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2023/10/29

世田谷一家殺害事件再考その215(常識を疑え)

この事件を追っていくと、常識のように語られる見立てがある。これは、事件から6年後の2005年にNHKがニュースで報道した。事件の見立てから現在まで一貫している。

それは何かと言えば、「犯人は2階から土足を履いている」と言う事ですね。
これはおそらく、この事件の報道特番の集大成と呼ばれるであろう2021年の未解決事件SP世田谷一家殺人事件20年目のスクープ~3つの影を持つ男~で見方の違う大峰氏の物取り犯説、そして廣瀬氏の顔見知り怨恨説のどちらも、犯人は2階から土足を履いたとして事件を見立てている。

これはある確定的な情報から導き出された結果でしょうね。
その事実とは?
「土足の足跡の泥の量が1階より2階の方が多い」と言う事実です。
これを事実と言うとあれなんですが、前述の2005年のNHKのニュースで報道された情報です。

まー普通に考えて、足跡の泥の量が多い方が、時系列として早く着いた足跡だと言う推論になるんでしょうね。

この事を実際の事件の中で裏付けると言うか、つじつまを合わせようとすると、「犯人は2階から土足で歩き始めた」と言う見立てになるわけです。
その結果、導入されたのが

1)風呂窓侵入説
これは、2階から犯人が侵入すれば、当然、2階から土足の足跡がつくわけだから、一番単純な見立てですよね。ただし、この説には二つの矛盾点があります。A)浴室に犯人が着地した形跡が無い。B)ジャンパー(エアテック)に(窓枠と)擦った痕が無い

2)土足2階持ち込み説
これは、廣瀬氏が導入した少しトリッキーな説です。風呂窓侵入説の矛盾点を解決する為に、犯人が2階に土足を持ち込み、2階から土足で歩き出したとする説です。一見、矛盾が無いように見えるけど、良く考えれば、土足を2階に持ち込むのはそう簡単じゃないでしょ?
大人の靴を手に持った形で隠すなんて、まず無理ですよね。例えば、バッグに隠したり、上着の下に隠すとかしないと無理だと思うわけです。

そう、矛盾はここにあります。大量の遺留品が残されていますが、その中に、泥の付着したバッグなどはありませんし、エアテックやスラセンジャーにも泥が付着していたと言う情報はありません。廣瀬氏は遺留品を捜査の攪乱と説明していますが、このあたりも含めての事かもしれませんね。
(ただし、この説の根拠は他にもありますが、それは次回に回します)

そこで、この基本的な前提を疑うわけです。
もちろん、鑑識さんがミスをしたと言うのではなく、泥の量が2階の方が多いと言うのは事実として、見立ての方が違うのではないか?と疑うわけです。

単純に土足で歩き始めた最初の頃よりも、少し時間が経過した後の方が、泥が多く落ちるのではないか?と言う事を疑っています。
疑うのは簡単だけど、それだけでは意味が無いので、できれば検証したいと思うのだけど・・・
スラセンジャーが入手できないんですよね。スラセンジャーが入手できれば、ポッポ公園や裏の小道の泥を使い、温度、湿度などをパラメータに実験してみたいと思うのですが、現実的には無理かな。

とは言え、今はできる事を考えます。
まずは、

犯人が1階から土足で歩き出した場合に、現状に矛盾する点があるのだろうか?

 しかし、これには大問題がある。1階で死亡している「みきおさん」が問題です。みきおさんと格闘して殺害する事は問題ではなくて、みきおさんと格闘した結果、床に落ちたみきおさんの血液を犯人が踏めば、以降の足跡にはみきおさんの血液が含まれる事になる。これは、1階から2階に登る、足跡にみきおさんの血液が含まれていないと説明できないんですよね。今のところ、そういった情報はありません。報道されていないだけで、ホントはあるかもしれない。だけどそれなら、風呂窓侵入説を打ち消すだけの根拠になるはずなんですよね。

とは言え、解決する方法がないのか?と考えると

あ)格闘したがみきおさんの血液を踏まなかった場合。
みきおさんの体の傷は少ないわけじゃないから、普通に考えると難しそうなんだけど、短時間でみきおさんが致命傷を受けて倒れたとすれば、血液が広範囲に落下する事は無い可能性がありますよね。だから、犯人はみきおさんの血を踏まなかったと言う説明です。

い)みきおさんと格闘したタイミングは犯人が一度2階に上がった後だった場合。
犯人が1階から土足で侵入した時に、みきおさんは2階か3階にいて、犯人が2階子供部屋で礼くんを殺害している間に1階にみきおさんが降りる。その後、犯人が1階に降りてみきおさんと格闘したとすれば、ここまで、犯人の足跡にみきおさんの血液が含まれない事も説明できる。

う)そもそも、犯人は犯行時に土足ではなかった場合。
犯人は犯行時に玄関から侵入したが、その時は土足ではなく、靴下あるいは裸足だった場合ですね。
とは言え、これは、あ)とい)と同じ問題を内包していて、結局、みきおさんの血の足跡が靴下痕や足紋として残るはずなので、単純に土足じゃなかったと言うわけにはいかないですね。それでも、あ)とい)の解決方法と同じ方法で回避は可能です。

この場合、事件後に犯人が土足で歩きだす事になり、それが、2階からだったとしても、とがめる家人はもういないわけだし、事件後に逃走の為、急いで靴を玄関から持って2階に上がってから靴を履いたと言う説明もできるかもしれません。

しかし、そう単純では無いよね。
殺害行為が終わった後と言うのは、1階、階段踊り場にみきおさんの遺体、2階の梯子付近に泰子さんとにいなちゃんの遺体がそれぞれ、刺殺された状態で放置されている。
だから、遺体周辺の床には血液が広く広がっていると考えて良いでしょうね。
犯人の移動経路として、一階に降りてPCの操作、2階でリビングに入っている。そして、浴槽に書類をぶちまけているから、リビングと浴槽の往復などが行われているなら、靴を履いているかどうかにかかわらず、被害者の血を踏んでいる可能性は高いと思う。

特に3階ロフトから落下している泰子さん、にいなちゃんの遺体の周辺には血液の飛沫が飛んでいる可能性があるよね。

問題はその足跡が、裸足や靴下なのか?それとも、土足なのか?
そのあたりを検証する事ができれば、犯人の侵入経路を特定することができる可能性があるのでは?と考えています。
(これは捜査本部にしかできない部分ですね。)

時間が無くて整理できてなくてごめんなさい。次回、犯人の動線なども考えつつ整理してみたいと思います。

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2023/10/16

兵庫県神戸市北区有野町5人殺傷事件その3(無罪確定)

一審判決を支持、控訴棄却、検察側上告断念の為、無罪確定です。

***控訴審初公判(23年05月12日)***
証人尋問
1)検察側の証人として出廷した医師は「精神疾患の圧倒的な影響下にはなかった」と証言。被告が捜査段階の取り調べで正常にやりとりし、犯行に対する”ためらい”の気持ちを供述していたことなどから、一定の判断力があったと述べたとのこと。

2)弁護側は、検察側の控訴棄却を求めた。弁護側証人として出廷した医師は、一審判決の精神疾患の評価は適正だと説明したとのこと。

***控訴審第2回公判(23年07月03日)***
1)遺族の意見陳述:殺害された女性の息子
「いつになったらこの悲しみから解放されるのか。行き先が不透明で生きた心地がしません。極刑を望みます」と訴えたとのこと。

別の報道では
法廷で「事件から6年、もうすぐ母親の7回忌を迎える。まさか、これほど(刑事裁判が)長くなるとは思わなかった。なぜ、母親は殺されなければならなかったのか。妄想に支配されていたことが、凶悪犯罪の免罪符になってはいけない。5人殺傷で無罪はむごい。極刑を望む」と述べたとのこと。

2)意見陳述:けがを負った女性被害者
陳述書は代理人弁護士が読み、「(被告の男性が、無罪を言い渡された)その日のうちに釈放され、どこに行ったのか、全く情報が入ってこなかった。自宅に戻ってくることは絶対にないといえるのだろうか、不安と恐怖が襲ってきた。被告には刑務所で静かに反省し、5人死傷という揺るぎない結果に向き合ってもらいたい」と訴えたとのこと。

3)検察側論告
男性の2回目の精神鑑定を担当した鑑定医の説明を踏まえ、「妄想への一定程度の批判力があった」と指摘した。事件前後の言動などから「違法性を認識できるなど、(行為結果を合理的に判断する)事理弁識能力や行動制御能力は限定的にあった」と述べたとのこと。

検察側は「(男性には)限定責任能力がある」とし、無罪判決の破棄を主張したとのこと。

4)弁護側弁論
検察側が訴えの根拠とする鑑定医の判断を「幻覚や妄想が犯行に及ぼした影響を何も検討していない」などとし「証言に信用性がない」と反論。「男性が(妄想などの)病的体験に支配されていたのは明らか。控訴はただちに棄却されるべき」と訴えたとのこと。

弁護側は「心神喪失状態だったとした判決に事実誤認はない」と控訴棄却を求めたとのこと。

***控訴審判決公判(23年09月25日)***
1)大阪高裁は1審判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。

2)判決理由
「犯行へのためらいとも解釈できる、『ほんまか』『信じるで』という発言も、“女性と結婚するための試練の内容が合っているかを確認するための発言”などと解釈することが不合理とは言えない」「妄想が屋根瓦のように積みあがる状態だったとすれば、発言の後に疑念が消え、妄想の内容を確信するに至ったと説明することもできる」「被害者を人ではないと考えていたとすれば、“殺人の禁止”という規範に直面していたと言えず、善悪の判断能力に疑いが生じる」などと指摘したとのこと。

「自分と女性以外が『哲学的ゾンビ』だと確信し、その妄想の圧倒的な影響下で犯行に及んだ疑いを払拭できない」と改めて結論づけ、控訴を棄却したとのこと。

***無罪確定(23年10月10日)***
検察側は最高裁に上告するかについては「判決内容を精査し適切に対応する」としていましたが、期限の10月10日までに、検察側は上告しなかったとのこと。

これにより、男性の無罪判決が確定した。

***鑑定入院命令(23年10月12日)***
神戸地方検察庁は男性について、心神喪失などを理由に実刑とならなかった人を治療に結び付ける「医療観察法」に基づき、精神状態などを調べる鑑定入院を11日に神戸地裁に申し立て、認められたとのこと。

「心神喪失」を理由に無罪が確定した男性について、裁判所は11日、鑑定入院の命令を出したとのこと。

こんなところですね。
裁判所の判断なので、判決には異論は無いのですが、誤解されている方もいるかもしれないので、ちょっとだけ補足すると。
医療観察法では、従来、医師だけの判断で社会復帰させていた面が改善されて、社会復帰(一般の精神保健福祉)には裁判所の判断が必要になります。

厚生労働省のこちらの図が分かりやすいですね。
医療観察法制度の概要について

このような事件は、数年に1度ぐらいは日本でも発生していて、突然、襲われるのでかなり自衛が難しい事件です。
その上、責任能力が無いので補償も難しいです。

唯一の自衛手段は常に周囲に気を配ると言うところでしょうか?
日常から逸脱しているような事に気付いたら、近づかない。距離を取ると言う事しか方法が無いかもしれないですね。

参考リンク
兵庫県神戸市北区有野町5人殺傷事件その2(一審判決)

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2023/10/08

世田谷一家殺害事件再考その214(みきおさんのHP?)

もしもタイムマシンがあったなら、事件当日の夜に宮澤家に出入るする人間を調べる事ができるのに・・・なにより事件を防ぐ事ができたのにと思う人も多いと思います。
まー現実にはタイムマシンが実用化できるのか?今の段階では夢物語と言うところなのですが・・・
しかし、インターネットの世界ではこのタイムマシンが実用化されているんですよね。
と言っても、仕組みは簡単で、その時、その時のWebの情報を記録しておけば、過去のWeb情報を再現する事ができると言う物ですね。

今回は、このインターネットのタイムマシン上に宮澤みきおさんが作られたとみられるHP(ブログ)が発掘されたかも?と言うお話です。

実は情報提供をしてくれた方がおりまして、私も知りませんでした。
どうも、元ネタは某巨大掲示板だったようですが、調べてもちょっと見つかりませんでした。本スレじゃないのかな?

では、本題にはいりましょう。みきおさんのHPと思われるURLはこちらです。
https://web.archive.org/web/20020609091956/
http://www.geocities.co.jp:80/Hollywood/2205/index.html
(表示の問題で2行に分けましたが、1行にしてURLに入力してください)

ちょっと変なURLですが、先頭についているhttp://web.archive.org  こちらが、Webのタイムマシン、正式名称はWayBackMachine と言うようですね。

最初に断っておきますが、このHPが宮澤みきおさんが作成された物かどうか、私には判断する事ができませんでした。
理由は簡単、HPには明確に宮澤みきおさんに紐付く情報が無いからです。
そして、私自身もみきおさんとの面識はおろか、メールやチャットもしたことがなく、みきおさんの書いた文章すら見た事が無いので、判断する手がかりがまったくありません。逆にいうと、このHPがみきおさんの物かどうかご存じの方がいたら教えてください。

さて、早速開くとタイトルが「動画狂」と言うシンプルなトップページが表示されます。
更新日は2001年6月17日ですね。
この段階でリンクされているメールアドレスの@より左側は miya

で、「about miya」のリンクから自己紹介ページを開くと、先頭に「miya」と書かれていて、どうもハンドル名がmiyaとされているようです。

私が調べたところ、この日付2001年6月17日が最終更新日です。
で、気付いた方もいると思いますが、これは事件後の日付なんですよね。事件後半年も経過してみきおさんが更新できるはずがありません。この点で普通に疑問府が付くところではあるのですが・・・しかし、このHPがみきおさんの物だったとしても、みきおさんが1人で運営していたとは限らないわけです。
例えば、グループや会社といった単位で運営したいたのであれば、みきおさんの死後に更新されても不思議では無いわけです。

しかし、最初に書いた通り、それを裏付ける情報がありません。あるかもしれないのですが、私ではその裏付けを取れない状況です。

さて、このHPがみきおさんの物と思われる最大の理由はトップページのリンク「鑑賞記録」の内容です。
このブログ主の見たアニメ作品の批評というか感想が書かれているのですが、その最新の物が2000年の「第8回 広島国際アニメーションフェスティバル」なんです。

おどろく事に観覧された85作品の感想が書かれています。しかも詳細なリスト(タイトル、作者、上映時間、国籍)も掲載されていて、これは審査員の方しか考えられないような内容なんですよね。

しかし、良く考えてみよう。みきおさんは「裏方」として参加しているはずなんだよね。
そこで念の為に確認するのですが、公表されている審査員、選考委員の中に「みや(miya)」と言う読みが入る人はいないんですよね。
公表されている審査員情報はこちら
https://www.hiroanim.org/2008/ja/01about/1-06-08_ja.html

とは言え、自分の関わった広島国際アニメーションフェスティバルの上映作品なのだから、みきおさんが観覧して、その感想や批評を書いたとしても不思議は無いとは思います。

HPのタイトルが「動画狂」なので、このぐらい熱心に情熱を注いでいる人がブログ主なんでしょうね。

まとめると
みきおさんのHPと考えられる要素は2点
1)ハンドル名が「miya」
 これについては、みきおさんが仲間内で「宮さん」と呼ばれていたと思われる記述がアニメ関係者の追悼文で見たと思うので、有りかな?と思います。

2)第8回 広島国際アニメーションフェスティバルの上映作品の詳細な感想から広島国際アニメーションフェスティバルに関係している人なのか?と言う推測はできる、他にもアニメイベントの予定情報なども記載されていて、相当にアニメについて熱い情熱を持った人が書いているいるHPなんだろうと言う推測はできる。

疑う要素としては
A)ハンドル名の「miya」以外に直接、みきおさんと紐付く情報が無い。

B)みきおさんが関係しているHPだとしたら、事件後にみきおさんの追悼文が無いのが日本人の感覚としては不自然。

C)普通に事件後に更新されているが、What's new のリンクの最後の更新(2001年6月17日)の文章がブログ主本人が書いた文章にしか見えない。
(つまり、みきおさんではないのでは?)

D)これは私の感想でしかないけど、みきおさんは会社も作ったりしてるし、その後はアニメから離れたコンサルタント業の仕事もしていて、どうもチームリーダー的な立場だったようでもあります。何が言いたいか?と言うと、それなりに人間関係に気を配る事ができる人なのではないか?という印象なのですが・・・このHPの鑑賞記録の感想はちょっと遠慮がなさ過ぎて、ホントにみきおさんがこの文章を書くのか?と言うのが疑問です。
みきおさんはインターネット関連の本も書いている人なので、このHPが例え仲間内の物だっとしても、外部の人の目に触れる可能性がある事はわかるはずなんですよね。そのあたりを考えると、みきおさんではないのでは?と思える部分ではありますね。ただし、ここについては、最初に書いた通り、みきおさんの事を知らない私には判断ができない部分ではあります。

E)自己紹介に「好きなもの」として「FISHMANS」が記載されている。
これは、おそらく日本のロックバンドのフィッシュマンズの事かと推測しています。
wikiのFISHMANSのページ
ただ、みきおさんが音楽好きとかロック好きと言う情報は全くないので、このあたりも疑問な点ですね。

こんなところですね。
私の印象としては、どちらかと言うと、「みきおさんのHP」ではないと言うところかな?
ただし、みきおさん自身は独自ドメインを取得したり、自宅を「祖師谷スタジオ」として登録したりしているので、事件当時表面に出ない活動をやっていたか、やろうとしていたのかな?と言う推測はできます。
その活動の一環としてこのHPを複数人で運営していたと言う可能性は否定できないかな?
(しかし、それなら追悼文が無いのが疑問なんですけどね)

あるいは、単純に未知の交友関係があったと言う可能性もあるのかな?

とにかく、このHPについてご存じの方がおられましたら、コメントください。お願いします。

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