審理は、9人の被害者を殺害順に3組に分けて行われる。
(1)2017年8月の3人
(2)同9月の4人
(3)同10月の2人
中間論告や弁論もグループごとに行う。
今回は「被害者特定事項秘匿制度」が適用され、被害者の氏名などを伏せて審理される。
今回、被害者を指すアルファベットはAからI。
公判日程は計24回、77日間にわたって行われる予定。
殺害順
2017年
8月23日Aさん(女性当時21)
8月28日ごろBさん(女性当時15)
8月30日ごろCさん(男性当時20、Aさんの知人)
9月
Dさん(女性当時19)
Eさん(女性当時26)
Fさん(女性当時17)
Gさん(女性当時17)
10月
Hさん(女性当時25)
Iさん(女性当時23)
***初公判(9月30日)***
起訴状によりますと被告は2017年8月下旬から10月下旬にかけて、神奈川県座間市のアパートの1室で当時15歳から26歳の男女9人の首をロープで絞めて殺害した上、現金を奪ったとして、強盗殺人や強盗強制性交などの罪に問われているとのこと。
1)検察官によって起訴状が読まれると「起訴状の通り、間違いありません」と起訴内容を認めたとのこと。
2)検察側は冒頭陳述で、「殺害の承諾を得ていなく、単なる殺人行為」としたうえで、「証拠の隠滅を図るため、体の一部をごみとして捨てたり、頭部を自宅の部屋のボックスに入れて隠していた」などと指摘したとのこと。
別の報道では
検察側は冒頭陳述で「被害者の承諾は無く被告人の行為は単なる殺人である」「被告人は目的にかなった行動を一貫して取っており、そもそも精神障害が無いことから全く問題が無い」と指摘したとのこと。
また、検察側は、被告のスマートフォンから「包丁 殺し方」「困ったときの死体解体法」などの検索履歴が見つかったと述べたとのこと。
さらに別の報道では
検察側は、被告が1人目の女性を殺害後、「この方法なら働かずに金を手に入れられ、性欲も満たせると考え、自殺願望のある女性をだまして誘い込むようになった」と指摘。「一貫して目的にかなった行動をしており、いきなり首を絞める犯行に及んでいることからも、単なる殺人行為を繰り返していただけ」とし、刑事責任能力があり、承諾殺人にも当たらないとしたとのこと。
3)弁護側は、「被害者9人には、自らの死を望む気持ちがあった。それに基づいてSNSでつながり、自らの意思で白石被告のところに行った」と主張したとのこと。
別の報道では
弁護人は「被告には何らかの精神障害があり、それが認められない場合でも承諾殺人罪にあたる」と主張したとのこと。
4)証拠調べ
統合捜査報告書によると、被告は最初の犯行があった5日前に自宅アパート近くの店で粘着テープとナイロンロープを入手したのを手始めに、連日のようにドラッグストアやホームセンターなどで物品を購入。特に、切断後の遺体の腐敗臭などを隠すための猫砂やペット用のトイレシートを犯行当日にも大量に買っていた。
また、スマートフォンの履歴を調べると、犯行前の5~6月頃にYouTubeで「殺人」「ナイフ 研ぎ方」などと検索して映像を見ていたことが判明。最初の犯行に及んだ8月下旬には「困った時の死体解体法」などのブログを検索し、画像として保存していたとのこと。
***第二回公判(10月5日)***
1)検察側は最初に殺害された3人の事件で改めて冒頭陳述を行った。
いずれのケースも「被害者の承諾はなかった」と主張した。
2)検察側冒頭陳述
被告は2017年8月、最初の被害者となった神奈川県厚木市の女性=当時(21)=とツイッターで知り合い、金を得るためには殺害して証拠隠滅するしかないと判断。遺体解体用ののこぎりや包丁などを事前に購入していたとのこと。
一方、女性は当時、「被告と新たな生活を始めよう」と考えるなど自殺は計画しておらず、襲われた際には抵抗もしていたとのこと。
被告は同月下旬、インターネット交流サイト(SNS)で知り合った群馬県邑楽町の女子高校生=同(15)=と、最初の被害者の知り合いだった神奈川県横須賀市の男性=同(20)=に対しても金を奪うなどの目的で連絡し、殺害。2人の被害者とも「しばらく家出しよう」と考え、被告による殺害計画は把握していなかったとのこと。
別の報道では
検察側は、3人が自殺の意思を撤回し、失踪を装うために携帯電話を海に捨てるよう求めた被告の指示にも従わなかったことから、「殺害を承諾していなかった」と強調したとのこと。
3)弁護側冒頭陳述
3人は「不安定な精神状態で、殺害の方法や希望日を伝え、自ら被告の所へ行った」と主張。「承諾があった疑いがある。多面的な検討が必要だ」と述べたとのこと。
「被害者が自殺願望を抱えていることと、被告に殺害される同意があることはイコールではない」とも強調した。
別の報道では
「承諾殺人罪」を主張する弁護側は、この日は、対人関係の悩みを抱える3人が、被告と出会う前に自殺を図ったり、「殺されてもいいから終わりにしたい」と日記に書いていたりした様子を詳細に説明。強い自殺願望を抱く3人は「殺害方法と殺害希望日を被告に伝えていた」と指摘したとのこと。
4)冒頭陳述に先立ち、弁護側証人の精神科医が出廷。自殺願望者が他人に殺害されることも望んでいるかどうかは「かなり別次元の話。ケースごとに分析が必要」と証言したとのこと。
***第三回公判(10月6日)***
1)検察側は、最初の被害者となった神奈川県厚木市の会社員の女性Aさん=当時(21)=が当初は自殺願望があったものの、被告とメッセージをやりとりする過程で「なんとか生き抜こう」などと前向きな言動をするようになっていたと指摘したとのこと。
2)検察官が、被告と1人目の被害者AさんのSNS上のやりとりを読み上げた。「(私を殺したら)殺人罪になりますよ」と被害者が送信したのに対して、「死刑になれるならかまいません」「死刑なら必ず殺してくれます 死刑になるまで何年も待つのでそれはそれで地獄ですが」と被告が返信したとのこと。
被告がお金を貸してほしいと頼み、「1か月の給料が25万円なので25万円あればうれしいですが任せます」「人間なので欲が出ました 25万円といわず全部欲しいです」などと送っていたとのこと。
別の報道では
検察側は2人がSNSで交わした内容を説明。被告が女性の貯金額を知ると自殺を思いとどまるよう説得し、自身の口座に現金計51万円を振り込ませたなどとしたとのこと。
また、女性とともに賃貸住宅の内見に訪れた際、女性が部屋を気に入ったにも関わらず、被告が「ロフトに荷物を置きたい」と、犯行に使ったロフト付きの部屋にこだわったという不動産業者の証言も紹介したとのこと。
さらに別の報道では
検察側が示した無料通信アプリ「カカオトーク」の記録によると、女性は当初、被告に自殺を手伝ってほしいと頼んでいた。しかし、女性が預金について伝えた後は、被告が「頑張っていこうよ。自殺なんかしちゃだめ」などと励ますようになった。女性は「何とか生き抜こう」と応じ、その後は絵文字を多く使うなど、明るいやりとりが続いたとのこと。
事件現場となったアパートを借りる際に対応した不動産仲介業者の調書も朗読した。女性は被告を交際相手と言い、「これから頑張って働いてね」と話しかけていたとのこと。
また、女性の母親の調書も読み上げた。女性は対人関係に悩んだ過去があったが、事件前には「立ち直ろうとしており、寄り添って暮らしていた」としたとのこと。
8月23日、被告は「心配だから連絡して。実家に帰ったの?」と女性の行方を案じるような内容を送信した。女性は同日に殺害されたとみられ、返信はなかったとのこと。
3)弁護側は女性が平成25年に入水自殺を図り、以降も入退院を繰り返していたと指摘。被告と知り合った後もツイッターに自殺志願の投稿を続け、パソコンの日記ソフトに「殺されてもいいから死にたい」などと記していたと説明したとのこと。
別の報道では
弁護側は、中学校時代からの友人の女性の調書を読み上げた。友人は「私がいじめを受けていた時も一緒にいてくれて守ってくれた。(女性は)将来は医療事務の資格を取ると話していた。直前も変わった様子はなく、亡くなったことを知り、死を受け入れられずに、何も手につかなかった」と思いを吐露していたとのこと。
自殺願望について苦しみをつづった女性の日記も読み上げられた。また、女性が被告とは別の男性とSNSで知り合い、亡くなる当日まで自殺に関するやりとりをしていたことも明らかにしたとのこと。
***第四回公判(10月7日)***
被告人質問
1)弁護人の質問に無言のままの被告に対し、裁判官が「何も言わないと、質問が聞こえないのか、黙秘しているのか、分かりづらい」と説明。その後、弁護人が「質問に答えないということか」と聞くと、被告は「答えるつもりはありません」と述べた。
裁判官が「ほかの弁護人に代わっても答えるつもりはないのか」とたずねても、「はい、ありません」と答えたとのこと。
このため、弁護側が休廷を申し出て、裁判官が一時休廷を決めたとのこと。
再開後は検察側の質問に移ったとのこと。
(弁護側の質問に答えない理由は報道によると「弁護側は勝手に“承諾殺人”を主張した。気にくわないので、裁判では弁護人の質問には応じないことにした」という事のようです)
2)検察側質問
「お金と性欲を満たすことが目的で、9人を殺害したことは間違いありません」と、改めて起訴内容を認めまた。また、「9人から殺害の承諾があったのか」と問われると、「ありません」と答えたとのこと。
「遺体を処分した後なら、完全に黙秘するつもりでした」「ニュースを見て、自分がおかしたことの大きさを知って逃げられないと思い、白状する方向に切り替えました」と述べたとのこと。
自殺願望を抱いていた人を対象にした理由について、「悩みや問題を抱えていたほうが口説きやすく、自分のいいなりに操作しやすい」と説明。自らに自殺願望はなく、女性とは「同調するふり」をして知り合ったとしたとのこと。
「自殺を手伝うつもりはなかった」といい、目的は「ヒモになり、お金を引っ張ること」と述べたとのこと。
女性を殺害した理由については、女性の金で犯行現場となったアパートを借りたので「返済を免れるためだった」。犯行時は「いきなり背後から押し倒して首を絞めた」と述べたとのこと。
検察官:「同意殺人や自殺関与の方が、通常の殺人より刑が低いということは知っていたか」
被告:「逮捕されたとき、すでに9人解体していて、家に遺体の一部がある状態で、全員について同意殺人とか、お金を払って頼まれたと主張しても到底受け入れてもらえないです」
検察官:「すべて承諾がなかったのか」
被告:「間違いないです」
検察側の質問が始まった当初は目を閉じたまま答えていたため、検察官から「今回の裁判では(被告の)話の信用性が問われている。つむった目を開けて答えてほしい」と注意される場面もあったとのこと。
裁判長は翌8日の審理で、この日、黙秘して行われなかった弁護側の尋問を再び行うと説明した。
「黙秘権を行使するかはあなたの判断ですが、応じるかどうかよく考えてください」
(被告人質問の詳細が報道されています。膨大な為、事件簿では記載しませんが、詳細が知りたい方はそちらを調べてください)
3)証人尋問(Aさんの母)
「承諾があったとは思わない。娘はパソコンの資格を取るために教材を申し込み、生きようと頑張っていた」と話した。被告に言いたいことを問われると、「今すぐにでもこの世からいなくなってほしい。娘が受けたことと同じことを受けてもらいたい」と話したとのこと。
***第五回公判(10月8日)***
1)被告人質問
被告は弁護側の被告人質問に改めて回答を拒否
弁護側が「接見した際には私と普通に話しているではないですか」と質問した際に、被告は「時間がもったいないので話します」「私の希望にあわせますよと(弁護側から)言われてここまできたのに、急に弁護団の方針として争いますと言われた」「いまだに裏切られている状況を根にもっています」と、弁護側の質問に答えない理由を説明したとのこと。
さらに、「事実を認めるのは早く裁判を終わらせるためか」と問われると、「早く終わりにすることで、親族に長々と迷惑をかけたくない。それと誤解のないように言うと、それが事実だからです」と述べたとのこと。
被告は最初の被害者Aさんについて「一緒にいた時間が長かったので、ひどいことをしたと後悔している」と述べた。
裁判官:「昨日の証言では、捜査機関に罪を認めたのは『状況から通らないと思った』とのことだが、信じてもらえないと思ったのか?」
被告:「私も正直、捕まったときのシミュレーションはしていました。(犠牲者が)1~3人までは承諾殺人だということも考えましたが、4~6人と増えるにつれて無理だろうと。女性を連続的に狙っていることや、部屋に残った血痕、私と被害者のDNAが近い状態で付着していたことなど、状況証拠で説明できてしまうのではないかと考え、あきらめて白状しました」
裁判官から9人全員に殺害の承諾がなかったのかと尋ねられ「分からないというのが本当の答え」としたとのこと。
弁護人:「昨日は9人の承諾がなかったと断定したのに、今日は裁判官に『分からない』と言った。検察官の求める答え通りに話しているのではないか?」
被告:「私が同意を取ったり、依頼されたことは一切なかったというのが事実です。それとは別に、被害者が何を考えていたのか分からないというのがさっきの答えです」
裁判官から殺害について「道徳的なためらいはなかったのか」と問われると、「正直かなり迷ったが、バレなければいいやという気持ちだった」と答えたとのこと。
裁判員:「Aさんの殺害を8月20日まで迷ったとのことだが、殺害を決めたきっかけは」
被告:「Aさんは私以外の男性とも関係がありそうでした。2度目に泊まったホテルでは、性的交渉を断られました。私の過去の経験から、長期的に(お金を)引っ張ることは難しいと思いました」
Aさんの「失踪宣告書」について
「自殺はしません」「戻ってくる」とつづられていた。
被告:「私が言い出して(被害者)本人に書かせた」と告白した被告は、会員制交流サイト(SNS)で積極的にいろいろな人とメッセージをやりとりするように指示もしていたといい、「自分といた痕跡が分からなくなる」「痕跡がなければ捜査機関が自分にたどり着くのを防げると思った」と思惑を明かしたとのこと。
***被害者Bさんの審理***
2)検察側の示した調書などによると、女子高生は17年8月26日にツイッターに自殺願望を投稿し、被告とつながった。夏休みの宿題ができていないことを母からしかられたが、27日は2人で音楽のライブに行き「また来たい」と言い合って帰宅した。だが、始業式の28日、学校を休んで被告の元へ向かい、同夜に殺害されたとみられるとのこと。
女子高生は母への誕生日プレゼントを考え、友人と遊びに行く予定も立てており、母は「娘が自殺するとは思えない。大学生になった娘と恋愛話をしたかった。結婚式も、孫の顔を見ることもできない。死刑にしてほしい」と述べたとのこと。
こんなところですね。
9人を殺害して、本人も死刑になる事も予想できた状態で、なぜ自白する事を選んだのか?と考えていました。
もしかしたら事件前から自暴自棄だったのかな?とかね。
でも、被告人質問の回答を見ると、ちょっと微妙な印象です。
そもそも、この一連の殺害は金銭目当てであったので、逮捕されたいと思ってやってるわけじゃないんですよね。
なので、逮捕されないような偽装工作も行っているわけです。
ですがIさんの行方不明者の捜索で現場を訪問した警察官に部屋にあった女性物のバッグを見られ、追求されて事件を自白してます。
(このあたりはFRIDAYさんの記事が詳しいです)
ここが運命の分岐点だったのかもしれませんね。
結局、殺害現場と遺体を押さえられてしまった為に、被告人はもはや言い逃れできないと、「完落ち」したと言うことだと思います。
これまで動機は金銭と暴行を目的としているとの事なのですが・・・これは単純に「快楽殺人」なんじゃない?と思い始めています。
唯一の男性Cさんの殺害は、事件を隠すための口封じだとして、それ以外の全員が女性、しかも、暴行が伴っている。
直接殺人行為に性的興奮を得ているわけではないけれど、殺害する事で結果的に性的興奮を得ているわけで、快楽殺人の亜種なんじゃないかな?
最初は金銭が主な目的だったのかもしれないが、途中から快楽殺人に傾いてしまったのではないのかな?
次回に続く
参考リンク
神奈川県座間市9名バラバラ事件その11(変節)
神奈川県座間市9名バラバラ事件その13(一審公判2)
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