« 滋賀県愛荘町同居男性殺人事件その3(女性被告の一審判決) | トップページ | 福岡県田川市1歳男児エアガン虐待死事件その5(父親の控訴審判決まで) »

2023/09/15

滋賀県大津市妹虐待死事件その3(母親の覚醒剤使用の一審判決)

判決は懲役2年4月(求刑懲役3年)

2年前の事件になります。
***補足***
6歳女児が同居の兄に虐待されて死亡した事件に絡んで、自宅の家宅捜索で違法薬物が見つかったことから、母親による薬物所持の疑いが浮上し、県警が母親を逮捕した事件です。
***ここまで***

21年夏に大津市の無職少年(18)が自宅で妹=当時(6)=を暴行し死亡させた事件に絡み、同居していた兄妹の40代の母親が事件当時、覚醒剤や大麻など複数の違法薬物を所持していた疑いが強まったとして、滋賀県警が覚醒剤取締法違反(所持)などの疑いで、母親を逮捕していた。(21年11月10日報道)

捜査関係者によると、母親は7月下旬~8月上旬ごろ、麻薬を使用した疑いが持たれている。県警が尿検査を実施して鑑定したところ、違法薬物の陽性反応が出たとのこと。

母親は8月上旬、大津市内の自宅で覚醒剤や大麻など複数の違法薬物を所持した疑いで、11月4日に逮捕された。母親は「自分の物ではない」と否認を続けているとのこと。(21年11月25日報道)

***初公判(22年02月03日)***
1)母親は「薬物が家にあるとは思っていませんでした。ケタミンは使っていません」と起訴内容を否認。

2)弁護側は無罪を主張した。

3)検察側は冒頭陳述で、母親の尿からケタミンが検出されたと指摘。自宅からは母親の血液や薬物が付着した注射器16本が見つかり、母親の指紋が付いた袋に薬物が入っていたと述べたとのこと。

4)起訴状によると、母親は21年8月初旬ごろ、ケタミンを所持・使用した他、大麻や覚醒剤を所持したとされるとのこと。

***再逮捕(22年02月12日)***
1)滋賀県警大津署などは12日、覚醒剤取締法違反(所持)などの疑いで、同居していた介護職の母親(41)=覚醒剤取締法違反などの罪で公判中=を再逮捕した。母親は「私のものではない」と容疑を否認しているとのこと。

2)再逮捕容疑は昨年11月5日、大阪市浪速区内で覚醒剤と大麻を所持した疑いとのこと。

***第?回公判(22年09月02日)***
保護処分となった少年は今年9月2日、母親の公判に証人として出廷し、「母親が違法薬物を持っているのは見たことがない」と証言したとのこと。

別の報道では
少年は自分の尿を避妊具に入れて母親に渡したなどと証言した。その上で「僕が妹を亡くしてしまったから、ごめんとしか言いようがない」と述べたとのこと。

***論告求刑公判(22年11月11日)***
1)検察側は論告で「薬物事件などで長期間服役したにもかかわらず性懲りもなく使用し、規範意識の鈍麻は顕著だ」と指摘した。検察は懲役3年を求刑したとのこと。

2)弁護側は「娘の死後に友人からもらった薬が違法薬物だったら遺体に会えなくなるので、息子の尿を隠し持って警察に任意提出した。(違法薬物が検出された)尿は被告のものではなく、自宅から見つかった薬物は出入りしていた第三者のものの可能性がある」と主張したとのこと。

***判決公判(22年12月12日)***
1)、大津地裁は「薬物との親和性が高い」として懲役2年4月(求刑・懲役3年)の実刑判決を言い渡したとのこと。

2)判決で裁判官は、少年は妹を暴行した事件の捜査段階ではそうした証言をしておらず、尿を手渡した前後のやりとりも覚えていないと指摘。「妹を亡くして申し訳ない気持ちから母親をかばう証言をする動機がある」として証言は信用できないとした。そのうえで、自宅から母親の血液と違法薬物が検出された注射器が複数見つかったことなどから、尿と違法薬物は母親のものと認定したとのこと。

***補足***
これは、9月2日の少年の証言の事を指していると思われます。

他に母親の知人の談
「5度の結婚歴があり、事件当時に結婚していた夫とはすでに離婚しています。事件当日も交際していた男性に会うために、長男に妹の面倒を見させていたと聞いています」

***控訴(22年12月14日)***
母親(42)が14日、懲役2年4月とした大津地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴したとのこと。

こんな事件ですね。
元の兄(当時17歳)による6歳女児の虐待死事件です。
司法解剖の結果、ろっ骨が複数か所折れていて、全身におよそ100か所のあざが見つかった。
酷い事件だと思っていたのですが、事件当時同居の母親は外出が多く、兄が妹と同居を初めて実質的に約1ヶ月で事件が起きていました。
どうも、理由が母親が外出が多くて、わずかなお金を渡されて妹の面倒を見ていた兄がストレスに耐えられずに起こした事件だったと言う背景が出てきていたのですが・・・

なんと、母親は薬物乱用者だったと事のようですね。
***補足***
ケタミンは元々は安全性の高い麻酔薬のようです。ところが、乱用されるようになり日本では2007年から麻薬に指定された。半減期はおよそ3時間、医薬品インタビューフォームには、15%前後の者は麻酔からの覚醒時に「夢のような状態・幻覚・興奮・錯乱状態」などの症状が現れると記載されている。これで幻覚剤として乱用される事になったと言う事のようですね

事件当時、少年はいわゆるヤングケアラー状態だったのが、事件の遠因でしょう。

そこで、県の児童虐待事例検証部会が22年月15日、課題と改善策・提言をまとめた検証結果を知事に報告しています。

ざっくりと内容から事件の原因を要約すると(ASKAの解釈です)
A)もともと3人は同居していなかった。(母親の過去の薬物使用歴など)同居前に暮らしていた県外の児相との引き継ぎが不十分で妹のリスクを予測できなかった。

B)当初は夏休み期間中、母親は同居する予定だったが、母親が外出する事が多くなり、実際に7月21日深夜、兄と妹がコンビニで保護される事態となっているにもかかわらず、リスク評価を見直さず、母親の不在のリスクを過小評価した。

話を母親に戻して、ちょっと酷いと思ったのは、「証拠の尿が実は、息子の物でした」と言う主張ですね。
自分が無罪になる為の主張です。何しろ尿という決定的な物証が出ているので、これが自分の物と認めると、それは自分が使った事を認める事になるので、無罪を主張するなら否定するしかないわけです。
(違法薬物が検出された)尿は被告のものではなく、息子の尿を隠し持って警察に任意提出した。
自宅から見つかった薬物は出入りしていた第三者のものの可能性がある。

と言う主張ですね。ただ、結局、息子が薬物使ってましたよっていう主張ですよね。
娘は死亡、息子は少年院送致と言う状態だから、失う物は何も無いように思うけど、それでも無罪が欲しかったと言う事なんでしょうね。
母親をかばった息子の証言「僕が妹を亡くしてしまったから、ごめんとしか言いようがない」が泣かせますね。

もし、生まれた家が違っていたら、息子は好青年になっていたかもしれませんね。

結果には原因がある。事件が起きるにはそれなりの原因があったと言う事ですね。

参考リンク
滋賀県大津市妹虐待死事件その2(少年院送致まで)
薬物による凶悪事件

|

« 滋賀県愛荘町同居男性殺人事件その3(女性被告の一審判決) | トップページ | 福岡県田川市1歳男児エアガン虐待死事件その5(父親の控訴審判決まで) »

コメント

原因がなければ結果はない

投稿: Off | 2023/09/16 22:35

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 滋賀県愛荘町同居男性殺人事件その3(女性被告の一審判決) | トップページ | 福岡県田川市1歳男児エアガン虐待死事件その5(父親の控訴審判決まで) »