兵庫県尼崎市元妻女性殺害事件その2(一審判決)
まずは続報です。
1)2022年1月21日、神戸地検は、殺人罪などで元夫の無職男性容疑者(33)=同県西宮市=を起訴した。
鑑定留置の結果、刑事責任を問えると判断した。地検は認否を明らかにしていないとのこと。
起訴状によると、容疑者は昨年10月15日夜、尼崎市のマンション駐輪場で、住人の女性の左脇の下などを包丁で多数回突き刺し、殺害したとされる。
捜査関係者によると、同容疑者は逮捕後の調べに「復縁を望んだがかなわず、次第に憎しみに変わった」などと供述しているとのこと。
***初公判(2022年6月21日)***
1)被告は「間違いない」と起訴内容を認めたとのこと。
2)冒頭陳述で検察側は21年3月、男が尼崎市のコインランドリーでトラブルを起こして警察を呼ばれたことがきっかけとなり、同年4月から2人は別居したと説明。男は別居解消を求めたが女性は拒否し、同年6月に離婚したとのこと。
その後、男は女性が誕生日を祝われる様子を記したツイッターなどを見て腹を立てていたと指摘。事件当日、通信アプリ内で知人らとオンラインゲームを楽しもうとするやりとりを見て、幸せそうな女性を殺害しようと決意した-とした。
別の報道では
検察側は冒頭陳述で「別居の解消を拒否されて以降、危害を加えようと鉈や斧、牛刀を購入していた他、離婚が成立した後もSNSで被害者が幸せそうにしているのを見て腹を立てた」と指摘したとのこと。
3)弁護側は「被告は落ち度のない被害者を殺害したことを認め反省している。遺族に対しても家族が被害弁済を準備している」と情状酌量を求めたとのこと。
4)弁護側の被告人質問では、男が離婚前にも、危害を加えようと女性の実家を訪れていたことが判明。検察側が殺意を抱くまで腹が立った一番の理由を尋ねると、「ある日、突然出ていって連絡が取れなくなったから」とした。また、裁判官からは男の「積もり積もった」という言葉の意味を問われ、「最後まで面と向かって話せなかったこと」と答えたとのこと。
***論告求刑公判(2022年6月22日)***
1)検察側は懲役18年を求刑した。
検察側は「幸せそうな元妻への逆恨みという自己中心的かつ身勝手な動機だ」として懲役18年を求刑した。
論告で検察側は、男が牛刀(刃体約18センチ)で女性を襲う際、滑り止め付きの手袋を着用していたとし、「殺傷能力の高い凶器を力の込めやすい状態で使用した」と指摘。骨が折れるほどの傷があったことや、女性が倒れて無抵抗な状態でも刺すなど「非常に危険で執拗だった」としたとのこと。
2)弁護側は「怒りにまかせた衝動的な犯行だが、起訴内容を認め、反省している」と懲役15年が相当だと主張したとのこと。
弁護側は最終弁論で「結果は重大で悪質さは否定できない」としつつ、家族が支援を約束しているなどとして懲役15年を求めたとのこと。
3)女性の母が意見陳述し、「楽しそうに過ごしている娘が許せなかったというのはあまりにも身勝手で話にもならない」と述べた。裁判員らに対し、「今後このような悲劇が繰り返されないように抑止力を与える判決を」と訴えたとのこと。
***判決公判(2022年6月24日)***
1)裁判長は「身勝手としか言いようがない。何が問題だったのかよく考えてほしい」とし、懲役17年(求刑懲役18年)を言い渡したとのこと。
2)裁判長は、倒れ込んだ女性の背後などを10回以上突き刺し、牛刀の刃が曲がっていたことなどから「確実に殺そうという強固な殺意がある」と説明。被害者に事件を引き起こすきっかけをつくったことはないとし、「被害者に責任の一端があるかような言い方をし、反省を深めているとは言えない」と指摘したとのこと。
3)判決で裁判長は「自分本位な考え方しかできず、身勝手な怒りを募らせていく中で短絡的に粗暴で過激な行為に及んでしまう傾向が見て取れる」と指摘。被告人質問で男が何度も「分からない」という答えを繰り返したことなどに触れ、「真に反省を深めているような態度を示しているとは到底いえない」と述べたとのこと。
***補足情報***
公判のどのタイミングの情報か不明な情報です。
1)検察や判決によると、男は離婚後も女性のツイッターを見て、女性の行動を確認していた。さらに、男の家には女性が昔持っていた古いスマホが残されており、家のWi-Fiをつなげば、個人的なチャットのやりとりが見られる状態だったとのこと。
事件当日の夜、男は女性のチャットのやりとりに気付く。「(オンラインゲームの)アモアスやろうぜ」のメッセージに対し、女性が「今日のは参加予定」と返信したとのこと。
これを見た男は逆上。すぐさま家の牛刀と包丁、滑り止めの付いた手袋を手に取り、かばんに詰めた。女性宅にバイクで乗り付けて、まちぶせをし、自転車で帰ってきた女性を襲ったとのこと。
2)事件の約1年半前、男は女性と一緒に訪れた尼崎市内のコインランドリー店で、敬語を使わなかった店員に激怒。店内のテーブルを蹴飛ばして店員の太ももに当て、警察沙汰になったという。これが女性が別居を考えるきっかけとなったとのこと。
3)女性の母親は、女性が離婚前に「(男が)いつ怒り出すか、顔色を見ながらびくびくしながら生活するのは嫌だ」と話していたと明かしたとのこと。
こんなところですね。
報道が少なく、事件の経緯などが不明でしたが、離婚理由などがわかりました。
被告は普段から粗暴だったんですね。コインランドリーの店員が敬語を使わなかった程度の事で腹を立てて物にあたるなんてのは、33歳としては短慮というか、落ち着きが無いと言う事ですよね。
そして、女性の母親の証言でも、普段からビクビクして生活していたと言う事だから、これを機会に離婚しようと言うも理解できますね。
結局は離婚が原因で逆恨みして起こした事件です。
詳細が分からないけど、「友達とゲームする」って事が直接の切っ掛けだけど、離婚が成立する前にも、女性の実家に行ったりしてるし、凶器は事件よりも以前に準備している。
なので、被告人が言う「積もり積もったものがある」と言うのは、そもそも「離婚した事自体が許せない」その上で、「楽しそうにしているのが許せない」と言う事のようですね。
被告人自身の生活環境が分からないので、なんとも言えないのですが・・・仕事は会社員としか出てないけど、どんな仕事をしていたのだろうか?
普段から粗暴な面があるなら、仕事でも、そのあたりが出ていたと思うのだけど・・・会社(社会)では別人格と言うタイプの人なのかな?
一方の女性の側としては、離婚して別別に暮らして、これから人生をやり直そうとしていたわけだし、それで警戒心が薄れてしまったのかもしれませんね。
これも詳細が不明ですが、女性の住所は郵便物から調べたと言う事なので、普通に考えると、女性側から男性側に何らかの連絡を郵便物で行ったと言う事でしょうね。
あるいは、家に残した荷物を宅急便で送ってもらったと言う事なのかもしれませんけど。
スマフォを男の家に残してしまったのも、痛いですね。まー新しいスマフォがあれば問題無いと言う判断だったのかもしれませんが、やはり、情報端末は回収するなり、遠隔ロックするなりしておく必要がありましたね。
とは言え、それは、この事件の本質から見れば小さな事かもしれません。
おそらく、この被告は、スマフォが無くても、ツイッターや、あるいは噂話程度でも、何かを切っ掛けに逆上して事件を起こしていたんじゃないかな。
遠方に引っ越すと言うのも、職場や友人と離れたく無いと言うあたりを考えれば、現実的では無いですよね。
なので、「危ない」と思ったら、できるだけ、自宅や職場の住所を知られないようにする以外に方法が無いかもしれません。
基本的にストーカー対策と同じですね。
かといって、それは防御しているだけで、相手の殺意をなくす事にはならないので、根本的な対策にならないんですよね。
しかも、相手がどの程度の「悪意(殺意)」を持っているかも確認する方法が無いですからね。
過去のストーカー事件では自宅を引っ越しても、引っ越し先の住所を調べられて、殺害されてしまった事件もありますからね。
なので、問題が表面化すると対応が難しい状態になりますね。
ストーカー規制法などもあるけど・・・・離婚から、事件までの期間に被告からの接触は無かったのかな?
もし、度々接触があって、嫌がらせなどがあったのであれば、被害者も警戒したと思うんですよね。
でも、それが無くて、離婚の後、何もなくて安心しているところを襲われたとしたなら、対策のしようが無いですよね。
とすると、最悪のケースを想定して対策すると言う事になりますね。
1)自宅や職場の住所を知られないようにする(知られていたら、変える)
2)SNSのアカウントや電話番号を変更して、相手に情報を探られないようにする。
とは言え、これは警戒して、危機意識があってこそできる事なので、警戒してなければ、二つともやりたくない事ですよね。
結局は「相手をどう見るか?」相手を危険な人と判断できるかどうかに掛かっていると言うところでしょうか。
一見すると単純そうな事件に見えるけど、逆に対策が難しい事件なのかもしれません。
亡くなった女性のご冥福をお祈りします。
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