活できるでしょうが、実際にはどんな老後を送るのか?
そのあたりの情報も知りたいけど、ちょっと無理かな?

この人も、行きつけのカラオケパブの若い女性に入れ込まなければ、こんな事にはならなかったでしょうけど、人生の岐路はどこにあるのかわかりませんね。たった一度の過ちで、財産も家族も人生の希望も無くしてしまった。(とはいえ、事件までの経緯があるから一度の過ちとは言えないかもしれませんね)

被害者の立場に立てば、お店の常連の悪い客に絡まれた挙げ句に殺害されて、犯人には罪も認めてもらえない。まったく理不尽な話です。

いつも書くことですが、事件が起きれば誰の特にもならない。関係者全員が不幸になるだけですね。
事件を起こした本人は自業自得ですが。

亡くなった女性のご冥福をお祈りします。

参考リンク
大阪市カラオケパブ女性オーナー殺人事件その5(一審判決)

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大阪府吹田市交番拳銃強奪事件その5(控訴審判決)

控訴審判決は無罪です。

***初公判(22年07月27日)***(23/08/23 追記、見直したら情報ありました)
1)弁護側は「責任能力について事実誤認があり、量刑も不当だ」として、1審判決の破棄を求めたとのこと。

2)検察側が控訴棄却を主張したとのこと。

3)被告は出廷しなかった。

***判決公判(23年03月20日)***

1)大阪高裁は20日、懲役12年とした1審・大阪地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。

2)控訴審で弁護側は、1審判決が採用した「限定的に責任能力はあった」とする被告の精神鑑定書について「誤診している」と主張。別の精神科医の意見書を提出し、被告の犯行当時の精神状態は刑事責任を問えない心神喪失か、鑑定書の診断よりも深刻な心神耗弱だったと訴えていたとのこと。

3)大阪高裁は「1審判決は統合失調症の影響を大きく受けた犯行であると認めながら、どの程度影響したのかについて何ら判断を示していない」とした上で、「拳銃を奪うなどの行動自体が統合失調症の影響が増す中で行われたもので、犯行前後を総合的に鑑定すれば心神喪失の状態にあった」として、1審判決を破棄し、被告の男性に無罪を言い渡したとのこと。

別の報道では
高裁判決は事件前後の行動や動機の説明内容を踏まえ、「計画や行動すべてに病気が影響していた」とする起訴後の精神鑑定結果や鑑定を実施した精神科医の証言を重視。「銃を奪おうとした動機は幻覚や妄想による極めて唐突で奇異なものだ」と指摘したとのこと。

そのうえで裁判長は「重い統合失調症の影響で物事の善悪を判断できない状態だった」と判断し、心神喪失者の行為は刑事責任を問わないとする刑法の規定に基づき、無罪と結論付けたとのこと。

4)起訴前後に実施された2度の精神鑑定は、疾患の影響を巡って異なる結論が出ていたとのこと。
精神鑑定の結果はいずれも疾患の影響を認めた点で共通していたが、責任能力の有無を巡り精神科医の見解が真っ向から対立していたとのこと。

5)被告は事前に交番の勤務態勢をスマートフォンで検索し、事件後に服や所持品を捨てる一方、逃走中に履歴書を購入する不自然な行動を見せたことも確認されている。(どの時点の情報か不明)

6)大阪高裁判決は裁判員裁判だった1審判決の評価について、「意見の相違点のみを切り出して分断的に判断している」と言及。裁判員の良識や感覚を反映した評議の「妨げになった」と異例の批判を展開したとのこと。

高裁判決はまず、裁判員裁判で求められる刑事責任能力の判断手法について「精神医学の専門性が尊重されるべき部分と法律判断の部分との区別を踏まえて評議し、明確に裁判員と裁判官の間で共有されることが不可欠だ」と判示したとのこと。

そのうえで、地裁の審理は「意見の分岐点や違いの理由、根拠を明らかにし、これを共通認識として評議、判断を行うべきだった」と指摘。「1審判決は精神医学の専門的知見が及ぶ範囲を見誤り、経験則などに反する不合理な結論を導いた」と非難したとのこと。

***無罪確定(23年04月03日)***
大阪高検は3日、最高裁への上告を断念することを明らかにした。高裁は男性は重い精神疾患で心神喪失状態だったとして、刑事責任能力はなかったと判断していた。同日の上告期限が過ぎた段階で、男性の無罪が確定するとのこと。

別の報道では
大阪高等検察庁は、「判決内容は十分理解したが、適法な上告理由までは見いだし難いため、上告は断念した」と明らかにしたとのこと。

こんなところですね。
控訴審の経過が報道されなかったのか?私が見逃したのか?が分かりませんが、判決の情報しか見つけられませんでした。
結局、一審でも問題となった二つの(責任能力について)180度違う精神鑑定の結果で別の方を採用したと言う事ですね。

今、一審公判の情報を見直してみても、それほどの違和感は無いと思います。
事件前後のおよそ合理的、論理的と思われる行動から限定的に責任能力があると言う判断も、極端に間違っていると言う印象は無いんですよね。

控訴審で高裁が一審の判断を批判しているのですが「精神医学の専門性が尊重されるべき部分と法律判断の部分との区別を踏まえて評議し、明確に裁判員と裁判官の間で共有されることが不可欠だ」と言われても・・・
これは裁判官が最初に説明するべき部分で、一般人にこんなことが分かる訳がないと思います。
正直なところ、精神鑑定の結果から責任能力を判断する裁判では、裁判員裁判はできないという事なんじゃないのかな?

もしくは、鑑定結果が割れるような場合は、3回とか5回とか鑑定を実施して、裁判員が判断しやすくするべきなんじゃないですか?
終わってから批判されても、一審に参加した裁判員さんの労力が無駄だったと言っているだけじゃないですか?

今回は裁判員制度自体の問題というよりは、運用の問題とは思いますが、こんな事が頻発するなら、裁判員裁判は不要と言う事になると思います。

さて、事件の話に戻ると、男性は無罪になったわけですが、心神喪失者等医療観察法によって治療と観察が行われると思うですが・・・・
手順だと、裁判所が心神喪失等を理由に無罪判決を出した後に、「検察官による申し立て」が地方裁判所にだされて、鑑定入院からプロセスが始まると思うのですが、このあたりはさすがに報道されないんでしょうね。

次の問題は「再犯を防げるか?」ですね。心神喪失者等医療観察法の効果に期待しましょう。

参考リンク
大阪府吹田市交番拳銃強奪事件その4(一審判決)
39条と心神喪失者等医療観察法

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2023/08/22

小田急線快速急行無差別殺傷事件その4(一審判決)

判決は懲役19年(求刑:懲役20年)

***初公判(23年06月27日)***
1)起訴状によると、2021年8月6日午後8時半ごろ、小田急線の登戸-祖師ケ谷大蔵間を走行中の車内で、包丁で乗客の20代女性の胸や背中を数回刺して殺害しようとしたほか、別の乗客2人にも殺意を持って切りつけたとしている。乗客は全治3カ月~1週間のけがを負った。事件当日にコンビニエンスストアで万引をしたとする窃盗罪などでも起訴されたとのこと。

2)裁判官から起訴内容に間違いないか問われると「ないです」と答えた。

3)検察側は冒頭陳述で、被告が昔から「男性の友人には見下され、女性からは軽くあしらわれている」と感じていたと指摘。男女の幸せを許せなくなり、幸せそうなカップルや男性にちやほやされるような、いわゆる「勝ち組」の女性を殺したいと考えるようになっていったと指摘した。

事件当日は、東京都新宿区内の食料品店で万引しようとしたところを従業員に見つかり、この従業員を殺そうと計画。閉店時間が迫っていたため、計画を切り替え、「電車内で無差別に乗客を殺害する犯行を決意した」とのこと。

4)弁護側は「乗客を確実に殺そうという強い殺意はなく、『死んでも死ななくてもかまわない』という程度のものだった」と主張したとのこと。

***第二回公判(23年06月28日)***
1)被告が乗客を刺したりサラダ油をかけたりする車内の防犯カメラ映像が再生された。

法廷で再生された映像は被告が事件の電車に乗ってから降りるまでの約5分間分。車両連結部に殺到して身動きの取れない乗客に対して包丁を振り回したり、けがをさせた50代女性や他の乗客に油を浴びせたりする場面が含まれていたとのこと。

2)事件で重傷を負った20代女性の「できる限り重い刑を受けてほしい」とする供述調書が読み上げられたとのこと。

調書は、事件後に女性が検察官に話した内容をまとめたもの。女性は座席に座って音楽を聴いていたところ、右胸付近を刺された。「あまりに突然のことで、何が何だかわかりませんでした」と振り返った。入院中に事件のニュースを見たが「記憶の多くが欠けていて、怖いという実感がわかなかった」とのこと。

また、事件後に電車に乗るのが怖くなったという別の被害者が「今までの日常を返してほしい」と訴えた調書も読み上げられたとのこと。

別の報道では
(刺された女性は)救急搬送された病院で緊急手術を受けたが全治3カ月の重傷で、左腕には後遺症が残る可能性があると診断された。記憶がない点については、大きな恐怖を体験した際などに起きる「解離」だと説明されたとのこと。

***第三回公判(23年06月29日)***
被告人質問
1)被告は弁護人の質問に対し、21年3月から生活保護を受給して暮らす中、大型連休を楽しむ人々を街中で見たのを機に、6月頃に電車内での無差別大量殺人を計画したと説明。「周りの人は何不自由なく暮らしているように見え、自分だけ貧乏くじを引いてみじめに感じた」と語ったとのこと。

また「(犯行の)ターゲットにするなら、きれいで、高飛車でむかつく感じの女性にしようと決めていた」とも話したが、弁護人から「事件を振り返ってどう感じているか」と問われると、「私の身勝手な感情で事件を引き起こしてしまった。罪深く思っており、どう償えばいいのだろうかと考えている」と述べたとのこと。

2)犯行までの経緯
事件が起きたのは2021年8月だが、被告は3月から生活保護を受給していて当時は無職だった。

「2月まで仕事をしていましたが、限界だと思って退社してしまいました。仕事を探していましたが、これ以上は無理だと思った。気持ちを落ち着かせて、ゆっくり仕事を探そうと」と述べた。

「今までアルバイトを転々としてきて、もうこれ以上、僕にできる仕事はないなと。この先、生活していくのは無理だと」と述べた。

(直前までの仕事はパン工場の夜勤で単調な作業だったとのこと)
「心が擦り切れた、という表現が近いと思います」と述べた。

世の中の人たちに嫉妬や妬みを抱くようになったのは、中央大学理工学部を中退した後、実家を出て、派遣のコンビニバイトをするようになってからだと答えたとのこと。
(「派遣先の人がモノのように扱ってきたり」労働環境が劣悪だったと言う事ですね。)

事件当日の昼頃、被告は新宿区の食料品店で万引しようとして見つかり、警察に通報された。この際の従業員の対応が「屈辱的」だったため、帰宅後、「店に行って店員を皆殺しにしよう」と考えたが、閉店時間が迫っており、電車内で人を刺したりすることを思い立ったとのこと。

3)逮捕後に被害者らの調書を読み「多くの人を傷つけたと実感し、申し訳ない気持ちになった」とも説明。「被害者の望む判決を下してもらいたい」と話したとのこと。

***第四回?公判(23年07月03日)***
被告人質問
1)検察官から、具体的に何人を殺害しようとしたのかと問われると、「何人というのはないが、悔いが残らないようにベストを尽くしたいと思っていた」と答えた。大量殺人をすることで「世の中への恨みや理不尽を発散できると考えた」と述べ、犯行後に乗客が悲鳴を上げて逃げる姿を見て「映画の主人公になったようで気分爽快だった」と述べたとのこと。

2)電車内で犯行に及んだ理由については「密室で逃げ場がなく、邪魔が入らないのでマイペースに人を刺せると思った」と説明。「乗客はスマートフォンばかりいじっているので狙いをつけた」と述べたとのこと。

3)被告は「幸せそうな女性」を狙ったとしていますが、その理由について、「正直、そういう女性と付き合いたいと思っていたが僕には不可能で、この苦しみや、もやもやは、恨むことで解消できると思った」「『自分は無価値な人間だ』というコンプレックスが怒りに変わり、その矛先が女性に向いた」などと述べたとのこと。

「若い女性にこだわりがあったのか」と検察官に問われると、「おじさんを刺して捕まってもつまらないなという気持ちだった」「『つまらぬものを斬ってしまった』というセリフをみなさんご存じだと思う」と説明。さらに「1人を刺しても捕まることに変わりないなら、『たくさん刺したほうが得』という考えだった」とも述べたとのこと。

***論告求刑公判(23年07月06日)***
1)検察側は論告で、被告が鋭利な包丁や予備の凶器のはさみ、電車に放火するためのライターを持参していたと指摘。落ち度のない被害者を手加減せずに複数回、包丁で襲ったとし、「強固な殺意があったことは明らか」と述べたとのこと。。

さらに、食料品店で万引きを発見され、謝罪させられたことから激しい怒りの感情を抱き、以前から考えていた無差別大量殺人を決意したと言及。「ゆがんだ考え方で、生命を軽視している。公共交通機関を利用する多くの人に大きな恐怖を与えた」として懲役20年を求刑したとのこと。

別の報道では
検察側は論告で、被害者が無防備で逃げ場もない中、最初の被害女性を手加減なく4回も突き刺すなど、執拗で悪質だと指摘。「幸せな人たちや社会への憤懣を晴らすために無差別大量殺人を決意した。自己中心的かつ身勝手でくむべき事情はない」と批判したとのこと。

2)弁護側は「周到に計画した事件ではない」と主張。弁護側は確固たる殺意はなく、同15年が相当と訴えたとのこと。

別の報道では
弁護側は「真摯に反省、謝罪の気持ちを示し、更生の可能性がある」などと述べ、懲役15年が相当と主張したとのこと。

3)被告は最終意見陳述で「本当に申し訳ありませんでした」と被害者らに謝罪した。「検察側の話を聞き、その通りだと私は納得しました。刑務所から出ない方が良いと思っております」とも話したとのこと。

***判決公判(23年07月14日)***
1)東京地裁は懲役19年の判決を言い渡した。

2)公判で弁護側は「確固たる殺意はなかった」と主張。しかし、判決は、鋭利な包丁を用意し、駅間の走行時間が長い快速急行をあえて選んで短時間で手加減せず襲ったとして「強い殺意があった」と認定したとのこと。

その上で、無防備や混乱状態だった乗客を狙ったとして、非常に悪質だと指摘。「怒りを抑えられず、無関係の他人に危害を加えたという身勝手な動機に酌量すべき点はない」と批判したとのこと。

3)裁判長の説諭
裁判長は「事の重大性を考えてみてください。被害者に与えた肉体的、精神的苦痛のこと、社会復帰に何が必要か。よく考えてほしいです」と、ゆっくりとした口調で述べたとのこと。

こんなところですね。
大学の中退理由は単位が取れなかったからと以前の報道にありました。
進学高校から現役合格しているのにもったいない事ですね。理工学部ですし、留年してでも卒業していれば、成績次第でしょうが、普通に就職する事ができたんじゃないかな?

2009年春に23歳で中退。現役合格だから、18歳で入学しているなら5年前なので2004年に入学なのかな?
中央大学さんの規定を調べると進級、修了、留年についての規定は

進級条件
上級年次に進級するためには、①判定対象科目のすべてを履修している、②そのGPAが一定以上である、③共通到達度確認試験を受験し、その成績が進級を不相当と認める著しく不良なものでない、という要件を満たすことが必要です(ただし、③は1年次から2年次への進級時のみ)。

修了条件
また、修了するためには、①判定対象科目のすべてを履修している、②そのGPAが一定以上である、という要件を満たすことが必要です。

留年条件
この要件を満たさなかった場合は、翌年度も原年次に留まること(原級留置)となり、各年次の進級判定対象科目の中で、SまたはA(2021年度以前入学生はAまたはB)の成績評価を得ている科目を除いて、再度履修することが必要となります。この場合、成績評価も改めて行われます。

除籍条件
なお、原級留置となった学生が、翌年度末においても、再度進級に必要な要件を満たさなかった場合は、除籍となります。

と言う事ですね。
私の推測するに、4年次に一度留年して、5年目に修了する事ができずに除籍(中退)となってしまったのではないかな?

もし、この推測通りなら、何やってるのかな?と思いますね。
一度留年しているならその年に頑張って勉強していれば、卒業できたでしょ?
なので、厳しい言い方をすれば「自業自得」としか思えないですね。

一方で、リーマンショックが2008年に起きている。2009年の大卒の就職率が過去2番目に悪かったらしい。
なので、社会に出るタイミングは最悪の上に、その方法も悪かったね。
大学中退の責任は本人にあるとしても、その後の境遇は、必ずしも本人に責任はないかもしれない。
その点は同情できる部分ではあるのだけど・・・

劣悪な労働環境が嫌だったと言うのは分かるけど、「単調な作業が嫌」と言うのはある意味で「ワガママ」と言われても仕方が無い気がしますけどね。

大卒だからインターンとか行っても、工場のラインを体験する事は無いかもしれないけど、高卒なら、工場見学に行けば、ほぼライン作業を見せられる人が大多数だと思います。実際に就職しても、工業高校などの専門性の高く優秀な高卒などは別にして、工場だとほぼライン工になると思います。
これは、単純に工場の社員割合が生産部門と間接部門で生産部門の方が多いからなので、そういう物なんだよね。

なので、おそらく、高卒で工場に就職を希望する人は、その段階でライン作業(単純作業)と言う事を覚悟している人が大多数だと思います。

そもそも、ライン作業(単純作業)のどこが悪いのかな?
ミスなく時間内で作業を終えれば、ちゃんとお給料はもらえるし、若年層だと同じ年齢なら間接部門よりも生産部門の方が給料が高い会社だってある。その上、時間で区切られているから、仕事を家に持ち帰ったり、サービス残業するような事もない。
お給料の為と割り切れば、悪くないと思うけどな・・・肉体的にキツいと言うのはあるかもしれないけど。

話が横道にそれましたね。
もともと、成績は優秀だったようなので、専門の資格などを取得する方法もあったと思いますが・・・
専門スキルが無いから誰でもできる仕事を紹介される。その結果、代わりがいつでも補充できると思えば、労働環境が悪かったり、単調な作業になったりしてしまう悪循環になってしまうのかな?

とは言え、リーマンショック当時は名の通った大企業でも、専門職の派遣社員を派遣切りしたりしてましたからね。

そんな環境では生きる事に精一杯で、そこから脱出する方法を考える事はできなかったかな?

結局はジリ貧で、仕事を諦めてしまった段階で生きていくこと自体だ無理になってしまいますよね。
こうなってしまえば、絶望感とか孤立感とかネガティブな感情に傾いてしまうのは、仕方が無いような気もしますね。

で、万引きをする事で順法意識が崩壊してしまいますから、あとは自暴自棄へ一直線。
事件を起こすのは時間の問題ですよね。

こう見ると、ある意味では同情できる部分はあるけど、もう一方では「甘え」は無かったのかな?とも思えます。
一般論ですが、子供のころからの憧れの仕事とか、夢だった仕事をしている人がいるけど、それで豊かな生活ができているとは限らないんですよね。(仕事にもよりますが)

誰でも、好きなこと、やりたい事を仕事にしたいと思うのは分かるけど、結局、仕事って生きる為の手段でしかないわけで、それなら何をやっても仕事は仕事として有りですよね。
嫌な事でも仕事をして、生活できるなら、趣味でやりたい事や好きな事をするって事で良いと思うんですよね。
もし、才能があれば、誰かが評価してくれて、それを仕事にできる時がくるかもしれませんよね。

そろそろ話をまとめると
この事件を防ぐには
1)仕事に対する意識を変える事。
これだけでは、難しいかもしれない。秋葉原事件でも派遣先でのトラブルなどで追い詰められて、最終的に自暴自棄になってますからね。

2)ある程度、経済的な支援や技術習得の支援など必要だったかな?
例えば、職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)では技能講習などを受講できるので、同じ境遇の人達と一緒になって講習など受けていれば、孤独感などは払拭できたかもしれませんね。
そして、専門技術が習得できれば、もう少し違った仕事も見つける事ができたかもしれません。

3)大学を中退しない。
時系列を遡ると、この人の人生の分かれ目は大学中退なんですよね。
どんな事情があるのか?は分からないけど、単位がとれずに中退なので、ダメでしょ?
まーリーマンショックと言う歴史に残るような不況の最中ですから、大学を卒業していても厳しい状況だったかもしれません。けど、勉強できる時に勉強しないのはダメだと思います。
社会人になっても勉強しなければ成らないし、仕事と勉強を両立しなければならない。学生の時よりもずっとつらい状況で勉強している社会人の方が多いと思いますよ。

4)相談できる人はいなかったのかな?
母親が再婚しているので、縁遠くなってしまったかもしれないけど、相談していれば、何か別の変化は期待できたかもしれませんね。自宅に居候させてくれるとか、経済的な支援などがあれば、結果はちがっていたかもしれないかな?
これは、親族でなくても、同年代の知人、友人でも良いのですよね。「実は俺も仕事がつらくて」って話ができれば、孤独感を払拭する事ができたかもしれません。
そういう意味では、グチが言えるぐらいの友人はいた方が良いのでしょうね。

どれもタラレバになってしまうけど、ただ「時代が悪かった」と言う事だけでは無いと思うんですよね。

参考リンク
小田急線快速急行無差別殺傷事件その3(鑑定留置までの報道)

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2023/08/21

新潟県新潟市母子殺人事件その2(殺人未遂で起訴まで)

続報です。(記事にするのが遅れました。気がつけばおととしの事件です。)
21年12月1日報道
警察の調べに対し「夫婦間にトラブルがあった」という趣旨の供述をしているとのこと。捜査関係者によりますと容疑者はこれまでの調べに対して、長女(1)の殺害について関与をほのめかす供述をしているとのこと。

21年12月21日報道
新潟地検は20日、女性の夫で看護師の男性容疑者(28)を2件の殺人罪で起訴し、発表した。捜査関係者によると、容疑者は長女の殺害について「妻が死ぬと、自分が育児をしないといけなくなるから」などと供述したとのこと。

起訴状などによると、容疑者は11月7日午前10時半ごろ、自宅で妻(当時29)と長女(同1)の首をロープで締め、窒息死させたとされる。地検は容疑者の認否を明らかにしていない。

捜査関係者によると、容疑者は、妻との間にトラブルがあり、「積もり積もったものがあった」という趣旨の供述をしたとのこと。

捜査関係者によると、県警は、容疑者が、現場に残っていた長さ約4メートルのロープで2人を殺害したとみている。このロープについて、容疑者は自宅に転居した7月以降にホームセンターで購入したと供述しているという。容疑者が妻を計画的に殺害した一方、長女の殺害は衝動的なものだった可能性があるとみているとのこと。

犯行に使われたロープは自宅階段の手すりにかけられていて、妻の自殺を装ったとみられているとのこと。

22年5月17日報道
被告(29)が、事件の約7か月前にも2人を殺害しようとした疑いが強まったとして、新潟県警が殺人未遂容疑で逮捕状を取ったとのこと。17日に再逮捕した。

被告は「ずっと前から2人を殺害しようと思っていた」と供述しているとのこと。

捜査関係者によると、被告は昨年3月下旬、自宅で妻の飲み物に睡眠導入剤を混入。妻が飲み物を飲んだことを知りながら、長女を乗せて車で出かけるのを止めず、交通事故を起こさせ、殺害しようとした疑いが持たれている。妻は市内で単独事故を起こしたが、2人にけがはなかったとのこと。

捜査関係者によると、亡くなった妻の毛髪から、睡眠導入剤の成分が検出されたことも新たに判明した。被告が「自分が飲ませた」と供述し、県警が鑑定したとのこと。

別の報道では
捜査の結果、警察は去年3月29日、被告が、飲料水に睡眠薬を混ぜて妻に飲ませながら長女と共に車で出かけるのを止めず、交通事故を起こさせて2人を殺害しようとした疑いがあるとして17日、殺人未遂の疑いで再逮捕したとのこと。
当時、物損事故が起きましたが妻・長女ともけがはありませんでした。
被告は睡眠薬を飲ませたことを認め「2人を殺そうと思っていた」という趣旨の供述をしているとのこと。

22年5月19日報道
送検される。

22年5月22日報道
2人への殺人未遂容疑で再逮捕された事件で、被告のスマートフォンに殺害や自殺に見せかける方法などに関する複数の検索履歴が残っていたとのこと。新潟県警は、被告が執拗に殺害を計画していたとみて調べている。

捜査関係者によると、県警が押収したスマホを調べたところ、「死体遺棄」や「首つり」などについてインターネットで検索した履歴が残っていた。薬物を使った殺害方法に関する履歴もあり、被告の自宅からは塩化カリウムなどが見つかったとのこと。

昨年9月には妻を殺害するため、当時勤務していた同区の病院から塩化カリウム10本を盗んだとして、新潟地検が今年2月に被告を殺人予備と窃盗の両罪で新潟地裁に追起訴した。

去年9月、当時勤務していた病院から塩化カリウム10本を盗み、妻の殺害の準備をしたとされる事件については「注射器を使って腕の血管に塩化カリウムを打とうとした」と供述している。自宅からは塩化カリウムと注射器が見つかっていたとのこと。

22年6月7日報道
新潟地検は6月7日、2人を殺害する前にも妻に睡眠薬が入った飲料水を飲ませて殺害しようとした罪で起訴した。

時系列
2021年
03月29日 睡眠薬を飲ませて交通事故を起こさせる。
07月   一家が現場の家に引っ越してくる
その後、凶器のロープを近所のホームセンターで購入
09月   勤務先から塩化カリウム10本を盗む
11月07日
10:30頃 事件発生と推定(報道による)
13:00過 119番通報、駆けつけた消防隊員により110番通報
11月08日 容疑者を妻の殺害の疑いで逮捕
11月09日午後 容疑者を妻の殺害の疑いで送検
11月29日 長女殺害の疑いで再逮捕
12月20日 2件の殺人罪で起訴
2022年
02月   殺人予備と窃盗の罪で追起訴
05月17日 2人への殺人未遂の罪で再逮捕
05月19日 殺人未遂で送検
06月07日 殺人未遂で起訴

こんなところですね。
結局、事件発生が21年で最後の報道が22年(昨年)の6月です。
23年はこれまで事件の報道がありませんから、次は公判と言う事になりそうですね。

まー殺意は満々で3度計画(交通事故、塩化カリウム、最後の殺害)していて2度実行して2度目に殺害したと言う事なのかな?
「縁を切りたい」と言う事ですが、離婚じゃダメだったのかな?
そもそも離婚に同意してくれなかったと言う事なのかな?

1歳の長女も殺害していて、理由は自分が育児をしたくなかったからと言う事のようです。

そういえば、夫婦関係の時系列情報、いつ結婚したのか?とかの情報も出てこないですね。
報道情報が制限(配慮)されているのかな?

最初が交通事故に見せかけようとした事件、2度目が塩化カリウムを注射の計画、3度目は首吊りに偽装。
塩化カリウムってどんな薬物なのかな?としらべてみたら、こんな注意があるようです。

「低カリウム血症に対するカリウムの補給に広く用いられているカリウム製剤は、 急速静注すると不整脈や心停止を起こす恐れがあります。」

心停止で病死を偽装しようとしたのかな?

まー逮捕されたくないので、偽装を企てるのだけど、失敗して更に追い詰められて、結局は直接的な方法を選択せざるを得ない状況に追い込まれてしまったのかな?

原因がまったく不明ですが、殺意を持つほどに夫婦関係が破綻していたのであれば、夫婦のどちらかが身近な誰かに相談していそうですけど、そういった情報も無いですね。

あるいは、被告側にメンタルの問題があって、トラブルがあると思っているのは被告だけだったと言うような可能性もあるのかな?(関係妄想状態とかね)
ただ、ここまで精神鑑定の話なども無いようなので、この可能性もなさそうですね。
実際に犯行は計画段階からそこそこ合理的に考えられていますよね。

ただ、殺人未遂の話などは自ら別の罪を告白しているわけで、反省の有無は別にしても、全て話そうと言う気持ちではいるようですね。

これ以上は公判を待つしかなさそうです。

参考リンク
新潟県新潟市母子殺人事件その1(長女殺害で再逮捕まで)
新潟県新潟市母子殺人事件その3(一審判決)

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2023/08/20

栃木県日光市バラバラ事件その2(容疑者逮捕)

続報です。
1)23年1月19日報道
今市署捜査本部は18日、被害者の特徴や復元した顔のイメージ画を明らかにした。被害者からは2人分のDNA型が検出されており、骨髄移植などを受けた日本や韓国、中国などの東アジア人の可能性が高いとのこと。ただ、身元の特定には至っておらず捜査は難航している。捜査本部は引き続き身元の特定や防犯カメラ、遺留品の捜査などに全力を挙げるとのこと。

捜査本部によると、被害者は40~70歳くらいの男性で身長160~170センチ程度。血液型はA型。死後数カ月から数年が経過している。上の前歯がなく染めていない黒髪が特徴とのこと。

男性のDNA型鑑定を実施したところ、混入ではない2人分の型を検出した。専門家により、白血病による骨髄移植などを受けた可能性があると判断された。日本を含む東アジア地域で多いDNA型とのこと。

捜査関係者によると、男性のDNA型は国内では骨髄移植のドナー登録などがなかった。特に韓国人に多い型という。現在は国内でほぼ行われなくなった歯の治療法も施されていたとのこと。

2)23年6月4日報道
ゴルフ場とは別の同市内の建物内から袋に入った男性の足などが見つかっていたとのこと。
空き家からは5月に詐欺容疑で逮捕、起訴された無職男(55)の指紋も検出。この男が何らかの事情を知っている可能性があり、栃木県警は関連を慎重に調べるとのこと。

捜査関係者によると、別の事件で捜査していた高齢の男が切断遺体に関する情報を提供。今年2月ごろに捜査員が複数箇所を捜索、空き家で両足を発見した。両足とも膝からつま先まであり、それぞれ袋に入っていた。昨年に見つかった頭部や胴体などのDNA型と一致したとのこと。

別の報道では
70代男は昨年、旅券法違反などの疑いで県警に逮捕されていた。

3)23年7月21日報道
県警が20日、死体遺棄などの疑いで無職男(55)=詐欺などの罪で起訴=ら数人を逮捕したとのこと。

別の報道では
警察が55歳の男ら3人を死体遺棄などの疑いで逮捕したとのこと。

捜査関係者によると、男らは日光市内のゴルフ場跡地や空き家に、切断された遺体が入ったスーツケースや、両足部分が入った袋を遺棄するなどした疑いが持たれているとのこと。

今年2月ごろ、事件に関連して県警が複数箇所を捜索し、ゴルフ場とは別の同市内の空き家から袋に入った男性の両足部分などが見つかった。DNA型鑑定で男性の遺体の一部と判明。空き家からは、死体遺棄容疑で逮捕された男らの指紋が検出されたとのこと。

4)23年7月22日報道
死体遺棄などの疑いで県警に逮捕された70代の男が「自分が遺体を預かっていた」などと話しているとのこと。

捜査関係者によると、県警が20日に死体遺棄や死体損壊の容疑で逮捕したのは男3人。70代男は容疑を認め、他の2人は否認しているとのこと。

70代男は昨年、旅券法違反などの疑いで県警に逮捕され、切断遺体に関する情報を提供。捜査員が今年2月ごろに複数箇所を捜索し、日光市の空き家で足を発見したとのこと。

4)23年8月8日報道
県警は8日、死体遺棄と死体損壊の疑いで、新たに東京都足立区、代表社員の男(64)を逮捕したとのこと。同事件を巡って県警の逮捕は今回で4人目。捜査関係者によると、容疑者らは金銭目的で遺体を遺棄したとみられるとのこと。

これまで逮捕されていたのは、
A)同じ容疑で東京都大田区生まれ、住所不定、無職の男(75)
B)宇都宮市、無職の男(55)
C)東京都足立区、代表社員の男(64)
D)死体遺棄の疑いで同市、自称アルバイト従業員の男(43)
県警によると、4人は知人という。

逮捕容疑は、無職男(75)、代表社員の男(64)の両容疑者は共謀し20年2月ごろから同8月中旬ごろまでの間、日光市土沢の空き家に、スーツケースなどに入った遺体を隠すなどして遺棄した疑いとのこと。

また無職男(55)が加わり、共謀して遺体の一部を工具で切りつけるなどして21年3月下旬まで空き家に隠し、自称アルバイト従業員​の男(43)は22年1月19日までの間に、同市長畑のゴルフ場跡地に車で遺体を運ぶなどして遺棄、損壊した疑いとのこと。

捜査関係者によると、無職男(75)が代表社員の男(64)に仕事の紹介を持ちかけ、代表社員の男(64)が20年2月ごろに遺体入りのスーツケースの処分を依頼したとのこと。報酬を受け取った無職男(75)は別の事件で服役、無職男(75)を含めた容疑者らは処分に困り、空き家から遺体を移動したとみられるとのこと。

県警は、無職男(75)が事件の首謀者とみて、遺体の身元の特定を急ぐとともに動機や経緯を調べているとのこと。

捜査関係者によると、死体遺棄容疑などで7月に逮捕された3容疑者は男に依頼されたとみられ、遺体は受け取った時点で切断されていたとのこと。県警は遺体の身元や死亡の経緯を調べているとのこと。

時系列
2015年09月 豪雨によりゴルフ場が被災し以後の営業を停止
2021年12月末 近隣住民が遺体を包んだビニールを目撃していた 
2022年01月
01日頃  近隣住民がスーツケースとスポーツバッグを目撃していた
18日
17:00頃 近隣の男性が散歩中にスーツケースを発見、知り合いの公務員に通報
19日
10:45頃 公務員からスーツケース遺棄の通報
12:35頃 警察官が遺体を確認
上半身の頭部、両腕、へそから下が無い部分を発見
20日
周辺から頭部、両腕、片膝を発見したと発表
スポーツバッグの中の肉片はへそ下から膝上だったと発表
その後?旅券法違反で男性(75)を逮捕。
2023年
02月
男性(75)の証言で空き屋から遺体の一部を発見。現場から男性(55)の指紋を検出
05月
別件の詐欺容疑で男性(55)を逮捕
07月20日 3人を死体遺棄などの疑いで逮捕
08月08日 死体遺棄と死体損壊の疑いで、新たに東京都足立区、代表社員の男(64)を逮捕した

報道されている経緯としては
代表社員の男(64)が20年2月ごろに遺体入りのスーツケースの処分を3人に依頼した。ところが75歳が別件で逮捕されてしまい。困った残りの2人が遺体をゴルフ場に遺棄したと言うあたりですね。

分かってしまえばあっけない事件だけど、未だに被害者の身元が特定されていないのが謎ですね。
報道情報から見ると外国人のようですが・・・結局、日本で捜索願いを出すような身近な人間はいなかったと言う事なのか?
あるいは、その身近な人間が逮捕された4人だったのかな?

殺害の経緯はこれから判明するのでしょうが、完璧に見える事件でも、どこかで綻びが出ると言う事でしょうね。
この事件も、おそらく遺体遺棄の首謀者とみられる75歳が逮捕されなければ、遺体を移動する事もなかったでしょうし、遺体が発見されなければ、75歳が情報提供する事も無かったんじゃないかな?
この3人は殺人には関わってないだろうから、重くても数年の刑でしょう。結局最後は自分がかわいいと言うわけですよね。

殺害と損壊に関わっているだろう64歳の代表社員と言う人物の方が気になりますね。代表社員と言うのはどういう立場なんだろう?
代表と付くと、普通は代表取締役社長ってなると思うけど、代表社員って何でしょうね?と思って調べてみたら「合同会社の代表社員」と言う事なのかな?
どんな合同会社なのか?そちらの情報も気になるけど、地味に報道されないのは他の社員(出資者)への影響が大きいからなのかな?

続報を待ちましょう。

参考リンク
栃木県日光市バラバラ事件(発覚)
栃木県日光市バラバラ事件その3( I とOの一審判決)

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2023/08/18

京都市下京区女性殺害事件その4(一審判決)

一審判決は懲役18年(求刑:懲役20年)

***初公判(23年7月10日)***
1)起訴状などによりますと、東京都葛飾区の無職・男性被告(23)は、2020年10月に京都市下京区の一室で女性(当時24)の胸などを刺して殺害したなどの罪に問われている。

別の報道では
東京都葛飾区の無職・男性被告(23)は3年前、京都市下京区の市営住宅で女性(当時24)の胸などを刃物で複数回刺して殺害したほか、女性のゲーム機などを盗んだ罪に問われている。

2)被告は「私が女性を死なせてしまったことは事実です。それは、女性が折り畳みナイフを持って襲い掛かってきたことによって起きてしまったことです」などと起訴内容を否認した。

3)弁護側は「被告人が女性をナイフで殺したことは争わない。しかし、正当防衛が成立する」と主張したとのこと。

4)検察側は冒頭陳述で「女性を複数回刺し、人が死ぬ危険性が高いと認識していたとはいえ、殺意があると言える。被害者が折りたたみナイフを振り回した事実もないため、正当防衛も成立しない」と指摘した。

***論告求刑公判(23年7月20日)***
1)検察側は「一方的かつ執拗にめった刺しにして犯行は残忍で極まりなく、殺意も強固。反省の様子もなく正当防衛だったと被害者に責任転嫁している」などとして、懲役20年を求刑した。

別の報道では
検察は、「少なくとも19回刺すなど執拗で残忍な犯行で、被害者に責任を転嫁する態度に終始している」とし、懲役20年を求刑した。

***判決公判(23年8月8日)***
1)京都地裁は「被告が供述する(被害者が)襲いかかる経緯は不自然で信用できず、正当防衛も過剰防衛も成立しない」、「19か所も滅多刺しにした相当に執拗で悪質な犯行で、汲むべき事情は見出し難い」などとして、懲役18年の実刑判決を言い渡したとのこと。

別の報道では
裁判長は「被害者には抵抗した際につく防御創と呼ばれる傷が少ない。被害者が襲っかかってきた中で刺したという被告の供述は信頼できない」などと弁護側の主張を退けた。
そのうえで「被害者が動かなくなるまでめった刺しにした犯行は強固な殺意があった」として懲役18年を言い渡したとのこと。

こんなところですが・・・殺人事件だというのに報道が少ないのがちょっと驚きですね。
ちょっと事件を振り返ると
時系列
2021年
10月05日 アルバイトの最後の出勤
10月09日
夜    死亡推定時刻
10月10日 アルバイトを無断欠勤
10月11日 アルバイトを無断欠勤
14:00頃 遺体発見
11月21日 容疑者逮捕
11月22日 送検
12月11日 殺人罪で起訴

京都市下京区の市営住宅で女性(当時24)が死亡しているのが発見される。
経緯としてはアルバイトを無断欠勤した事でアルバイト先から親族へ連絡があって遺体が発見された。
約1ヶ月後に東京都葛飾区の無職・男性被告(当時20)が殺人の容疑で逮捕される。

捜査本部によると、2人は会員制交流サイト(SNS)でやり取りをしており、犯行前には被害者宅付近の防犯カメラに2人で歩く様子が写っていた。

逮捕当時容疑者は「名前を知らない女性と京都で会ったことはあるが、殺してはいない」と容疑を否認していた。

捜査関係者によると、2人はネット交流サービス(SNS)でやり取りしていた。被告が京都を訪れたのは事件数日前のため、2人は初対面だった可能性もあるとのこと。

こんな感じですね。
公判の報道が少ないので、殺害の動機などがまったく不明です。
結局、被告側は動機を正当防衛としているわけですが、裁判長が指摘しているように不自然でしかないですよね。
ただし、殺害自体は認めているので、否定できないような物証などがあったのかな?
このあたりの逮捕時の報道も無かったと思います。私が見逃しているのかもしれませんが・・・

二人が会った経緯や理由も不明です。
SNSで知り合ったらしいと言う事は分かるけど・・・東京から京都まで、新幹線を使えば日帰りも可能だけど、無職の身で、ただ逢うだけで、わざわざ東京から京都まで出向くのかな?と言うのはちょっと疑問なところですね。(しかも、初対面かもしれない)

そう言えば、埼玉県熊谷市晴見町女性殺人事件もSNSで知り合って逢うのが3回目で女性の自宅に上がって事件になってしまったんですよね。

SNSやスマホの普及を考えれば、事件の中にSNSが登場するのは必然と言えば必然でしょうね。
ただ、出会い系とかそういったネットを使った交流が事件に発展してしまう事は20年前から起きています。
昔は目新しくて、話題になってましたが、現在では当たり前すぎて話題にもなりませんね。

とは言え、SNSが事件の切っ掛けになっている事は否定できないのではないかと思います。
だからSNSが悪いと言うわけじゃ無いんです。
SNSの使い方を身につけましょうと言う事ですね。
あるいは距離の縮めかたを学ぶと言う事なのか?
とは言え、そんな事を言う事自体が野暮なのかな?

何を言ったところで逢いたい二人が逢おうと思えば、逢ってしまうわけですよね。

結局のところ、逢っても良い相手なのか?を見極める目を持って欲しいと言う事になるのかな。
とは言え、SNS上のやりとりだけで相手の人間性を見極めると言うのも難しい話なんですよね。
ネットだとネット人格と呼ばれる本人とはまったくの別人になったりする人もいるわけですから。

結局のところ「慎重にね」としか言えないのかな。
男女互いに美人局とか性犯罪のリスクがあるわけなので、慎重にとしか言えないかな。

話を公判に戻すと、被告側が「正当防衛」を主張しているわけですが、まーこれは無理な話と思います。
刑法第36条1項の規定から、正当防衛が成立する要件は
1)急迫不正の侵害があること
2)防衛の意思があること
3)防衛の必要性があること
4)防衛行為に相当性があること

1)2)はともかく、3)4)が問題で襲ってきた相手を返り討ちにしてしまったと言うのはダメなんですよね。

このあたりの事は当然、弁護人も理解していたと思うのですが、被告人の意志を尊重したと言う事なのか?あるいは、被告人と意志疎通ができず、とりあえず公判を成立させる為にしかたなく立てた弁護方針なのか?ちょっと弁護人の方が気の毒な気もします。

過去に確か、拉致監禁された16歳少女が、拉致した男性38歳を殺害して逃亡した事件で正当防衛が成立した事があったけど、状況が違いますからね。

結局は、殺害の事実を争わないで、無罪を主張するとしたら、責任能力を争うぐらいしか方法が無い。しかし、逮捕当時に精神鑑定の話もでないぐらいだから、これが無理だと断念して、苦肉の策として正当防衛を持ち出したのかな?

タラレバだけど、自首して素直に罪を認めたら、懲役10年ぐらいになったかもしれないと思うんですよね。
逮捕歴が無いと言う前提で、反省していればですが。自首してなくても懲役15年ぐらいになったかもしれませんね。

結局、無理筋な正当防衛の主張で逆に「反省してない」と言う事になり、かえって刑を重くしてしまったのではないか?と思います。まー因果応報と言えばそれまでですが。

亡くなった女性のご冥福をお祈りします。

参考リンク
京都市下京区女性殺害事件その3(12/11までの報道と容疑者逮捕)

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北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その4(コミュニケーション)

まずは続報です。
1)捜査関係者によると、3人の自宅から男性が当時身につけていたとみられる服や財布が見つかっていた。

捜査本部は事件当時に男性が着ていたとみられる衣服や運転免許証などを容疑者の自宅から押収していた。

2)捜査本部は8月14日午後、すでに死体損壊などの容疑で逮捕している親子3人を、男性を殺害した疑いでも逮捕した。

3)これまでの取り調べに対し、3人が黙秘している。(8/14報道)
捜査関係者によりますと、死体損壊などの容疑についての取り調べに対し、3人は、揃って黙秘している。

4)捜査関係者によりますと、女性(29)容疑者は被害男性を殺害後、ススキノのホテルから男性容疑者の車で厚別区の自宅にいったん戻った後、再び男性容疑者が女性(29)容疑者を車に乗せてススキノの別のダンスクラブまで送り届けていたとのこと。

5)男性容疑者のブログの(戦争報道についての)一文
再度問われる。「人間を殺して何が悪い」と。悪いなどと一言も言ってない。殺した時点で貴方は「人間」ではなく「ヒト」という獣になるんだよ。それは「人間」としての貴方の自殺行為ですと。その覚悟があるかと問い返したいのです。「では肉親を殺されたら?」。その時点で相手は「私にとって」獣です。獣には獣としてそれなりに応じてあげるのが礼儀ってもんです。

6)捜査関係者によりますと、男性の致命傷となった首元を刺された傷は、肺の近くに達するほど深かった。

7)遺体の状況などから、男性は後ろ手に拘束され、背後から突然ナイフのような刃物で襲われた。

8)親子の関係先の家宅捜索で、男性の電話番号などの情報が含まれるSIMカードが押収されていた。

捜査関係者によりますと、電話番号などの情報が含まれる男性のスマートフォンのSIMカードが、父親の男性容疑者の車から押収されていた。

9)女性(29)容疑者がホテル客室内で男性のスマートフォンを工具で壊したあと、SIMカードを持ち去ったとみられている。

10)容疑者の親族の話
「女性(60)容疑者の話によると『夫もまさかするとは思わなかった』と。事件の後もそう言ってんだもん。今回も、まさかあんなこと起こすとは思わんっていうのは、2人とも思ってたんじゃないの」

11)女性(29)容疑者と父親の男性容疑者は、自宅近くの量販店で、7月1日午前2時ごろまでにノコギリや複数の刃物などを揃えていたことがわかっていましたが、事件当日の午後8時ごろ、ノコギリを追加で購入していた。

12)捜査関係者によると女性(29)容疑者は浴室で男性を後ろ手に拘束し背後から襲ったとみられていますが、犯行時にレインコートを着ていた。返り血が衣服に付かないよう計画し準備していた可能性がるとのこと。

親子3人の自宅からは血の付いたレインコートが見つかっていて、誰の血かを調べる鑑定が進められているとのこと。

13)8月16日送検

14)捜査関係者によると、女性(29)容疑者と男性は1日午後10時35分ごろ、すすきのの路上で落ち合い、約15分後にホテルに入った。この約2時間半前の午後8時ごろ、女性(29)容疑者と男性容疑者は自宅近くの量販店でノコギリを購入したとのこと。

15)男性容疑者は1人で別の店を訪れ、レインコートを買っていたとのこと。

16)女性(29)容疑者と両親が逮捕された事件で、同容疑者が事件3週間前の6月に男性と2度目に会った際、再び会う提案をしたとみられるとのこと。

3度目に会った際、同容疑者が男性を殺害したとみられるとのこと。

17)捜査関係者によると、警察が押収した3人のスマホを調べたところ「すすきの 殺人」と検索した履歴が残っていた。

検索した時間帯は、女性(29)容疑者が現場のホテル出た7月2日午前2時過ぎから、事件が発覚する午後3時ごろまでだったとのこと。

18)母親の女性容疑者(60)は当初、「娘の犯行を止めたかったが止められなかった」と供述していたとのこと。

19)押収した女性(29)容疑者のスマートフォンに、電話やアプリなどで男性とやり取りをした形跡はなかったとのこと。

時系列
2023年
05月下旬 女性(29)容疑者と男性が知り合う。その後、複数回会う(3回逢った模様、3回目で殺害)
06月上旬 女性(29)が男性と2度目に逢った時に3度目の約束(提案)をする。
06月下旬 女性(29)容疑者と男性がトラブルとなる。
その後、のこぎり、刃物、ウィッグ等を購入する。(時期はASKAの推定)
07月01日(金)
被害者は現場近くのディスコ・イベントに参加
22:35頃 二人がススキノの路上で待ち合わせ
22:50頃 二人が現場ホテルに入室

07月02日(日)
02:00頃 被害者と一緒に入室した人物がフロントに電話して退室
02:10頃 男性容疑者の車が走り去る様子が防カメに映る
その後、自宅に戻る。
その後、女性(29)容疑者を男性容疑者が車で別のススキノのクラブに送る。
その後、男性容疑者が自宅近くのコンビニで凍りを大量に購入。
その後、スマフォで「すすきの 殺人」と検索する。

15:00頃 札幌市中央区南8条西5丁目のホテル2階客室で男性が倒れているのを従業員が発見。

その後、頭部を撮影しビニールで梱包して容器に保管される。
(前後関係は不明)

07月03日(月)
夜    被害者の妻が行方不明届けを出す。

07月24日(月)
女性容疑者(29)を逮捕
共犯者で父の精神科医、男性容疑者(59)も逮捕
家宅捜索で腐敗が進んだ頭部を浴室で発見。

07月25日(火)
母親の女性(60)も死体損壊と死体領得、死体遺棄の疑いで逮捕
逮捕当初、女性(60)容疑者は「娘の犯行を止めたかったが止められなかった」と供述。
08月14日(月)
殺人の容疑で3人を再逮捕

08月16日(水)
送検

とりあえず、こんなところですね。
さて、この事件の発覚は7月2日の15時、頭部が無いし、遺留品も無いので、捜査本部としては、周辺の聞き込みやカメラ映像の収集から捜査を開始したはずですね。
翌7月3日の夜には被害者家族から行方不明届けが出ているので、このあたりで被害者の身元の当たりが付いたところでしょうか。

この事件では、遺体を現場に残しているので、事件発覚は時間の問題です。
本人達もそれは自覚していて、犯行直後にスマホで検索しているわけですよね。

事件発覚を予測していながら、実は何も対策をしていないように見えるところが、ちょっと疑問なわけです。
それどころか、致命的な証拠品を自宅に残したまま、直後にはススキノの別のダンスクラブへ行くというのは、ずいぶん脳天気に見えます。
女性(29)容疑者にとっては、被害者を殺害する事、スマホを破壊する事、SIMカードを奪う事で目的は達成、事件は終わったと考えたのかもしれません。

しかし、男性容疑者としては、そんな脳天気な事は言ってられないはずなんですよね。
そもそも、男性容疑者が事件の全貌を知っていたのであれば、目的自体が達成されてない事に気付いたはずなんですよね。
事件の目的が何らかのデータの消去を狙った物だとするなら、データ自体は消去されていない可能性が残っています。
女性(29)容疑者が行った事は、宝箱の鍵を隠したにすぎない、宝箱は依然として存在していて、合鍵がある可能性すらある(というか多分あります)

このように女性(29)容疑者は問題を根本的に解決しようとせずに、対処療法として表面的な対処を考えていたようですね。
女性(29)容疑者はパソコンを使って無くて、パソコンの知識が無いので、このような表面的な対処しか考えつかなかったのかもしれません。

逆に、仕事でもパソコンを使っていると思われる男性容疑者はこのあたりの事を知っていても不思議では無いんですよね。
(詳しくは書かないけど、女性(29)容疑者の犯行手順等には誤りがあると思います)

情報が少ないけど、女性(29)容疑者は短絡的、感情的に行動するタイプのように見えますね。

話は戻って、犯行後の対応についても男性容疑者からしたら合理的でないと感じます。

で、こう考えると、男性容疑者と女性(29)容疑者の間でコミュニケーションはとられていたのだろうか?と言うのが大きな疑問ですね。

実際、逮捕されるまでの期間は事件発覚から22日もあるので、その期間で逮捕後どうするか?と言ういわゆる「口裏合わせ」をしていてもおかしくないのですが、そちらについても、どうも不透明ですね。

単純に娘を守る為なら、男性容疑者が事件を主導したのは自分で、娘や妻は指示にしたがっただけと言う主張ができます。
でも、いまのところは、3名が黙秘か否認していると言う状況のようです。
まー、既に公判対策として黙秘を決めている可能性はありますが・・・現場に入っているのが被害者の他に1名だけなので、この1名が女性(29)容疑者なら実行犯として首謀者と同等の罪に問われる可能性がありますよね。

あるいは、黙秘しなければならない理由が他にある可能性もありますよね。
それが犯行の目的に関わる物である可能性は残っていると思います。

捜査本部は目的に関わるデータを入手しているでしょうから、公判になればこのあたりの情報も出てくると思いますね。

最後に、男性容疑者のブログの一文についてですが、私としては、戦争と犯罪の違いについての見解で、更に愛する家族を理不尽に殺害されたのであれば、相応の手段を持って応酬すると言う意見であって、特に問題があるようには感じないですね。むしろ一般的な意見ではないか?と思います。
理想としては「罪を憎んで人を憎まず」と言う言葉がありますが、大多数の人はそうでは無いですよね。

参考リンク
北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その3(犯行内容と計画)
北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その5(弁護士のコメント)

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2023/08/16

兵庫県神戸市高2男子殺害事件その10(一審判決)

一審判決は懲役18年(求刑:懲役20年)

被告は少年法に基づき、匿名で審理される。

***初公判(23年6月7日)***
1)起訴状などによると、被告は平成22年10月4日午後10時45分ごろ、神戸市北区の路上で、被害者男性を折りたたみ式ナイフで多数回突き刺すなどし、失血死させたとされる。

2)被告は「刺したことは間違いないが、殺すつもりはなかった」と殺意を否認したとのこと。

3)検察側は冒頭陳述で、被告は高校時代に交際していた女性が好む容姿の男性に憎しみを持つようになり、見た目が似ていると思った被害者に危害を加えたと指摘。「逃げる被害者を追いかけてナイフで複数回刺している」などとして殺意はあったとし、2度の精神鑑定の結果から「完全責任能力はあった」と主張したとのこと。

別の報道では
検察側は、青森県で高校に通っていた被告が交際相手を巡るトラブルなどで退学し、事件の半年前に神戸の祖母宅に移り住んだと指摘。交際相手への怒りを募らせる中で、交際相手が好むような雰囲気の若者に憎しみを抱き、事件当日、路上で被害者を見かけて殺害に至ったと主張したとのこと。

検察側は争点について、「(鎖骨付近を)多数回突き刺すなどの行為は死亡させる危険性が高いとわかっていた」として殺意があったと指摘。精神科医の鑑定結果などから「完全な刑事責任能力はあった」としたとのこと。

4)弁護側は、客観的事実は争わない一方、「当時は幻聴や妄想に支配され、事件直前には『しばいたろか』という声が届き、自分に危険が迫っていると思い込んでいた」と述べ、善悪を判断する能力が低下した心神耗弱状態だったと主張したとのこと。

5)被告の父親の証人尋問:
被害者の父(64)が被害者参加制度を使って質問。「なぜこれまで謝罪がなかったのか」と問うと、被告の父親は「(遺族の)憎悪をさらに増幅させると思った」などと答えたとのこと。

***第二回公判(23年6月8日)***
被告人質問
1)弁護側からの質問で、事件前に青森県から現場近くの祖母宅に引っ越し、「孤独を感じていた」と説明。「イライラを沈めるため、自分が生きているか分からない時がありカッターナイフで腕を切っていた」と語ったとのこと。

また、事件前に大学病院の精神科を受診した際、「『どうして人を殺してはいけないのか分からない』とドクターに言うと鼻で笑われ信頼できず受診をやめた」と述べたとのこと。

2)被告人質問で男は「不良グループが自分を狙っていると思っていた」、「量販店で護身用にナイフを買った」と話したとのこと。

3)弁護人「誰からの護身か」
被告「電車内で首を絞めた不良の仲間」

そして襟足が長い被害者を見て、電車内で首を絞めた男に似ていたと話したとのこと。

被告「死んでしまうとは思いませんでした。傷つけよう、追い払おうとは思ったが血が出るとか痛いとかは分かりませんでした」

弁護人「今回の事件について誰かに話しましたか」
被告「小学校の同級生に事件の翌年『人を殺したんだけれども』と相談した。もう1人の小学校の同級生に『神戸で起きた事件なんだけど、これ自分です』と言った」

弁護人「ご家族には言ってないのか」
被告「はい」

弁護人「なぜ友人に言ったのか」
被告「当時の自分は、人は誰でも殺したことがあると思っていて、咎められると思っていませんでした」

弁護人「逮捕までに自首は考えましたか」
被告「考えませんでした。18.19歳の頃は悪いことをしたと思っていなかった。それからは記憶が薄れていきました」

と話したとのこと。

別の報道では
事件の翌年、小学校時代の同級生2人に「人を殺した」と明かしたとし、理由は「当時は誰でも誰かを殺したことがあると思っていた」からだと主張。「18、19歳の頃は悪いことをしたと思っておらず、その後、事件の記憶も薄れていった」と述べ、自首も考えなかったとのこと。

4)被害者の父親の被告人質問
「うつぶせに倒れた人を刺しても死ぬと考えなかったのか」との質問には裁判員の方を見ながら「思わなかった」。逮捕された時の気持ちは「(最初は)身に覚えがなく、少しずつ思い出した」とのこと。

「どう償うのか」。そう聞かれた時は落ち着きをなくし、耳を赤くさせる場面も。「裁判が終わったら、まず何をするのか」との問いには、30秒ほど考えて答えは出なかったとのこと。

「私たち(遺族)を見て、どう思いますか」。男は答えた。「生きていて申し訳ありませんと思います」とのこと。

5)被害者の父親はさらに「私たち遺族を見て、どう思うのか」という問いには「自分が生きていて申し訳ありません。遺族の苦しみを考えない日はない」と述べたとのこと。

***第3回公判(23年6月9日)***
弁護側の求めで精神鑑定を行った鑑定医の証言
(証言した鑑定医は1人のもよう、報道によって情報に若干の齟齬がある)

証人尋問:精神鑑定を担当した医師(2度目の精神鑑定を行った医師が出廷し、2時間の面談を10回行った)
1)医師は、「犯行当時の被告に精神疾患はなく、責任を逃れるために精神疾患を装っている詐病の可能性が高い」と述べた。 また、医師は「犯行動機に関する捜査段階の被告の供述が精神鑑定の際には『精神状態が悪かった』という内容に変わってきており、責任を減免する意図で精神疾患を装っている詐病の可能性を検討する必要が生じた」と証言したとのこと。

2)男が精神鑑定で述べた「不良に狙われている」という妄想や幻聴について医師は「逮捕直後の供述にはなく精神鑑定の際に自ら述べ印象付けようとした」と指摘、その上で鑑定時に男が話した内容には「明かな嘘がある」と述べた。
鑑定結果について「男の主張する幻聴・妄想は病的なものではなく、犯行当時に精神疾患はなく鑑定時の精神状態も正常だった」として、「犯行当時から現在に至るまでの行動はすべて正常心理で行われていた」と結論付けたとのこと。

証人尋問:鑑定医(鑑定医は令和4年10月~5年1月にかけて、被告人との面談を各2時間程度、計11回実施し、被告の両親や関係者からも聴取。)

3)鑑定医は、治療せずに症状が改善していることなどから、統合失調症の可能性を明確に否定。「犯行翌日に塾に行くなど社会生活を送っており、精神的な障害はなかった」などと説明したとのこと。

さらに、被告が逮捕直後の取り調べ段階では供述していなかった幻聴や妄想の症状について、その後の2度の精神鑑定では自ら進んで述べるなど症状を印象付けようとしていると指摘。供述の変遷や症状が転居後におさまった点などを踏まえ詐病の特徴に当てはまるとしたとのこと。

別の報道では
鑑定医は「高校退学や失恋で、(交際していた)女性に憎しみや怒りを抱き、その矛先が夜遅くに出歩く若い男女に向けられた。被害者と、退学の理由となったクラスメートの姿が重なり、(被害者を)襲った」と分析したとのこと。

そして、「逮捕前は、社会生活を送るうえで問題なかったが、元来、一定の暴力性、爆発性があった。(この事件は)一見すると、動機が不可解で突発的に見えるが、そこに至るまでの生活状況や心理状況を見れば、すべてに了解可能だ(理解できる)」と説明したとのこと。

***論告求刑公判(23年6月12日)***
1)検察側は論告で、被告の男が肺に到達するような強い力で複数回刺した点などを挙げ、「危害を加えようとする意志は強固」とした。男を「精神障害はなく、詐病の可能性が非常に高い」とした精神鑑定結果などを踏まえ、「完全に責任能力があった」と述べた。

検察側は「被告が当時17歳だったこと以外に酌むべき事情はない」として懲役20年を求刑したとのこと。

2)弁護側は精神鑑定結果に「統合失調症以外の検証がされず、判断に根拠がない」と反論。「何らかの精神障害は否定できない」と主張し、「危険性を認識できず、被害者が死ぬかもしれないという認識がなかった」と殺意を否定した。また、刑法を適用した検察の求刑内容に、「(改正前の)少年法が適用され、有期刑の上限は15年となる」と指摘したとのこと。

別の報道では
弁護側は「被告は犯行当時、心神耗弱状態で少年だったことが考慮されるべき」などとして懲役8年が相当と主張したとのこと。

更に別の報道では
弁護側はこれまでの公判で、事件当時は被告に幻聴や妄想があり、心神耗弱状態だったと主張。さらに事件直前に医療機関を受診して「適応障害」と診断された点を挙げ、「何らかの精神障害を有していたことは否定できない」として懲役8年が相当と訴えたとのこと。

3)最終意見陳述:被告
「被害者の人生の全てを奪い、私のせいで遺族は生き地獄を送ることになった。過去の私は未熟だった」と謝罪。「孤独に苦しむ人に手を差し伸べるように活動し、償い続けたい」としたとのこと。

4)遺族の意見陳述
母(66)は、見たくても見られなかった息子の夢を先日見たと明らかにし、「29歳の息子が『ただいま』と家に帰ってきた。顔や姿はぼんやり影のよう。命を奪われたあの日から時間は止まったままだ」と吐露。「あなたは罪を償えば終わりかもしれないが、息子は戻ってこない」と最も重い刑罰を与えるように求めたとのこと。


「息子が殺害され、私たちの心も殺された。事件後、妻と、息子との思い出の場所を巡り歩くことが多くなった。しかし、そこには息子はいない。息子があなた(被告)に何をしたのか。まだまだ生きていたかった息子を返してほしい。私たちの生活を戻してほしい」と訴えたとのこと。

意見陳述は母親を含めて家族5人が行っています。
2歳上の兄、8歳上の姉、9歳上の姉、母、父

***判決公判(23年6月23日)***
1)裁判員裁判の判決で、神戸地裁は23日、懲役18年(求刑・懲役20年)を言い渡した。

2)裁判長は無抵抗だった被害者を襲った当時の状況から強固な殺意を認定し、「動機は常軌を逸した身勝手なもので、その理不尽さは際立っている」と指弾した。

3)判決はまず、「男性に精神障害はなく、統合失調症を装った詐病の可能性が高い」とした医師の鑑定結果について、明快かつ合理的で信用ができると指摘。十分な刑事責任能力があると認めたとのこと。

男性は逃げようとする被害者を追い掛け、うつぶせに倒れた際に背中も刺していた。判決はこうした一連の状況に触れ、殺意は相当強固なものだったと認定。動機については、被害者を嫌悪感を抱くタイプの人間だと思い込み、女性と一緒にいたことから制裁を加えることを決意したとみられると結論づけたとのこと。

裁判長は「逮捕まで10年以上経過しているが、その間に事件を悔いた様子は見受けられず、公判での謝罪の言葉も表面的なものとしか受け止められない」と批判したとのこと。

一方で、男性が当時少年だったことは一定の考慮が必要だとして、有期懲役刑の上限にあたる懲役20年の選択は回避したとのこと。

別の報道では
裁判長は量刑について、刑に期間がある懲役刑の上限20年を軸に検討し、男は逮捕されるまでに10年以上経過したが悔いた様子は見受けられないとする一方、前科のない少年だったという事情も考慮したと説明したとのこと。

***補足1***
少年法51条には、犯行時18歳未満の被告について「死刑と無期刑を緩和する」との項目があり、
罪を犯したときに18歳未満で死刑を選択する場合は、無期刑に刑罰が緩和される。
罪を犯したときに18歳未満で無期刑を選択する場合は、有期の懲役か禁錮に刑罰が緩和される。その刑は「10年以上15年以下」。

2022年には刑法12条が改正され、懲役は、無期及び有期とし、このうち有期懲役は、「1か月以上20年以下」となったとのこと。

検察側は男の犯行態様の悪質性を踏まえて、無期懲役の選択もあり得ると述べたが、犯行時17歳だったことを鑑み、無期懲役ではなく有期懲役の選択を示した。その上で刑法12条に定めた上限として懲役20年を求刑したとのこと。

***控訴***
被告側は6月27日、判決を不服として控訴した。

***補足2***
被告は高校は青森市内の県立高校に通っていた。当時付き合い始めた女子高生に付きまとい、彼女をドライバーで脅して拘束する事件を起こした。これ機に、被告は高校を退学した。その後、青森を離れた被告は、元カノに会うために青森に行こうとしたところを両親に空港で見つけられ止められたこともあったとのこと。それでも2010年の8月に青森に行った被告は、そこで元カノの女子高生の腕を切りつける事件を引き起こしたとのこと。

こんなところですね。
この事件、全くの通り魔的な事件だったんですね。
まだ、全てを話していないと思われるのが残念ですが、動機としてはそれまでの不満、鬱憤、嫉妬、妬みのようなネガティブな感情が爆発して無辜の男子を執拗に殺害したと言う事ですね。

不思議なところとしては、事件の翌年に小学校の同級生に事件を明かしているんですよね。
理由は「当時は誰でも誰かを殺したことがあると思っていた」からだと主張。「18、19歳の頃は悪いことをしたと思っておらず、その後、事件の記憶も薄れていった」と述べ、自首も考えなかったとのこと。

この理由はどう考えてもおかしいですけどね。この通りなら、本来の人口の半分は被害者で生き残りは全員が殺人犯になる。
これぐらいは小学生でもわかると思うのですが・・・

弁護人の仕事は被告の利益を最大にする事と言うことなのですが、今回は事実関係を争わずに、責任能力が限定的で当時有期刑の上限の懲役15年の約半分の懲役8年と主張する事なんですね。
その根拠としては、どうやら当時、事件直前に精神科を受診して「適応障害」という診断を受けていたと言う事のようです。
(そういえば、適応障害で幻聴や妄想と言う症状はあるの?と調べると一般的な症状には幻聴や妄想などは無いようですね。最終的に弁護側は統合失調症以外の何らかの精神障害の可能性を否定できないと主張しているので、推定無罪の原則を適用したかったと言うところでしょうか。)

ただ、弁護側の要請で行った精神鑑定の鑑定が「詐病」の可能性が高いと証言してます。
「犯行翌日に塾に行くなど社会生活を送っており、精神的な障害はなかった」などと説明したとのこと。

逮捕直後は予測できなかった逮捕に動転して、ホントの事を取り調べで供述していたが、時間が経過したところで、詐病を考えたのかな?
罪を軽くしたくて行ったことなのでしょうが、詐病と証言されては逆効果ですね。
結果的に懲役20年の求刑に対して、当時17歳の逮捕歴が無い事が現在材料となり、懲役18年で2年が減刑されたんでしょうね。
もし、詐病などせずに素直に罪を認めて反省、謝罪していたら、懲役15年かそれよりも軽くなっていたかもしれませんね。

一方で高校時代に起こした事件は傷害事件で事件化されれば、逮捕されていたので、この2年の減刑分も消えていたかもしれないです。
とは言え、そこで逮捕されていれば、何らかの処分を受けて、今回の事件は起きなかったかもしれいです。

本人の将来と更生を願って事件化しなかったけれど、その結果、より重い罪を犯してしまった。
皮肉な結果です。どこが人生の分かれ目になるのか?わかりませんね。

まー、そもそも、暴力で問題を解決しようとする事自体がそもそもの間違いなので、高校時代(十代後半)にそう考えてしまうようになっている事が問題ですよね。
どうして、そうなったのか?が良くわかりませんが、育児、子育ては子供の人生を変えてしまうと言う事は言えそうです。

被告側が控訴してますから、次は控訴審ですね。

亡くなった男子のご冥福をお祈りします。

参考リンク
兵庫県神戸市高2男子殺害事件その9(鑑定留置)

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2023/08/15

埼玉県さいたま市桜区妹甥殺人事件その2(一審判決)

一審判決は無期懲役(求刑:無期懲役)です。

***初公判(22年10月25日)***
1)起訴状によりますと無職の男性被告28歳は2019年12月、さいたま市桜区の自宅で同居する妹(当時24歳)と、妹の長男(当時3歳)の顔や頭を包丁やナイフで切りつけて死亡させたなどとして殺人の罪などに問われている。

2)被告は起訴内容について「相違ありません」と認めたとのこと。

3)冒頭陳述で検察側は、被告が長男の泣き声への不満などから、親子を恨むようになったと指摘したとのこと。
その上で、「強固な殺意に基づく犯行で、精神障害の影響は限定的」と述べたとのこと。

4)弁護側は妄想性障害などによって、責任能力がなかったとして無罪を主張したとのこと。

***論告求刑公判(22年10月31日)***
1)検察側は31日の論告で、被告が親子への恨みから殺害を決意したと指摘し、「計画的で強固な殺意に基づく犯行」と述べ、無期懲役を求刑したとのこと。

2)弁護側は、妄想性障害などで正常な状況認識ができなかったとし、「精神障害の圧倒的影響があった」と無罪を求めたとのこと。

***判決公判(22年11月7日)***
1)裁判員裁判で、さいたま地裁は7日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。

2)判長は判決理由
被告の責任能力に関して、「犯行時の被告人は、妄想性障害、自閉症スペクトラム障害であったことは認められる」としたものの、「妹と甥の殺害を決意すると、妹に襲い掛かるタイミングをうかがうなど的確に状況判断し、合理的に行動している」などと指摘。善悪の判断や行動のコントロール能力の欠如や低下は認められないとした。

その上で、「笑い声をあげながら、躊躇する様子もなく、何度も繰り返し執拗に妹と甥を切りつけており、極めて残忍かつ残虐な犯行である」などとして、被告に対し無期懲役を言い渡したとのこと。

別の報道では
裁判長は、被告が患っていた妄想性障害や自閉症スペクトラム障害が犯行に影響を与えていることに否定はできないとしつつ、「他に取り得る選択肢があった中で、自らの自発的な判断により犯行を決意したと認められる」と指摘。被告は犯行時、的確に状況を判断して合理的に行動しており、「精神障害は間接的、限定的に影響を与えたにとどまっている。犯行が精神障害の著しい影響下で決意され、実行されたと認めることはできない」としたとのこと。

その上で、犯行態様は極めて残忍かつ残虐な犯行で、妹とおいが味わった肉体的苦痛や絶望感は計り知れないとし、「3歳と24歳の命が無残に奪われた結果は重大というほかない」と述べたとのこと。

***補足***
どのタイミングの情報か不明な情報です。
被告は、甥が2歳になったころから笑い声や泣き声に不満を抱くようになります。次第に、甥から悪口を言われていると思うようになったとか。妹母子に、強い殺意を抱いていたようです。

こんなところですね。
現場となった集合住宅で、容疑者は自身の母親(57歳)と、兄(28歳)、妹(24歳)、甥(3歳)と暮らしていた。
妹はシングルマザーで経済的に困窮した為に実家を頼ったと言うところなんでしょうね。
容疑者は当時無職だったようですから、まー家に居る事が多かったのかな。
妹母子がどのタイミングから同居したのかが分かりませんが、2歳の頃には同居していたようですね。

保育園は0歳から入園可能なので、家族内で不満があるなら、保育園を使うのも一つの方法かと思います。
ただ、保育時間は限られるから夜間などは当然、家に戻りますよね。

被告は当時25歳で理由は不明ですが無職と言う事なので、普通に独立して別居するのも無理な状況ですね。
妹は仕事をしていたのか不明ですが、例え仕事をしていたとしても、シングルマザーで2歳や3歳の子育てをするのは厳しいでしょうから、頼れるなら実家を頼りたいでしょうね。

被告も妹も互いに家を出ると言う根本的な解決方法が取れない状態で、追い詰められてしまったんでしょうね。

ただ、気になるのは、事件に至るまでに相当な時間があったと思うわけです。同居時期が不明なのですが半年から1年ぐらいの時間はあったのではないかと思うのですが・・・
事件の前に被告と妹の間で口論などのトラブルは無かったのだろうか?という点です。

被告の方は妄想性障害や自閉症スペクトラム障害の症状が以前あったと思うわけで、事件の兆候は無かったのか?

家庭の経済状況が分からないのですが、グループホームを利用する方法も有ると思います。
ただ、利用料が発生したり、障害者手帳が必要だったりと条件があるので、利用できなかったと言う事もあるかもしれませんね。

以前から虐待などの情報があれば、児童相談所がマークしそうですが、親子関係が良好で、虐待の情報もなければ、児童相談所も問題があるとは思えないでしょうね。

こう考えると、外部の人間には、この事件の兆候を知る事はできないと思います。
唯一考えられるのは、被告が通院していて、カウンセリング等を受けて、その中で生活の不満を話している場合かな。
とはいえ、明確に事件を連想するような話をしなければ、医師も通報したりはしないでしょうね。(被告が通院していたと言う情報は有りません)

と考えて、この事件を家族の中で予防や解決するとなると、実現可能な方法には経済力が必要となって、経済力がなければ、回避不能な不幸な事故だったのかな?

条件付きだけど、被告の障害が軽度で就労可能であるなら、独立して別居する事も可能だったと思います。
このあたり、判決では「他に取り得る選択肢があった」とあるので、他の選択肢とは何なのか?が知りたいですね。

亡くなった母子のご冥福をお祈りします。

参考リンク
埼玉県さいたま市桜区妹甥殺人事件

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2023/08/13

北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その3(犯行内容と計画)

まずは続報です。
1)捜査関係者によりますと、遺体の切断面などからのこぎりなど複数の刃物を使って首を切断したとみられるとのこと。

2)捜査関係者によると、女性(29)容疑者と男性は5月下旬、ススキノのダンスクラブの閉店イベントに参加。男性容疑者は当日、女性(29)容疑者を会場まで送り、そのままイベントに参加していたとのこと。北海道警は男性容疑者も男性と面識があったとみているとのこと。

3)捜査関係者によると男性は、背後から刃物で突然、首を刺されたことが致命傷になったとみられるとのこと。

こんなところですね。
さて、犯行計画を推測する上で、犯行の詳細を確認します。
A)犯行場所と時間
 1)7月2日午後3時ごろ、札幌市中央区南8条西5丁目のホテル2階客室で男性が倒れているのを従業員が発見した。
当日は、被害者ともう一人が入室していて、このもう一人が実行犯と思われる(29歳女性容疑者と思われる)
(場所は都会のど真ん中です。)
 2)客室内に争った形跡はない。
 3)ベッドに目立つ血痕はなかった。

B)遺体の状態
 1)遺体は浴室でうずくまった状態、裸で首が切断された状態で発見された。
 2)浴室には壁などの血を洗い流した跡があった。
 3)現場から頭部は発見されていない。被害者の遺留品は現場には残されていない。
 4)致命傷は背後から首をさされた傷、死因は出血性ショック
 5)首の切断にはのこぎりなど複数の刃物が使用された。

C)遺留品
 頭部と遺留品は全て持ち去られているが、自宅に保管されていた。

D)犯人グループの事件後
 犯人達は事件後も普段通り生活しているように見える。

これらの情報から犯行の状況(計画)を推測します。
実行犯は女性(29)容疑者と仮定して考えます。
犯行計画の概要としては、被害者をホテルに連れ込み、浴室で一人になったところをスキをついて襲撃して、殺害する計画(?)

あ)犯行場所の選定
 犯行場所は、被害者を誘い出して二人きりになれる場所で、被害者が無防備になる場所として、ホテルを選んだんでしょうね。

い)凶器の準備
 凶器にはノコギリや他の刃物、おもちゃの手錠、血を洗い流す為の洗剤などを用意している。
 実行犯は顔を隠して、指紋を残さない為に手袋を着用している。
 このあたりは、逮捕されない為の証拠隠滅の為でしょうね。

う)殺害
 殺害は被害者が浴室を使うように仕向けた上で、全裸、無防備の状態で背後から致命傷を与えるべく、初手で首を狙っている。
 単純に殺害するだけなら、浴室でなくても良いのだけど、全裸にする為と無防備にさせる為に浴室で実行していると推測します。

え)遺体損壊
 首を切断しているが、これが被害者の身元を隠す為なのか?はちょっと疑問なところ。(理由は後述する)

お)頭部、遺留品の持ち去りと保管
 切断された頭部と遺留品は持ち去られて、自宅に保管されていた。
これが、証拠隠滅を目的とするなら、同時に自分が犯人だとする証拠を残している事になり、目的に矛盾してないか?が疑問。

事件の犯行計画を考えるならそのポイントは2点に集約されますね。
1)目的の達成
2)逮捕されない事

当たり前のことですが、こう考えた場合、この事件は2)の逮捕されない為の対処が不十分なんですよね。
(犯罪指南になりかねないので、詳細は伏せます。みなさんも気付いても書かないでくださいね)
この事件は事件が発覚する事を前提に計画されているけど、それでも、自分たちが逮捕されない事を徹底しているとは思えないんですよね。

なので、少なくとも2)については、不完全というか、矛盾があるように見えます。
しかし、犯人達、特に男性容疑者は事件後も普段通り生活していて、逮捕される事を想定しているようには見えないですね。

このあたりを考えた場合、私は複数の可能性があるのかな?と考えています。
1)犯行計画を主導したのは女性(29)容疑者の場合。
 これは、犯行の目的(殺人)を知らされずに、両親が盲目的に犯行に参加した場合ですね。
 この場合、杜撰な犯行計画が説明できます。(あるいは、殺人を知っていて自由にさせたのかな?)
 あるいは、両親が犯行目的を誤解(曲解)している場合と言うのもあるかもしれませんね。(結果的に2)の場合になるかも

2)父親の犯行計画とは別に娘は別の犯行計画を用意していた場合。
 両親は殺人を目的としていない。そして、事件は事件化する事なく、問題は秘密裏に解決されるはずだった。ところが、娘は別の殺人計画を独自に計画して、現場でそれを実行してしまった。両親は事件発覚後に殺人を知ったが、後の祭りで普段通りに過ごすしかなかった。

3)両親も殺人の計画である事を知っていて、計画を主導したのが父親だった場合。
 これは、私が父親の能力を過大評価している場合になりますね。(理系に珍しい楽天家と言う事でしょうか)
 ただねー、もし私が父親の立場なら、家族を守る為に、全て自分1人で実行し、家族が罪に問われないように、事件後も困窮しないような対処をすると思うんですよね。娘を殺人犯にする事、妻を共犯にするかもしれない事を前提にするような計画を立てるのかな?と言うのが最大の疑問なわけです。

あとは、公判の情報を待つしか無いかな?

参考リンク
北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その2(人物像)
北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その4(コミュニケーション)

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2023/08/11

北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その2(人物像)

まずは続報です。
8月9日報道
1)捜査関係者によりますと、瑠奈容疑者らが事件前に、清掃用の塩素系漂白剤を購入していたとのこと。

2)女性(29)容疑者とみられる人物がホテルから出た同2日未明、容疑者宅近くのコンビニ店で、父親の男性容疑者(59)が2回にわたり氷を大量に購入していたことも新たにわかった。数袋購入した後に買い足し、計10袋ほど買ったとのこと。

3)今年の5月下旬、事件が起きる約1か月前の映像が報道された。
すすきののダンスクラブの1階部分で二人の姿が映っていた。ライトに照らされるたび、笑顔を見せていたのは、逮捕された女性容疑者(29)。その女性容疑者が首に手を回しているのは、被害に遭った62歳の男性。まるでカップルのように抱き合い、男性に顔を近づけ、話しかける女性容疑者。男性は、そんな女性容疑者の頭をなでていたとのこと。

4)頭部を浴室で撮影した動画が押収されていたことも判明。頭部の腐敗は進んでおらず、切断から数日以内に撮影したとみられるとのこと。

5)男性の頭は、3人の自宅の浴室で見つかりましたが、捜査関係者によりますと、頭は、ビニール袋に包まれた状態で容器に入れられて保管されていたとのこと。

時系列
2023年
05月下旬 女性(29)容疑者と男性が知り合う。その後、複数回会う
06月下旬 女性(29)容疑者と男性がトラブルとなる。
その後、のこぎり、刃物、ウィッグ等を購入する。(時期はASKAの推定)
07月01日(金)
被害者は現場近くのディスコ・イベントに参加
22:50頃 二人が現場ホテルに入室

07月02日(日)
02:00頃 被害者と一緒に入室した人物がフロントに電話して退室
02:10頃 男性容疑者の車が走り去る様子が防カメに映る
その後、男性容疑者が自宅近くのコンビニで凍りを大量に購入。。
15:00頃 札幌市中央区南8条西5丁目のホテル2階客室で男性が倒れているのを従業員が発見。

その後、頭部を撮影しビニールで梱包して容器に保管される。
(前後関係は不明)

07月03日(月)
夜    被害者の妻が行方不明届けを出す。

07月24日(月)
女性容疑者(29)を逮捕
共犯者で父の精神科医、男性容疑者(59)も逮捕
家宅捜索で腐敗が進んだ頭部を浴室で発見。

07月25日(火)
母親の女性(60)も死体損壊と死体領得、死体遺棄の疑いで逮捕

こんなところですね。
それでは、サブタイトルの各人物像について考えてみるのですが、その材料となる情報を集めます。

***A)女性(29)容疑者 ***
1)小学生の頃から学校を休みがちになり、やがて不登校、時おり見かけたという複数の近くの住人は、「質素というか、普通な感じ」と話しているとのこと。

2)20代前半、半年だけですが、アクセサリ制作教室に欠かさず通っていた。

このアクセサリー制作教室を休みがちになった際、講師が電話すると、母親の女性(60)容疑者が出て「朝起きて外に出られない時は、無理に『お教室行きなさい』とか言わないで、自由にさせているんです」などと話したとのこと。

3)「女性(29)容疑者は自身の性についてどう認識すべきかわからない部分があり、悩んでいたようです。」(7/26報道)

4)飲食点の店主
「(女性(29)容疑者は)今年5月のゴールデンウイークの中ごろに来た。2名で同い年くらいの女性と仲がよさそうな感じで」

5)ひとりっ子で発作を伴う持病がある。(7/25報道祖父の談)
女性(29)容疑者は中学から高校へと進学したが、持病が悪化し、卒業はできなかった。
「最後は札幌の通信制高校に行って、その後は働いてない。これまでは警察にお世話になるようなことがあったとは聞いたことがない。

6)女性(29)容疑者の元交際相手の知人:「出会い系で知り合ったと言ってました。マッチングアプリか俗にいう」(7/27報道)

7)小学校の卒業文集(7/27報道)
「楽しかった修学旅行。女子で木刀を買ったのが私だけだった」

「ちょっと高そうなドレスを着ていて、服を茶化したときにカッターを持ってきて教室で追いかけられて、馬乗りになられて首に突き付けられて「次言ったら刺すからな」と言われた。

*** B)母親 ***
1)美術館で働いていた時期もあった
2)現在はパート従業員
3)気さくで、感じの良い人
参考情報としては、自宅はゴミ屋敷状態とのこと。

*** C)父親 ***
1)仕事はもちろん趣味の音楽活動にも打ち込み、バイタリティにあふれる方という印象。
2)SNSも使いこなす
3)勤務先の病院で精神科の科長を務める。
4)最近は自宅の玄関先や車の中で食事をしたりしていた。

こんなところでしょうか。逮捕後まもない時期の報道なので、誤報なども含まれていると思います。
とりあえず、ざっくりとみた感じではこんなところですね。
このあたりの情報を元に、私の勝手な印象を書くと

A)女性(29)容疑者
小学校の頃には何らかの持病があり、学校は不登校気味となり最終的には不登校、ただし、修学旅行には参加している。
病気で不登校気味だったのとは裏腹に、暴力的な面も見受けられる。
持病については病名などは出ていないが、参考になる情報としては
い)発作を伴う持病。
う)朝起きて、外に出れない時がある。
え)持病が悪化して通信制高校が卒業できなかった。
ただし、どうやら、現在は一人で外出をしているようなので、発作で倒れてしまったり、パニックになってしまうような症状は無くなったのかな?
その意味では小学校の修学旅行には参加しているので、発作の心配は無かったのか?と言うのは疑問のあるところ。
ここ半年ぐらいの情報だと、女性同士で女子会みたいな物に参加していたりしているので、引きこもりと言う印象では無い。
どちらかと言えば、出会い系アプリなどを活用して出会いを求めたり、イベントなどに一人で参加している点をみると、むしろ社交的なのか?と言う見方さえ出来る。けれど、どうも仕事はこれまで一度もしていないようだ。
他には自認する性についての問題など、もしかすると複数のメンタル面での問題を抱えていた可能性はあるが、このあたりの明確な情報は無い。

B)母親、女性(60)容疑者
人のよさそうな印象で美術館に勤めていた時期もあった(職種は不明)
現在もパートで仕事をしているのが、ちょっと微妙な印象、経済的には裕福に見えるが、なぜ、パートで仕事をしているのか?
家にいて娘と過ごす時間を嫌ったのか?あるいは、無職の娘の為に少しでもお金を残そうという親心なのか?
あるいは、将来の年金の受取額を少しでも増やそうと言うところなのか?とは言え、離婚でも予定してなければ、経済的には問題なさそうなんですよね。
なので、娘の為と言うあたりなのかな?

母親については、1点だけ疑問なところがあります。
それは、家がゴミ屋敷状態と言うこと。
家族3人で生活していて、例えば、娘が片付けできない人だった場合でも、残りの2名は普通の人のようなので、ゴミ屋敷化する理由が無いように見える。
だとすると、母親も片付けられない人だった可能性があるかもしれない。(ただし、これは後述する他の可能性もあるのかな)

C)父親、男性容疑者
仕事でも成果を出していて、一家を経済的に支えており、かなり良い父親に見える。
ただし、娘と妻に対して、何か引け目を感じているかもしれないように感じる部分もある。
その裏返しで娘を溺愛してしまったのかもしれないと感じる。
妻に対しては、ゴミ屋敷状態の原因の一端が妻にあるのであれば、妻に対して強く指導するのではなく、むしろ受け入れているようにも見える。

ただし、これにももう一つの見方があって、強く指導したり、批判したりしても、効果が無いと言う精神科医としての判断とか、あるいは、自分が片付けて正常な家庭を取り繕ってしまうと、「共依存」の関係になってしまう為に、あえて放置していると言う見方もできる。

このあたりの理由などによっても、家族の形がかなり変わってくる印象ですね。

このあたりを考えると、この家族の形を維持しているのは、父親の経済力と忍耐力と愛情によるところが大きいのかな?と思う部分もありますね。(2023/08/12 一部修正 「愛情」の文字を追加)
ここは情報が少ないので、後で見方が変わるかもしれませんが。

さて、では父親について、もう少し掘り下げてみると、この事件で、父親が犯行計画を主導したのだとしたら、理系の人間が考えた計画にしては、少々杜撰な計画に見えます。

まー、一般人が殺人計画を考えるなんて事は、それこそ普通は無い事なので、初めてで杜撰な計画になってしまったと言う事も考えられなくはないのですが、現代はインターネットの時代で、父親自身もSNSを使いこなしていて、インターネットの事は熟知していたと思うわけです。
だから、理系で論理的、合理的な思考ができるなら、ネットで調べて、そこそこ優秀な計画を立てる事ができると思うんですよね。

ここで重要な事は「犯行の目的は何か?」と言う点になります。
つまり、殺人は手段であって、目的では無いはずなんです。
殺人は問題を解決する為の手段であって、目的は問題を解決する事なんですよね。

父親にとって、この事件の目的は何なのか?それは、娘の目的と一致しているのか?

次回はこのあたりを考えてみましょう。
(久しぶりに書く記事のせいか、少し書き方が変わったかもしれないと、自分でも感じています。もっとも、この事件は分からない事が多すぎて、表面的な情報だけで考えるのは難しいかもしれませんね、あるいは単純に私自身が鈍ったのかも?と言う気もしますね (^_^;) )

参考リンク
北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件(容疑者逮捕まで)
北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その3(犯行内容と計画)

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2023/08/10

北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件(容疑者逮捕まで)

新規の事件ですが、近年にない特異な事件の為、取り上げる事にします。
第一報(7月3日報道)
1)7月2日午後3時ごろ、札幌市中央区南8条西5丁目のホテル2階客室で男性が倒れているのを従業員が発見した。

男性は成人とみられ、その場で死亡を確認、死後あまり時間が経過していないとみられている。

2)男性が浴室内で頭部が切断された状態で発見されたとのこと。

3)頭部が客室で見つかっていないことも判明。

4)ホテルの防犯カメラには、男性が別の人物と2人で入室する様子が写っており、道警は、この人物が頭部を持ち去った可能性もあるとみて、行方を追っているとのこと。

7月4日報道
1)男性が1日深夜、大型のスーツケースを持った別の人物と2人で入室し、約3時間後、この人物が1人で退店する様子がホテルの防犯カメラに写っていた。

2)男性と一緒に入室した人物が1人で退出する際、入室時とは異なる服装だった

3)男性は室内の浴室に裸で倒れていて、壁などの血を洗い流したような跡があったとのこと。

4)男性と一緒に入出した人物が退出する際、女性のような声で、「先に出ます」などとフロントに電話があったとのこと。

5)客室には男性の携帯電話や免許証など身元の特定につながるものは残されていないとのこと。

6)7月1日午後10時50分ごろ、被害者と別の"人物"が2人でホテルに入室した。

その約3時間後、翌2日の午前2時ごろ、フロントに女性のような声で「1人で先に出る」などと電話があった。
この別の"人物"が、フロントの前を通り、1人で退室した。

2日午後3時ごろ、電話をかけても出ないことを不審に思った従業員が確認に行ったところ、遺体を発見し、消防に通報したとのこと。

7)ベッドには目立った血の跡はなかった。

8)不明となっている"人物"の特徴は、体格は小柄。
服装は女性のような衣服を着ていて、入室時と退出時で着替えていた。
つばの大きい帽子を目深にかぶっていたということで、顔を見られたくないという意図があった可能性がある。
さらに、大型で黒っぽいスーツケースを持っていた。

7月5日報道
1)遺体は恵庭市の62歳の会社員の男性と判明

2)男性の妻が3日夜、警察に行方不明届を提出していて、自宅にあった指紋が遺体と一致したととのこと。

3)被害者には防御創がなかった。

4)男性の死因は出血性ショックで体の一部には致命傷となる刃物のようなもので刺された傷があったとのこと。

5)客室内にも争った形跡はなかったとのこと。

6)男性が恵庭の自宅から札幌まで車で移動していたとのこと。
男性は家族に行き先を告げずに自宅を出ていて、車で札幌まで移動していた。

7)遺体は浴室でうずくまった状態で見つかった。

8)身元につながる遺留品は一切残されず。衣服も残っていなかった。

7月7日報道
1)関係者によりますと、7月1日、事件前、男性は1人でホテルの近くで行われたディスコ・イベントに参加し、別の人物とホテル周辺で待ち合わせをして、その後、事件に巻き込まれました。

7月25日報道
1)7月24日、道警が死体遺棄などの容疑で職業不詳、女性容疑者(29)=札幌市厚別区=を逮捕した。
共犯者で父の精神科医、男性容疑者(59)も逮捕した。

2)被害者は女装家でススキノでは有名とのこと。

3)7月25日、母親の女性(60)も死体損壊と死体領得、死体遺棄の疑いで逮捕。

4)北海道警は家宅捜索で親子の自宅から見つかった人の頭部が、被害者の男性のものと確認したことを明らかにした。

5)捜査関係者によると、父娘は事件前、札幌市内の商業施設で「スーツケース」と「刃物のようなもの」を購入していたとのこと。

6)父親の修容疑者は、勤務先の病院で精神科の科長を務めていた。過労死やうつ、メンタルヘルスに関する講演会やセミナーに登壇する機会も多く、地元の名士とのこと。

7)捜査関係者談:「7月25日に自宅へのガサ入れが行われ、血液の付着していそうなものを含め事件に関連するとみられるものが押収されました。押収されたのは段ボール42箱で、これは一般的な家の家宅捜索の倍の数です。部屋の中はゴミなどが散乱しており、あまりの物の多さに、明日またガサ入れする予定です。」とのこと。

7月26日報道
1)女性(29)容疑者と男性容疑者は、事件までに、のこぎりやスーツケースなどを小売店で購入していた。

2)男性容疑者は事件のあとも普段と変わらない(SNS)投稿を繰り返していたとのこと。

3)これまでの調べで父親の男性容疑者が車で女性(29)容疑者をホテル付近まで送り迎えをしたとみられていますが、警察が送迎に使ったとみられる車を24日押収していた。当時のホテル付近の防犯カメラには、特徴の似た車に2人とみられる人物が乗っている様子が映っていたとのこと。

4)7月26日は男性容疑者が勤務する札幌市東区の病院にも家宅捜索が入りました。使っていたロッカーや机などを調べたものと見られるとのこと。

5)事件前、女性(29)容疑者と男性容疑者は、自宅近くの量販店で「のこぎり」などを購入。

7月27日報道
1)捜査関係者によると、女性(29)容疑者と死亡した男性は、事件前からススキノの飲食店で会うなど面識があったとのこと。

2)査関係者によりますと、女性(29)容疑者とみられる人物は、夏場にも関わらず入室時に黒っぽい手袋を着用していて、室内から女性(29)容疑者の指紋が検出されなかったとのこと。

3)女性(29)容疑者と被害者の男性(62)が事件前の5~6月に、市内の繁華街・ススキノの飲食店で会っていたとのこと。

4)捜査関係者によりますと、女性(29)容疑者は男性との間にトラブルを抱えていて、同居する母親の女性(60)容疑者も娘のトラブルを把握し、計画段階から犯行を認識していたとみられているとのこと。

7月28日報道
1)男性の頭部が親子の自宅浴室から見つかっていたとのこと。

2)捜査関係者によると、北海道警が24日に自宅を捜索した際、2階浴室で一部腐敗した頭部が見つかったという。道警は歯型から、遺体で見つかった恵庭市の男性会社員(62)と特定した。

3)変装に使われた可能性のある金髪のウィッグなども押収したとのこと。
女性(29)容疑者が事件当日、着用していたとみられる黒っぽい服や金髪のウイッグも押収されていたとのこと。

4)現場近くの防犯カメラには女性(29)容疑者と父親の男性容疑者が乗ったとみられる車が逃走する様子が映っていたとのこと。

5)自宅の2階にある浴室から被害者の頭部が腐敗が進んだ状態で見つかっていた。

7月29日報道
1)女性(29)、男性、両容疑者が事件前、札幌市内の量販店で金髪のウィッグ(かつら)を購入していたとのこと。

2)道警は先に退室した人物が女性(29)容疑者とみており、ホテル直近の防犯カメラには退出からおよそ10分後、男性容疑者の車が走り去る様子が映っていたとのこと。

3)関係者によりますと、女性(29)容疑者と男性は5月下旬、ススキノのダンスクラブで知り合ったとみられ、その後複数回接触していたとのこと。
警察は2人が出会ってから1か月ほどでトラブルとなり、事件に発展したとみて、両親が関与した経緯を含め調べを進めているとのこと。

7月30日報道
1)逮捕された29歳の女と59歳の父親は、事件前におもちゃのような“手錠”を購入していたとのこと。
手錠は、価格が安いおもちゃのようなもので、男性容疑者のクレジットカードで購入されていたとのこと。

2)その後の調べで、別の複数の刃物や金髪のウイッグも同じ量販店で購入し、防犯カメラに2人の店内の様子、男性容疑者のクレジットカードの使用履歴も残っていたとのこと。

7月31日報道
1)持ち去られていた男性の所持品の一部が、逮捕された親子の自宅から見つかっていた。

2)被害者男性はディスコイベントでは有名な人(2週間に1回くらいは見ていました。)

「毎週末金曜日か土曜日どっちか来ている。お酒を飲みつつ座っている女の子に声をかけていた」

8月1日報道
1)容疑者らの自宅からは被害男性の所持品の一部が見つかっていました。その中には男性が事件直前に参加していたディスコイベントで着用していた衣装などが含まれていたとのこと。

時系列
2023年
05月下旬 女性(29)容疑者と男性が知り合う。その後、複数回会う
06月下旬 女性(29)容疑者と男性がトラブルとなる。
その後、のこぎり、刃物、ウィッグ等を購入する。(時期はASKAの推定)
07月01日(金)
被害者は現場近くのディスコ・イベントに参加
22:50頃 二人が現場ホテルに入室

07月02日(日)
02:00頃 被害者と一緒に入室した人物がフロントに電話して退室
02:10頃 男性容疑者の車が走り去る様子が防カメに映る。
15:00頃 札幌市中央区南8条西5丁目のホテル2階客室で男性が倒れているのを従業員が発見。

07月03日(月)
夜    被害者の妻が行方不明届けを出す。

07月24日(月)
女性容疑者(29)を逮捕
共犯者で父の精神科医、男性容疑者(59)も逮捕
家宅捜索で腐敗が進んだ頭部を浴室で発見。

07月25日(火)
母親の女性(60)も死体損壊と死体領得、死体遺棄の疑いで逮捕

とりあえず、こんなところですね。
(時間が無いので、とりあえずデータを羅列しただけになってしまいました m(_ _)m)

この事件で私が興味を持っているのは、女性(29)容疑者の父親の存在です。
父親は精神科医でかなり優秀な医師であったようですね。
その職業から、この男性容疑者は「論理的な思考」や「合理的な思考」を日常的に行っていると私は考えています。

その男性容疑者はなぜ?あるいはどんな気持ちで、この事件に加担してしまったのか?と言うところですね。
なので、合法的にトラブルを解決する方法も当然、選択肢にあったはずです。
あるいは、父親(男性容疑者)は殺人事件となる事を知っていたのだろうか?と言うのも疑問です。
これは母親(女性(60)容疑者)にも言える事なんです。

いまのところの報道では、全て知っていて加担したと言う報道が大半ですが、そのあたり、私は疑問を持っています。

まー、例えば、父親として家族を守る為に犯行を実行したのだとすれば、逆にどうして「家族」を巻き込んでいるのか?と言うのも疑問です。

この事件は、見る角度によって、全く別の事件(動機)に見えてしまう事件なんですよね。
なので、怨恨が動機とは限らないかもしれません。
この事件を読み解く鍵は女性(29)容疑者の個性(人格)なのかな?と言う気がしています。

事件の背景や私なりの見解などについては、次回にでも書いてみる予定です。

参考リンク
北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その2(人物像)

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2023/08/09

埼玉県熊谷市晴見町女性殺人事件その4(一審判決)

一審判決は懲役9年(求刑:懲役10年)です。

***初公判(23年2月20日)***
1)起訴状などによりますと、被告(33)はおととし9月、熊谷市見晴町のアパートの一室で、当時27歳の女性の首をしめて死亡させた障害致死の罪に問われている。

2)被告は「けい部を圧迫する暴行を加えていないし、死亡させてもいない。事実誤認であり、えん罪です」と無罪を主張した。

3)冒頭陳述で検察側は、女性の体から、女性と被告の混合DNA型が検出されていることをあげたうえで「被告が被害者の家を出た直後に、自身のSNSのアカウントを削除するなど、犯人でなければとらない行動をしている」などと指摘した。

4)弁護側は「女性の自宅からは、被告以外の第三者のDNAも検出されている。また被告と女性は、おととし6月にSNSで知り合ってから3回会っただけで、関係は希薄であり、犯行の動機がない」と主張した。

***論告求刑公判(23年3月2日)***
1)検察側は、女性のパジャマの襟から女性と被告のDNAが混ざったとみられるものが検出されているほか、事件のあとLINEのアカウントを削除したり、帰り道では直進すればいいところをわざわざ遠回りするなど、被告が犯人しかとらないであろう行動をとっていると指摘。その上で「窒息死するまで絞め続けた犯行態様は危険で悪質。不合理な供述に終始し、反省の情がない」として懲役10年を求刑したとのこと。

2)弁護側は女性のパジャマの襟からは、被告のものではない第三者のDNAが検出されているほか、被告のDNAが付着する機会も首を絞めるときだけではないと反論。そして、「証拠がない。動機もない。ほかに犯人がいる可能性すらある。ありえません。無罪です」と無罪を主張したとのこと。

3)最終意見陳述
検察官の質問を拒否した理由を「あらぬ疑いをかけたひとから、さらに疑いをかけられるのが我慢できなかった」と述べたとのこと。

***判決公判(23年3月10日)***
1)裁判長は懲役9年(求刑・懲役10年)を言い渡した。
「頸部(けいぶ)を圧迫する行為自体が相当危険で悪質な行為。動機や経緯は不明だが、被告に汲むべき事情があるともいえない」などとして、懲役9年を言い渡したとのこと。

2)裁判長は判決理由で、被害女性のパジャマから女性と被告の混合したDNAが検出されたことや、被告が事件当日に被害者宅を出た直後に女性との通信アプリのトーク履歴を含む同アカウントを削除したなどの理由から、被告人の犯行を「疑いなく認めることができる」と指摘。「不合理な弁解をするなど一切の反省は認められない」と強調したとのこと。

別の報道では
「被告が女性の自宅を出発した後、LINEのアカウントを削除し、熊谷市のニュースを検索するなど犯人性を推認させる行動をしている」などとして、被告の犯行と認定したとのこと。

***補足***
公判情報がかなり少ないので、補足します。
このあたりはFRIDAYが詳しいですね。

気になるところをピックアップすると
2月24日被告人質問
1)被害者女性との出会いは21年6月、SNSアプリのメッセージで知り合う。
2)事件当日の9月3日に女性宅を訪問、逢うのは3回目
3)女性が亡くなったことはニュースで知ったと証言しているが、逮捕時の取り調べでは「女性が殺害されたことはいま知りました」と食い違う供述をしている。

4)検察官の質問には「黙秘」している。

こちらはいつの証言か不明です。
他に実は、事件当日の9月3日に事件現場の被害者女性宅を訪問看護師が訪問している事が証言されてますね。
この時、被告は部屋の中にいたんです。
この時の状況が被告の証言と、訪問看護師の証言で食い違っているのも気になりますね。

被告の証言
「部屋でタバコを吸いながら話していると、敷布団の上に座っていた女性が突然、奇声を上げ始めました。怒り狂ってるような声です。「大丈夫?」と声をかけましたが、まったく反応がありません。そのうち、布団に顔を押し付けるようにして泣き始めました」この後、状態が変わらない為、被告は部屋を出て帰宅したと言う事ですね。

訪問看護師の証言
「女性の部屋に到着すると、悲鳴のような声が聞こえたんです。状態がよくないんだなと思って、インターホンを鳴らし、「大丈夫?」と声をかけました。ドアに耳をあてると、「ドンドン」という体をぶつけるような音が聞こえ、「オエ、オエ」という声が2回ほど聞こえました。さらにインターホンを鳴らし続けると、カチャッという金属音がして、ドアチェーンをかけられたと思いました」

これまでにもドアを開けてもらえないことがあったため、訪問看護師は訪問伝票をドアポストに入れ、その日は帰ったとのこと。

こんなところですね。
こちらもどんな事情があるのか、報道が少ないですね。
要約すると、被告人は冤罪を主張したが、裁判長はそれを認めず、被告の犯行を認定したと言う事ですね。
まー色々とつじつまが合うように証言と言うか、言い訳をしたけど、その不自然さを払拭できなかったと言うあたりでしょうか。

私としては素朴な疑問なのが、SNSで知り合って実際に逢うのが3回目と言うレベルの男性を一人暮らしの女性の部屋へ上げるのかな?と言う点です。
前の2回で女性の自宅に遊びに行き、公園を散歩したり一緒にお酒を飲んだりする関係になったと言う事なんですが・・・

女性は職業不詳と言う事なので、安定した仕事をしてなくて、経済面で不安があるなら、外食などは避けると言うのもありそうなんだけど・・・
これがいわゆるデートと言う事なら、食費その他もろもろは男性側が負担してくれると言う事であれば、自宅で「飲む」は無いんじゃないかな?と思うのですが・・・
一方で被告側は東京在住の派遣社員です。こちらの経済状況もはっきりしませんが、一般的な非正規社員と言う見方だと経済的に厳しい面はあったかもしれませんね。
それで、「家飲み」にしたかったと言うのは有りのような気もしますが・・・・
だけど、レンタカーを使ってるんですよね。これって飲酒運転になるから、普通に考えれば、女性の家に泊まるのが前提なんじゃないかな?
まー泊まるのは無いとしたら、ホテルを使う?でもホテル代があるなら、それは外での飲み代にするんじゃないの?
そもそも、お金を使ってレンタカーを使う理由があるのかな?
車じゃなきゃ行けないほどの田舎?・・・あり得ない。
現場はJR熊谷駅から西に約1キロの住宅街だからね。

ありそうなのは、終電を気にせず遊びたいと言うあたりだろうか?
でも、結局、飲んだら車で帰れないから、終電を気にしたわけじゃないよね?
ドライブでもしたかったのかな?でも、結局、部屋で飲んでしまったらそれもできないんですけどね・・・

まー気になるけど、ここは、考えても答えが出ない部分だから、スルーしましょう。

事件の真相は何も解明されてないけど、一つ言える事としては、交際相手は選びましょうと言う事でしょうか。
SNSで知り合ったと言うのは、現代なら普通にある事なので、それはよしとしても、実際に逢うまでには、それなりに相手の人となりを理解したり、理解できなくても観察した上で逢った方が良いかもしれませんね。
逢う場合も、1対1じゃないとか、1対1なら、普通に人の目のあるお店を使うとかね。

私としては恋愛については少し、臆病なぐらいが良いのかな?と思っています。

それから、罪状が傷害致死で殺人でない点ですが、殺意を立証できないと検察側が判断したんでしょうね。
とは言え、この手の事件だと窒息死するまでおよそ5分間、首を強く締めているので、死んでも良い(未必の故意)と言う事で殺人罪にするのが多い気がしますけど、今回はそれを採用してないですよね。これは首を絞めたのではなく「頸部圧迫による窒息だから」殺意が立証しにくいと言う事だったのかな?

亡くなった女性のご冥福をお祈りします。

参考リンク
埼玉県熊谷市晴見町女性殺人事件その3(逮捕起訴まで)

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茨城県日立市田尻町妻子6人殺人放火事件その3(控訴審判決)

***第二回公判(23年2月15日)***
被告人質問:弁護側

被告は、妻子6人を殺害した動機や方法の記憶があるかどうか弁護人に問われ、いずれも「ないです」と繰り返した。事件で使用したナイフやロープ、ガソリンを購入した記憶もないと語ったとのこと。

弁護側は「被告は記憶を喪失し、訴訟能力が認められない」として一審判決を破棄して差し戻すよう求めた。「被告は、自らの記憶に基づき防御する機会を与えられるべきだ」と主張したとのこと。

***判決公判(23年4月21日)***
東京高裁は21日、被告側の控訴を棄却する判決を言い渡したとのこと。
裁判長は「残虐な犯行で、死刑が不当だとする事情を見いだせない」と述べたとのこと。

被告側は「被告は起訴後の勾留中に病気で倒れて事件当時の記憶を失い、裁判に対応する訴訟能力がなかった」と主張していた。

判決理由で裁判長は、「被告は記憶を喪失しているものの、物事の理解力や判断力、意思疎通能力が障害されている様子はうかがわれない」と指摘。一審の公判時も弁護人の援助を受けることで、被告としての利害を認識し、自身を守る訴訟能力はあったと結論付けたとのこと。

そのほか、弁護側が主張していた事実誤認や量刑不当についても「一審判決の認定、評価に誤りはない」などとして退けたとのこと。

別の報道では
裁判町は「量刑が重すぎて不当であるとする事情を見いだすことはできない」と結論付けたとのこと。

弁護側は「被告は記憶を喪失し、訴訟能力が認められない」として法令違反を訴え、一審判決を破棄し差し戻すよう求めており、判決を不服として即日上告したとのこと。

こんなところですね。
控訴審なのですが、報道はあっさりしていましたね。(私が見逃していたと言うのもありますが)
さて、量刑が重すぎると言う被告側の主張はやはり客観的にみて認められないですね。
3歳から11歳の子ども5人を含む6人を殺害してますから、死刑は当確と言って良いでしょうね。
記憶喪失と言うアクシデントがなければ普通に死刑でしょうね。
この事件では、記憶喪失と言う点で、訴訟能力が無いと弁護側は主張していたわけですが、判断能力やコミュニケーションにも問題無いのであれば、これも問題ないでしょうね。

即日上告してますから、次は最高裁ですね。

参考リンク
茨城県日立市田尻町妻子6人殺人放火事件その2(一審判決)

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2023/08/08

愛媛県今治市女性ドライバー殺人事件その2(差し戻し審判決)

詳細の前にここまで経緯をまとめると
時系列
2018年
02月13日 遺体を発見。
02月14日 同僚の男性を緊急逮捕。
02月15日 殺人容疑で送検。
10月16日 一審初公判
11月13日 一審判決懲役19年
猥褻目的を認定せず。(強制猥褻致死ではなく、殺人と強制猥褻罪)
11月27日 検察と弁護側双方が控訴

2019年12月
2審判決 致死罪が認定されなかった点を是認できないとして1審判決を破棄し審理を地裁に差し戻した。
差し戻しの理由の中で、高松高裁の裁判長は「殺人罪と強制わいせつ致死罪の成立を前提にするのが相当」と述べたとのこと。

2020年07月
最高裁は高裁判決を不服とする被告側の上告を棄却する決定をし地裁への差し戻しが確定した。

要約すると
高裁と最高裁は事実認定に誤りがあるとして裁判のやり直しを命じていたと言う事ですね。(猥褻目的だったと指摘)

2022年
12月05日 差し戻し審、初公判
被告は起訴事実について「弁護士に一任すると」述べた。
弁護側は殺害については認めたが、当初から猥褻目的は無かったと強制猥褻致死罪については否認した。
また、被告が女性にわいせつな行為をしたとされる点について、弁護側は「服をめくり上げたのは、心音確認と心臓マッサージのためだった」と全面的に争う姿勢を示したとのこと。

冒頭陳述で検察側は、被告がLINE(ライン)で女性にメッセージを送ったり、女性のトラックを無償で修理したりするなど好意を寄せていたと指摘。「一方的な好意から被害者にわいせつ目的で暴行した」と述べたとのこと。

***以下はタイミングが分からない情報です***
(初公判から論告求刑までの間の証言と思われます)

証人尋問:被告の母親
被告の性格
注意をした際に急に興奮することがあり、特に女性のかん高い声や怒った声に反応することが多く、自身も尻を「けられた」ことがあったと証言。10年ほど前には、被告から受けた暴力が原因で病院を受診したことがあったと述べたとのこと。

被害者への弁償について
用意した弁償金は300万円とのこと。
「はした金かもしれないが、遺族に対して精一杯かき集めた」とのこと。
その上で「被害者の家族に申し訳ない、したことを一生償って欲しい」と被告への思いを述べたとのこと。

被告人質問
14歳になると、障害者の自立支援などを行う福祉施設に入所した。共働きの両親は、1日中面倒を見ることができなかったと、その理由を説明したとのこと。

その後の、5年間にわたる障害者福祉施設での生活の中でも、話すことのできる友人はできなかったのこと。この施設からは、脱走して退所したとのこと。

社会人になってからは、職を転々としてきたとのこと。
「怒るとセーブが効かなくなる性格」が災いして、人間関係のトラブルが絶えなかった。友人ができることはなく、女性との交際経験もないとのこと。

「なぜ人を殺してはいけないと思う?」
裁判官の問い掛けに、「法律で決まっているから」と述べた。

意見陳述:被害者の母親
「控訴審に一度も出廷しなかったのはなぜか。理由が分からない、本当に無責任だ」
「今年1月になって、初めて反省文を受け取った」
「事件からの5年間、裁判での「嘘」に苦しんだ。奈落の底にいると感じた」

5年前に行われた最初の裁判で「犯行当時の記憶が無い」と証言していた被告は、差し戻し裁判で一転「記憶が戻った」とした上で「被害女性との仕事上のトラブルに腹を立てたことが犯行に及んだ理由」と述べ、性的な目的については否定していたとのこと。

「被告が示した障害年金で被害弁償について、ふざけるなと思った。人の命を何だと思っているのか。罪を認めて欲しい」
「たった懲役19年というのは受け入れられない。わいせつ目的が無かったというは信じられない」

「死刑以外にはあり得ないと思う」
***ここまで***

2023年
03月03日 論告求刑公判
検察は「わいせつ目的で暴行したことは明らかで、犯行は自己中心的で極めて悪質だ」と指摘し、無期懲役を求刑したとのこと。

検察官は、被害者の遺体を調べた医師の証言を元に「被害者が死んだと思い、運搬する目的で首にタイツを巻いて引っ張った」とする被告の証言は「全く信用できない」と述べたとのこと。
さらに、検出されたDNA型などから、わいせつな行為があったと主張。
「心臓マッサージをした際に、指をなめた」とする被告の証言も否定したとのこと。

また、「被害者とのやり取りからイライラを募らせて暴行に及んだ」とする動機についても「好意を抱いていた被害者に対して、死亡させる危険性のある暴行に及ぶというのは飛躍であり不自然で信用できない」と指摘したとのこと。
「当初からわいせつ目的があり、被害者の抵抗を排除するために、両手で首を絞め付ける暴行を加えた」と主張したとのこと。

タイツで首を絞め付けたのは、面識のある被害者へのわいせつな行為を隠すための「口封じ」だったとして、被告には殺人と強制わいせつ致死が成立すると締めくくった。その上で、被告に無期懲役を求刑したとのこと。

これに対して弁護側は殺人罪については認めたうえで、「暴行は衝動的なもので、わいせつ目的ではなかった」などと刑を軽くするよう求めたとのこと。

別の報道では
殺人についての争いは無いとした上で、「わいせつの意図は無かった」と述べ、強制わいせつ致死の成立については否定した。
その上で、記憶を取り戻したと証言する被告が「思い出したことを反省している」ことや、「軽度の知的障害を抱え、自閉症傾向があり、感情の制御が難しい」といった事情、さらには被告が障害基礎年金から弁償金を支払おうとしていることなど、酌むべき事情を挙げ「懲役15から16年程度の判決が相応」と述べたとのこと。

最終意見陳述
被告は、紙を手に証言台に立ち、その内容を読み上げたとのこと。

「ひどい暴行をしてしまった、大変申し訳ないことをした」
「楽しい日々をできなくした、大変申し訳ない」
「弁償や服役など、罪を償いたい」
「しかし返って来ることはない、申し訳ない」
「逆の立場なら絶対に許せない」
「真剣に向き合って罪を償う」
「短気な性格と向き合って直していきたい」

03月10日 判決公判
裁判長は、起訴内容を全面的に認め、被告に求刑通り無期懲役の判決を言い渡したとのこと。

判決の中で裁判長は、一連の犯行について「強い殺意に基づいた、被害者の尊厳を踏みにじる極めて悪質で残忍な行為」「ドライブレコーダーの消去など罪証隠滅行為は卑劣」と非難したとのこと。

判決理由

「被害者は30歳という若さで突如生涯を閉じることを余儀なくされた」
「新居を構え、ゆくゆくは子どもを授かり夫とともに温かい家庭を築くことを思い描いていたのに、被告の手によってその未来を奪われた」
「わいせつな行為により尊厳は大きく踏みにじられた」

「被告には自閉傾向を含む軽度知的障害があり、一般的に衝動を抑制しにくい側面があった」と認定した上で、運転手として働くなど通常の社会生活を送っていたことや、犯行時には証拠隠滅行為を取っていたことなどを挙げ「障害が犯行に与えた影響は限定的で、被告のために大きく考慮することができない」と指摘。

その上で、「被害者に落ち度があるような弁解を繰り返し、自らの犯した罪に真摯に向き合うことができているとは言い難い」「謝罪の言葉は表面的」「事件から5年近くが経過してようやく書き上げた謝罪文に弁解を記載するなど、遺族らの感情を逆なでした」と言及。
反省は不十分と言わざるを得ないと結論付けたとのこと。

別の報道では
裁判長は「(女性の)尊厳を踏みにじった極めて悪質で残忍な犯行」と述べたとのこと。

被告側は、わいせつ目的や行為はなく、殺人罪のみが成立すると反論し懲役15、16年程度が相当と主張。判決は、女性の体に被告の唾液が付着していたことなどを挙げ、わいせつ目的や行為があったと認定し、強制わいせつ致死罪は成立すると判断したとのこと。

23年3月24日、被告はこの判決を不服とし、控訴期限の24日に高松高裁へ控訴したとのこと。

こんなところですね。
前回の記事のコメントで一審判決について記載しているのですが、精神障害と知的障害の言葉が混同されていたようです。
今回、改めてそのあたりの情報を見ると。

一審で弁護側は殺意を否定した上で、「被告には軽度の知的障害があり、犯行当時の精神年齢は9歳程度だった」「ストレスなどで行動をコントロールできず、犯行当時の記憶も失っていた」「精神障害の影響で心身喪失状態だった」として、無罪を主張したとのことですね。

この文章が混同する原因なのかな?結局、知的障害と精神障害の両方あったと言う主張なのかな?

さらに情報としては
被告には自閉症傾向など、軽度の障害がある。
14歳になると、障害者の自立支援などを行う福祉施設に入所したとのこと。
その後の、5年間にわたる障害者福祉施設での生活の中でも、話すことのできる友人はできなかったとのこと。この施設からは、脱走して退所したとのこと。

結局、争点は「猥褻目的」かどうか?
一審判決では
「同僚の当時30歳の女性に対し殺意をもって首を両手で締めつけ意識を失わせた上わいせつな行為をし、窒息により死亡させた」
までは認定されてますね。

しかし、
「犯行当初からわいせつ目的があったかについては合理的な疑いが生じる」として強制わいせつ致死罪は成立せず強制わいせつ罪にとどまると言う判断を最終的にしています。

ところが、控訴審ではこの部分が
「殺人罪と強制わいせつ致死罪の成立を前提にするのが相当」となって否定され、上告も棄却されて、今回の一審差し戻しと言う事になりました。

私としては、一審で「猥褻目的が動機でない」と判断されたのが素朴な疑問ですね。

首を絞めて瀕死の状態->猥褻行為 と言う犯行の流れを考えれば、最初から猥褻目的と考える方が自然ではないのかな?
でも、一審では
「ストレスや女性への不満が蓄積して犯行に及んだものであり、両手で首を絞めた時からわいせつ目的があったとは認められない」
と判断されているところを見ると、首を絞めたのは「ストレスや女性への不満」が原因で衝動的に行った。
瀕死の状態の被害者に対しての猥褻行為をした理由は一審では報道されてないようですね。

でも、「最初から猥褻目的では無い」と言う事だから、首を絞めて瀕死の状態の被害者を見て、性的衝動が湧き上がってしまった。
と言うあたりが言い訳だったのかな?(ASKAの推測です)

でも、この言い訳はちょっと受け入れられないと思うんですよね。
殺意を持って首を絞めていて、おそらく瀕死の状態で、このまま放置すれば、確実に死亡するだろうと言う現場にいて、殺人犯になる直前の状態だと9歳レベルの知能でも理解できると思うんですよ。

その状態では証拠隠滅や逃亡といった逮捕されない為の行動をするのが犯人としては一般的だと思うわけです。
そう考えると、そうせずに、猥褻行為をした被告の行動が、猥褻目的では無いと判断された理由は・・・・
「知的障害があるから、逮捕される事を恐れなかった」と言う判断だったのかな?

しかし、裁判長は「精神障害の影響は限定的」とも言っています。

この事件で一審で被告は「犯行時の記憶は無い」と主張してましたが、差し戻し審では「思い出した」と言っているのが印象が悪いですよね。
事件の1年後に忘れていた事を5年経過してから思い出すと言うのが、違和感があります。

差し戻し審で裁判長も「被害者に落ち度があるような弁解を繰り返し、自らの犯した罪に真摯に向き合うことができているとは言い難い」「謝罪の言葉は表面的」「事件から5年近くが経過してようやく書き上げた謝罪文に弁解を記載するなど、遺族らの感情を逆なでした」と言及していて、私としては、「自分に都合の良い言い訳をするな」と言う事、悪く言えば「嘘を言うな」と言う事なんだろうと思うんですよね。

全体を通してみると、一審では被告に有利な判断がかなり多かった印象です。しかし、控訴審やその後の差し戻し審では、被告に厳しい判断が多いですね。
このあたり、一審の裁判員裁判でどんな審議がされたのか?ちょっと興味がありますね。
裁判記録でも読まないと、分からないかな。

私としては、1人死亡で罪状に殺人と「強」の字が一つ付いてますから、最高で無期懲役と考えると、最高刑となったわけで、妥当な判決だと思います。
ただ、もし、被告が素直に罪状を認めて反省の弁を述べていたら、「無期懲役」となったのだろうか?
求刑が無期懲役なので、少しでも減刑される要素があれば「無期懲役」には成らなかったかもしれませんね。

なので、この最高刑(無期懲役)は被告自身のこの事件に対する姿勢が呼び寄せた結果で、因果応報と言う事なのかなと思っています。
私は運命は信じてないのですが、こんな事を見ると、「運命と言うのはあるのかもしれない」と時々感じますね。

とは言え、被告側は控訴してますから、控訴審に注目しましょう。

参考リンク
愛媛県今治市女性ドライバー殺人事件
愛媛県今治市女性ドライバー殺人事件その3(差し戻し控訴審判決)

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2023/08/01

ちょっとだけ復帰します。

久しぶりに記事を更新しました。最後が1月だから7ヶ月も空いてしまいましたね。
とりあえず、無期限休養宣言はそのまま継続ですが、今年の山場は超えたので、少し更新を再開します。
とは言え、基本的に過去記事のフォローと、目立った事件のみ取り上げると言う事になります。

ではでは (^_^)/~

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白金高輪駅硫酸事件その8(一審公判)

判決は懲役3年6カ月(求刑:懲役6年)
補足
この公判では被害者秘匿の措置が取られ、被害者らの氏名は法廷で明かされず「Aさん」「Bさん」とされたとのこと。

被告は2つの罪で起訴されている。1つ目は、去年4月、大学の部室において、後輩の男性(以下「Aさん」)の両腕をつかんで転倒させ、顔面を拳で1回殴った暴行罪。2つめは、白金高輪駅の構内で、Aさんとは別の後輩の男性(以下「Bさん」)に硫酸をかけて、全治3カ月のけがをさせた傷害罪。

***初公判(22年9月20日)***
1)静岡市の大学生・男性被告(26)は、東京メトロ・白金高輪駅で知人の男性に硫酸をかけ、顔などに全治3ヵ月の重傷を負わせたとして傷害罪の罪に問われている。被告は起訴内容について「間違いありません」と認めたとのこと。

2)弁護人は量刑について審理してほしい旨を述べた。
弁護側は、被告は大学で入会した映画研究会で男性らと知り合い、趣味や容姿などをいじられたため心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負ったと主張。その後、大学を休学したが、自閉スペクトラム症の影響で「(男性らが)自分を探し出して殺そうとするかもしれない」と考えるようになり、襲撃に備えるために硫酸を準備したと訴えたとのこと。

別の報道では
弁護側は、「被告が大学時代、被害者らから個性的な趣味や性格、容姿などをいじられたり、からかわれることもあった」などと、事件の背景を説明したとのこと。

3)検察側は冒頭陳述で、大学で同時期に入ったサークルで知り合い、1学年下だった被害者が友達口調で話すことに対し、被告が「先輩と後輩の秩序を守ってほしい」と不満を伝えていたと説明したとのこと。

また、裁判では被害者の男性の「人生設計が大きく狂った。私の人生に二度と関わってほしくない」という供述調書も読み上げられたとのこと。

4)検察側は冒頭陳述で「レシート裏にやることリストを作り、『硫酸をかける』などと記入していた」ことを明らかにしたとのこと。

被告の自宅から見つかったというコンビニのレシートの裏には「やることリスト」、「硫酸をかける」など、犯行に至るまでの“やること”が書かれていたとのこと。

5)検察側は、被告が大学のホームページなどから男性の就職先を特定し、事件当日には男性の会社の周辺を数時間徘徊していたことを指摘したとのこと。

***補足***
これだけだと、事件の経緯が分からないので、補足します。
冒頭陳述や検察側請求証拠によれば、AさんとBさんは、被告が琉球大学農学部2年生の頃に入会した映画研究会の同期。だが学年は、被告よりも1つ下だった。

入会後に被告が先輩であることに気づいたAさんは「敬語で話したほうがいい?」と聞いたが「別にいいよ」と言われたため、タメ口で交流していたとのこと。

日本人の父親と中国人の母親との間に中国で生まれた一人っ子の被告は、2歳の頃に家族で来日したとのこと。

東日本大震災後に母親の意向で、再び中国に戻ったが、進学のために日本へ。中学生の頃から忘れ物が多く、高校に進学したものの、適応できなかったことから、中国に戻り、カウンセリングや漢方による治療を受けたのち、再び日本の高校に通い、琉球大学に進学したとのこと。

被告の父親は彼が高校生の頃、既に病死しており、映画研究会に入った翌年、母親も乳がんで亡くなった。その後、琉球大学を退学し、実家に戻り、静岡の大学に編入学する。(事件はその翌年)

母親が亡くなった年の夏の日の夜、被告は実家の前で“スマホを操作する若い男”を見かけたとのこと。その後、片付けができていない家の状態について叔父から、このような状態だと「不審者が入ってくる」と言われた。これをきっかけに、被告は被害者らのことを思い出したとのこと。(叔父は両親亡き後の後見人で月一度程度、被告の様子を見に来ていたとのこと)

そして「不審者を被害者らと結びつけ、被害者らが自分を殺しに来るかもしれないと不安に思うようになり、真意を確認しようと思った」とのこと。

被告はBさんにLINEで「泊めてほしい」と連絡するが、Bさんは卒論の真っ最中だったことや、被告からの連絡が真夜中だったこと、被告のLINEに「先輩と後輩の秩序を乱さないでほしい」などとも書かれていたことなどから「他を当たってください」と返信し、被告のLINEをブロックしたとのこと。

21年4月、映画研究会の部室で再会した。被告は、Bさんの居場所などを聞き出そうとしたが、Aさんは取り合わなかったという。そこで被告は、「おまえ、1年生の時の態度悪かったよな。土下座で謝れ」などと言い暴行を加えた。これが1つめの事件。

この後、AさんからはBさんの所在は聞き出せなかったものの、大学のホームページなどから、Bさんの就職先を特定した。被告の自宅から見つかったレシートの裏には「やることリスト」が書かれていた。その一番目に書かれていたのが「硫酸をかける」だったとのこと。

事件1カ月前の21年7月、被告はBさんと接触。BさんはAさんから暴行事件のことを聞いていたのでタクシーで逃げようとしたが、被告はタクシーにも乗り込んできた。被告は「自宅に来たか」などと聞くもBさんは否定。話をまともに取り合ってもらえなかったため、「Bさんに対する不安や恐怖感が一層高まった」とのこと。

この1ヶ月後に白金高輪駅での硫酸事件が起きます。

弁護側は、被告が自閉スペクトラム症とPTSDと診断されており、これらが事件に影響したと主張したとのこと。

事件の動機は「被害者らが自分を殺しに来るかもしれないという不安」にあるようですね。

***第X回公判(22年10月18日)***
被告人質問
<弁護側>
硫酸をかけた理由について弁護側に問われると「殺すことなく不快感を与えられる認識だった」と述べた。

<検察側>
検察側が硫酸の危険性を指摘すると「分からなかった」と述べた。

検察官はパソコンから「アシッドアタック」「濃硫酸・希硫酸 違い」「硫酸 顔」といった検索履歴が見つかったと指摘。それでも被告は「詳しくは覚えていない」と答えた。

<裁判長>
「理科の授業で危険かどうか教わった記憶はないか」と問われると「どのように危険か具体的には聞いていません」と答えた。

裁判長:危険な物質であることは?
被告:硫酸が危険とかは聞いたことがなかった

<不明>
1)被告は男性に硫酸をかけた時のことを問われると「二度と関わらないで欲しいという警告の思いだった」と述べた。

2)被告は「硫酸が危険なものとは知らなかった。かけられると腫れたり、ヒリヒリして不快感を感じる程度のものだと思っていた」と述べた。

***第X回公判(22年10月20日)***
証人尋問:被告の精神鑑定を担当した医師
医師は「被告に刑事責任能力に問題はない」と判断している。そのうえで犯行当時、自閉スペクトラム症とPTSDを有していたと診断したとのこと。

これらの影響で一つのことに固執する傾向があり、ため込んだ感情を爆発することがあるとのこと。被告の場合は「AさんやBさんが家に来たのか確認したい」という思いにとりつかれたことになるとのこと。

またPTSDにより、過去に殺されそうになったAさんやBさんへの“おびえ”が強い状態だったとのこと。そのような状態で、Bさんに直接会った被告は、「家に来たかどうか」を確認したが、Bさんが「しらばっくれた態度を取った」と誤解したとのこと。

その結果、「何かされるかもしれない」という思いが高まり、こうした“おびえ”を排除するために、硫酸事件を起こしたと指摘したとのこと。

また、「今は落ち着いているが、AさんやBさんへのおびえが癒えているか分からない。誰かサポートする人がいないと、同じような事件や社会問題を引き起こしかねない」とも証言したとのこと。

***論告求刑公判(23年1月11日)***
<検察側>
検察側は論告で、被告は高濃度の硫酸を自作して、職場から出てくる男性を約3時間待ち伏せしたと指摘。男性の顔などに残るケロイドの後遺症は一生にわたるとし「被告の刑事責任は重い」とし、懲役6年を求刑した。

<弁護側>
護側は「被告は内省を深め、被害弁償もしている。社会内で更生の道を歩ませるべきだ」と主張した。

別の報道では
弁護側は対人関係が苦手な発達障害の影響もあって被害者らのからかいの対象となり、不安や恐怖心を解消するため事件に及んだとして、執行猶予付き判決を求めた。

<被害者の意見陳述?>
被害者の心情を代理人弁護士が読み上げ、「今も後遺症に苦しみ、腕などにケロイドの痕があって真夏でも半袖になることができない」「厳しい罰を与えてほしい」と訴えた。

***判決公判(23年2月28日)***
1)東京地裁は2月28日、懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡した。

2)裁判官は2月28日の判決公判で「相当なダメージを与えようという強固な意志に基づいて犯行を計画し実行したと認められる上、自らの行為の違法性を十分に認識していた」と指摘し、被告に懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡したとのこと。

3)判決の理由について「相当なダメージを与えようという強固な意志に基づいて計画し実行した、かなり悪質な犯行」とした上で、公判で「被害者と二度と接触しない」と述べ、被害弁償の一部として800万円を支払うなど慰謝の努力がみられること、また、更生支援計画が策定され、親族による支援なども見込まれることなどを考慮したとのこと。

こんなところですね。
まずは第一印象として、求刑が懲役6年で、判決は懲役3年6ヶ月と、求刑も短いし、判決はさらに短い印象はありますよね。
つまり、刑が軽い印象です。
まー、傷害だけで半身不随になるような重度の後遺症も無いし、賠償金も支払っているとは言え、求刑が6年ですからね、もし賠償金を支払ってなかったとしても、最長でも懲役6年なんだと思うと、被害者側からしたら、「そんなはずない」と言う事になると思います。(私なら感じると思う)
でも、法律的には正しいのでしょうね。
どの事件でも、罪と罰のバランスが気になるけど、この事件については、これで良いのか?と思いますね。
まーこのあたりは法律の専門家にお任せするしかないのでしょうけど。

さて、別の視点でこの事件を見ると、被害者側からすれば、「なぜこうなった?」と言う思うが強いと思うんですよね。
結局のところ、動機は「大学時代のイジリ」への反感(恨み)と不審者の不安ですよね。
特に「不審者の不安」は、被害者には全く関係が無い事なので、「どうしてこういなる?」と言う事でしょ?
大学時代の「イジリ」にしても、悪意があったとは思えないですし、「タメ口」の件も本人に許しを得ての事だから、被害者側としては、「悪い事」とは認識してないと思うんですよね。

何が言いたいかというと「ある日、突然、昔の知り合いが自分を襲いにくるかもしれない」世の中なんだなと言う事ですね。
この事件を被害者側で予測して防ぐ事はかなり難しいですよね。
Aさんの傷害事件があったので、被告が怪しい危険な人物と言うのはBさんにも、Aさんから伝わっていたようですが、それでも、防げませんでした。
私は以前から書いてますが、悪意を持った犯人の犯行を止める事はできないと思っています。
守る側は全ての攻撃を防がないといけないけど、犯人はただ一度、攻撃を成功させれば良いだけですからね。

この手の事件では毎回書いてますが、犯人の側で事件を防ぐ方法を実行しないと、事件は防げないと思うわけです。
思いつく方法としては二つ
1)本人が自分の特性(自閉スペクトラム症)を理解して、認知療法などを行う。
  問題は、自分で自分自身の特性を理解する機会があるのか?と言う点です。自分で自分がそうかもしれないと判断できれば良いですが、ちょっと難しいのではないか?と思っています。特に、普段一緒に生活する家族が居ない独居状態だったり、社会生活が研究などで他者とのコミュニケーションが少ないような生活環境では、他者から指摘される事も無いですよね。それに、被告が行き着けの喫茶店のママさんも、被告については「優しい子」として評価していて、短時間の接触時間では、被告の特定に気付くのは難しいと思います。
まー、そもそも、被告の特性が発現する条件が厳しくて、普通に生活しているだけでは、発現しない可能性もありますよね。

2)定期的なメンタル面の点検を行う。
  自分や周囲が気付かない、自分の特性やメンタルの問題をなんとか抽出しないと、事件を防ぐ事ができないので、ここは定期健康診断にメンタルの健診も含める。メンタルの問題では、10代後半に発症したりする物もあるようですが、生まれつきの物であれば、幼少期からその特性は強弱は別にして現れていると思うわけで、小学校、中学校なら義務教育で通学している可能性が高いですから、この期間でもメンタルの健診を行う事で問題の芽を早い時期に見つける事ができるかもしれません。
  問題を発見したとして、それをどう扱うのが正しいのか?と言う別の問題も出てきますけどね。
ただ、今でもこの手の健診と言うか判断はある程度されていて、支援学級や特別支援学校などへの勧めと言うのはあると思います。
(障害とメンタルの問題はちょっと違いますけどね)
問題は「ボーダー」上の子の判定や扱いは難しいかもしれないですね。

被告の小中時代はどうだったのだろう?中学時代から「物忘れが多かった」と言う情報はあるけど、これだけでは、判断できないと思うな。
他には暴力的だったと言う一部報道があるけど、仮にそうだったとしても、それだけでも判断は難しいような気がしますね。

結局のところ、基本的なスクリーニングでヒットしないと、そもそも、治療もできないわけですよね。

そうすると、一般論としては、「変わった人」とは距離を置こうと言う、ありふれた対策しかないと言う事になりますね。
学生なら付き合う相手を選べるだろうけど、社会人として組織や地域の中だと、嫌でも付き合う人はいるから、「細心の注意をしましょう」としか言えないかもしれませんね。

とにかく、「いつどこで誰に襲われるか分からない」世の中です。
注意するに越した事はありませんね。

参考リンク
白金高輪駅硫酸事件その7(鑑定留置まで)

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神奈川県横浜市3歳女児重傷火傷放置事件その2(母親の傷害容疑で起訴まで)

補足
前回(2019年)の裁判で裁かれたのは病院につれていかず放置した罪についてで、今回は火傷を負わせた容疑です。

1月11日報道
大やけどをした3歳の長女にラップを巻いて放置した疑いで約4年前に逮捕された母親が、長女にやけどを負わせた容疑でも逮捕されたとのこと。
当初、女性容疑者は「シャワーを浴びた際に誤って熱湯をかけてしまった」と説明していた。その後も警察がやけどの経緯を調べ、女性容疑者の関与が浮上したとのこと。

1月12日報道
1)警察が長女の大やけどが背中や腰など広範囲で傷が深いことなどから、自分で熱湯をかけた際にはできないと判断し、容疑者による犯行と特定していたとのこと。

2)別の報道では
警察は「専門医への聞き取りなどから容疑者が長女に熱湯を浴びせかけたと判断した」としているとのこと。

1月31日報道
横浜地検は31日、傷害罪で容疑者を起訴した。起訴状によると、被告は19年3月1日ごろ、鶴見区の自宅浴室で長女に対し、背中などにシャワーで高温の湯をかける暴行を加え、加療約3カ月を要するやけどを負わせたとしているとのこと。

4年越しでの傷害容疑での逮捕起訴ですね。
あの事件から子供達がどうなっているのか?そちらの報道もお願いしたいですね。

公判を待ちましょう。

参考リンク
神奈川県横浜市3歳女児重傷火傷放置事件
神奈川県横浜市3歳女児重傷火傷放置事件その3(母親の傷害容疑一審判決)

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