2024/08/06

神奈川県横浜市3歳女児重傷火傷放置事件その3(母親の傷害容疑一審判決)

***初公判(24年1月19日)***
1)起訴状によると、被告は19年3月1日ごろ、自宅浴室で長女の背中などにシャワーで高温の湯をかける暴行を加え、加療約3カ月を要するやけどを負わせたとしているとのこと。

2)検察側は冒頭陳述で、被告は長女が言うことを聞かないことにいらだち、事件前の18年11月~19年1月、同居していた男性に無料通信アプリ「LINE(ライン)」で、「まじで無理」「全然可愛くない」「前の旦那に返したいレベルだわまじで」「殺しそう」などのメッセージを送信していたと指摘したとのこと。
また被告は事件後に交際を始めた別の男性には、「自分が故意にシャワーで熱湯をかけた」という趣旨の話をしたなどとしたとのこと。

3)弁護側は、被告は長女を目の持病の治療に連れていくなど熱心に世話をしており、日常的な虐待の痕跡もなく、愛情を持って接していたと主張。浴室でやけどを負った長女を発見しただけであり、「暴行したという直接証拠も物的証拠もない」と無罪を主張したとのこと。

補足
被告は19年3月にやけどした長女を放置した疑いで同居男性とともに保護責任者遺棄容疑で逮捕され、横浜地裁は同年9月に2人に懲役2年、執行猶予4年(求刑・懲役2年)の判決を言い渡し、確定している。

***判決公判(24年6月25日)***
1)横浜地裁は懲役2年(求刑・懲役3年)の判決を言い渡した。

2)裁判官は、長女の体には故意にシャワーの熱湯がかけられたと推認され、短くとも十数秒にわたり長女を逃げられないようにして熱湯をかけることができたのは母親だけだったとしたとのこと。
病院を受診させなかったのも発覚を恐れる気持ちだったとみるのが合理的とし、「愛情を注がれるべき母親から暴力を受けた精神的苦痛も大きかったことは明らかだ」と指摘したとのこと。

こんなところですね。
事件の発生が2019年、5年たってやっと傷害事件の一審判決がでましたね。
この事件では、当時5歳に兄が3月4日の午後4時、雨の中、一人で家を出て、通行人に助けを求めた事で発覚した事件です。
もし、この兄が行動をおこしていなければ、妹はどうなっていたかわからなかったでしょうね。

情報が出ていませんが、兄妹はその後、どうなっているのか?
幸せに暮らせていると良いのですが・・・

参考リンク
神奈川県横浜市3歳女児重傷火傷放置事件その2(母親の傷害容疑で起訴まで)

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2023/09/23

福岡県田川市1歳男児エアガン虐待死事件その5(父親の控訴審判決まで)

判決は懲役16年(求刑:懲役16年)

***初公判(23年01月16日)***
1)起訴状などによると、福岡県田川市の無職・男性被告(27)は2018年11月、1歳だった三男に至近距離からエアガンで多数回撃って全身にけがをさせたほか、母親の女性受刑者(27)(保護責任者遺棄致死罪で懲役8年の判決が確定)と共謀し、三男が衰弱しているにもかかわらず、病院を受診させるなどの生存に必要な保護をせず、死亡させたとして、傷害と保護責任者遺棄致死罪に問われている。

2)被告は起訴内容について「違います」と否認しました。

3)検察側は冒頭陳述で「(三男は)腕や足など多数の骨折で患部が腫れ、痛みで食事も取れない状態で弾を多数撃ち込まれた」などと指摘したとのこと。

別の報道では
検察側は「衰弱して動くのもままならない被害者を標的にエアガンを撃ちこんだ」「衰弱し呼吸困難などの異常が発症していたのは養育者なら容易に気がつくことができた」などと主張したとのこと。

更に別の報道では
当日、119番通報で駆け付けた消防隊員と救急搬送された病院の医師の供述調書を読み上げた。

消防隊員の証言より
「父親と母親は床に座ったまま消防隊の心臓マッサージの様子を見ていた」
「普通の親なら取り乱す場面だが、妙に落ち着いていて違和感を覚えた」

さらに検察側は、唯雅ちゃんが救急搬送された病院の医師の供述調書も読み上げ、唯雅ちゃんが虐待を受けていた可能性を示唆しました。

医師の証言より
「1歳4カ月の乳児は少しの落下で簡単に骨折するものではない」
「1歳4カ月で骨折がある時点で虐待が疑われる」
「背中の骨折は背中を踏み潰されたもの」
「大きな他人からの衝撃が複数回あったといえる」
「かなり痛がり泣いたはず」

4)証人尋問(押収したエアガンを検証した警察官)
服を着た大人が1メートルの距離から腕を撃たれた場合でも「円形の皮下出血が認められた」という。自身の太ももに撃った際には「ズボンの上からでもバチンと音がして、激しい痛みが伴った」と述べたとのこと。

5)弁護側は「被告は暴行を加えておらず、要保護状態を認識していなかった」などと無罪を主張したとのこと。

別の報道では
弁護側は、三男をエアガンで撃ったとされる傷害の罪については「暴行は加えていない」。育児を放棄したとされる保護責任者遺棄致死の罪については「衰弱した認識はなかった」などとして無罪を求めたとのこと。

***第?回公判(23年01月19日)***
証人尋問:被告の妻(受刑者)
検察側質問
Q:自宅にエアガンがあったのは知っている?
A:覚えていない。

Q:被告が家でエアガンを使用しBB弾を発射したのを見たことはある?
A:ないです。

***第5回公判(23年01月20日)***
被告人質問
1)被告は弁護側の質問に、「お話ししません」と20回以上繰り返して黙秘した。

2)裁判長が「話したいことを参考にしないことになるが、いいのか」と尋ねると「はい」と答え、検察側などの質問は行われなかったとのこと。

***論告求刑公判(23年01月25日)***
1)検察側は「エアガンの操作は複雑で、雅則被告以外の家族には使いこなせない」「常軌を逸した虐待行為」などとして、懲役16年を求刑した。

別の報道では
検察側は「苦しむ被害者に救いの手を差し伸べず、放置したのは極めて悪質で残虐」「被害者が感じた身体的、精神的苦痛は大きく痛ましい」などとして、被告に懲役16年を求刑したとのこと。

2)弁護側は証明に足る証拠が無いとして無罪を主張した。

***判決公判(23年02月09日)***
1)福岡地裁は9日、「被害者の肉体的苦痛やつらく悲しい気持ちは計り知れない」として求刑通り懲役16年の判決を言い渡したとのこと。

2)裁判長は判決理由で、三男が亡くなる3日ほど前までは救命できたのに治療を受けさせず、死亡前日ごろにもエアガンで20発以上撃つ虐待行為を続けたと指摘。保護責任者遺棄致死罪で既に懲役8年が確定した母親の女性受刑者(27)よりも責任は重いと判断したとのこと。

別の報道では
裁判長は、「被害者の人格と尊厳を無視した極めて残虐な犯行」と指摘。
その上で、「反省の言葉も被害者に対する謝罪もない。被告人には、主文の刑をもって臨む必要がある」として、被告に求刑通り懲役16年の実刑判決を言い渡したとのこと。

更に別の報道では
裁判長は、複雑なエアガンの操作は、家族の中で常慶被告にしかできなかったとして、被告による虐待を認定。「全身の骨折やエアガンによる傷を負った三男が要保護状態であることも、同居する親であれば認識できた。被害者の人格や尊厳を無視した極めて残酷な犯行だ。動機は判然としないが、愛情の希薄さにとどまらない、被害者への悪感情が見て取れる」と批判したとのこと。

更に別の報道では
裁判長「エアガンの大きさや重さから本件犯行に及んだのはほかならぬ被告人であったと認められる」「多発骨折の痛みなどで泣いたり、食事を十分に取ることも困難だった様子をみれば、同居の親が異常に気がつかないはずがない」と述べたとのこと。

更に別の報道では
裁判長「瀕死の状態にあった被害者になおも20発以上も撃つ虐待を続け、被害者の人格や尊厳を無視した極めて残酷な犯行」「本来頼ることができるはずの両親から保護を与えられなかったつらく悲しい気持ちは計り知れず、保護責任者遺棄致死事件の中で極めて重い部類に属する」と述べたとのこと。

更に別の報道では
瀕死の状態になっても医療措置を受けさせないばかりかエアガンで虐待。被害者への悪感情を見て取れる。虐待の発覚を恐れて医師に連れて行かなかった不保護を継続したことも見られる。11月28日(死亡3日前)までに医師の診察を受けさせていたら命を救えた可能性があった。本来頼るべき両親から、保護を受けられなかった辛く悲しい気持ちは、計り知れないと述べたとのこと。

***補足(遺体の状態)***
全身にはエアガンで撃たれた合計71カ所の弾の痕があり、両手両足や肋骨は23本、あわせて31カ所も折れていた。

22年12月1日付で法医学医が記した「死体検案書」には直接死因は「低栄養」が原因の「肺感染症」と書かれているとのこと。

***公判後の裁判員のコメント***
法廷で黙秘した被告。弁護側の質問では26回にわたって「お話ししません」と述べ、検察官や裁判官の質問は取りやめになった。証人として出廷し、三男死亡の経緯を知るはずの母親も「覚えていません」「忘れました」を80回以上繰り返した。判決後に記者会見した裁判員は「難しい判断だった」と語ったとのこと。

***控訴審判決(23年06月15日?)***
岡高裁は「わが子を1カ月近く保護していないことや、傷害が残酷な点から、一審の評価は正当」などとして控訴を棄却したとのこと。

こんなところですね。
懲役16年ですか・・・妥当と言えば妥当なところなのかな?
例え殺人罪でも死亡が1人なので無期懲役以下は確定なんですが、このケースは傷害と保護責任者遺棄致死罪なので、懲役16年と言うところなんでしょうね。
検察は殺意が立証できないので殺人罪は適用しなかったんでしょうね。

まー遺体の状況だけを見ても、もー犬猫以下の扱いでしょう。我が子と言う意識自体なかったんじゃないのかな?
さらにその状態ですら母親が子供を守ろうとしなかった。これも児童虐待事件ではよくあるケースですね。ただ、この事件では母親(受刑者)が公判で知的障害でIQが58、精神年齢は12歳と言う事が明らかにされています。なので、一家の大黒柱である父親が犯行を主導したなら、家庭内でそれを止められる人間はいなかったんでしょうね。しかも被告からDV被害も受けていたから、被告に逆らえなかったと言う可能性もありますね。
それで、公判での証言でも被告の意を汲んだ証言をしたとしても不思議ではないかもしれません。

実は、この夫婦は10代で知り合って妊娠を機に結婚したようですが、児童相談所は見守り対象にしていたようです。
事件前には長男に対する虐待の通報、三男についても匿名の通報があるなど、事件の予兆はあったのですが・・・・

以前の報道情報だと

福岡県田川市は8日、被害者となった三男が生まれて以降、子育てや福祉の担当職員が男性容疑者の自宅を16回訪問していたことを明らかにした。このうち、実際に成育状況を確認できたのは生後3カ月時の1回だけ。生後4カ月と8カ月の乳幼児健診も受けていなかったとのこと。

市によると、妊娠が分かって以降、市が母親の女性容疑者の携帯電話に連絡した36回のうち、会話できたのは8回。自宅などで面談できたのは9回だったとのこと。

昨年7月5日、市と田川児童相談所に「三男の泣き声がしない。姿を見かけない」と市民から相談があった際は、児相職員が自宅を訪ねたが不在だった。市は同6月25日に女性容疑者が市役所を訪れた際、三男にあざが見つからなかったことなどから、対応しなかった。母親が7月25日に来庁した際は、市職員の目視であざなどは見つからなかったという。

と言う事で見逃されてしまったと言うところなのかもしれません。
防ぐ方法は、家庭内からの通報は期待できないので、外から中の状態を垣間見るような何かが必要なのかもしれませんね。
やはり、健診が良い機会だと思うんですよね、受診者には現金かクーポン券でも支給して、受診させて、外の人の目に触れさせる仕組みを作るのも良いかと思います。
とは言え、それで完璧とは言えないのがつらいところですね。健診のタイミングをすり抜けた短期間に悪化する事案については対処できないんですよね。
そうすると、ご近所さんの目と言うのを頼らないとダメかな。これも難しいところではあるとは思います。

亡くなった男児のご冥福をお祈りします。

参考リンク
福岡県田川市1歳男児エアガン虐待死事件その4(母親の控訴審判決まで)

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2023/09/15

滋賀県大津市妹虐待死事件その3(母親の覚醒剤使用の一審判決)

判決は懲役2年4月(求刑懲役3年)

2年前の事件になります。
***補足***
6歳女児が同居の兄に虐待されて死亡した事件に絡んで、自宅の家宅捜索で違法薬物が見つかったことから、母親による薬物所持の疑いが浮上し、県警が母親を逮捕した事件です。
***ここまで***

21年夏に大津市の無職少年(18)が自宅で妹=当時(6)=を暴行し死亡させた事件に絡み、同居していた兄妹の40代の母親が事件当時、覚醒剤や大麻など複数の違法薬物を所持していた疑いが強まったとして、滋賀県警が覚醒剤取締法違反(所持)などの疑いで、母親を逮捕していた。(21年11月10日報道)

捜査関係者によると、母親は7月下旬~8月上旬ごろ、麻薬を使用した疑いが持たれている。県警が尿検査を実施して鑑定したところ、違法薬物の陽性反応が出たとのこと。

母親は8月上旬、大津市内の自宅で覚醒剤や大麻など複数の違法薬物を所持した疑いで、11月4日に逮捕された。母親は「自分の物ではない」と否認を続けているとのこと。(21年11月25日報道)

***初公判(22年02月03日)***
1)母親は「薬物が家にあるとは思っていませんでした。ケタミンは使っていません」と起訴内容を否認。

2)弁護側は無罪を主張した。

3)検察側は冒頭陳述で、母親の尿からケタミンが検出されたと指摘。自宅からは母親の血液や薬物が付着した注射器16本が見つかり、母親の指紋が付いた袋に薬物が入っていたと述べたとのこと。

4)起訴状によると、母親は21年8月初旬ごろ、ケタミンを所持・使用した他、大麻や覚醒剤を所持したとされるとのこと。

***再逮捕(22年02月12日)***
1)滋賀県警大津署などは12日、覚醒剤取締法違反(所持)などの疑いで、同居していた介護職の母親(41)=覚醒剤取締法違反などの罪で公判中=を再逮捕した。母親は「私のものではない」と容疑を否認しているとのこと。

2)再逮捕容疑は昨年11月5日、大阪市浪速区内で覚醒剤と大麻を所持した疑いとのこと。

***第?回公判(22年09月02日)***
保護処分となった少年は今年9月2日、母親の公判に証人として出廷し、「母親が違法薬物を持っているのは見たことがない」と証言したとのこと。

別の報道では
少年は自分の尿を避妊具に入れて母親に渡したなどと証言した。その上で「僕が妹を亡くしてしまったから、ごめんとしか言いようがない」と述べたとのこと。

***論告求刑公判(22年11月11日)***
1)検察側は論告で「薬物事件などで長期間服役したにもかかわらず性懲りもなく使用し、規範意識の鈍麻は顕著だ」と指摘した。検察は懲役3年を求刑したとのこと。

2)弁護側は「娘の死後に友人からもらった薬が違法薬物だったら遺体に会えなくなるので、息子の尿を隠し持って警察に任意提出した。(違法薬物が検出された)尿は被告のものではなく、自宅から見つかった薬物は出入りしていた第三者のものの可能性がある」と主張したとのこと。

***判決公判(22年12月12日)***
1)、大津地裁は「薬物との親和性が高い」として懲役2年4月(求刑・懲役3年)の実刑判決を言い渡したとのこと。

2)判決で裁判官は、少年は妹を暴行した事件の捜査段階ではそうした証言をしておらず、尿を手渡した前後のやりとりも覚えていないと指摘。「妹を亡くして申し訳ない気持ちから母親をかばう証言をする動機がある」として証言は信用できないとした。そのうえで、自宅から母親の血液と違法薬物が検出された注射器が複数見つかったことなどから、尿と違法薬物は母親のものと認定したとのこと。

***補足***
これは、9月2日の少年の証言の事を指していると思われます。

他に母親の知人の談
「5度の結婚歴があり、事件当時に結婚していた夫とはすでに離婚しています。事件当日も交際していた男性に会うために、長男に妹の面倒を見させていたと聞いています」

***控訴(22年12月14日)***
母親(42)が14日、懲役2年4月とした大津地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴したとのこと。

こんな事件ですね。
元の兄(当時17歳)による6歳女児の虐待死事件です。
司法解剖の結果、ろっ骨が複数か所折れていて、全身におよそ100か所のあざが見つかった。
酷い事件だと思っていたのですが、事件当時同居の母親は外出が多く、兄が妹と同居を初めて実質的に約1ヶ月で事件が起きていました。
どうも、理由が母親が外出が多くて、わずかなお金を渡されて妹の面倒を見ていた兄がストレスに耐えられずに起こした事件だったと言う背景が出てきていたのですが・・・

なんと、母親は薬物乱用者だったと事のようですね。
***補足***
ケタミンは元々は安全性の高い麻酔薬のようです。ところが、乱用されるようになり日本では2007年から麻薬に指定された。半減期はおよそ3時間、医薬品インタビューフォームには、15%前後の者は麻酔からの覚醒時に「夢のような状態・幻覚・興奮・錯乱状態」などの症状が現れると記載されている。これで幻覚剤として乱用される事になったと言う事のようですね

事件当時、少年はいわゆるヤングケアラー状態だったのが、事件の遠因でしょう。

そこで、県の児童虐待事例検証部会が22年月15日、課題と改善策・提言をまとめた検証結果を知事に報告しています。

ざっくりと内容から事件の原因を要約すると(ASKAの解釈です)
A)もともと3人は同居していなかった。(母親の過去の薬物使用歴など)同居前に暮らしていた県外の児相との引き継ぎが不十分で妹のリスクを予測できなかった。

B)当初は夏休み期間中、母親は同居する予定だったが、母親が外出する事が多くなり、実際に7月21日深夜、兄と妹がコンビニで保護される事態となっているにもかかわらず、リスク評価を見直さず、母親の不在のリスクを過小評価した。

話を母親に戻して、ちょっと酷いと思ったのは、「証拠の尿が実は、息子の物でした」と言う主張ですね。
自分が無罪になる為の主張です。何しろ尿という決定的な物証が出ているので、これが自分の物と認めると、それは自分が使った事を認める事になるので、無罪を主張するなら否定するしかないわけです。
(違法薬物が検出された)尿は被告のものではなく、息子の尿を隠し持って警察に任意提出した。
自宅から見つかった薬物は出入りしていた第三者のものの可能性がある。

と言う主張ですね。ただ、結局、息子が薬物使ってましたよっていう主張ですよね。
娘は死亡、息子は少年院送致と言う状態だから、失う物は何も無いように思うけど、それでも無罪が欲しかったと言う事なんでしょうね。
母親をかばった息子の証言「僕が妹を亡くしてしまったから、ごめんとしか言いようがない」が泣かせますね。

もし、生まれた家が違っていたら、息子は好青年になっていたかもしれませんね。

結果には原因がある。事件が起きるにはそれなりの原因があったと言う事ですね。

参考リンク
滋賀県大津市妹虐待死事件その2(少年院送致まで)
薬物による凶悪事件

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2023/09/01

福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その11(Aの控訴審と刑確定)

***初公判(23年02月15日)***
1)検察は控訴棄却を求めたとのこと。

2)A堀被告の弁護側は、I受刑者の証言には信用性がなく、一審判決は事実誤認がある、として改めて無罪を主張したとのこと。また、有罪の場合でも懲役15年の判決は量刑不当だと訴えたとのこと。

3)裁判は即日結審した。

***判決公判(23年03月09日)***
1)福岡高裁は3月9日、懲役15年とした一審の判決を支持し控訴を退けた。

2)裁判長は事実誤認として無罪を求める弁護側の主張に対し、一審の判決理由となったI受刑者の証言に「不合理な点はなく信用性が高い」などとしてA被告の控訴を棄却した。

別の報道では
裁判長は9日の控訴審判決で、「A被告の行動こそが被害者の苦痛と死を招いた」として1審判決を支持し、控訴を退けた。

***刑確定(23年03月24日)***
1)保護責任者遺棄致死などの罪に問われたA被告(50)について、求刑通り懲役15年とした1審・福岡地裁の裁判員裁判と被告側の控訴を棄却した福岡高裁の判決が24日、確定した。被告側は無罪を主張していたが、期限の23日までに上告しなかったとのこと。

こんなところですね。
あっさりとした控訴審でしたね。
被告側の主張は一審のI被告(死亡した男児の母親)の証言の信憑性に疑いがあるので、その証言は事実ではないとして、無罪を主張していたと言う事ですね。
報道された情報だけでは、公判の内容の詳細が分からないけど・・・
一審で母親の証言が事実として認定されているので、それを覆すにはそれなりの根拠を示さないとダメだと思うのだけど、そのあたりで何か新しい情報を出す事はできなかったんでしょうね。

このあたり、上告しても同じ理由で棄却されると諦めたんでしょうね。

これで事件が終わったのか?と言うとそうでもないんですよね。
この事件では二つの家族が壊されている。I受刑者の方は刑期が5年で、年齢が41歳かな。
なので、多分、長くても44歳ぐらいで出所して、人生をやり直せば良いと思います。

問題はAの方で年齢が50歳で懲役15年、14年後ぐらいに出所すると、64歳ぐらいですね。
子供も夫もいるのですが、家族の方は相当な苦境に立たされているでしょうね。

この先の家族関係がどうなるのか?気になるところではありますね。

和歌山毒カレー事件の被告の孫は虐待死(母親が虐待したわけではない)、娘(孫の母親)は幼い子供を抱えて無理心中と言う例もあるので、不幸の連鎖と言うことにはなって欲しくないですね。

人を呪わば穴二つと言う言葉がありますが、事件を起こせば、被害者家族だけでなく、加害者家族側も地獄を見ることになると言う事を知って欲しいですね。
まーこのあたりは、闇バイトに参加している人達も一緒ですね。

参考リンク
福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その10(母親の控訴審と刑確定)
加害者家族

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2023/08/01

神奈川県横浜市3歳女児重傷火傷放置事件その2(母親の傷害容疑で起訴まで)

補足
前回(2019年)の裁判で裁かれたのは病院につれていかず放置した罪についてで、今回は火傷を負わせた容疑です。

1月11日報道
大やけどをした3歳の長女にラップを巻いて放置した疑いで約4年前に逮捕された母親が、長女にやけどを負わせた容疑でも逮捕されたとのこと。
当初、女性容疑者は「シャワーを浴びた際に誤って熱湯をかけてしまった」と説明していた。その後も警察がやけどの経緯を調べ、女性容疑者の関与が浮上したとのこと。

1月12日報道
1)警察が長女の大やけどが背中や腰など広範囲で傷が深いことなどから、自分で熱湯をかけた際にはできないと判断し、容疑者による犯行と特定していたとのこと。

2)別の報道では
警察は「専門医への聞き取りなどから容疑者が長女に熱湯を浴びせかけたと判断した」としているとのこと。

1月31日報道
横浜地検は31日、傷害罪で容疑者を起訴した。起訴状によると、被告は19年3月1日ごろ、鶴見区の自宅浴室で長女に対し、背中などにシャワーで高温の湯をかける暴行を加え、加療約3カ月を要するやけどを負わせたとしているとのこと。

4年越しでの傷害容疑での逮捕起訴ですね。
あの事件から子供達がどうなっているのか?そちらの報道もお願いしたいですね。

公判を待ちましょう。

参考リンク
神奈川県横浜市3歳女児重傷火傷放置事件
神奈川県横浜市3歳女児重傷火傷放置事件その3(母親の傷害容疑一審判決)

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2022/11/29

福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その10(母親の控訴審と刑確定)

まずは続報です。
1)県の児童相談所の所長らが男の子の祖母と面会し当時の不適切な対応を謝罪していたとのこと。
福岡児童相談所は事件の1か月ほど前に自宅を訪問したものの目視だけで虐待の危険性が低いと判断。
男児の祖母が保護などを要請したものの十分な対応を取りませんでした。
母親らの1審判決では、A被告が行政機関の訪問を妨げていたことも明らかになっています。
祖母の代理人弁護士によりますと、先月末に遺族と面会した児童相談所の所長らは、「職員の経験不足だった。
亡くなった男児に話を聴くべきだった」と対応の不手際について釈明。
「本当に謝罪しても謝罪しきれない」と述べたとのこと。(10/6 報道)

2)1)の面談に対する祖母のコメントを一部抜粋して掲載します。(死亡した男児の氏名は男児と置き換えています)
Iの母です。
本年 9 月 30 日に県庁で、福岡児童相談所の現在の所長、児相の弁護士、相談第一課長、県の児童家庭課児童福祉係長と、その上司という方との面談を行いました。

今回の面談の前に、当時の篠栗町の担当者から直接きちんと説明して欲しいと依頼しましたが、当時の担当者は今、福岡児相の職員ではない、福岡児相として、組織としてお答えするという理由で、当時の担当者は面談にきませんでした。
当時の担当者に聞きたいこと、言いたいことはたくさんありますが、私はいまだに一度も当時の担当者から直接説明も謝罪も受けていません。当時、そして今も、当時の担当者が男児のことをどう考えているのかわからないままです。

今回の面談の時にも言いましたが、令和 2 年 3 月 31 日に児相に行った私が「私の孫、死なないですよね?助かりますよね?」というと、篠栗町の担当者は「大丈夫です」と言いました。後で分かったことですが、この担当者は私が 3 月 12 日に訪ねてから一度も男児を調査したり面談したりしていなかったのに、大丈夫と言ったわけです。
そのことを所長に聞くと、「そこが危機意識の低さ」と、当時の篠栗町の担当者の対応の不適切さを認めました。そして、児相も県も、申し訳なかったと謝罪されました。これは組織としての謝罪だと受け止めています。

また、男児のリスク判定を「C」にしたままだったことは、検証報告書でも言われているように、見直すべきだったそうです。この「C」のリスク判定は、児相の所内会議で決められるそうなので、担当者、所長さん(同じ苗字ですが面談した時とは別の人)たちで決めたのでしょう。児相全体で間違えた責任があると思います。面談のとき、児相の方は、男児の体重を測っていればリスク判定の見直しはあったと思うが、男児に会うことが目的化し、体重を測ることへの意識が薄らいでいたとも言いました。
児相はいつまで経っても現認確認以上の介入をするつもりはなかったんだと思います。

リスク判定を見直すタイミングは、家庭環境が変わる時、今回は男児の幼稚園退園のタイミングと、転居のタイミングになるとも言われました。ですが今回はいずれのタイミングでもリスク判定は見直されていませんでした。児相は、できることをやりませんでした。
リスク判定の見直しを行わなかったことは、「私たちも反省すべき点」と、児相の方が話していました。

この面談の途中、児相から「起こってしまったことはどうしようもない」という発言もありました。
あまりに無責任な言葉に、男児の命は児相にとって数あるケースの一つでしかないのかと、今思っても怒りしかありません。
児相に助けを求めたあの日、私にはどうすることもできず児相なら助けてくれると思いました。あなた達に子ども、孫がいるなら助けて下さい、あの子は小さいから体力がないからと言った私の気持ち、助けられた男児を助けてもらえなかった私のくやしさ、あんなむごい毎日を送らされていた男児の苦しさ、その事実を知った私の気持ちは児相にはわからないでしょう。他人事だから。ただその場しのぎで謝ればいいと思ってあんな言葉が出たのでしょう。

****控訴審初公判(10月14日)***
1)弁護側は控訴趣意書で、I被告がA被告に心理的支配(マインドコントロール)をされていたと主張。残されたI被告の2人の子供など、家族との関係を一日でも早く再構築するためにも減軽すべきだと訴えた。弁護側はマインドコントロールを研究する心理学者らの証人尋問を要求したが、高裁は却下し、被告人質問だけを採用したとのこと。

I被告は被告人質問で、控訴した理由を「一番は子供たちに一日でも早く会いたいという気持ちだった。ギリギリまで迷ったが、少しでも早く(家族に)会える可能性があるなら、と思って控訴した」と振り返った。有罪判決自体には「男児を母親として守ってあげられなかった責任だと思っている」と述べたとのこと。

2)検察側は控訴棄却を求め、即日結審したとのこと。

***判決公判(11月9日)***
1)福岡高等裁判所は9日、1審判決を支持し、控訴を棄却したとのこと。

2)福岡高等裁判所の松田俊哉裁判長は、「A被告からの心理的支配の影響があったとしても、被害者の生存に必要な程度の保護はできたはず。量刑が重すぎて不当であるとは言えない」として控訴を棄却したとのこと。

***刑確定(11月25日)***
検察と弁護側の双方が、期限の24日までに上告しなかったため、懲役5年の判決が確定したとのこと。

こんなところですね。
母親の控訴審としては、順当なところかと思います。
罪は認めるけど、子供に会いたいから刑を軽くして欲しいと言うのは、心情的には理解できるし、同情もできるけど、法律的には無理な話に見えますね。

他に興味深いのは、児相が祖母に面談して謝罪した事についての、祖母のコメントですね。
この事件では、祖母が男児の危機を児相に相談しているわけです。死の危険を伝えているにもかかわらず、担当者は男児に対して、何の確認もしていなかった。そして、その場しのぎの返事をしていた。その結果、男児は死亡してしまったと言う事ですね。

祖母にしてみれば「だから言ったじゃ無いか、あの時、確認してくれていれば」と言う気持ちになるのは当然ですね。

感情は抜きにしても、今回の不適切な対応についての検証は必要ですね。
検証は既にされていて報告書が福岡県から公表されています。これはこの餓死事件以外の2件の虐待事件を含めた検証報告書です。
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/press-release/20210806jido.html

一部を抜粋すると
3事例共通の課題
(1) 児童相談所や市町は、継続的に子どもや家族を支援し関わりながら、子どもの死亡という事態を防ぐことができなかった。

(2) 児童相談所や市町は、幼稚園の退園、離婚、転居、学校への欠席が続くなど家庭状況が大きく変わる出来事の発生といった状況の変化を踏まえた適切な支援ができていなかった。

(3) 児童相談所や市町は、子どもに対する身体的、心理的虐待が発生していないかの確認に注力し、子どもと面談し直接話を聞くことや、関係機関から子どもがどんな話をしているかの情報収集を行っていない。虐待リスクを把握するための家族全体のアセスメントができていない。

(4) 児童相談所や市町は、保護者との関係形成に苦労し、会うこと自体が目的化。このため家族の課題や困難をどうすれば軽減・解消できるかといった踏み込んだ支援ができていなかった。

(5) 何れのケースにおいても要保護児童対策地域協議会(以下「要対協」という。)で主担当機関が市町となっていた。このため、児童相談所は、子どもを虐待から守る専門機関であるにも拘わらず、市町任せとなり自ら主体的に虐待のリスク判断を行っていなかった。

気になるのはこの3)の子供と面談して直接話を聞くことが出来なかった。関係機関からの情報収集が出来ていなかった。
最後の5)の主担当機関が市町となっていたので、児童相談所は虐待リスク判断を行っていなかった。のあたりですね。

で、再発防止の提言がこちら
3 再発防止に向けた提言
(1)児童相談所と市町村の児童虐待に対する危機意識の向上
〇 市町村の要対協は、体重減少や乳幼児健診未受診など、発育状況が把握できないケースについて体重の確認を必須とする「緊急度アセスメントシート」及び「子どもの安全確認チェックリスト」の活用を徹底すること 。

○ 児童相談所は、要対協で協議された「全ての児童虐待ケース(疑われるものを含む)」について、受理会議の開催により主体的にリスク判断を行うこと。また、それに基づき市町村を指導するとともに、リスクが高い場合は児童相談所が子どもの安全を確保すること。

○ 県では、児童相談所と役割分担する「乳幼児健診未受診者に対する受診勧奨のためのルール」を定めているが、これを「子どもに会えない状態が続く場合」にも適用すること。

(2)児童相談所のアセスメント力の強化
〇 県の児童相談所においては、令和2年度から、初回の虐待通告に対し一時保護等の介入的対応を専任で行う「初動対応係」を設置している。一方、継続支援ケースで、新たに虐待情報が入った場合は、「相談支援係」がアセスメントを行っている。
今後、保護者等への継続支援中であっても、通告等により新たな情報を入手した場合は、「初動対応係」が当該家庭をアセスメントし、受理会議の開催により虐待リスクの判断を行い、躊躇なく児童の安全確保に取り組むこと。

〇 県は、「初動対応係」を家庭に対するアセスメントを行う専門チームと位置づけるとともに、その対応力を強化するため、必要な研修を実施すること。

(3)児童相談所・市町村職員の資質の向上、体制整備
〇 県は、検証事例を踏まえた課題を抱える家族への接し方、支援に係る研修や虐待の兆候に気付きにくい具体的なケースを想定した演習(ロールプレイ)等を実施し、児童福祉司等の資質向上に取り組むこと。

〇 児童相談所が虐待のリスク判断や保護者のメンタルヘルス等の支援検討にあたって、医師にいつでも相談できる体制を整備し、精神医学などの見地から意見を取り入れ、児童相談所全体のアセスメント力の強化に取り組むこと。

〇 県は、市町村が整備することとされた「子ども家庭総合支援拠点」が早急に整備されるよう様
々な機会を通じ市町村に働きかけること。

(4)要対協の機能強化
〇 市町村は、児童相談所を構成員とする要対協の実務者会議を定期的に開催すること。実務者会議の開催に当たっては、主たる支援機関、管理する目標の推移、支援策に加え、当初の支援策が滞った場合の次善の支援策が明示された資料により、進行管理を行うこと。
県は、モデルとなる
県は、モデルとなる「「進行管理進行管理表」表」を市町村に示し活用の徹底を図ること。を市町村に示し活用の徹底を図ること。

○ 県は、県は、要対協の調整担当者要対協の調整担当者等等に対し、幼稚園のに対し、幼稚園の退園、離婚、転居、学校への欠席が続く退園、離婚、転居、学校への欠席が続くなど養など養育状況が変化した場合育状況が変化した場合は、は、虐待虐待リスクが高まることをリスクが高まることを研修等を通じて周知研修等を通じて周知徹底徹底することすること。

○ 学校、幼稚園、保育所学校、幼稚園、保育所等は、要対協で支援を行っている児童の欠席が続く場合等は、要対協で支援を行っている児童の欠席が続く場合は、児童相談所及び市町村の虐待担当部局に速やかに通告等を行うこと。

こんなところですね。
課題も提言についてもその通りだと思うのですが・・・
ちょっと、気になったのは、これらの内容は現場の人は既に気付いていたのではないだろうか?と言う事です。
つまり、やらなきゃいけない事なのは知っていたし、理解していたけど、実際には出来なかったと言う事が無いのか?と言う事です。

どこの組織もあまり変わらないと思いますが、限られた予算、限られた人員で期限までに仕事をしなければならないと言う前提条件がありますよね。
そこへ、許容量以上の仕事を入れられても「出来ない」って事になる場合があります。
それでも、やらなきゃいけない場合、担当者や中間管理職のレベルで、仕事の重要度を見て間引きと言うか手抜きをしたり、調整してつじつまを合わせると言うのも、やはりどこの組織でもあると思うんですよね。

もしそうなら、組織的には別の手当が必要なのではないか?とかね。あるいは、現場の意見が上に上げにくい風土などがないのか?なんて事も気になるわけです。他にはテクノロジーを使って効率的な情報の共有とか判断とかと言うのも有りだと思います。

私は全くの門外漢で児相の事も市町村などのこの手の職場の話は分かりません。
ただ、少子化対策も重要だと思いますが、せっかく生まれた命を亡くさない事にも予算を割いても良いと思うんですよね。

亡くなった子供達のご冥福をお祈りします。

参考リンク
福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その9(Aの一審判決2)
福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その11(Aの控訴審と刑確定)

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2022/10/10

福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その9(Aの一審判決2)

Aの一審判決は懲役15年(求刑:懲役15年)です。

***第七回公判(9月7日)***
被告人質問
弁護側「I被告の通帳を預かってお金引き出すようになったいきさつは?」
A被告「Iから『仕事でお金下ろす時間ないから下ろしてきとって、引き落としがあったらいかんけん、朝イチで行って』と言われた」
弁護側「I被告にお金返した?」
A被告「やりました、返しました」

男児が死亡した時の体重は、5歳児の平均のほぼ半分の10.2キロ。

I被告の主張によると、亡くなる間際には、A被告の指示で男児にあわせて2週間以上も食事を与えられなかったとのこと。

弁護側から、亡くなる1カ月ほど前の男児について聞かれたA被告は突然、涙を流したとのこと。

弁護側「男児の体を見て感想は?」
A被告「びっくりしました。初めて体を見て…すごく…(涙を流しながら)小さくなっていて、細かったので…。ショックでした…」
弁護側「その時、I被告と話はした?」
A被告「その時、私は『何しよると?』と言いました。『食事あげてるのになんでこんなんなっとーと』と言いました」
弁護側「I被告は?」
A被告「無言でした」

<I被告の子供達からの伝言>(I被告の元夫の証人尋問の内容について)
弁護側「子供からの伝言、どう思った?」
A被告「子供は『そう言うだろうな』と思った」
弁護側「なぜ?」
A被告「IはIの子供に、私を怖い存在で植え付けていた。子供が『私のことを怖い』と言ってるのは知っていたので、あの文面で違和感はない」

<ボスについて>
検察側「ボスについて見たことは?」
A被告「ないです」
検察側「捜査段階で『ボスに会ったことある』と話してない?取り調べで話した?」
A被告「はい」
検察側「ボスのこと見たことないんじゃないの?この話、なに?」
A被告「人違いでした、後で聞いたら」
検察側「会ってもないのに具体的に話してる、これ嘘ですね」
A被告「嘘…?」
検察側「人違いと分かって訂正してないよね?」
A被告「聞かれてないので言ってない」

<A被告が美容室についかった金額について>
検察側「志免町の美容院、2年間で80万円使った。違う?」
A被告「言われた金額の中には、私がシャンプーを買ったりとかも入っていると」
検察側「それだけお金があった?」
A被告「兄弟からも親からも助けてもらうことが多かったので、いけてました」

別の報道では
弁護側質問
制限していたとされる食事については、「I被告から生活がきついと聞いたため、親切心から食事を提供していた」と説明した。

検察側が質問。
質問は、I被告が携帯に残していた、「ほんと毎日毎日きついよ。男児もたたかれ、殴られ、罵声」というメモについて。

検察「接触しているのは、あなたじゃないの? 違うの?」
A被告「わたし以外に、誰と会っていたかわからないので」
検察「男児をたたいたことについては?」
A被告「違います」

別の報道では
検察側は、A被告が借金を抱えながらも18~20年、美容院へ50回通って約80万円を使っていたほか、大阪市の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)や大分・別府温泉などに10回ほど家族旅行をしていたと説明。これに対し、A被告は「タンス預金をしていた」と述べたとのこと。

<男児の祖母(I被告の母親)の意見陳述>
「どうして男児は死んで、A(被告)はうそをついて生きているのか。男児を返してください。それができないなら、うそはやめてください」と声を詰まらせたとのこと。

別の報道では
「娘にも責任がある。でもA被告が全てを破滅させ、男児まで奪った。男児を返してください」と訴えたとのこと。


***論告求刑公判(9月8日)***
1)証人尋問:A被告の夫
検察側からの証人尋問で、夫は、I家を訪問した際に子供たちの食事量が少なかったことや、男児が死亡する直前に心臓マッサージをしたときの状況などについて語った。

弁護側から、A被告がI被告を支配していたかどうかについて聞かれると「私はあり得ないと思います」と答えた。

別の報道では
A被告の元夫は、男児があばらが見えるほど痩せていたこと、消防に通報して救急搬送されたときの状況などを証言した。また、I被告がA被告に助けを求めてきたことについて、「普通は病院なり身内なりに連絡すると思う。おかしいですよね。普通に考えたら」と述べた。さらに、A被告がI被告を支配していたかどうか、弁護人に問われると、「あり得ないと思っています。(支配などは)考えたこともない。Iが家に来た時も普通の対等な友達にしか見えなかった」と話した。

別の報道では
弁護側:証人として出ること、お子さんに伝えてる?
A被告の夫:知ってます。いつもテレビの報道見て「違う、違う」と言ってて

またA被告の夫は、パチンコ好きのA被告のおかげでプラスの収入が多く、生活が助けられていたとも話したとのこと。

2)検察側は懲役15年を求刑した。
検察側は、「A被告はI被告が子供を守るために指示に従うしかない状況を作り、I被告を強い心理的影響下に置いていた」「I被告と意思を通じて保護責任者遺棄致死の犯罪を遂行したのは明らか」「A被告の弁解は不合理で信用できない」と述べたとのこと。

さらに検察側は「多額の金をだましとるという金銭欲の表れであり、支配欲があった。自己の欲望を満たすための身勝手な犯行で、酌量の余地はなく強く非難」「悪質極まりない。酷い仕打ちとしかいえない」「被害者は理不尽な罰をうけ、暴力を受け、勝手に食べ物を食べるとどろぼうと言われた。その苦しみや悲しみは察するに余りある」として、懲役15年を求刑したとのこと。
その上で、「被告人がいなければ事件は起きなかった。その刑事責任は母親をはるかに上回る」と説明したとのこと。

3)A被告の最後の意見陳述
金をだまし取ったということはありません。生活が苦しいと言われていたので、一生懸命助けていたつもりです。全て母親の責任だと思います。以上です。

***判決公判(9月21日)***
1)判決は懲役15年(求刑:懲役15年)
2)裁判長は、「A被告がI被告に対し夫が浮気をしているなどとウソを重ね、I被告の生活全般を実質的に支配していた」「A被告には責任があったのに、十分な食事を与えず、男児を餓死させた」などと、裁判の最大の争点となっていたA被告による支配を認定しています。

別の報道では
A被告がI被告を「支配」したと認め、「巧妙かつ悪質性の高い手口で(事件を)主導した」と指摘。動機について「強い金銭欲があったことは明らかで、I被告ら家族への悪意が背景にうかがえる。欲望のまま犯行に及び、酌量の余地は全くない」と断罪したとのこと。

判決はI被告の証言について、両被告によるLINE(ライン)のやりとりや第三者の証言など、客観的な証拠と整合し「信用性は相当に高い」と判断。A被告はI被告の証言を全面的に否定していたが、判決は「客観的な証拠に何とかつじつまを合わせて取り繕っているとしか考えられず、到底信用することができない」と退けたとのこと。

その上でI被告の証言に基づき、他のママ友や元夫を巡る裁判があり、仲裁してくれた暴力団関係者の「ボス」に支払いが必要などといううそを、A被告がI被告に吹き込んでいたと指摘。I被告の収入のほぼ全てをだまし取り、「裁判に勝つため」などとしてI家に食事制限やしつけなどさまざまなルールを課したとして「さまざまな虚言を重ねて(I被告の)人間関係を断ち、周囲から孤立させ、強い心理的影響下に置いて生活全般を実質的に支配した」と認めたとのこと。

A被告は保護責任者ではなかったが、判決はA被告がI家に提供する食事の量を減らし、I被告に男児の食事を数日間抜くよう繰り返し指示したとして「男児に十分な食事を与えない状況を作り出した」と判断。男児が重度の低栄養状態に陥ったことを知りながら、I被告への支配や指示を変えず、食料の提供もやめてI被告に男児を保護させなかったとして「I被告との共謀が優に認められる」と断定したとのこと。

最後に「不合理な弁解やI被告に責任を転嫁する供述を繰り返し、自らの責任に全く向き合っていない」とA被告を非難したとのこと。

***控訴(9月30日)***
A被告は判決を不服として、福岡高裁に控訴したとのこと。

こんなところですね。
I被告の裁判でA被告の支配が認定されてましたから、無罪は無いなと予想はしていました。
印象としては、「浅はかな悪知恵」が最悪の結果をもたらした事件だったのかな?と言うことですね。
おそらく、A被告はI被告と関わった当初はこんな事になるとは考えていなかったと思います。
その根拠としては、I被告に証拠隠滅や口止めをしているところですね。最初から計画した物なら証拠など残さないでしょう?
なので、最初は些細な嫉妬や意地悪だったのではないか?と考えています。
I被告の容姿や家庭環境などに嫉妬して、ちょっと意地悪してみようと言うつもりだったのではないかと・・・・

それが、ママ友の悪口を捏造してI被告の友人関係を破綻させる事に成功したあたりから、これは利用できるのではないか?とエスカレートしていたったのではないかな?
で、お金を搾取する為に巨額の負債を捏造したわけですね。名目は離婚の為の浮気調査や裁判費用と言う事にしたんでしょう。
この時の金額が3500万円と言う事で、本来ならI被告が「そんなに高いの?」と疑問を持つところですが、既に相談する友人も夫もいない状況になっていたので、盲目的に信じてしまったんでしょうね。

さらに、この捏造した離婚裁判でもお金の搾取に成功してしまったので、ここで完全にA被告の良心が麻痺してしまったんでしょうね。
A被告が最後に平常心に戻れるポイントはこの時点だったと思います。
結果的にI被告が離婚した事で、離婚裁判をする事なく、嘘が発覚しないまま、裁判費用(浮気調査費用)だけを搾取する事に現実との整合性が出来てしまった。
つまり、嘘が嘘で無くなったわけです。(将来的に嘘が発覚するかもしれないけど、その時はうまく言いくるめる程度と考えていたでしょうね)

なので、ここで搾取をやめれば、男児が死亡する事もなく、元の生活に戻る事ができたと思います。

ところが、最初の金額が大きすぎて、負債の返済が終わらない状態になっているのが、A被告の金銭欲を増長させてしまったのでしょうか?
ここで、離婚も成立したので、これ以上の費用は発生しないと言って、元の生活に戻ればよかったのでしょうが、一度味わった贅沢な暮らしは手放す事ができなかったんでしょうね。
思い通りになるI被告の様子を見て、支配欲も満たされて、完全に犯罪意識は消えてしまったんでしょう。

最後に男児が倒れた時、「死ぬんやない」とLINEを送ったあたり、完全に「人ごと」ですからね。
おそらく、自分は赤の他人だから、男児が死亡しても責任は親であるI被告にあると言う認識だったんでしょう。
ところが、実際に男児が死亡して、冷静に考えれば刑事事件になると直感したあたりから、保身の為に動き始めたと言うあたりでしょうか。

なので、全面否認したけど、その理由がとってつけたような理屈になってしまったんでしょうね。

この事件を防ぐ方法は大きく二つだと思います。
1)I被告側の被害者側としては、「信じる前に疑え」と言う事ですね。
私の個人的な印象ですが、日本と言う国は古来より「和を以て貴しとなす」と言う事を重要視していて、それが教育の基本にもなっていると思うんですよね。
それは、悪い事じゃないと思う。だけど、それが遠因で「性善説」が社会の基本になっている。なので、「疑うことなく信じてしまう」人が多いのではないか?と感じています。
I被告の一審判決の記事では「自立する事」と書いていますが、自分自身で判断する事を子供の教育の中でも重視して欲しいですね。

2)A被告側からの視点だと、幼少期からの人格形成がポイントかと思います。
公判の内容からみて、どうも「嘘」や「人を騙す事」に罪悪感が薄いのではないか?と思います。
こなたりは、大人になって急に変わったと言う事ではなく、幼少期から長い時間を掛けて、そのような人格になってしまったのではないか?と思うんですよね。
あるいは、過酷な生活の中で、自己防衛的にそのような人格になってしまった可能性もあるのですが、このあたりは情報が無いのでなんとも言えないですね。

3)あと、もう一つ可能性があるとしたら、A被告のお金の動きですね。
A被告の夫は証人尋問で「妻がパチンコで儲けてくる」と言う趣旨の証言をしてます。
なので、夫には「パチンコで勝った」と言ってお金を持ち帰っていたのだろうと思うのですが・・・夫はA被告と一緒にパチンコには行かなかったのかな?
もし、頻繁に一緒にパチンコをしていたら、A被告がそんなに勝っているの?と疑問を持つ事ができたかもしれませんね。
実際に、A被告がパチンコが上手い可能性もあるのですが、一般論で言えば、「客の儲けは店の損失」なわけで、毎回勝つと言うのは無理だろうと思っています。
(私はパチンコはやらないので、ホントのところはわかりませんが)
夫がA被告のお金に疑問を持てば、何か犯罪行為があるのか?と疑ったかもしれません。そうなれば、そこで犯行を止めたかもしれないですよね。

4)更にもう一つ可能性があるとしたら、児童相談所や役所、警察がどこまで家庭に踏み込めるのか?と言うあたりでしょうね。
このあたりは、専門家に議論していただきたいところですね。

些細な嘘が膨らんで一つの命を奪い、二つの家庭を不幸のどん底に突き落とす事になりました。

亡くなった男児のご冥福をお祈りします。

参考リンク
福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その8(Aの一審判決1)
福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その10(母親の控訴審と刑確定)
加害者家族


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2022/10/09

福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その8(Aの一審判決1)

事件を主導した「ママ友」のAの一審公判です。
情報が多いので2回に分けます。

***初公判(8月29日)***
1)起訴状によると、事件当時、母親のI被告の“ママ友”A被告(49)は、「他のママ友があなたの悪口を言っている」、「夫が浮気をしている」とI被告にウソをつくなどして、生活を実質的に支配し、食事制限などを指示していた。

3年前の2019年から2人で共謀し、2020年4月に男児を餓死させたとして、保護責任者遺棄致死の罪に問われている。さらに、I被告から生活保護費など約198万円をだまし取ったとして、詐欺と窃盗の罪にも問われている。

2)「指示はしていません」「お金をだまし取ってないし、窃盗の件も頼まれて、(お金を)下ろした」と起訴内容を全面的に否認した。

3)弁護側によると、A被告は福岡県大川市で生まれ育ち、地元の高校を卒業後、一般の企業に就職。その後、何度か仕事を変え、医療機関で看護助手をしていたこともあったとのこと。

27歳で前の夫と結婚したが、工具で頭を殴られるなど家庭内暴力を受けたといい、35歳の時に家を飛び出して現在の夫と暮らし始めたとのこと。再婚後も前夫に見つかるのを恐れ、今の夫や子供たちには「ゆうな」と偽名を名乗っていたとのこと。

弁護側は、「ボス」に支払いの必要があるなどといった話は、I被告がA被告に言っていた話だとして全面的に否定。「A被告はI被告から相談を受け、嫌われるのが怖くて話題に付き合っていた」などと主張し、食事制限などの厳しいルールもA被告が指示したわけではなく、「協力を求められた」だけだと訴えたとのこと。

また、I被告から現金をだまし取ったとされたことも「『ボス』への支払いなどが頻繁にあるとしてI被告に頼まれ、A被告がI被告の口座から現金を下ろしたり、貸したりしたことはあった。I被告から現金を受け取ったこともあったが、貸した分の返済だった」などと反論したとのこと。

弁護側の説明内容
I被告は、Aにとって久しぶりの本当の友達だった。I被告とはウマの合う関係だった
夫に対する強い不満があり、離婚調停をしていてボスという人物に相談していると聞いた
ボスに依頼して裁判費用を支払っていると聞いた
裁判費用の支払いや借金を依頼され、その返済として金銭を受け取ったことはあるが、それ以外はない
家の中にボスが監視カメラを設置している、と聞いた
I被告はかなり苦労しているようで協力を求められることもあった
I被告の話は過激な内容でまゆつばものの話であったが、何か意見を言えば嫌われると思っていた


4)検察側は冒頭陳述で、A被告がさまざまなうそをI被告に吹き込み生活を支配したなどとして、I被告の判決内容に沿うような主張を展開した。その上で、A被告は「裁判で勝つために質素な生活をしないといけない」として、I家にさまざまなルールを課し、食事内容も制限。しつけにも介入して死亡した男児に暴力を振るい、つまみ食いなどをしないようI被告に見張るよう指示したと指摘したとのこと。

検察側が列挙した嘘
「ママ友が(母親であるI被告の)悪口を言っている」
「ママ友から慰謝料請求されて、ボスが金を払うことで解決してくれた」
「ボスがママ友からお金を請求する裁判をしてくれている。手続き費用がかかる」
「裁判で勝つために、監視カメラで見られている。さまざまなルールを守って生活すべし」
「夫が浮気している」

***第二回公判(8月30日)***
証人尋問
1)I被告とA被告の2人の共通の友人(ママ友の女性)
女性はI被告について…「徐々にしゃべらなくなりいつも下を向いているような状態で、明るいIさんじゃなくなった」と話たとのこと。

I被告に度々借金を頼まれ合わせて11万5千円を貸したことなどを証言したとのこと。

検察との問答
検察:「どういった経緯で貸しましたか?」
ママ友:「AさんがIさんに『お金借りるんやけ、ちゃんと言わなよ』と言って、Iさんが正座をしました」
検察:「誰がどう返済しましたか?」
ママ友:「Aさんが持ってきました」
検察:「A被告が持ってきた理由は」
ママ友:「Aさんが預かったから」

I被告が借金に訪れる際には、ほぼ毎回A被告が同席していたとのこと。

このママ友は、衰弱した様子の男児を目にしていて、頭痛を訴える男児に対しA被告がこう話しているのを聞いていたとのこと。

ママ友の証言
「目に見える症状じゃないし本当か分からん。嘘つくときもあるもんね」

検察:「男児の様子は?」
ママ友:「立ち上がるのもきつそう、何かにつかまらないと立てないようでゆっくりと立ち上がっていました」

男児が亡くなってすぐ、A被告はこんなことを言い出したとのこと。

ママ友の証言
「Iさんとのラインを消してるから消しとった方がいいよ」
「ラインの復元ってできるんかね?」

証人のママ友は、A被告に証拠隠滅ともとれる依頼をされたと証言したとのこと。

2)男児が通った幼稚園の教諭や行政機関の職員
男児は19年11月まで幼稚園に通い、A被告が送り迎えをしていた。
男児は同9月ごろから体重が減るようになり、心配した教諭が同10月にI家を訪れたが、I被告と一緒にいたA被告が応対。「お母さん(I被告)はうつ病。今はそっとしておいて」などと言われ、I被告とはほとんど話せなかったとのこと。

そのため、園からI被告に面会希望の手紙を出したところ、A被告から電話があり「対人恐怖症なのに、連れて来いというのか」などと大声で抗議されたとのこと。

園から連絡を受けた町教委の職員も同12月、I家を訪問した。その後、A被告から町役場に「母親は対人恐怖症で嫌がっているのに、なぜ来るのか」などと抗議の電話が寄せられたとのこと。

20年4月には、I被告の生活保護の事務手続きで、県のケースワーカーがI家を訪問しようとした。携帯電話の料金が払えなかったI被告に代わり、連絡先となっていたA被告にケースワーカーが電話したところ、新型コロナの感染拡大を背景に「コロナがまん延しているのに来て、感染したら補償してくれるのか」と怒鳴られたとのこと。

***第三回公判(8月31日)***
証人尋問
I被告
A被告との関係性についての証言
検察側:「今までのママ友とタイプは?」
I被告:「違いました」
検察側:「下ネタ言ったりは?」
I被告:「2人で言って、2人で笑ってって感じでした」
検察側:「付き合いは濃くなった?」
I被告:「濃くなりました」

旦那の浮気についての証言
検察側:「旦那が浮気していることについては?」
I被告:「一度も思ったことはなかった。やっぱり言ってくることがリアルなので。(A被告が)状況をリアルタイムで報告してくるんです」
検察側:「信じた?」
I被告:「信じちゃいました。夫が許せなくなりました」
検察側:「浮気を旦那に問いただしたことは?」
I被告:「ありません。Aが『夫がしてないって言うのはわかっとうし、ボスの調査は相手には言うなって言われてる』と」

食事についての証言
I被告:「Aがチンで作れるものに、タッパーにおかずを入れて持ってきてくれるように。6か7個ありました」
検察側:「量は」
I被告:「最初は3個で3日分でしたが、徐々に3個作ったら1週間もたせろとか、間隔が狭まっていきました。(主食は)朝と昼はパンを1枚ずつ。途中から朝昼で1枚に減りました」

空腹で男児が、つまみ食いをしたところ…。

I被告:「『お前は何でできんのか。お前は5歳じゃない。お前は飯食うな。絶対に食わせん。ママがいいって言っても食わせん』と。男児は謝っていましたが、Aは男児の肩口を持ち、床にあるマットレスに投げつけた。うわーっと思いましたが、ボスがカメラで見てるので何も言えなくて…」

被告人質問
弁護側:「ボスとあなたは面識がある?」
A被告:「ありません」
弁護側:「さんのボスとは?」
A被告:「男性の方と聞いていました。一緒になりたいと思っていると聞きましたけど、詳しい名前とかは聞いたことがないです」
弁護側:「朝昼食パン1枚など、Iさんに指示をしたことは?」
A被告:「ありません。実際見ていません。食事の分け方をどうやって食べるとか、Iの子どもたちを見るということはなかったので分かりません」
弁護側:「男児を投げたことは?」
A被告:「頬のところにあざができていたので『どうしたと?』と聞いたら『ママにたたかれた』と。実際にIに暴力を振るわれるのは見ました」

***第四回公判(9月1日)***
証人尋問:母親(I被告、控訴中)
(役場の家庭訪問について)
1)町役場の人に男児を友達の家に預けていますと言ったのはウソで、A被告にそう言わないといかんよと言われていた
2)家庭訪問などで男児をしゃべらせるなとA被告から言われていた。お腹すいたとか、ご飯を抜かれていたことをポロっと言ってしまうかもしれないと言っていた。(拒否の判断はA被告がした)。(理由は当時の生活状況やご飯を食べられてないことを私がポロっと言っちゃうんじゃないかとA被告が恐れていたんじゃないかなと思う)

(精神的な支配について)
3)A被告から毎日頭ごなしに怒られ、罵声を浴び、一日中正座で謝り、精神的には病んでいた
4)男児がどろぼう(盗み食いのことを互いにこう呼んでいた)しないように食材を持って寝ろとか寝ないで見張ってろと言われ、考える力がなくなって判断がつかなかった
5)自分の中でどうしようもなかった、相談するところがなかった

(困窮について)
6)車は売った。10万円ぐらい返ってきたがA被告に渡した
7)携帯電話は料金が支払えず使えなかったったのでA被告の電話を使っていた

(自身や子供の食事について)
8)みんなおなかが空いていた
9)A被告に提供してもらう食事の量は減っていった
10)前はプラスチック容器3つもらって3日分と言われていたが、それが1週間分とか期間が長くなった
11)子供たちは昔みたいにわんわんさわぐことはなくなったし、大きく体を動かすことはなくなっていった
12)男児は3月2日~11日までの10日間、3月18日~24日までの7日間食事抜きが続いたが、これは勝手に食べ物を食べた罰?

母親のI被告:
そう。ボスからの伝言で「あんたたち4人は感謝の気持ちが足りん。ご飯もらえるのは当たり前と思うな」と言われていた。4人で座って手を合わせて「きょうもご飯を作ってもらって、ありがとうございます。いただきます」と言って食べていた。食べ終わった時も「おいしかったです。ごちそうさまでした」と言わなきゃいけなかったので毎日言った。

A被告は毎日家に来ていた。来る度に男児を自分のところに呼んで『X!お腹を見せて』と。Aは『ほらお前が言うことを聞かないからご飯を抜かれるからこんなにお腹が引っ込んでいるだろ。こうなったのはママのせい』と言っていました。

A被告の弁護人:
A被告のウソを疑問に思わずに信じたのはなぜか?

母親のI被告:
「A被告の言うことを真に受けた、信じたのは、本当のようにスラスラと言うんです。わかんないと思いますけど、聞いてる方も魔法にかかっちゃうような。わかんないですよね、魔法にかかっちゃうようになる」とのこと。

***第五回公判(9月2日)***
証人尋問:母親のI被告(控訴中)
男児が亡くなった当日の様子

検察官の「この日朝食は食べなかった?」という問いに対しI被告は「はい」と答えると、「どうして?」という問いに、「食べるものがなかったからです」と答えた。

男児は歩く様子も普通ではなく、夕方には頭が痛いと言って倒れ込んだといいます。I被告は、「『S、S』と声をかけたら、丸まっている手から顔だけ右に向けました。そのときに男児が私の顔を見て、『ママごめんね』といって、また顔を戻しました」と述べた。

男児の様子がおかしいとI被告はA被告に助けを求めますが、「(A被告が)『S』と声をかけて、足の裏を手でつついて反応を確かめました。Aは『大丈夫、様子見!ご飯炊いとかないかんよ』と言っていました。」

その日の夜、男児が呼吸をしていないことに気づいたI被告でしたが、慌てて電話した先は119番ではなくA被告でした。

検察官の「救急車を呼ばなかった?」という質問に「はい」と答えたI被告は、「どうしてしなかった?」という問いに対して「Aと“ボス”の許可を得ないといけない。勝手に救急車を呼ぶ行動をすることはできないと思いました」と答えた。

男児が亡くなったあと、A被告は口止めや証拠隠滅を図ったと言います。I被告は、「『夫の浮気のことは言うな」と(A被告に)言われました」と証言し、検察官の「Aからスマホについて何か言われていました?」という問いには、「『処分せろ、証拠消せ』と言われてました」と述べた。

さらに、実際には存在しなかった“ボス”についても「『“ボス”は男と言え、パチンコで出会った、私が追っかけていると言え』と言われました」と証言した。

男児が亡くなってからも、兄弟を児童相談所から引き取ったりする名目で、A被告に金を巻き上げられたと主張した。

次第に疑問を持ち始めたI被告は、A被告に対し『警察に正直に話す』と伝えたといいます。これに対する検察官の「Aはどんな様子でした」という質問に、I被告は「必死でした、言ったらダメという反応でした」と答えた。

別の報道では(I被告の証言)
A被告(I被告への証人尋問より)
「あんたは警察に捕まるけん。警察は大体、朝くるけん。朝起きたら『おはよう』と(ラインを)打って。『おはよう』が無くなったら捕まったと思うけん」

A被告(I被告への証人尋問より)
「スマートフォンを処分しろ!証拠消せ!」

I被告への証人尋問
検察側「(スマホは)処分した?」
I被告「トンカチで画面を割ってAの家に持っていきました」

さらに、男児が亡くなった3カ月後、I被告が密かにICレコーダーで録音したという「A被告との会話の内容」が検察側の証拠として示された。

ICレコーダーで録音されたA被告とI被告のやりとり
I被告「ボスにも会えんと?」
A被告「会えん。うちも会えんもん」
I被告「スーパーで会っても話しかけたらダメ?」
A被告「だめやね。もう話しかけるなってボスが言っとるけんね」
I被告「(ボスは)警察に呼ばれよると?」
A被告「呼ばれたって言いよった」

I被告は既にこのころ、男児の死亡について警察から事情を聞かれ始めていたとのこと。

検察側「なぜこれを聞いた?」
I被告「ボスがいないと分かっていたので、反応を聞いた。嘘ついているな、としか思わなかった」

***第六回公判(9月5日)***
被告人質問
弁護側「男児が亡くなった当日、実際に様子を見て、どういう状態と思った?」
A被告「(I被告に)『昼寝した?』と聞いたら、『していない』と言ったので『眠いから寝てるのかもね』と(I被告に)言った」
弁護側「『病院行きなさい』とか『救急車呼びなさい』とか言おうと思わなかった?」
A被告「その時は思わなかった。以前にも『病院に行ったら?』と何回も(I被告に)言っていたけど、全然行動に移さなかったので言わなかった」

証人尋問(I被告の元夫)
検察側「家計の管理は?」
I被告の元夫「元妻は無駄遣いもなく子供のために貯金をコツコツするタイプでした」
検察側「目立っておかしいところは?」
I被告の元夫「離婚半年前までは特に(なかった)」

I被告と元夫が離婚したのは男児が餓死する約1年前の2019年5月。その半年ほど前からI被告の態度が急変し、多額の現金を口座から引き出していたほか、唐突に「離婚話」を持ち出してきたとのこと。

検察側「(2018年12月に)口座の確認をした?」
I被告の元夫「あり得ない額をおろしていた」
検察側「どのくらい?」
I被告の元夫「200万から300万くらい」
検察側「問いただした?」
I被告の元夫「最初は『生活費』と言っていたが、問いただしたら『裁判』と。それ以上は言わなかった」
検察側「I被告は離婚の理由については?」
I被告の元夫「私が『マザコンだから』と。誰ひとり賛成する人はおらず説得したが、(I被告は)話を聞いてくれませんでした」

I被告の親族を含め誰ひとり納得しない中、A被告のみが離婚を後押ししていたと元夫は証言した。

A被告(I被告の元夫の証言より)
「早く離婚してあげた方がいいんじゃない?」

元夫は「離婚するほかなかった」と当時の状況をふり返った後、A被告が持ち出したとされる「浮気話」を全て否定した。

I被告の元夫(I被告の長男・次男からの伝言として)
「被告人(A被告)の言うことは全て嘘。指示していないと本人は言っているが、僕たちは指示されて、ろくに食事も与えられず、長い間苦しい思いをした。母親の言っていることが真実だから」

証人尋問(I被告、控訴中)
様々な嘘によって生活保護費を含む多額の現金をだまし取られていたとされるI被告は、子供たちを家に残しA被告に連れられてパチンコに出かけた際の様子を証言した。

I被告「私は1万(円)もらって1円パチンコ、Aは4円パチンコ、3時間、4時間いた」
裁判員「男児を残してパチンコに。どんな気持ちだった?」
I被告「帰りたいと思いました。パチンコに行っても負けることで、Aから怒られる。『台を選べ!』とか。帰りたいと思っていた」

別の報道では
被告人質問でA被告は、亡くなる前に横たわっていた男児の様子について、「呼びかけると『んー』と声を出しました。寝ていると思いました」と述べた。

A被告はこの日、I被告から男児の異変を知らせる連絡を受け、I被告の自宅を訪れていた。

当時、救急車を呼ばなかった理由については、「以前も(男児の)体調が悪いときに『救急車呼んだら』と言っていましたが、(I被告が)行動に移さなかったので言いませんでした」と述べた。

このように語ったA被告ですが、I被告の自宅に到着する前には、男児について『死ぬんやない』というメッセージをI被告に送っていました。これについては問われると、「コロナにかかったら死ぬんやない?という気持ちで送りました」と答えたとのこと。

第六回公判までです。
ICレコーダーで録音していたりしたんですね。
いつもの事ですが、公判は情報量が多くて全てを書き出す事ができません。詳細が知りたい方は別途、報道や公判記録などを読む事をお勧めします。
私の印象だと、家計を妻に任せている家庭がそうでない家庭よりも多いと思います。
なので、夫がどのぐらいのお金を何に妻が使っているのか?を知るのは難しいですよね。
多分、通帳を見て「おや?」と疑問を持つまで異変に気付かないかもしれませんね。
(その逆で夫が使途不明なお金の使い方をしても、妻は気付けないでしょうね)

I被告の離婚の経緯が分かったけど、もし、本当に離婚裁判になったらどうなっていたのだろう?
A被告としては、おそらく本当に離婚裁判になるとは予想していないはずなんですよね。
もし、そうなれば、浮気の証拠を出さないといけないわけで、これはこれで困った状態になりますよね。
しかも、離婚裁判の裁判費用が本当に発生するわけで、I被告から搾取できる金額が減ってしまう。
その時、おそらく弁護士を頼んで裁判になると思うけど、弁護士には離婚理由などの詳細を話すはずだし、その時点で弁護士が不審に思うかもしれない。

タラレバだけど、もし、ここで本当に離婚裁判になっていたら、この事件の結果は変わっていたかもしれませんね。

次回に続く

参考リンク
福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その7(母親の一審判決)
福岡県篠栗町5歳児虐待死事件その9(Aの一審判決2)

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2022/08/27

福岡県田川市1歳男児エアガン虐待死事件その4(母親の控訴審判決まで)

判決は懲役8年(求刑:懲役12年)です。

***母親の初公判(22年2月21日)***
1)被告は「(男児を)病院に連れて行かないといけないということは、分かりませんでした」と述べて起訴内容を否認した。

2)検察側は冒頭陳述で、被告は、男児の兄妹を病院で受診させており、介護職員の勤務経験もあることなどから、男児の保護の必要性を認識していたことを立証していくとしたとのこと。

証拠調べで検察側は、三男の遺体全身には円形の傷が71カ所、骨折が31カ所あったことを明らかにした。虐待以外の原因は考えにくいとする医師の見解を読み上げ、趣味でエアガンを持っていた男性被告が三男を撃っていたと結論づけた捜査報告書も示したとのこと。

3)弁護側は、公判前整理手続きで被告に軽度の知的障害があると認定した地裁の鑑定結果を踏まえ、男児の衰弱状態などを正確に認識できていなかったと主張したとのこと。18年12月1日未明に119番するまで病院に連れて行く必要性を分かっていなかったとして「罪を犯す意思があったとは言えず無罪」と述べたとのこと。

弁護側は「被告は知的障害があり、精神年齢が12歳で、病院に連れていかなければならないことが分からず、故意だったとは言えない」と無罪を主張したとのこと。

4)起訴状などによると、被告は夫の土木業、男性被告(26)=保護責任者遺棄致死罪などで起訴=とともに、18年10月に三男が重度の低栄養状態に陥り、翌月にかけあばら骨など多数を骨折して肺感染症を発症したにもかかわらず、医療機関を受診させず同年12月に肺炎で死亡させたとされるとのこと。

***第五回?公判(22年3月2日)***
被告人質問
弁護側
被告は「三男が骨折していることは、まったく気がつかなかった。亡くなった日に救急車を呼ぼうとしたが番号が分からず、すぐに呼べなかった」と話したとのこと。

また夫の男性被告から日常的な暴力を受けていたと証言したとのこと。

検察側
三男が死亡する直前に体温計を使った形跡があることについて質問。

被告は「心当たりがありません」と答えたとのこと。

***第六回公判(22年3月3日)***
証人尋問
裁判所が依頼した鑑定医
被告には知的障がいがあり、IQは58で精神年齢は12歳程度だったと報告した。
特に、目で見たものからの判断が苦手で「子どもの状態把握ができなかった可能性がある」とした。

一方で、男性被告からのDVなどによって、学習性無力感と呼ばれる心理状態にあり、三男の状態を認識していたものの、自分は何もできないと考え、病院へ連れて行かなかった可能性もあると指摘したとのこと。

***論告求刑公判(22年3月7日)***
1)検察側は「親として気づかないはずはなく責任は重大」として、懲役12年を求刑したとのこと。

2)検察側は論告で、被告が介護職の経験もあり、男児の兄妹を病院に連れて行っている点などから「(男児の状態を)認識する能力は十分に備えていた」と指摘。そのうえで「男児に1カ月以上も十分な栄養をとらせず、身体的、精神的に大きな苦痛を与えた」と述べたとのこと。

3)弁護側は被告に軽度の知的障害があるとした鑑定結果や鑑定医の証言から、見たことを正確に判断することが特に苦手だったと指摘。男児を病院に連れて行く必要があるとは認識できず、無罪と訴えたとのこと。

***判決公判(22年3月11日)***
1)福岡地裁は11日、懲役8年(求刑・懲役12年)を言い渡した。裁判長は「大変痛ましい犯行態様で、悪質性の程度が相当高い」と述べたとのこと。

別の報道では
「被害者の苦痛は察するにあまりあり、反省の態度も見られない」として、被告に対し懲役8年の判決を言い渡したとのこと。

別の報道では
裁判長は、兄弟が発熱した時、藍被告が診察を受けさせていたことなどに触れ、「知的障害があるからといって被害者の状態に気づくことができなかったとは言えない」と指摘。

また、「夫の男性被告にDVを受けていたことを踏まえても強い非難は免れない」とし、被告に懲役8年を言い渡したとのこと。

2)裁判長は、遺体にはエアガンで撃たれたとみられる71カ所の円形の傷があり、あばら骨が浮き出た状態だったと指摘。被告は男児の兄妹が発熱した際は診察に連れて行き、かつては介護職員として適切に業務をこなしていたことなどから、男児が病院に連れて行く状態と認識できたと判断したとのこと。

別の報道では
裁判長は「きょうだいが発熱した際に病院を受診させていたことなどから、障害があるから気づかなかったとは言えない」と指摘したとのこと。

3)言い渡し後、裁判長が「服役中に被害者についてもう少し考えていただければ」と諭したとのこと。

***控訴棄却(22年7月27日)***
控訴審判決で福岡高裁は、被告は三男の衰弱に容易に気づくことができたと認定した上で、「審理は尽くされ、判断結果にも不合理な点はない」として1審判決を支持し被告側の控訴を棄却したとのこと。

こんなところですね。
知的障害でIQが58と言う事を聞いて、別の事件の事を思い出しました。
2014年の神奈川県厚木市下荻野5歳男児餓死事件です。
5歳の男児を監禁して餓死させた事件ですが、この事件の被告(父親)のIQは69と報道されてますね。
一般的に50から70では軽度の知的障害と言われているようです。
この厚木市の事件でも被告の「死ぬとは思わなかった」と言う主張を否定して、殺人罪で有罪となってますね。。

今回の田川市の事件でも、他の子供は病院に連れて行っている上に、仕事として介護の仕事もできていたわけで、まったく異変に気付かないと言うのは、不自然な気がしますね。
とは言え、鑑定医が証言した「学習性無力感と呼ばれる心理状態にあり、三男の状態を認識していたものの、自分は何もできないと考え、病院へ連れて行かなかった可能性もある」と言う方が説得力を感じますね。
仮にそうだったとして、この事件を防ぐには、DVをする夫と結婚しない事と言う事になるのだろうか?

確かにそうかもしれないとは思うのだけど・・・ちょっと運に左右される面が大きいかもしれませんね。
女性被告側が交際の段階で男性被告(夫)がDVを行う事を予測できたか?と言うとちょっと疑問がある部分ではありますよね。
逆に男性被告側が女性被告の知的障害を知った上で結婚したのか?と言うのも分かりません。(情報がないです)
結婚後に妻の障害に気付いて、不満を募らせてDVを行うようになったと言う可能性もあるかもしれません。

その意味では運任せの対策は対策とは言えないですね。
なので、確実に防ぐには子供の健康状態を外部の人間が監視するとは言わないまでも、定期的に確認するしかないかと思うのですが・・・
この事件だと12月に三男が死亡する前の7月には3男の姿が見えないと匿名の通報があったんですよね。
他にも、その前の1月には長男への虐待の通報がありましたし、関係部署としては、虐待を注意する対象にはなっていたと思うのですが・・・
7月の段階では目視で三男にはアザなどは無かったようですから、半年ぐらいの間に急速に虐待が進んだのだと思います。

乳児健診としては1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月ぐらいがあると思うのですが、9ヶ月の健診を受診していれば、虐待の兆候(骨折)は発覚したかもしれませんね。

とにかく、積極的に健診を受診するように受診者には何らかの特定を与えるのが良いかもしれませんね。
今ならマイナポイントを利用するなら、政府のマイナンバーカードの推進方針の後押しにもなるかもしれませんね。

何にしても、密室の家庭の中で起きている事を家庭の外で知る方法が必要です。

亡くなった男児のご冥福をお祈りします。

参考リンク
福岡県田川市1歳男児エアガン虐待死事件その3(12月26日までの報道)
福岡県田川市1歳男児エアガン虐待死事件その5(父親の控訴審判決まで)

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2022/07/19

北海道札幌市2歳女児虐待死事件その8(男女被告の上告審)

女性被告の上告審
***2021年8月2日***
最高裁第3小法廷は、札幌市で2019年、2歳の長女に食事を与えず衰弱死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の女性被告(23)の上告を棄却する決定をした。2日付。懲役9年とした一、二審判決が確定するとのこと。

男性被告の上告審
***2021年9月22日***
最高裁は9月22日、上告を棄却し、懲役13年の判決が確定するとのこと。

こんなところですね。
上告審の記事を書くのを忘れてました。
事件発生が2019年、一審が2020年、控訴審が2021年、上告審も2021年ですね。
以外に早く決着しましたね。

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_01_02_04/index.html
こちら裁判所の「判決に対する上訴ー控訴と上告」のページから引用します。
///ここから///
上告審の裁判所が最高裁判所である場合には,原判決に,1.憲法解釈の誤りがあることと,2.法律に定められた重大な訴訟手続の違反事由があることが上告の理由となります。もっとも,最高裁判所は,原判決に判例に反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含む事件については,当事者の上告受理の申立てにより,上告審として事件を受理することができます。
///ここまで///

これをみると、憲法違反とか訴訟手続きの違反、法令違反でもなければ、最高裁は受理してくれないと言う事ですね。

だとすると、控訴審までにこれらの問題がなければ、結論は控訴審で出ていると言う事になりますね。
だから、上告して半年もたたずに、棄却が決定したと言う事かもしれませんね。

まー自分の罪(量刑)を軽くしたくて上告したのでしょうが、女性被告が23歳、男性被告が26歳(これはともに棄却時の年齢)ですが、罪と向き合う事はできたのだろうか?
どちらも、社会復帰する年齢ならまだ子供を産み育てる事ができると思いますが、次はこんな事にはならないようにして欲しいですね。

亡くなった女児のご冥福をお祈りします。
参考リンク
北海道札幌市2歳女児虐待死事件その7(男女被告の控訴審)

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