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2024/10/30

世田谷一家殺害事件再考その223(立ち退き料その2)

旧い週刊誌報道で立ち退き料についての情報を見つけました。
『新潮45』2002年2&3月号(238号&239号)の「一橋文也」のレポートから抜粋:
***ここから***
都東部公園緑地事務所によれば、宮澤さんとは2000年3月時点で立ち退き交渉がまとまり、都は既に土地売却料と物件移転補償費の一部を支払っており、登記簿上も同月付で所有権を移転、2001年3月には、宮澤さん一家は都が用意した代替地に転居する予定だった。
 ところが、宮澤さん一家が転居する予定地は事件発生時点で、都との売買契約が成立しておらず、所有権移転も建築確認申請も行われていない。
***ここまで***
 
この情報の中で気になったのは
「2000年3月時点で立ち退き交渉がまとまり、都は既に土地売却料と物件移転補償費の一部を支払っており、登記簿上も同月付で所有権を移転、2001年3月には、宮澤さん一家は都が用意した代替地に転居する予定だった。」
 
この部分です。
そして、そもそも「立ち退き料」の相場っていくらなの?とかその内訳は?と言う事で調べてみると。
立ち退き料の内訳としてはこんな感じのようです。
 
1)土地売買価格
2)建物再建築価格
3)解体費
4)引越し費用
5)仮住まい費用
 
5)の借り住まい費用は、引っ越すまでの間に別の物件に借り住まいする為の賃貸料と言う事でしょうから、宮澤さんのケースでは該当しないでしょうね。
 
1)土地売買価格ーーーについては、土地の買い取り価格と言う事になるわけだけど、これは公示価格などを基準に算出されると思われるので、極端に高く買い取ってくれるとは思えないです。
2)建物再建築価格ーー移り住む先で新しく建築する費用と言う事でしょうから、言い換えると中古物件ならその建物の購入価格になるかもしれませんね。
宮澤さんの場合、都有地を購入して建物を建てると言う予定だったようですから、建物の大きさにもよるでしょうが、現在の相場は30坪で、木造2階建てで2500万円のようです。
当時バブルの後半だった事を考えるととそれよりも当時は高い金額が出ていた可能性がありそうですね。それでも、3000万円ぐらいでしょうか?
 
3)解体費ーーーーーーこれは、おそらく、それまですんでいた家の解体費と言う事だと解釈しているのですが、これも30坪、木造2階建てなら120万円ぐらいのようです。
4)引っ越し費用ーーーこれは数十万程度でしょうね。
 
ただ、これら以外に、慰謝料とか迷惑料とかが支払われる事があるようですが、それは、ケースバイケースなので、なんとも言えない部分だし、あまりルール化もされていないようです。
 
それから、もう一つ、立ち退き料の支払いタイミングを調べると
「立ち退き料の支払い時期は、賃貸人と賃借人の間での交渉によって決定されます。 多くの場合、退去が完了し明け渡しが行われた後に支払われることが多いです。 ただし、賃借人が新しい住まいへの引越し費用や、他の経済的な負担を前もって支払う必要がある場合、ある程度の前金を受け取ることもあります。」
 
要約すると、大抵は退去が完了後に支払われるが、退去にあたり引っ越し費用など経済的な負担をある程度の前金として受け取る事がある。
 
これらの事を踏まえてもう一度、週刊誌の記事を読む「土地売却料と物件移転補償費の一部を支払っている」ここです。
 
宮澤さんはどのぐらいの金額を受け取っていたのだろうか?と改めて考えてみるのですが・・・・
これまでの大半の報道ではこの部分が「莫大な」とか「大金」と報道されているのだけど、宮澤さんはこの立ち退きでホントに利益が出ているのか?と言う素朴な疑問が出てくる。
 
そもそも、一番大きな金額になる1)土地売買価格については、同じ世田谷区の土地を購入する代金に充当されるわけだから、プラスマイナスゼロなのではないか?
まー10年分の地価の値上がり分は純粋にプラスになるものの、新たな購入する土地の価格も10年で上がっているわけだから、極端なプラスにはならないような気がする。
まして、購入予定の土地が広すぎて予算が合わず、担当者に分割して土地を小さくして購入する話になっていたようだから、プラスになっているとは思えないんですよね。
 
2)建物再建築価格は建物を建てる費用だから、これもそのまま右から左に流れる金額なんじゃないの?
 
こう考えると、純粋にプラスになるのは、迷惑料や慰謝料と言った部分だろうけど、それも、そんな大金になるような金額ではないだろうと思う。
むしろ、塾の開設費用として借り入れる分で、全体の収支はマイナスになるのではないだろうか?と私は考えています。
 
まーこれは、問題なく立ち退きが行われた場合の話ですね。
 
実際には、「転居する予定地は事件発生時点で、都との売買契約が成立しておらず、所有権移転も建築確認申請も行われていない。」こうなっているので、少なくとも、土地の売買代金、購入時の金額と同額と仮定しても、1億5千万は宙に浮いている事になる。
 
これは、移転先の都有地の売買契約がされれば、そのまま購入費用に充当されるわけで、犯人がこのお金を狙ったのだとしたら、契約する前のこのタイミングしかない。
 
ちょっと待てよと・・・
この立ち退きと全く同じタイミングで、おそらく同じ金額かそれ以上の金額を受け取っている家がある。
隣接する入江さんの家だ。しかし、事件当時、入江さん側はすでに土地購入を終えて、建築も開始されてる。少なくとも1)土地売買価格の分は移転先の土地の購入費用に充当されている事になる。
 
私は可能性として、犯人は入江さん宅と間違えて宮澤さん宅に強盗に入った可能性も疑っていたけど、逆に資金の残っている宮澤さん宅を狙ったと考えた方が自然と言う事に今、気づいた。
 
こう考えると、宮澤さん一家が、立ち退き料(土地売買金額)を狙われたとしても、不思議ではないね。
タイミング的には宮澤さんの手持ち資金がピークになるタイミングだ。もし、移転先の土地の売買契約が終わり、代金が支払われていたら、犯人が手にする金額は一桁違う金額になっていただろう。
 
ただ、仮にこれが計画的な犯行だったとしたら、やはり、その杜撰さが目に付くな・・・
もし、犯人が土地売買金額を狙ったとしたら、そもそもそれは・・・・犯人像につながる情報になるかもしれないな。
 
次回はこのあたりを考えてみようと思う。

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