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2025/02/05

新潟県新潟市母子殺人事件その3(一審判決)

一審判決は無期懲役(求刑無期懲役)です。
 
***判決公判(24年11月22日)***
1)新潟地裁は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
 
2)裁判長は職場の同僚だった女性との不倫関係から被告が妻子を疎ましく思ったと認定し、「被害者らには何らの落ち度もない。経緯や動機にくむべき点は皆無だ」と強く非難したとのこと。
 
3)判決によると、21年11月7日午前、自宅で妻(当時29歳)と長女(同1歳)の首をロープで絞め窒息死させた。また同3月に妻に睡眠薬を入れた飲料水を提供し、飲んだ可能性があるのを知りながら、妻子が車で出かけるのを制止せず交通事故を起こさせて殺害しようとしたほか、同9月には妻を殺害しようと勤務先の病院から薬剤を盗んだとのこと。
 
4)裁判長は「2名の尊い生命が奪われた結果は誠に重大」と指摘。3月と9月の事件で殺意は無かったとする被告側の無罪主張については「死亡する可能性も認識していたと推認できる」「塩化カリウム(薬剤)を無断で持ち出した時点で殺害しようと考えていたと認めるのが相当」と退け、殺人未遂と殺人予備の罪も認定したとのこと。
 
塩化カリウムについての別の報道
被告人が塩化カリウムを持ち出す前に、塩化カリウムの致死量やその注射に関わること、高カリウム血症で心停止となった場合に解剖でその原因が判明するかなどにつき、約1カ月間にわたり複数回検索していたことからすれば、被告は塩化カリウムの危険性及び投与方法のみならず、これを殺害に用いた場合における犯行発覚リスクに関心を抱いていたものということができる。それらの検索と近接した時期に塩化カリウムを持ち出し、自宅に保管していたことからすれば、被告人が妻への殺害をする目的で塩化カリウムを持ち出したことが強く推認される。したがって、被告が塩化カリウムを無断で持ち出した時点で、被告人は妻を殺害しようと考えていたものと認めるのが相当であり、“殺意が認められる”とのこと。
 
5)被告が18年5月に結婚したのに、19年10月ごろには同僚と不倫関係にあったとし、「勾留中、被害者遺族に対する謝罪文を作成する傍らで不倫相手に恋文を送っていた」などと指摘。「妻の悔しさ、無念さ、悲しさ、絶望は筆舌に尽くし難い。長女の死も痛ましいというほかない」と強調し、「被告に有利な事情を最大限考慮しても有期懲役刑を選択すべきとは到底言えない」と非難したとのこと。
 
別の報道では
2人の尊い生命が奪われたという結果は誠に重大である。妻は婚姻後、間もなくして被告人による不倫や預金の使い込みがありながらも、代わらず夫婦であり続けようとし、長女の誕生後はひたむきに育児に励みつつ、新居で被告人と共に新生活を始めた矢先、被告人に裏切られ、最期は長女の目の前で命を奪われた。愛する我が子を育てることも、その成長を見届けることもできないまま命を奪われた無念さは察するに余りある。長女は、1歳になったばかりで周囲から愛され、本来父親である被告人に庇護されるべき立場にあったのに、その被告人から突然殺害されたものである。妻の悔しさ、無念さ、悲しさ、絶望は筆舌に尽くし難いものといえるし、長女の死も痛ましいというほかないと断罪したとのこと。
 
被害者らには何の落ち度もない。経緯や動機に汲むべき点は皆無である。また、看護師である被告人がその知識・技術および立場を悪用し、各犯行に及んだことも強い非難に値する。本件に関しては、有期刑を選択すべきとは到底言えないとしたとのこと。
 
6)絞殺についての報道
被告は妻に対して、背後から近づいて突如首にロープをかけ、もがく妻の抵抗を排して2、3分締め上げ、ぐったりとして鼻から血が出ていたにもかかわらず、手が震えているように見えたため、再度首を締め上げて、完全に動かなくなったことを確認した。
 
続けて、長女の首にロープをかけて絞め始め、眼前で苦しそうに泣く姿にも構わず2、3分間力を緩めず締め続けた結果、泣くこともできなくなってぐったりとしたにもかかわらず、鼻提灯が膨らんでいるのを見て、再度首を締め上げて、完全に動かなくなるまで続けていた。
 
いずれも一度締め上げているにもかかわらず、わずかでも生きている可能性を認識するや再度締め上げて息の根を止めたのであり、強固な殺意に基づく極めて悪質なものと言わなければならないとのこと。
 
7)偽装工作の報道
絞殺するために事前にロープを購入したり、窒息死に至る時間や血痕のぬぐい方を事前に検索するなど犯行は計画的である上、殺害後は稚拙ながらも妻による無理心中に見せかけるため、妻の携帯電話機を用いて遺書を作成したり、ロープを現場に垂らしておくなどの偽装工作も行っていたとのこと。
 
こんなところですね。
事件簿の活動自粛期間中の公判だったため、公判の情報の大半を見逃していました。
判決を聞くだけで、殺害された母子がかわいそうで仕方が無いですね。
よくここまで身勝手になれるのか、とあきれてしまう。
結婚した翌年には不倫を開始しているぐらいなら、どうして、結婚したのか?と聞いてみたいところですね。
殺害された奥さんも不倫やお金の使い込みに気づきながら、結婚生活をつづけようとしていたのは、生まれた子供の事を考えての事なのかもしれませんね。
 
しかし、やはり、結婚するべき相手ではなかったとしか思えないですね。
まー結婚の前後で男性の女性に対する態度が変化する事は珍しい事はでないかもしれません。
 
分岐点は夫の不倫を知った時なんでしょうね。
もしかすると、妻は不倫を知った上で、知らないふりをしていたのかもしれませんが、やはり、きっちりどうするのか?を詰問するべきだったと思います。
もしかすると、その上で、被告が「別れるから」とその場しのぎの嘘を言っていたかもしれないので、なんとも言えないところではありますが・・・
 
事が露見しても不倫を続けるようなら、決断するしかないのかな?
しかし、女性の側としたら、1歳の子供を抱えて、女性が一人で生活していくのは大変な事だと言う事は容易に想像できますから、決断できなかったのかもしれないですが・・・
結局、そのままの状態を続けても、母子ともに幸せになれるとは思えないので、実家や友人の力を借りてでも、決断するべきなんだろうと思います。
まーあえてその状態を続けて、時期を見て決断と言うのも方法かもしれません。
どちらが良いか?はケースバイケースなんでしょうね。
 
亡くなった母子のご冥福をお祈りします。

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京都府京都市山科区両親殺人事件その2(起訴から一審判決まで)

判決は懲役26年(求刑懲役30年)です。
 
***起訴(22年4月1日)***
京都地検は1日、殺人と道路運送車両法違反の罪で、夫婦の長男でこの民家に住む無職男性容疑者(37)を起訴した。
 
起訴状によると、昨年10月31日午後4時ごろ、自宅で父親(66)と母親(61)=ともに山科区=の頭をおので殴ったり、折りたたみナイフで首と胸を多数回突き刺したりして死亡させた。また、同日午後8時10分ごろ、三重県内の道路で、車検が切れた軽乗用車を運転したとしているとのこと。
 
京都地検は刑事責任能力を調べるため、約4カ月間の鑑定留置を行っていた。
 
***初公判(23年10月2日)***
1)被告は起訴内容を認めているかどうか問われると「黙秘します」と述べ、弁護側は正当防衛が成立するなどとして無罪を主張した。
 
2)検察側は「両親に就職を妨害された、または今後も妨害されると思い、激怒して両親を殺害した」と指摘した。
 
***論告求刑公判(23年11月6日)***
1)論告で検察側は、犯行の計画性や逃走などの行動は自然で合理的であり、精神疾患の影響はなかったと指摘。「ちゅうちょなく、冷酷で残虐な犯行」と非難し、懲役30年を求刑した。
 
2)弁護側は、精神疾患を理由に被告の就職の内定辞退を両親が会社に申し出た当時の経緯を踏まえ、「生きる権利を守るため、やむを得なかった」と主張。殺害は正当防衛に当たるとし、精神疾患の影響で刑事責任能力もなかったと訴えたとのこと。
 
***判決公判(23年11月27日)***
1)裁判長は被告に完全責任能力があったと認定し、懲役26年(求刑懲役30年)を言い渡した。
 
2)裁判長は判決理由で、被告が凶器を準備するなど合理的な行動を取っており、犯行後に逃走していることから違法性を理解していたとして完全責任能力を認定したとのこと。両親が被告の意向に反して、就職が決まった会社に精神疾患を告げたことで内定が取り消され、怒りを覚えたと指摘し、「犯行は執拗かつ残忍で、強固な殺意に基づき悪質」と非難したとのこと。
 
こんな事件ですね。
第一報で両親に就職を反対された事が動機と言う事でそのあたりの事情を知りたかったのですが、あまり詳しい情報は出てきませんでした。
精神疾患がらみの事件の為か、報道もかなり少ないですね。
裁判の様子もよく分かりませんが、要約すると
 
被告が就職内定した会社に被告の意に反して、両親が精神疾患の事を告げたせいで、内定が取り消された事を恨んで、両親を殺害した事件というのが概要かな。
謎なのが、弁護側が正当防衛が成立すると無罪を主張した根拠は、「生きる権利を守る為、やむを得なかった」と言う事のようですね。
正当防衛の定義は
「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」
この急迫性がこの事件には無いと思うんですよね。
 
なので、正当防衛を主張するのはかなり無理があると思うのですが、弁護人がなぜ正当防衛を主張したのか?が知りたいですね。
 
事件の動機としては、ある程度理解できる物はあると思います。
就職しようと思って、内定をもらった会社に、持病の話をされて、内定が取り消されたのであれば、被告が怒るのも無理は無いかもしれないと思う。
まず、ここで疑問なのは、両親が精神疾患の話をしたと言うのは事実なのだろうか?
報道が少ないので、この部分にも疑問がある。つまり、被告がそう思い込んでいただけの事実誤認と言う、まさに逆恨みと言う可能性はないのかな?
とはいえ、裁判長が判決理由で述べているので、この部分は事実なんだろうね。
 
そうすると、なぜ、両親は息子の精神疾患を会社に話したのか?が次の疑問ですね。
一般的に言えば、親が子供の幸福を望まない事は無いので、逆に言えば、両親はそれを話す事が息子にとって、あるいは自分達にとって有益であると考えたと言う事なんでしょうね。
だから、被告自身は仕事をする事を望んでいたが、両親はそれを望んでいなかったと言う事なんでしょうね。
その理由がわかりませんが・・・憶測になってしまいますが、就職する事でトラブルが発生することが予想できたと言うことなのかな。
 
だとしたら、そのあたりを親子で話し合うなり、対立する事を避けるなら、主治医を通して仕事は難しいと言う話をしてもらうなり、他には会社には別の理由で内定取り消しにした事にしてもらうとか方法があったと思うのですが、なぜこんな発覚すれば、軋轢を生むような方法を選択したのか?は少し疑問です。
とは言え、繰り返しますが、家庭の事情が分からないので、ここに至るまでには相当な苦労があって、こうなってしまったのかもしれないので、まーなんとも言えないですね。
 
亡くなったご両親のご冥福をお祈りします。

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2025/02/03

愛媛県新居浜市一家3人殺人事件その2(一審判決から上告まで)

一審判決は無期懲役です。
 
***初公判(23年12月6日)***
1)起訴状などによりますと、住所不定で無職の男性被告(56)は2021年10月、新居浜市垣生の住宅でITさん(当時80)と妻のII(当時80)さん、元同僚で三男のIKさん(当時51)の胸などをナイフで突き刺し、殺害したとのこと。
 
2)被告は起訴内容を認めた上で、弁護人が心神喪失による無罪を主張した。
 
3)検察側の冒頭陳述で「被告は組織から電磁波攻撃を受けたと思い込み、一方的に犯行に及んだ」ただ「自らの行動は理解できた」と指摘した。
善悪の判断が全くつかなかったわけでは無い心神耗弱状態だったとして、罪に問えると主張した。
 
検察は、被告は被害者のIKさんがインターネットの掲示板に被告の個人情報を書き込んだり、電磁波攻撃をしたりしていると思い込むなど、犯行に至る経緯を明らかにしたとのこと。
 
別の報道では
検察側は、犯行当時、被告は、妄想型の統合失調症を患い、インターネットの書き込みなどをきっかけに被害妄想を抱き、一方的に怒りを募らせ犯行を決意したと主張した。
 
一方で、事件の直前には被告が「罪を犯せば自分の家族に悪影響を与えるのではないか」と考えていたとして、犯行当時は善悪の判断能力が著しく低下する「心神耗弱」だったと主張し、刑事責任を問えるとした。
 
4)弁護側は、被告は犯行当時、善悪を判断する能力がない“心神喪失”の状態であったとして無罪を主張した。
 
別の報道では
弁護側は、被告はインターネットを検索する中で、組織や被害者による電波攻撃を受けていたという妄想を募らせ、 復讐を決意したとし、犯罪歴のない人が3人の命を奪う行動に出た理由として考慮してほしいと訴えたとのこと。
 
5)証拠調べの中で、検察側は、事件発生の4年ほど前から被告が監視や盗撮、盗聴など妄想による被害を周囲に対して訴えるようになり、その後「誰かに悪口を言われている」などと、知人らに電話を掛けるようになったと指摘したとのこと。
 
「電磁波が思い切り飛んでくる、頭が痛い。仕事に行けず100万円くらい損している」「要求はなんだ、お前しかおらんやろが」など、被告が知人に詰め寄る通話内容の録音を証拠として提出したとのこと。
 
6)証人尋問(事件当日、最初に現場に駆け付けた警察官が証人)
軒先で腹から血を流し倒れこむITさんを発見し、無線で県警本部と連絡を取り合っている間に、通報したIIさんが刺されたことなど当時の様子を証言したとのこと。
 
別の報道では
3人の殺害から逮捕に至るたった2分間の出来事。警察に通報したIIさんが自宅の外でパトカーを手招きし玄関に戻ったタイミングで、被告が「1人だけ生き残っても仕方ない」「一緒にあの世に行かせてやろう」と考え殺害したことが示されたとのこと。
 
また死亡した3人の身体にはそれぞれ10カ所以上の刺し傷や切り傷があり、全員の致命傷になった刺し傷は10センチ以上の深さ。なかには骨を切断したものもあったとのこと。
 
7)証人尋問(被告とIKさんを知る人物)
被告が「新居浜で人を殺して肉を唐揚げにして食ったという話を聞いたことがあるか」などと証人に質問する場面もあったとのこと。
 
***第2回公判(23年12月7日)***
1)被告人質問
無罪を主張する弁護人の質問で被告は「責任能力を認められ死刑になっても悔いはない」と発言。このほかネットの掲示板に自分以外知り得ない直前の行動と同じ内容をかき込まれたほか、ほこりを焼きパンが焦げたような臭いがするほど強い電磁波攻撃を受けたなどと主張したとのこと。
 
また電磁波攻撃は「孫を抱いているときにものすごくしてきた。鬼畜かと思った」と泣きながら答えたとのこと。
 
弁護士の「犯行の動機は何ですか?」という問いに対し、被告は「自分を狙う『組織』の一員だったIKさんに復讐を果たすとともに、事件を起こすことで、『組織』の存在を明るみに出したかった」などと話したとのこと。
 
このあと被告が、自分の孫に思いを馳せて涙ぐむ場面も見られましたが、終始落ち着いた様子で、自らが電磁波攻撃によって受けたと語る被害の詳細や、事件前の被害者との直接のやりとりなどが語ったとのこと。
 
検察の質問に対しは、「犯行が自分の家族の人生に悪影響を及ぼすことは理解していた」としながら、「電磁波攻撃などが全く解決しないため、犯行に及び手加減は全くしなかった」と話した。また1人も3人も「人生が終わることは一緒」とし、3人を殺害したとのこと。
 
その上で犯行時、すでに2人を刺し殺していた被告が家にいた残る母親に対し、「1人で生き残っていても仕方がないし(1人殺しても3人殺しても)人生が終わっていることでは一緒だ」などと思ったと話したとのこと。
 
弁護側の質問に対し、当日家を訪ねたところいないと思っていたIKさんがいたため「今しかない。きょうしかない」と殺害を決意し、自分を攻撃する『組織』の人間だとするIKさんを「絶対にこいつだけは生かしてはおけん」と思い、特に強い殺意を持って犯行に及んだと証言した。
 
また、IKさんの殺害を妨害されると思い、両親も刺したなどと、当時の心境について語ったとのこと。
一方、弁護士の質問に対して,IIさんの殺害に関しては「よく考えていなかった」と話すなど発言が二転三転したとのこと。
 
***第3回公判(23年12月8日)***
1)証人尋問(精神鑑定をした医師)
9回あわせて約21時間に渡り面接などをしていて、「妄想型の統合失調症は2017年頃から発病し、犯行動機の形成過程に強く影響を与えた」と証言した。
 
証人尋問で検察は、被告が自らの子供への悪影響を考えるなど善悪の判断ができる状態で、犯行後に警察が手錠をかけやすいよう自ら手を前に差し出すなど、自分の行動をコントロールできていると主張したとのこと。
 
一方で発症後は、身体がビリビリする感覚や幻覚のため仕事を休むようになっていたものの、統合失調症の患者に見られる性格の変化は見られないとしているとのこと。
 
また弁護側は、偶然IKさんを発見し殺害して自殺しようと考えていたにも関わらず、犯行後にIKさんが関わったする「組織」を公にしたいと自殺に及んでいないとし、両立しない行動を質問。鑑定した医師は妄想型の統合失調症の影響を否定したとのこと。
 
被告が弁護人に「お前もうかわれや」などと、声を荒げる場面も見られたとのこと。
 
また被告人質問で被告に鑑定した医師の対応を問うと、「電磁波攻撃などの被害を受けているにも関わらず統合失調症と決めつけられる」と主張。殺害した3人や遺族への謝罪については「死刑覚悟でやってきている」とし拒否したとのこと。
 
別の報道では
事件当日の被告は、犯行現場まで凶器が目立たないように隠して向かっているほか、恨みを抱いていない警察官に対しては、求めに応じ素直に包丁を置くなど、被害妄想の影響はあるものの周囲の状況を判断し行動しているなどと、鑑定結果を説明したとのこと。
 
これに対し、被告人質問で弁護士から医師の証言内容について聞かれた被告は「ほとんどデタラメで全くの誤診である」などと、診断結果を強く否定したとのこと。
 
***論告求刑公判(23年12月12日)***
1)論告
検察側は論告で、被告は自分の行為の意味は理解していたが、妄想型統合失調症の影響が強く、事件時は心神耗弱状態だったと指摘。強固な殺意に基づく凄惨な犯行で、3人が死亡するなど結果も重大だが、心神耗弱の場合は刑の減軽が必要だとしたとのこと。
 
検察側は無期懲役を求刑した。
 
別の報道では
検察側は論告で、被告には被害者らから電磁波攻撃などの嫌がらせを受けていたという妄想があったが、「差し迫ったものではなかった」と指摘。心神耗弱だったものの、責任能力は完全には失われていなかったとしたとのこと。
 
また、被告は犯行時、ナイフを周りから見えにくいように持ち歩くなど、状況に応じた行動ができたと主張したとのこと。
 
さらに別の報道では
検察側は被告は「自分の行為の意味を理解し選択する能力が完全には失われていなかった」と主張。そのうえで被害者にはそれぞれ10カ所以上の刺し傷があり、深さ10センチを超える傷もあるなど「強固な殺意に基づく凄惨な犯行」で「何の落ち度もない3人の命が一瞬にして奪われた被害結果は極めて甚大」などとして無期懲役を求刑したとのこと。
 
2)弁護側は、被告が当時、自分の行動を制御することができない心神喪失状態だったとし、刑事責任は問えないと主張したとのこと。
 
3)最終陳述
最終陳述で被告は、「統合失調症の診断は誤りで、正常者の発言として裁いてもらいたい」などと述べたとのこと。
 
***判決公判(23年12月18日)***
1)松山地裁は18日、殺人などの罪で精神疾患がある男に対し、検察の求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
 
2)裁判長は「ITさんを刺す前などに子どもの人生への影響を考えて殺害をためらうなど、自らの行為の意味を理解し行為を選択する能力は完全に失っていなかった」とし、被告の刑事責任能力を認め、検察の求刑通り無期懲役の判決を言い渡したとのこと。
 
別の報道では
裁判長は「ITさんを刺す前などに子どもの人生への影響を考えて殺害をためらうなど、自らの行為の意味を理解し行為を選択する能力は完全に失っていなかった」とし、被告の刑事責任能力を認めた。
 
このうえで殺害された3人の身体はいずれも10箇所以上の刺し傷があり、致命傷の傷は10センチ前後に及び凄惨な犯行と指摘。「何の落ち度もない3人の命が一瞬にして奪われた結果は極めて重大。被告の意思決定は厳しく非難されるべき」などと、検察の求刑通り無期懲役の判決を言い渡したとのこと。
 
さらに別の報道では
裁判長は、被告が妄想型統合失調症による被害妄想の影響を受け、犯行に至ったとした。一方、人生への影響を考え殺人をためらうなど、自らの行為の意味を理解し、選択する能力を完全には失っていなかったと判断。「何の落ち度もない3人の生命が奪われた結果は重大」と述べ、心神耗弱による法律上の減軽を認めるとしても無期懲役が相当としたとのこと。
 
***控訴(23年12月21日)***
被告が判決を不服として高松高裁に控訴した。
 
***控訴審初公判(24年6月18日)***
1)弁護側は一審松山地裁の無期懲役判決には事実誤認があり、被告が妄想型統合失調症の影響で心神喪失だったとして、改めて無罪を主張。
 
2)検察側は控訴棄却を求め、即日結審したとのこと。
 
***控訴棄却(24年8月22日)***
1)高松高裁は22日、無期懲役の1審判決を支持し、被告の控訴を棄却した。
 
***上告(24年9月4日)***
1)高松高等裁判所によりますと、被告側はこの判決を不服として、9月4日に最高裁判所に上告したとのこと。
 
こんなところですね。
えーと、理不尽な理由で3人を殺害しているので、本来は死刑のところ、統合失調症による心神耗弱を認めて、無期懲役と言う事で、妥当な判決だと思います。
ただ、それとは別にこの手の事件は難しいというか、被告と検察側の意見がまったく相容れない状態になってしまうのが、なんとも言えない気持ちにさせます。
 
と言うのも、統合失調症では、幻覚や幻聴が「現実」として起きている事なんですよね。
だから、この事件でも被告は自身が受けた「電磁波攻撃」が現実なので、「妄想」と言われても受け入れる事ができないんですよね。
なので、この状態になってしまうと、まったくの平行線なわけです。
 
状況から考えると、被告人は統合失調症を発症してから、通院などの治療を受けてない状態で、事件を起こしていると思うわけです。
(精神鑑定の結果をデタラメと言ってますからね)
裁判長も言っているわけですが、統合失調症にならなかったら、この事件は起きなかった。
しかし、私としては統合失調症になったとしても、適切な治療をしていれば、この事件は起きなかったのではないか?と考えています。
 
だから、この事件を防ぐには、発症した人を適切に医療に導くことが重要なのだと思います。
被告には家族も居たので、世間から隔絶して生きていたわけでも無いのに、誰か医療に導く事ができなかったのか?と言うのが残念でなりません。
鑑定では2017年に発症していると言う事なので、事件が2021年ですから、事件の4年前ですよね。この4年間に異変に気づく人がいたと思うのですが・・・・
まー病院に連れて行くのが最初のハードルなのは間違いないので、気づいた人が何度かチャレンジしたけど、本人が病気じゃ無いと強く拒絶してしまったのかもしれませんね。
 
そして、警察沙汰になるほどの問題も起こしてないので、措置入院もできなかったんでしょうね。
で、最悪の事態になってしまったと言う事なんでしょうね。
 
仕事をしてなかったとしても、市町村の定期検診は受けていたと思うのだけど、問診で「電磁波攻撃」の話はしてないのかな?
もししていたなら、その話を福祉に繋げるような仕組みがあれば、別の角度から専門家のアプローチも出来たかもしれませんね。
でも、被害者から警察へは電磁波攻撃の相談があったので、警察から被告の家族への連絡などもあったと思いますが・・・・
 
いずれにせよ、「放置状態」にならないようにする仕組みが必要かもしれませんね。
 
おそらく、上告の結果も同じだと思いますが、続報を待ちましょう。

***2025年2月3日補足と訂正***
書いた直後ですが、訂正します。前回の記事に情報がありました。
警察から保健所への情報共有はあったとの事です。でも措置入院には至らなかったんですね。

県警は容疑者が、事実とは認められない被害を訴えていることから精神障害の可能性もあるとみて、保健所への相談を勧めた。西条保健所にも「(容疑者に)対応することがあれば支援をお願いしたい」と伝えたという。

県健康増進課は10月15日、西条保健所が2020年9月までに新居浜署から5回、容疑者(53)=殺人容疑で再逮捕=に関する福祉的支援のための情報提供を受けていたと明らかにしたとのこと。

同課は「法律に基づく通報ではなく一般的な情報提供だった」とし、精神保健福祉法による調査や診察、措置入院などの対応は困難だったとの認識を示しているとのこと。

同課によると、19年11月から20年9月にかけ5回、署から保健所に容疑者に関し「電波攻撃を受けているなどと発言し、精神症状が疑われる人がいる。本人や家族に保健所への相談を勧めたい」などと連絡があったとのこと。所内で情報共有し対応する準備を整えたが、容疑者側から相談はなかったとのこと。

市地域福祉課も、容疑者や家族からの相談は把握していないとしているとのこと。

 ***訂正ここまで***

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