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2024/09/15

世田谷一家殺害事件再考その221(二つの怨恨説)

この事件では、当初から2つの見立てが有力視されていました。窃盗説と怨恨説です。
今回はこの怨恨説について考えてみたい。

この事件の動機が怨恨ではないか?と言うのは、事件の凄惨さを見れば誰でも思いつくことなんですよね。
礼君以外はめった刺しですからね。

ただ、一言で怨恨と言うけれど、そう単純でもないのが、この事件です。
通常、怨恨と言えば、誰かに恨まれて、恨んだ人に恨まれた人が復讐の為に殺害されるような事を指すことが一般的ですね。

このような場合は非常にわかりやすい事件になりますね。
怨恨による事件としては・・・・

過去の怨恨事件のメモを参考にしてもらうとして。

基本的には何らかのトラブルにより恨まれる事になるわけで、大抵の場合は犯人と被害者の間に面識がありますね。
殺害しようとするほどの殺意を持つわけなので、秘密にしたい理由でもないかぎりは、周囲に愚痴をいったり、相談したりして、刑事さんが聞き込みをすれば、それなりの情報が出てくるわけです。

なので、被害者側の人間関係を洗えば、その中に犯人もいると言うことになります。
怨恨と言えば、こちらの怨恨説が一般的です。
で、この世田谷事件はどうか?と言うと、元管理官の廣瀬さんはこちらの説のようです。

世田谷一家殺害事件再考その204(20年末特番まとめ3「怨恨説」)

私としては、恨みの対象が明確であるなら、例えば、みきおさんや、泰子さんが対象であるなら、幼い礼君やにいなちゃんまで一緒に殺害するのだろうか?と言うのは一つの疑問として残りますね。
ただ、日本人的な見方としては、「残された子供が不憫」と言う感情でと言う説明はできるかもしれません。
だから礼君は絞殺だった、しかし、にいなちゃんは泰子さんと一緒に寝ていた為、刺したと言う説明だけど、それでも、にいなちゃんの殺害方法は説明できないですね。

では、もう一つの怨恨説とは何か?
それは、恨みの対象が曖昧に日本の社会全体を対象にしているような場合ですね。
これは、成城警察署元署長の土田さんの「外国人」説の背景にもなっています。

世田谷一家殺害事件再考その205(20年末特番まとめ4「外国人説」)

いわゆる「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と言う訳で、社会に対して、あるいは自分の境遇に対して強い不満や怒りを持っていて、暴走して事件を起こした時に偶然、被害者になってしまう場合ですね。

この場合は、犯人と被害者に接点や面識が無いので、被害者の周囲を調べても犯人には辿り着けません。
とは言え、この事件では、わざわざ被害者宅に忍び込み事件を起こしているので、何らかの接点はありそうです。
例えば、公園で幸せそうに遊ぶ宮澤さん一家を見て、そこに嫉妬や羨望などの負の感情を持ってしまったと言う、まったく一方的な逆恨みと言う場合ですね。
この手の事件は昔から定期的に起きていて、旧くは、津山30人殺し事件とか、秋葉原事件、京アニ事件などの通り魔事件もこれに該当すると思います。

こちらの場合、対象が広い上に被害者との接点が無いので捜査はかなり難しいと思います。
・・・とは言え、警察は諦めているわけでもないわけです。東京都内や近郊で検問や職質の時にひたすら指紋を採っているのは、犯人の残した決定的な証拠の指紋を元に地道に捜査しているわけですね。

そしてもう一つ、怨恨説の捜査が難しいのは、情報がリークされると著しい人権問題になってしまうんですよね。
まー「焼き肉店のバイト」の情報にしても、捜査本部に口止めされているにもかかわらず、マスコミにリークされてますからね。
そんな状況ではうかつに聞き込みにもいけないでしょうね。

なので、事件当初の周辺の聞き込みが不十分だったと言うのが、今更ながらに悔やまれるところですね。

このため、一般的な怨恨については捜査内容が表に出る事はほぼないでしょうね。とは言え、事件から20年以上が経過しても逮捕されないわけですから、逮捕できるだけの証拠が無いとか、あるいは、そもそも怨恨に足るような情報が無いと言う可能性もありますね。

私としては、子供達が殺されるほど恨まれる事は無いだろうと思うし、泰子さんは情報が少なすぎてなんとも言えない。一方のみきおさんは、意外に波瀾万丈な人生を歩んでいるようなので、人間関係がかなり広そうなんですよね。
しかし、なんにせよ、情報が無いので一般的な範囲でしか考える事ができないのが現状ですね。

ただ、もし、犯人と宮澤さんに面識が無いのであれば、玄関侵入説はかなり難しいと言う事は言えると思います。

こんなところでしょうか。

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コメント

話題はそれますがway back machineの古い情報取り方が変わりました。
https://gigazine.net/news/20240912-google-search-internet-archive/?utm_source=x&utm_medium=sns&utm_campaign=x_post&utm_content=20240912-google-search-internet-archive

投稿: 事件解決を望む者 | 2024/09/16 11:37

素晴らしい考察ありがとうございます。
色々な説がある中ASKAさんの思う犯行動機、犯人像教えてください。

投稿: | 2024/09/16 16:08

事件解決を望む者さん、こんばんは
コメントはあちらに書き込ました。

名無しさん、こんばんは
この事件はある意味で情報が多すぎて、どの情報を重視するかで犯人像が変わってきますね。

そのあたりも、一度、整理してみましょう。

投稿: ASKA | 2024/09/16 19:43

その昔ハーフ青年が疑われてた時期あったな、海外で母親とされる人物のDNAをこっそり調べたらシロではないかという結果だったみたいですが、家系をしっかりと調べきれてるのかは知らないが・・・何を言いたいかというと、ハーフ青年は被害者とはしっかりと面識があったのに出国後年月が経過してから偶然の聞き込みにより浮上・・・それに100日地蔵を拝んでたとされる女性ともコンタクトは取れてないかと思われる・・・事件当日に被害者と言い争ってたとされる見慣れない青年ともコンタクトとれたかの情報もない・・・

当時の聞き込みは上手くいかなかったかと、聞き込みは非常に難しいかと、人間感情も入るから、知ってる事あってもそうそう口を開かないかと関わりたくないから。

旦那には服を被せてたり、長男だけは死因が全く異なり部屋に血痕さえなかったと言われてる、個人的には完全に面識がない人物が犯人とは考えにくいかと。

投稿: mn | 2024/09/17 06:56

昔にあった説 警察官だか裁判官の息子が精神疾患で礼君と顔見知り、事件後に自殺したという話が腑に落ちます。
近隣では周知の事実ですが追及もできずうやむや

投稿: | 2024/09/18 08:14

mnさん、こんばんは

この事件では、確か他の重大事件と時期が重なってしまい。人員不足になって、本来聞き込みの経験の無い機動隊員などが聞き込みにあたっていたという不幸な事情も裏にはあったようですね。

そういった意味でも不運な事件なのかもしれません。
もし、この事件が現代に起きていれば、街中の監視カメラやドラレコで犯人の移動経路は簡単に捕まれていたでしょうね。
追跡できない情報というのは、結局、情報の出所が不鮮明だったり、一目見ただけみたいな状況なんでしょうね。

名無しさんへ
犯人が捕まらないような事件が起きると、この事件に限らずに、犯人が警察や裁判官の家族と言うような噂が流れますが、私は個人的にはそれは「無い」と考えています。
理由は簡単で、警察官や裁判官程度では、事件をもみ消すことは出来ないし、その人達が失脚しても困るような実力者はいないからですね。

この事件ではDNAと指紋と言う決定的な情報があるので、例え被疑者が死亡していても、DNA鑑定は可能ですね。
特に自殺なら検死されていて、事件後なら指紋の検証はされてもおかしくないですよね。この事件の指紋は特徴があって、正式な鑑定でなくても鑑識さんの目視レベルでも一次判定ができてしまうので、怪しければ確認されていると思います。

投稿: ASKA | 2024/09/18 20:25

3億円事件も警察官の息子説が、有力だと思うので身内の不祥事は隠す体質かと
如何でしょう

投稿: | 2024/09/19 14:41

名無しさん、こんばんは
そうですね、2つの見方(立場)があります。

犯人を庇っている警察官と言うのは、犯人の家族の警察官本人だけですね。

この警察官の上司や同僚は、部下や同僚の家族が犯人だとしてもそれが不利益になる事はありません。
むしろ、庇っている事が発覚した場合には致命的な不利益が発生します。

もう一方の、犯人の家族以外の警察官(つまり一般の警察官)にとって、犯人を庇うよりも逮捕する事の方が圧倒的に利益が大きいですよね。
有名な事件や、長い間未解決の事件の犯人を逮捕するのですから、その利益は計り知れません。

そう考えた場合、例え一人の警察官が犯人を庇ったとして、それ以外の大多数が逮捕を望む状況で事件をもみ消す事はできないでしょうね。

例え、上司が犯人を庇っても、犯人を逮捕すれば、その上司は警察には居られませんから義理だてする必要もありません。

それに、事件から20年も経過すれば、当時の有力者も退職引退してただの一般人です。一般人に義理立てしても出世は出来ませんからね。

中には義理人情に厚い人もいるかもしれませんが、大多数の警察官の中のたった一人でも正義を実行しようとすれば、全ては崩壊しますからね。蟻の一穴と言うあたりでしょうか。

警察にある程度の隠蔽体質があったとしても、全てを隠す事はできないでしょう。そうであれば、警察の不祥事など露見する事はないでしょうから。

投稿: ASKA | 2024/09/19 19:30

自殺で検死をするパターンは1割もありません。
誰かが隠蔽というよりも親族が黙っていればいいだけですよね。

その辺の事情を知っている当時の警察官もやる気が出ないでしょうし、近隣に住んでいた人も聞き込み等なかったというのが現状です。

投稿: | 2024/09/27 05:41

一刻も早くccムーアに調べてもらいたいんです。

投稿: たま | 2024/10/11 12:32

個人的な怨恨でなく社会に対する怨恨、
その矛先が偶然宮澤さん一家に向けられた。
有りそうな気がします。

昨今イスラエルとアラブの対立が何かと取り上げられていますが、例えばイスラム教徒によるキリスト教に大猿宗教的な反感から偶然選ばれてしまった、という線もあるのかなと思いました。
こう考える根拠は以下です。

•犯人は冷蔵庫内のビールに手をつけていないこと。
(ムスリムはアルコールを飲まない)
まあ単純に未成年だった、または飲酒を習慣としなかった、酩酊を欲するような精神状態で無かった、のかもしれませんが。。
詳しくは知りませんがアルコールを分解する酵素が生まれつき遺伝的に欠乏しているのはアジア系にしかみられない特徴だそうで、欧米の血が入っているのであれば『少なくとも体質的に飲めないということは無い』のではないかと。
あくまで想像に基づく勝手な推測ですが。

•付近に留学生会館があり、
当時は諸外国からの国費留学生が多く居住していた。またそれら留学生のうち40%はイスラム教徒だった。
(※当時の留学生会館の管理人さんの証言)
留学生自身が犯人でなくとも、その友人や知り合いなど、ムスリムが集まりやすい環境だったのではないか。
また国費留学生ということは、おそらくそれほど豊かでない国(当時の日本ほど経済的に恵まれていない国々)の出身の者が多かったのではないかと考えられる。
従って金銭的な余裕はなく、出身国を同じくするその友人や知人たちも金銭的にはそれほど豊かではなかったということが推測できる。
(金銭を取った根拠になりあるのでは)

•現地に行って分かったのですが、
宮澤さん•入江さん宅の外壁には、『聖母マリアの母子像のようなレリーフ』が意匠的に刻まれています。
おそらく単なるデザイン的なものなのではないかと思うのですが、外からはキリスト教に関係のある、または傾倒している家なのかな、と見えた可能性がある。
勿論家主がレリーフに何を刻もうがそれ自体は悪いことでは無いのだけれども、もしかしたら宗教的な偏向を持っている人間から見たら、そうではなかったのかも知れない。(宮澤さん宅が対象になった原因のうちの一つ)

投稿: 道祖神 | 2024/10/14 09:27

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