世田谷一家殺害事件再考その215(常識を疑え)
この事件を追っていくと、常識のように語られる見立てがある。これは、事件から6年後の2005年にNHKがニュースで報道した。事件の見立てから現在まで一貫している。
それは何かと言えば、「犯人は2階から土足を履いている」と言う事ですね。
これはおそらく、この事件の報道特番の集大成と呼ばれるであろう2021年の未解決事件SP世田谷一家殺人事件20年目のスクープ~3つの影を持つ男~で見方の違う大峰氏の物取り犯説、そして廣瀬氏の顔見知り怨恨説のどちらも、犯人は2階から土足を履いたとして事件を見立てている。
これはある確定的な情報から導き出された結果でしょうね。
その事実とは?
「土足の足跡の泥の量が1階より2階の方が多い」と言う事実です。
これを事実と言うとあれなんですが、前述の2005年のNHKのニュースで報道された情報です。
まー普通に考えて、足跡の泥の量が多い方が、時系列として早く着いた足跡だと言う推論になるんでしょうね。
この事を実際の事件の中で裏付けると言うか、つじつまを合わせようとすると、「犯人は2階から土足で歩き始めた」と言う見立てになるわけです。
その結果、導入されたのが
1)風呂窓侵入説
これは、2階から犯人が侵入すれば、当然、2階から土足の足跡がつくわけだから、一番単純な見立てですよね。ただし、この説には二つの矛盾点があります。A)浴室に犯人が着地した形跡が無い。B)ジャンパー(エアテック)に(窓枠と)擦った痕が無い
2)土足2階持ち込み説
これは、廣瀬氏が導入した少しトリッキーな説です。風呂窓侵入説の矛盾点を解決する為に、犯人が2階に土足を持ち込み、2階から土足で歩き出したとする説です。一見、矛盾が無いように見えるけど、良く考えれば、土足を2階に持ち込むのはそう簡単じゃないでしょ?
大人の靴を手に持った形で隠すなんて、まず無理ですよね。例えば、バッグに隠したり、上着の下に隠すとかしないと無理だと思うわけです。
そう、矛盾はここにあります。大量の遺留品が残されていますが、その中に、泥の付着したバッグなどはありませんし、エアテックやスラセンジャーにも泥が付着していたと言う情報はありません。廣瀬氏は遺留品を捜査の攪乱と説明していますが、このあたりも含めての事かもしれませんね。
(ただし、この説の根拠は他にもありますが、それは次回に回します)
そこで、この基本的な前提を疑うわけです。
もちろん、鑑識さんがミスをしたと言うのではなく、泥の量が2階の方が多いと言うのは事実として、見立ての方が違うのではないか?と疑うわけです。
単純に土足で歩き始めた最初の頃よりも、少し時間が経過した後の方が、泥が多く落ちるのではないか?と言う事を疑っています。
疑うのは簡単だけど、それだけでは意味が無いので、できれば検証したいと思うのだけど・・・
スラセンジャーが入手できないんですよね。スラセンジャーが入手できれば、ポッポ公園や裏の小道の泥を使い、温度、湿度などをパラメータに実験してみたいと思うのですが、現実的には無理かな。
とは言え、今はできる事を考えます。
まずは、
犯人が1階から土足で歩き出した場合に、現状に矛盾する点があるのだろうか?
しかし、これには大問題がある。1階で死亡している「みきおさん」が問題です。みきおさんと格闘して殺害する事は問題ではなくて、みきおさんと格闘した結果、床に落ちたみきおさんの血液を犯人が踏めば、以降の足跡にはみきおさんの血液が含まれる事になる。これは、1階から2階に登る、足跡にみきおさんの血液が含まれていないと説明できないんですよね。今のところ、そういった情報はありません。報道されていないだけで、ホントはあるかもしれない。だけどそれなら、風呂窓侵入説を打ち消すだけの根拠になるはずなんですよね。
とは言え、解決する方法がないのか?と考えると
あ)格闘したがみきおさんの血液を踏まなかった場合。
みきおさんの体の傷は少ないわけじゃないから、普通に考えると難しそうなんだけど、短時間でみきおさんが致命傷を受けて倒れたとすれば、血液が広範囲に落下する事は無い可能性がありますよね。だから、犯人はみきおさんの血を踏まなかったと言う説明です。
い)みきおさんと格闘したタイミングは犯人が一度2階に上がった後だった場合。
犯人が1階から土足で侵入した時に、みきおさんは2階か3階にいて、犯人が2階子供部屋で礼くんを殺害している間に1階にみきおさんが降りる。その後、犯人が1階に降りてみきおさんと格闘したとすれば、ここまで、犯人の足跡にみきおさんの血液が含まれない事も説明できる。
う)そもそも、犯人は犯行時に土足ではなかった場合。
犯人は犯行時に玄関から侵入したが、その時は土足ではなく、靴下あるいは裸足だった場合ですね。
とは言え、これは、あ)とい)と同じ問題を内包していて、結局、みきおさんの血の足跡が靴下痕や足紋として残るはずなので、単純に土足じゃなかったと言うわけにはいかないですね。それでも、あ)とい)の解決方法と同じ方法で回避は可能です。
この場合、事件後に犯人が土足で歩きだす事になり、それが、2階からだったとしても、とがめる家人はもういないわけだし、事件後に逃走の為、急いで靴を玄関から持って2階に上がってから靴を履いたと言う説明もできるかもしれません。
しかし、そう単純では無いよね。
殺害行為が終わった後と言うのは、1階、階段踊り場にみきおさんの遺体、2階の梯子付近に泰子さんとにいなちゃんの遺体がそれぞれ、刺殺された状態で放置されている。
だから、遺体周辺の床には血液が広く広がっていると考えて良いでしょうね。
犯人の移動経路として、一階に降りてPCの操作、2階でリビングに入っている。そして、浴槽に書類をぶちまけているから、リビングと浴槽の往復などが行われているなら、靴を履いているかどうかにかかわらず、被害者の血を踏んでいる可能性は高いと思う。
特に3階ロフトから落下している泰子さん、にいなちゃんの遺体の周辺には血液の飛沫が飛んでいる可能性があるよね。
問題はその足跡が、裸足や靴下なのか?それとも、土足なのか?
そのあたりを検証する事ができれば、犯人の侵入経路を特定することができる可能性があるのでは?と考えています。
(これは捜査本部にしかできない部分ですね。)
時間が無くて整理できてなくてごめんなさい。次回、犯人の動線なども考えつつ整理してみたいと思います。
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