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2023/09/23

福岡県田川市1歳男児エアガン虐待死事件その5(父親の控訴審判決まで)

判決は懲役16年(求刑:懲役16年)

***初公判(23年01月16日)***
1)起訴状などによると、福岡県田川市の無職・男性被告(27)は2018年11月、1歳だった三男に至近距離からエアガンで多数回撃って全身にけがをさせたほか、母親の女性受刑者(27)(保護責任者遺棄致死罪で懲役8年の判決が確定)と共謀し、三男が衰弱しているにもかかわらず、病院を受診させるなどの生存に必要な保護をせず、死亡させたとして、傷害と保護責任者遺棄致死罪に問われている。

2)被告は起訴内容について「違います」と否認しました。

3)検察側は冒頭陳述で「(三男は)腕や足など多数の骨折で患部が腫れ、痛みで食事も取れない状態で弾を多数撃ち込まれた」などと指摘したとのこと。

別の報道では
検察側は「衰弱して動くのもままならない被害者を標的にエアガンを撃ちこんだ」「衰弱し呼吸困難などの異常が発症していたのは養育者なら容易に気がつくことができた」などと主張したとのこと。

更に別の報道では
当日、119番通報で駆け付けた消防隊員と救急搬送された病院の医師の供述調書を読み上げた。

消防隊員の証言より
「父親と母親は床に座ったまま消防隊の心臓マッサージの様子を見ていた」
「普通の親なら取り乱す場面だが、妙に落ち着いていて違和感を覚えた」

さらに検察側は、唯雅ちゃんが救急搬送された病院の医師の供述調書も読み上げ、唯雅ちゃんが虐待を受けていた可能性を示唆しました。

医師の証言より
「1歳4カ月の乳児は少しの落下で簡単に骨折するものではない」
「1歳4カ月で骨折がある時点で虐待が疑われる」
「背中の骨折は背中を踏み潰されたもの」
「大きな他人からの衝撃が複数回あったといえる」
「かなり痛がり泣いたはず」

4)証人尋問(押収したエアガンを検証した警察官)
服を着た大人が1メートルの距離から腕を撃たれた場合でも「円形の皮下出血が認められた」という。自身の太ももに撃った際には「ズボンの上からでもバチンと音がして、激しい痛みが伴った」と述べたとのこと。

5)弁護側は「被告は暴行を加えておらず、要保護状態を認識していなかった」などと無罪を主張したとのこと。

別の報道では
弁護側は、三男をエアガンで撃ったとされる傷害の罪については「暴行は加えていない」。育児を放棄したとされる保護責任者遺棄致死の罪については「衰弱した認識はなかった」などとして無罪を求めたとのこと。

***第?回公判(23年01月19日)***
証人尋問:被告の妻(受刑者)
検察側質問
Q:自宅にエアガンがあったのは知っている?
A:覚えていない。

Q:被告が家でエアガンを使用しBB弾を発射したのを見たことはある?
A:ないです。

***第5回公判(23年01月20日)***
被告人質問
1)被告は弁護側の質問に、「お話ししません」と20回以上繰り返して黙秘した。

2)裁判長が「話したいことを参考にしないことになるが、いいのか」と尋ねると「はい」と答え、検察側などの質問は行われなかったとのこと。

***論告求刑公判(23年01月25日)***
1)検察側は「エアガンの操作は複雑で、雅則被告以外の家族には使いこなせない」「常軌を逸した虐待行為」などとして、懲役16年を求刑した。

別の報道では
検察側は「苦しむ被害者に救いの手を差し伸べず、放置したのは極めて悪質で残虐」「被害者が感じた身体的、精神的苦痛は大きく痛ましい」などとして、被告に懲役16年を求刑したとのこと。

2)弁護側は証明に足る証拠が無いとして無罪を主張した。

***判決公判(23年02月09日)***
1)福岡地裁は9日、「被害者の肉体的苦痛やつらく悲しい気持ちは計り知れない」として求刑通り懲役16年の判決を言い渡したとのこと。

2)裁判長は判決理由で、三男が亡くなる3日ほど前までは救命できたのに治療を受けさせず、死亡前日ごろにもエアガンで20発以上撃つ虐待行為を続けたと指摘。保護責任者遺棄致死罪で既に懲役8年が確定した母親の女性受刑者(27)よりも責任は重いと判断したとのこと。

別の報道では
裁判長は、「被害者の人格と尊厳を無視した極めて残虐な犯行」と指摘。
その上で、「反省の言葉も被害者に対する謝罪もない。被告人には、主文の刑をもって臨む必要がある」として、被告に求刑通り懲役16年の実刑判決を言い渡したとのこと。

更に別の報道では
裁判長は、複雑なエアガンの操作は、家族の中で常慶被告にしかできなかったとして、被告による虐待を認定。「全身の骨折やエアガンによる傷を負った三男が要保護状態であることも、同居する親であれば認識できた。被害者の人格や尊厳を無視した極めて残酷な犯行だ。動機は判然としないが、愛情の希薄さにとどまらない、被害者への悪感情が見て取れる」と批判したとのこと。

更に別の報道では
裁判長「エアガンの大きさや重さから本件犯行に及んだのはほかならぬ被告人であったと認められる」「多発骨折の痛みなどで泣いたり、食事を十分に取ることも困難だった様子をみれば、同居の親が異常に気がつかないはずがない」と述べたとのこと。

更に別の報道では
裁判長「瀕死の状態にあった被害者になおも20発以上も撃つ虐待を続け、被害者の人格や尊厳を無視した極めて残酷な犯行」「本来頼ることができるはずの両親から保護を与えられなかったつらく悲しい気持ちは計り知れず、保護責任者遺棄致死事件の中で極めて重い部類に属する」と述べたとのこと。

更に別の報道では
瀕死の状態になっても医療措置を受けさせないばかりかエアガンで虐待。被害者への悪感情を見て取れる。虐待の発覚を恐れて医師に連れて行かなかった不保護を継続したことも見られる。11月28日(死亡3日前)までに医師の診察を受けさせていたら命を救えた可能性があった。本来頼るべき両親から、保護を受けられなかった辛く悲しい気持ちは、計り知れないと述べたとのこと。

***補足(遺体の状態)***
全身にはエアガンで撃たれた合計71カ所の弾の痕があり、両手両足や肋骨は23本、あわせて31カ所も折れていた。

22年12月1日付で法医学医が記した「死体検案書」には直接死因は「低栄養」が原因の「肺感染症」と書かれているとのこと。

***公判後の裁判員のコメント***
法廷で黙秘した被告。弁護側の質問では26回にわたって「お話ししません」と述べ、検察官や裁判官の質問は取りやめになった。証人として出廷し、三男死亡の経緯を知るはずの母親も「覚えていません」「忘れました」を80回以上繰り返した。判決後に記者会見した裁判員は「難しい判断だった」と語ったとのこと。

***控訴審判決(23年06月15日?)***
岡高裁は「わが子を1カ月近く保護していないことや、傷害が残酷な点から、一審の評価は正当」などとして控訴を棄却したとのこと。

こんなところですね。
懲役16年ですか・・・妥当と言えば妥当なところなのかな?
例え殺人罪でも死亡が1人なので無期懲役以下は確定なんですが、このケースは傷害と保護責任者遺棄致死罪なので、懲役16年と言うところなんでしょうね。
検察は殺意が立証できないので殺人罪は適用しなかったんでしょうね。

まー遺体の状況だけを見ても、もー犬猫以下の扱いでしょう。我が子と言う意識自体なかったんじゃないのかな?
さらにその状態ですら母親が子供を守ろうとしなかった。これも児童虐待事件ではよくあるケースですね。ただ、この事件では母親(受刑者)が公判で知的障害でIQが58、精神年齢は12歳と言う事が明らかにされています。なので、一家の大黒柱である父親が犯行を主導したなら、家庭内でそれを止められる人間はいなかったんでしょうね。しかも被告からDV被害も受けていたから、被告に逆らえなかったと言う可能性もありますね。
それで、公判での証言でも被告の意を汲んだ証言をしたとしても不思議ではないかもしれません。

実は、この夫婦は10代で知り合って妊娠を機に結婚したようですが、児童相談所は見守り対象にしていたようです。
事件前には長男に対する虐待の通報、三男についても匿名の通報があるなど、事件の予兆はあったのですが・・・・

以前の報道情報だと

福岡県田川市は8日、被害者となった三男が生まれて以降、子育てや福祉の担当職員が男性容疑者の自宅を16回訪問していたことを明らかにした。このうち、実際に成育状況を確認できたのは生後3カ月時の1回だけ。生後4カ月と8カ月の乳幼児健診も受けていなかったとのこと。

市によると、妊娠が分かって以降、市が母親の女性容疑者の携帯電話に連絡した36回のうち、会話できたのは8回。自宅などで面談できたのは9回だったとのこと。

昨年7月5日、市と田川児童相談所に「三男の泣き声がしない。姿を見かけない」と市民から相談があった際は、児相職員が自宅を訪ねたが不在だった。市は同6月25日に女性容疑者が市役所を訪れた際、三男にあざが見つからなかったことなどから、対応しなかった。母親が7月25日に来庁した際は、市職員の目視であざなどは見つからなかったという。

と言う事で見逃されてしまったと言うところなのかもしれません。
防ぐ方法は、家庭内からの通報は期待できないので、外から中の状態を垣間見るような何かが必要なのかもしれませんね。
やはり、健診が良い機会だと思うんですよね、受診者には現金かクーポン券でも支給して、受診させて、外の人の目に触れさせる仕組みを作るのも良いかと思います。
とは言え、それで完璧とは言えないのがつらいところですね。健診のタイミングをすり抜けた短期間に悪化する事案については対処できないんですよね。
そうすると、ご近所さんの目と言うのを頼らないとダメかな。これも難しいところではあるとは思います。

亡くなった男児のご冥福をお祈りします。

参考リンク
福岡県田川市1歳男児エアガン虐待死事件その4(母親の控訴審判決まで)

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コメント

***上告棄却、刑確定 23年10月04日***

最高裁第1小法廷は、福岡県田川市の住宅で2018年、1歳4カ月の三男にエアガンを撃つなどして虐待し治療を受けさせず死亡させたとして、保護責任者遺棄致死と傷害の罪に問われた父親の常慶雅則被告(28)側の上告を棄却する決定をした。4日付。懲役16年とした一、二審判決が確定するとのこと。

こちらも想定内の結果ですね。

投稿: ASKA | 2023/10/10 07:56

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