2025/02/05

新潟県新潟市母子殺人事件その3(一審判決)

一審判決は無期懲役(求刑無期懲役)です。
 
***判決公判(24年11月22日)***
1)新潟地裁は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
 
2)裁判長は職場の同僚だった女性との不倫関係から被告が妻子を疎ましく思ったと認定し、「被害者らには何らの落ち度もない。経緯や動機にくむべき点は皆無だ」と強く非難したとのこと。
 
3)判決によると、21年11月7日午前、自宅で妻(当時29歳)と長女(同1歳)の首をロープで絞め窒息死させた。また同3月に妻に睡眠薬を入れた飲料水を提供し、飲んだ可能性があるのを知りながら、妻子が車で出かけるのを制止せず交通事故を起こさせて殺害しようとしたほか、同9月には妻を殺害しようと勤務先の病院から薬剤を盗んだとのこと。
 
4)裁判長は「2名の尊い生命が奪われた結果は誠に重大」と指摘。3月と9月の事件で殺意は無かったとする被告側の無罪主張については「死亡する可能性も認識していたと推認できる」「塩化カリウム(薬剤)を無断で持ち出した時点で殺害しようと考えていたと認めるのが相当」と退け、殺人未遂と殺人予備の罪も認定したとのこと。
 
塩化カリウムについての別の報道
被告人が塩化カリウムを持ち出す前に、塩化カリウムの致死量やその注射に関わること、高カリウム血症で心停止となった場合に解剖でその原因が判明するかなどにつき、約1カ月間にわたり複数回検索していたことからすれば、被告は塩化カリウムの危険性及び投与方法のみならず、これを殺害に用いた場合における犯行発覚リスクに関心を抱いていたものということができる。それらの検索と近接した時期に塩化カリウムを持ち出し、自宅に保管していたことからすれば、被告人が妻への殺害をする目的で塩化カリウムを持ち出したことが強く推認される。したがって、被告が塩化カリウムを無断で持ち出した時点で、被告人は妻を殺害しようと考えていたものと認めるのが相当であり、“殺意が認められる”とのこと。
 
5)被告が18年5月に結婚したのに、19年10月ごろには同僚と不倫関係にあったとし、「勾留中、被害者遺族に対する謝罪文を作成する傍らで不倫相手に恋文を送っていた」などと指摘。「妻の悔しさ、無念さ、悲しさ、絶望は筆舌に尽くし難い。長女の死も痛ましいというほかない」と強調し、「被告に有利な事情を最大限考慮しても有期懲役刑を選択すべきとは到底言えない」と非難したとのこと。
 
別の報道では
2人の尊い生命が奪われたという結果は誠に重大である。妻は婚姻後、間もなくして被告人による不倫や預金の使い込みがありながらも、代わらず夫婦であり続けようとし、長女の誕生後はひたむきに育児に励みつつ、新居で被告人と共に新生活を始めた矢先、被告人に裏切られ、最期は長女の目の前で命を奪われた。愛する我が子を育てることも、その成長を見届けることもできないまま命を奪われた無念さは察するに余りある。長女は、1歳になったばかりで周囲から愛され、本来父親である被告人に庇護されるべき立場にあったのに、その被告人から突然殺害されたものである。妻の悔しさ、無念さ、悲しさ、絶望は筆舌に尽くし難いものといえるし、長女の死も痛ましいというほかないと断罪したとのこと。
 
被害者らには何の落ち度もない。経緯や動機に汲むべき点は皆無である。また、看護師である被告人がその知識・技術および立場を悪用し、各犯行に及んだことも強い非難に値する。本件に関しては、有期刑を選択すべきとは到底言えないとしたとのこと。
 
6)絞殺についての報道
被告は妻に対して、背後から近づいて突如首にロープをかけ、もがく妻の抵抗を排して2、3分締め上げ、ぐったりとして鼻から血が出ていたにもかかわらず、手が震えているように見えたため、再度首を締め上げて、完全に動かなくなったことを確認した。
 
続けて、長女の首にロープをかけて絞め始め、眼前で苦しそうに泣く姿にも構わず2、3分間力を緩めず締め続けた結果、泣くこともできなくなってぐったりとしたにもかかわらず、鼻提灯が膨らんでいるのを見て、再度首を締め上げて、完全に動かなくなるまで続けていた。
 
いずれも一度締め上げているにもかかわらず、わずかでも生きている可能性を認識するや再度締め上げて息の根を止めたのであり、強固な殺意に基づく極めて悪質なものと言わなければならないとのこと。
 
7)偽装工作の報道
絞殺するために事前にロープを購入したり、窒息死に至る時間や血痕のぬぐい方を事前に検索するなど犯行は計画的である上、殺害後は稚拙ながらも妻による無理心中に見せかけるため、妻の携帯電話機を用いて遺書を作成したり、ロープを現場に垂らしておくなどの偽装工作も行っていたとのこと。
 
こんなところですね。
事件簿の活動自粛期間中の公判だったため、公判の情報の大半を見逃していました。
判決を聞くだけで、殺害された母子がかわいそうで仕方が無いですね。
よくここまで身勝手になれるのか、とあきれてしまう。
結婚した翌年には不倫を開始しているぐらいなら、どうして、結婚したのか?と聞いてみたいところですね。
殺害された奥さんも不倫やお金の使い込みに気づきながら、結婚生活をつづけようとしていたのは、生まれた子供の事を考えての事なのかもしれませんね。
 
しかし、やはり、結婚するべき相手ではなかったとしか思えないですね。
まー結婚の前後で男性の女性に対する態度が変化する事は珍しい事はでないかもしれません。
 
分岐点は夫の不倫を知った時なんでしょうね。
もしかすると、妻は不倫を知った上で、知らないふりをしていたのかもしれませんが、やはり、きっちりどうするのか?を詰問するべきだったと思います。
もしかすると、その上で、被告が「別れるから」とその場しのぎの嘘を言っていたかもしれないので、なんとも言えないところではありますが・・・
 
事が露見しても不倫を続けるようなら、決断するしかないのかな?
しかし、女性の側としたら、1歳の子供を抱えて、女性が一人で生活していくのは大変な事だと言う事は容易に想像できますから、決断できなかったのかもしれないですが・・・
結局、そのままの状態を続けても、母子ともに幸せになれるとは思えないので、実家や友人の力を借りてでも、決断するべきなんだろうと思います。
まーあえてその状態を続けて、時期を見て決断と言うのも方法かもしれません。
どちらが良いか?はケースバイケースなんでしょうね。
 
亡くなった母子のご冥福をお祈りします。

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京都府京都市山科区両親殺人事件その2(起訴から一審判決まで)

判決は懲役26年(求刑懲役30年)です。
 
***起訴(22年4月1日)***
京都地検は1日、殺人と道路運送車両法違反の罪で、夫婦の長男でこの民家に住む無職男性容疑者(37)を起訴した。
 
起訴状によると、昨年10月31日午後4時ごろ、自宅で父親(66)と母親(61)=ともに山科区=の頭をおので殴ったり、折りたたみナイフで首と胸を多数回突き刺したりして死亡させた。また、同日午後8時10分ごろ、三重県内の道路で、車検が切れた軽乗用車を運転したとしているとのこと。
 
京都地検は刑事責任能力を調べるため、約4カ月間の鑑定留置を行っていた。
 
***初公判(23年10月2日)***
1)被告は起訴内容を認めているかどうか問われると「黙秘します」と述べ、弁護側は正当防衛が成立するなどとして無罪を主張した。
 
2)検察側は「両親に就職を妨害された、または今後も妨害されると思い、激怒して両親を殺害した」と指摘した。
 
***論告求刑公判(23年11月6日)***
1)論告で検察側は、犯行の計画性や逃走などの行動は自然で合理的であり、精神疾患の影響はなかったと指摘。「ちゅうちょなく、冷酷で残虐な犯行」と非難し、懲役30年を求刑した。
 
2)弁護側は、精神疾患を理由に被告の就職の内定辞退を両親が会社に申し出た当時の経緯を踏まえ、「生きる権利を守るため、やむを得なかった」と主張。殺害は正当防衛に当たるとし、精神疾患の影響で刑事責任能力もなかったと訴えたとのこと。
 
***判決公判(23年11月27日)***
1)裁判長は被告に完全責任能力があったと認定し、懲役26年(求刑懲役30年)を言い渡した。
 
2)裁判長は判決理由で、被告が凶器を準備するなど合理的な行動を取っており、犯行後に逃走していることから違法性を理解していたとして完全責任能力を認定したとのこと。両親が被告の意向に反して、就職が決まった会社に精神疾患を告げたことで内定が取り消され、怒りを覚えたと指摘し、「犯行は執拗かつ残忍で、強固な殺意に基づき悪質」と非難したとのこと。
 
こんな事件ですね。
第一報で両親に就職を反対された事が動機と言う事でそのあたりの事情を知りたかったのですが、あまり詳しい情報は出てきませんでした。
精神疾患がらみの事件の為か、報道もかなり少ないですね。
裁判の様子もよく分かりませんが、要約すると
 
被告が就職内定した会社に被告の意に反して、両親が精神疾患の事を告げたせいで、内定が取り消された事を恨んで、両親を殺害した事件というのが概要かな。
謎なのが、弁護側が正当防衛が成立すると無罪を主張した根拠は、「生きる権利を守る為、やむを得なかった」と言う事のようですね。
正当防衛の定義は
「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」
この急迫性がこの事件には無いと思うんですよね。
 
なので、正当防衛を主張するのはかなり無理があると思うのですが、弁護人がなぜ正当防衛を主張したのか?が知りたいですね。
 
事件の動機としては、ある程度理解できる物はあると思います。
就職しようと思って、内定をもらった会社に、持病の話をされて、内定が取り消されたのであれば、被告が怒るのも無理は無いかもしれないと思う。
まず、ここで疑問なのは、両親が精神疾患の話をしたと言うのは事実なのだろうか?
報道が少ないので、この部分にも疑問がある。つまり、被告がそう思い込んでいただけの事実誤認と言う、まさに逆恨みと言う可能性はないのかな?
とはいえ、裁判長が判決理由で述べているので、この部分は事実なんだろうね。
 
そうすると、なぜ、両親は息子の精神疾患を会社に話したのか?が次の疑問ですね。
一般的に言えば、親が子供の幸福を望まない事は無いので、逆に言えば、両親はそれを話す事が息子にとって、あるいは自分達にとって有益であると考えたと言う事なんでしょうね。
だから、被告自身は仕事をする事を望んでいたが、両親はそれを望んでいなかったと言う事なんでしょうね。
その理由がわかりませんが・・・憶測になってしまいますが、就職する事でトラブルが発生することが予想できたと言うことなのかな。
 
だとしたら、そのあたりを親子で話し合うなり、対立する事を避けるなら、主治医を通して仕事は難しいと言う話をしてもらうなり、他には会社には別の理由で内定取り消しにした事にしてもらうとか方法があったと思うのですが、なぜこんな発覚すれば、軋轢を生むような方法を選択したのか?は少し疑問です。
とは言え、繰り返しますが、家庭の事情が分からないので、ここに至るまでには相当な苦労があって、こうなってしまったのかもしれないので、まーなんとも言えないですね。
 
亡くなったご両親のご冥福をお祈りします。

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2025/02/03

愛媛県新居浜市一家3人殺人事件その2(一審判決から上告まで)

一審判決は無期懲役です。
 
***初公判(23年12月6日)***
1)起訴状などによりますと、住所不定で無職の男性被告(56)は2021年10月、新居浜市垣生の住宅でITさん(当時80)と妻のII(当時80)さん、元同僚で三男のIKさん(当時51)の胸などをナイフで突き刺し、殺害したとのこと。
 
2)被告は起訴内容を認めた上で、弁護人が心神喪失による無罪を主張した。
 
3)検察側の冒頭陳述で「被告は組織から電磁波攻撃を受けたと思い込み、一方的に犯行に及んだ」ただ「自らの行動は理解できた」と指摘した。
善悪の判断が全くつかなかったわけでは無い心神耗弱状態だったとして、罪に問えると主張した。
 
検察は、被告は被害者のIKさんがインターネットの掲示板に被告の個人情報を書き込んだり、電磁波攻撃をしたりしていると思い込むなど、犯行に至る経緯を明らかにしたとのこと。
 
別の報道では
検察側は、犯行当時、被告は、妄想型の統合失調症を患い、インターネットの書き込みなどをきっかけに被害妄想を抱き、一方的に怒りを募らせ犯行を決意したと主張した。
 
一方で、事件の直前には被告が「罪を犯せば自分の家族に悪影響を与えるのではないか」と考えていたとして、犯行当時は善悪の判断能力が著しく低下する「心神耗弱」だったと主張し、刑事責任を問えるとした。
 
4)弁護側は、被告は犯行当時、善悪を判断する能力がない“心神喪失”の状態であったとして無罪を主張した。
 
別の報道では
弁護側は、被告はインターネットを検索する中で、組織や被害者による電波攻撃を受けていたという妄想を募らせ、 復讐を決意したとし、犯罪歴のない人が3人の命を奪う行動に出た理由として考慮してほしいと訴えたとのこと。
 
5)証拠調べの中で、検察側は、事件発生の4年ほど前から被告が監視や盗撮、盗聴など妄想による被害を周囲に対して訴えるようになり、その後「誰かに悪口を言われている」などと、知人らに電話を掛けるようになったと指摘したとのこと。
 
「電磁波が思い切り飛んでくる、頭が痛い。仕事に行けず100万円くらい損している」「要求はなんだ、お前しかおらんやろが」など、被告が知人に詰め寄る通話内容の録音を証拠として提出したとのこと。
 
6)証人尋問(事件当日、最初に現場に駆け付けた警察官が証人)
軒先で腹から血を流し倒れこむITさんを発見し、無線で県警本部と連絡を取り合っている間に、通報したIIさんが刺されたことなど当時の様子を証言したとのこと。
 
別の報道では
3人の殺害から逮捕に至るたった2分間の出来事。警察に通報したIIさんが自宅の外でパトカーを手招きし玄関に戻ったタイミングで、被告が「1人だけ生き残っても仕方ない」「一緒にあの世に行かせてやろう」と考え殺害したことが示されたとのこと。
 
また死亡した3人の身体にはそれぞれ10カ所以上の刺し傷や切り傷があり、全員の致命傷になった刺し傷は10センチ以上の深さ。なかには骨を切断したものもあったとのこと。
 
7)証人尋問(被告とIKさんを知る人物)
被告が「新居浜で人を殺して肉を唐揚げにして食ったという話を聞いたことがあるか」などと証人に質問する場面もあったとのこと。
 
***第2回公判(23年12月7日)***
1)被告人質問
無罪を主張する弁護人の質問で被告は「責任能力を認められ死刑になっても悔いはない」と発言。このほかネットの掲示板に自分以外知り得ない直前の行動と同じ内容をかき込まれたほか、ほこりを焼きパンが焦げたような臭いがするほど強い電磁波攻撃を受けたなどと主張したとのこと。
 
また電磁波攻撃は「孫を抱いているときにものすごくしてきた。鬼畜かと思った」と泣きながら答えたとのこと。
 
弁護士の「犯行の動機は何ですか?」という問いに対し、被告は「自分を狙う『組織』の一員だったIKさんに復讐を果たすとともに、事件を起こすことで、『組織』の存在を明るみに出したかった」などと話したとのこと。
 
このあと被告が、自分の孫に思いを馳せて涙ぐむ場面も見られましたが、終始落ち着いた様子で、自らが電磁波攻撃によって受けたと語る被害の詳細や、事件前の被害者との直接のやりとりなどが語ったとのこと。
 
検察の質問に対しは、「犯行が自分の家族の人生に悪影響を及ぼすことは理解していた」としながら、「電磁波攻撃などが全く解決しないため、犯行に及び手加減は全くしなかった」と話した。また1人も3人も「人生が終わることは一緒」とし、3人を殺害したとのこと。
 
その上で犯行時、すでに2人を刺し殺していた被告が家にいた残る母親に対し、「1人で生き残っていても仕方がないし(1人殺しても3人殺しても)人生が終わっていることでは一緒だ」などと思ったと話したとのこと。
 
弁護側の質問に対し、当日家を訪ねたところいないと思っていたIKさんがいたため「今しかない。きょうしかない」と殺害を決意し、自分を攻撃する『組織』の人間だとするIKさんを「絶対にこいつだけは生かしてはおけん」と思い、特に強い殺意を持って犯行に及んだと証言した。
 
また、IKさんの殺害を妨害されると思い、両親も刺したなどと、当時の心境について語ったとのこと。
一方、弁護士の質問に対して,IIさんの殺害に関しては「よく考えていなかった」と話すなど発言が二転三転したとのこと。
 
***第3回公判(23年12月8日)***
1)証人尋問(精神鑑定をした医師)
9回あわせて約21時間に渡り面接などをしていて、「妄想型の統合失調症は2017年頃から発病し、犯行動機の形成過程に強く影響を与えた」と証言した。
 
証人尋問で検察は、被告が自らの子供への悪影響を考えるなど善悪の判断ができる状態で、犯行後に警察が手錠をかけやすいよう自ら手を前に差し出すなど、自分の行動をコントロールできていると主張したとのこと。
 
一方で発症後は、身体がビリビリする感覚や幻覚のため仕事を休むようになっていたものの、統合失調症の患者に見られる性格の変化は見られないとしているとのこと。
 
また弁護側は、偶然IKさんを発見し殺害して自殺しようと考えていたにも関わらず、犯行後にIKさんが関わったする「組織」を公にしたいと自殺に及んでいないとし、両立しない行動を質問。鑑定した医師は妄想型の統合失調症の影響を否定したとのこと。
 
被告が弁護人に「お前もうかわれや」などと、声を荒げる場面も見られたとのこと。
 
また被告人質問で被告に鑑定した医師の対応を問うと、「電磁波攻撃などの被害を受けているにも関わらず統合失調症と決めつけられる」と主張。殺害した3人や遺族への謝罪については「死刑覚悟でやってきている」とし拒否したとのこと。
 
別の報道では
事件当日の被告は、犯行現場まで凶器が目立たないように隠して向かっているほか、恨みを抱いていない警察官に対しては、求めに応じ素直に包丁を置くなど、被害妄想の影響はあるものの周囲の状況を判断し行動しているなどと、鑑定結果を説明したとのこと。
 
これに対し、被告人質問で弁護士から医師の証言内容について聞かれた被告は「ほとんどデタラメで全くの誤診である」などと、診断結果を強く否定したとのこと。
 
***論告求刑公判(23年12月12日)***
1)論告
検察側は論告で、被告は自分の行為の意味は理解していたが、妄想型統合失調症の影響が強く、事件時は心神耗弱状態だったと指摘。強固な殺意に基づく凄惨な犯行で、3人が死亡するなど結果も重大だが、心神耗弱の場合は刑の減軽が必要だとしたとのこと。
 
検察側は無期懲役を求刑した。
 
別の報道では
検察側は論告で、被告には被害者らから電磁波攻撃などの嫌がらせを受けていたという妄想があったが、「差し迫ったものではなかった」と指摘。心神耗弱だったものの、責任能力は完全には失われていなかったとしたとのこと。
 
また、被告は犯行時、ナイフを周りから見えにくいように持ち歩くなど、状況に応じた行動ができたと主張したとのこと。
 
さらに別の報道では
検察側は被告は「自分の行為の意味を理解し選択する能力が完全には失われていなかった」と主張。そのうえで被害者にはそれぞれ10カ所以上の刺し傷があり、深さ10センチを超える傷もあるなど「強固な殺意に基づく凄惨な犯行」で「何の落ち度もない3人の命が一瞬にして奪われた被害結果は極めて甚大」などとして無期懲役を求刑したとのこと。
 
2)弁護側は、被告が当時、自分の行動を制御することができない心神喪失状態だったとし、刑事責任は問えないと主張したとのこと。
 
3)最終陳述
最終陳述で被告は、「統合失調症の診断は誤りで、正常者の発言として裁いてもらいたい」などと述べたとのこと。
 
***判決公判(23年12月18日)***
1)松山地裁は18日、殺人などの罪で精神疾患がある男に対し、検察の求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
 
2)裁判長は「ITさんを刺す前などに子どもの人生への影響を考えて殺害をためらうなど、自らの行為の意味を理解し行為を選択する能力は完全に失っていなかった」とし、被告の刑事責任能力を認め、検察の求刑通り無期懲役の判決を言い渡したとのこと。
 
別の報道では
裁判長は「ITさんを刺す前などに子どもの人生への影響を考えて殺害をためらうなど、自らの行為の意味を理解し行為を選択する能力は完全に失っていなかった」とし、被告の刑事責任能力を認めた。
 
このうえで殺害された3人の身体はいずれも10箇所以上の刺し傷があり、致命傷の傷は10センチ前後に及び凄惨な犯行と指摘。「何の落ち度もない3人の命が一瞬にして奪われた結果は極めて重大。被告の意思決定は厳しく非難されるべき」などと、検察の求刑通り無期懲役の判決を言い渡したとのこと。
 
さらに別の報道では
裁判長は、被告が妄想型統合失調症による被害妄想の影響を受け、犯行に至ったとした。一方、人生への影響を考え殺人をためらうなど、自らの行為の意味を理解し、選択する能力を完全には失っていなかったと判断。「何の落ち度もない3人の生命が奪われた結果は重大」と述べ、心神耗弱による法律上の減軽を認めるとしても無期懲役が相当としたとのこと。
 
***控訴(23年12月21日)***
被告が判決を不服として高松高裁に控訴した。
 
***控訴審初公判(24年6月18日)***
1)弁護側は一審松山地裁の無期懲役判決には事実誤認があり、被告が妄想型統合失調症の影響で心神喪失だったとして、改めて無罪を主張。
 
2)検察側は控訴棄却を求め、即日結審したとのこと。
 
***控訴棄却(24年8月22日)***
1)高松高裁は22日、無期懲役の1審判決を支持し、被告の控訴を棄却した。
 
***上告(24年9月4日)***
1)高松高等裁判所によりますと、被告側はこの判決を不服として、9月4日に最高裁判所に上告したとのこと。
 
こんなところですね。
えーと、理不尽な理由で3人を殺害しているので、本来は死刑のところ、統合失調症による心神耗弱を認めて、無期懲役と言う事で、妥当な判決だと思います。
ただ、それとは別にこの手の事件は難しいというか、被告と検察側の意見がまったく相容れない状態になってしまうのが、なんとも言えない気持ちにさせます。
 
と言うのも、統合失調症では、幻覚や幻聴が「現実」として起きている事なんですよね。
だから、この事件でも被告は自身が受けた「電磁波攻撃」が現実なので、「妄想」と言われても受け入れる事ができないんですよね。
なので、この状態になってしまうと、まったくの平行線なわけです。
 
状況から考えると、被告人は統合失調症を発症してから、通院などの治療を受けてない状態で、事件を起こしていると思うわけです。
(精神鑑定の結果をデタラメと言ってますからね)
裁判長も言っているわけですが、統合失調症にならなかったら、この事件は起きなかった。
しかし、私としては統合失調症になったとしても、適切な治療をしていれば、この事件は起きなかったのではないか?と考えています。
 
だから、この事件を防ぐには、発症した人を適切に医療に導くことが重要なのだと思います。
被告には家族も居たので、世間から隔絶して生きていたわけでも無いのに、誰か医療に導く事ができなかったのか?と言うのが残念でなりません。
鑑定では2017年に発症していると言う事なので、事件が2021年ですから、事件の4年前ですよね。この4年間に異変に気づく人がいたと思うのですが・・・・
まー病院に連れて行くのが最初のハードルなのは間違いないので、気づいた人が何度かチャレンジしたけど、本人が病気じゃ無いと強く拒絶してしまったのかもしれませんね。
 
そして、警察沙汰になるほどの問題も起こしてないので、措置入院もできなかったんでしょうね。
で、最悪の事態になってしまったと言う事なんでしょうね。
 
仕事をしてなかったとしても、市町村の定期検診は受けていたと思うのだけど、問診で「電磁波攻撃」の話はしてないのかな?
もししていたなら、その話を福祉に繋げるような仕組みがあれば、別の角度から専門家のアプローチも出来たかもしれませんね。
でも、被害者から警察へは電磁波攻撃の相談があったので、警察から被告の家族への連絡などもあったと思いますが・・・・
 
いずれにせよ、「放置状態」にならないようにする仕組みが必要かもしれませんね。
 
おそらく、上告の結果も同じだと思いますが、続報を待ちましょう。

***2025年2月3日補足と訂正***
書いた直後ですが、訂正します。前回の記事に情報がありました。
警察から保健所への情報共有はあったとの事です。でも措置入院には至らなかったんですね。

県警は容疑者が、事実とは認められない被害を訴えていることから精神障害の可能性もあるとみて、保健所への相談を勧めた。西条保健所にも「(容疑者に)対応することがあれば支援をお願いしたい」と伝えたという。

県健康増進課は10月15日、西条保健所が2020年9月までに新居浜署から5回、容疑者(53)=殺人容疑で再逮捕=に関する福祉的支援のための情報提供を受けていたと明らかにしたとのこと。

同課は「法律に基づく通報ではなく一般的な情報提供だった」とし、精神保健福祉法による調査や診察、措置入院などの対応は困難だったとの認識を示しているとのこと。

同課によると、19年11月から20年9月にかけ5回、署から保健所に容疑者に関し「電波攻撃を受けているなどと発言し、精神症状が疑われる人がいる。本人や家族に保健所への相談を勧めたい」などと連絡があったとのこと。所内で情報共有し対応する準備を整えたが、容疑者側から相談はなかったとのこと。

市地域福祉課も、容疑者や家族からの相談は把握していないとしているとのこと。

 ***訂正ここまで***

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2024/08/16

和歌山県白浜町保険金殺人事件その3(二審判決)

控訴審判決は懲役19年とした一審判決を支持し、被告の控訴を棄却した。

***控訴審判決公判(24年3月4日)***
1)裁判長は、「胃の中に砂があったことは認められるが、一審の砂の量の認定には無理がある」とし、砂の量から他殺とした一審の認定は不合理だとした。

しかし、「被告は不倫発覚後、被害者の妻にやり直したいなどと説得していた際も不倫相手と暮らすなど、妻への説得が本心でないことは明らかで、保険金契約、検索履歴などから被害者を溺死に見せかけた保険金目的の殺害計画をうかがっていたことは明らか」と指摘した。

「死亡状況は計画に完全に符合していて、他殺以外の偶然に起きたこととは考えられない」として一審の懲役19年の有罪判決を支持し被告の控訴を棄却したとのこと。

別の報道では
大阪高裁は、「胃の中に砂があったことは認められるが、一審の砂の量の認定には無理がある。(多量の砂から他殺とした)認定は不合理」とした上で、「被告は不倫発覚後、被害者の妻にやり直したいなどと説得していた際も不倫相手と暮らすなど、妻への説得が本心でないことは明らか。

保険金契約、検索履歴などから被害者を溺死に見せかけて殺害しようとしていた計画を伺っていたことも明らか。死亡状況は計画に完全に符合していて、2人きりになった約20分という短時間で殺害計画と無関係に他殺以外の偶然に起きたこととは考えられない」として被告の控訴を棄却し、一審と同じ懲役19年の判決を言い渡したとのこと。

***証人尋問(日時不明)***
2審の大阪高裁では、3人の法医学者による証人尋問が行われ「胃の中の砂の存在」などについて審理されたとのこと。

詳細は不明ですが、その結果が判決に反映されていて
高裁では、1審の「多量の砂」を根拠とする殺害認定について、「砂が廃棄されて存在しない中、目撃した砂の量を認定するのには無理がある」と、量について否定した。

さらに、水難事故の専門家が主張した多量の砂を含む海水を飲み込むメカニズムについても「医学的知見に反し採用し得ない」と退けた。そして、「事故や自殺の可能性も否定できず、胃内にのみ相当量の砂が入ったのは不自然というだけで、殺人事件と判断した1審判決は不合理」と判断した。
(つまり、1審で有罪の決め手となった証拠を否定した。)

ざっくりとこんな感じです。
ASKAなりに要約すると
一審判決の決め手となった胃から出てきた「砂」の量は廃棄されていて認定するのは無理で、胃の中の相当量の砂についても不自然と言うだけで殺人の証拠とはならないと言う判断ですね。
一方で、ネットの検索履歴や多額の保険金契約、妻との離婚を約束した不倫相手と、妻との板挟み状態などの事件の背景から1審同様に「殺意をもって、海中で何らかの方法により被害者の体を押させつけて溺水させた」として被告による殺害を認定したと言うことですね。

この判決に批判もあるようだけど・・・私としては、過去には状況証拠の積み重ねで有罪となった事件もあったわけで、妥当な判決ではないかと思っています。
まー93年の日野OL不倫放火殺人事件でもそうですが、男の優柔不断な対応と言うのは、事件に直結しますね。

参考リンク
和歌山県白浜町保険金殺人事件(一審判決)

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2024/08/10

愛媛県今治市女性ドライバー殺人事件その3(差し戻し控訴審判決)

詳細の前にここまで経緯をまとめると
時系列
2018年
02月13日 遺体を発見。
02月14日 同僚の男性を緊急逮捕。
02月15日 殺人容疑で送検。
10月16日 一審初公判
11月13日 一審判決懲役19年
猥褻目的を認定せず。(強制猥褻致死ではなく、殺人と強制猥褻罪)
11月27日 検察と弁護側双方が控訴
2019年
12月    控訴審で一審判決を破棄して地裁に差し戻し
2020年
07月    上告審で上告を棄却、地裁への差し戻しが確定
2022年
03月10日 地裁差し戻し審判決、無期懲役
03月24日 被告側が控訴

そして今回の差し戻しの2審公判になります。

***差し戻し控訴審初公判(23年11月08日)***
1)弁護士が「わいせつ目的ではなかった可能性がある」などとして、量刑の不当を主張した。

2)検察側は、控訴の棄却を求めました。

***差し戻し控訴審判決公判(24年01月18日)***
1)裁判長は「被告の主張はいずれも理由がなく、松山地裁が強制わいせつ致死罪が成立すると認めたことに誤りはなく、無期懲役が相当である」などとして差し戻し審の判決を支持。被告の控訴を棄却した。

***続報***
24年02月01日 被告はこの判決を不服として最高裁に上告した。

こんなところですね。
上告しましたが、新たな情報がなければ、おそらく結果は変わらないと思われます。
なんというか、犯罪者なら誰でも、自分の罪を軽くしたいというのは、多少あると思うわけです。
ただ、その大小はやはり、事件にどの程度向き合って反省しているのか?というあたりが影響してくると思います。
いろいろと、不合理な言い訳をしても、そこに説得力は無いし、逆に印象を悪くしていると思うんですよね。

仕事とは言え、それに付き合う弁護人もお気の毒だなと思いますね。

上告審の結果を待ちましょう。

参考リンク
愛媛県今治市女性ドライバー殺人事件その2(差し戻し審判決)

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2024/08/09

新潟県新発田市女性強姦致死事件その4(別件二審無期懲役)

補足
2013年09月 燃えた車の中から24歳女性Bさんが遺体で発見
2013年11月 22歳女性Aさんへの強姦致死事件(刑が確定)
2014年01月 20歳女性Cさんが行方不明
2014年04月 Cさんの遺体が川で発見

こちらはCさんの事件の控訴審です。

控訴審判決で東京高裁はそれぞれの控訴を棄却し、1審判決を支持した。

***初公判(24年2月16日)***
1)検察側は一審は死刑を選択せず量刑は著しく不当」と主張した。

2)弁護側は事件性・犯人性を争い、無罪を主張した。

3)弁護側、検察側ともに提出した証拠書類を取り調べるよう求めたが、裁判所はいずれも却下した。

4)検察側は出席した遺族に意見を求めましたが、裁判所はその申し出を認めなかった。

5)裁判は即日結審に。判決は5月以降に言い渡される見込みとのこと。

***判決公判(24年5月17日)***
1)東京高裁はそれぞれの控訴を棄却し、1審判決を支持した。

2)裁判長は「女性が各被害を受けたのとほぼ同じ時間帯に被告人が女性の車のハンドルを触れたことになり、被告人が犯人と認められる」などとして事件性やDNA鑑定について1審の判決に事実誤認はないと指摘。

量刑については「刑事責任は非常に重く、遺族が死刑を望む気持ちは厳粛に受け止めなければならないとした」一方で「計画性があったとは認められない」などとして1審の無期懲役を支持したとのこと。

3)遺族のコメント
「無期懲役の判断が維持されたことは到底納得できない。被告には極刑が相応という気持ちは今も変わっていない」とのコメントを発表したとのこと。

***続報***
1)5月までに被告側は上告した。
2)死刑を求刑していた検察側は期限までに上告しなかった。東京高検は、「上告理由を見いだせなかった」とコメントを出している。

こんなところですね。
この事件が他の事件と一緒に起訴されていたら、量刑は変わっていたかもしれませんね。
今のところ、2013年の22歳Aさんが強姦致死、2014年の20歳Cさんも強姦致死だと推測します。
これで、死亡が二人で罪状に強の字もあるので、死刑が出ても不思議では無いですよね。おまけCさんの事件は完全に否認していて、反省も無いと言う事なので、死刑判決が出てもおかしくは無い事件だと思います。
今回は、二つの事件が別々に裁判になった事で、罪状に強の字がついても、死亡が一人なので、無期懲役と言う判断が、おそらく妥当な量刑になったのだろうと思います。

なので、できるなら、こんなケースでは最初の事件の起訴を遅らせても2件を一つの公判で審理した方が死刑判決は出やすかったんじゃないかな?

亡くなった女性のご冥福をお祈りします。

参考リンク
新潟県新発田市女性強姦致死事件その3(別件一審無期懲役)

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2024/08/07

東京都足立区ツイッター殺人未遂事件(21年の事件です)

2021年11月8日、ツイッターに夫の殺害を依頼する投稿をして実行役に襲わせたとして、警視庁捜査1課は東京都足立区南花畑4、パート従業員、女性容疑者(44)を殺人未遂と住居侵入容疑で逮捕する事件が起きている。容疑者は「事件には関わっていない」と容疑を否認しているとのこと。

逮捕容疑は2021年8月7日午前2時半ごろ、自宅アパートに住所・職業不詳の男性容疑者(22)ら3容疑者を招き入れ、就寝中だった会社員の40代の夫の左胸などを刃物で刺して殺害しようとしたとしているとのこと。夫は全治約1カ月の重傷を負った。3容疑者は同年10月23日に同容疑で逮捕され、「(女性容疑者から)報酬をもらう約束をしていたが、支払われていない」などと供述しているとのこと。

同課などによると、女性容疑者は事件の数週間前に、ツイッターに「夫を殺害してほしい」という趣旨のメッセージを書き込んだとのこと。実行役の3容疑者と面識はなかったが、夫の襲撃を依頼。女性容疑者は、あらかじめ玄関の鍵を開けておくなどの準備をしていたとみられるとのこと。事件当時、女性容疑者は在宅していた。夫は「夫婦関係が悪かった」と話しているとのこと。女性容疑者は借金があったとのこと。

刺された夫は抵抗し、一命を取り留めたものの、全治およそ1カ月の重傷を負ったとのこと。

逮捕前、女性容疑者は、警視庁に「ガタガタと音がして、夫が見に行って、私は娘がいたので、そうしたら男が逃げていった」と説明していたとのこと。

しかしその後、女性容疑者と逮捕された2人の男に、SNS上の接点が浮上したとのこと。
ツイッターに応じたのは、2人の容疑者。

犯行時、残りの1人の容疑者は運転を担当していて、警視庁の調べに対し、「待っておけと言われ、待っていた」と話しているとのこと。

その後の調べによると、実行犯の2人は、風俗のスカウトの仕事仲間で知り合いだったとのこと。
運転担当は、実行犯のうちの1人が誘ったとみられ、仕事の内容を把握していなかったとのこと。

その後、容疑者2人の供述とスマホの解析から、妻である女性容疑者の関与が浮上したとのこと。

実行犯の男ら「女性容疑者にツイッターを通じて殺害を依頼された。報酬のお金をもらえるはずだった」

また、被害男性は、「妻には1,000万円を超える借金がある、妻とは夫婦仲が良くない、子どもの面倒を見ない、などと言われていた」などと話しているとのこと。

警視庁は付近の防犯カメラ映像などから3人を特定し、10月23日に同容疑で逮捕。
事件当時、女性容疑者と長女(9)が室内にいたとのこと。

女性容疑者は、ツイッターに「高額報酬」と書き込み、殺害を依頼したとみられていて、当初、容疑を否認していたが、その後の調べに、「夫が娘の面倒を見ないので、痛い目を見てもらいたいと思った。夫に仕返しをしようと思った」と容疑を認めているとのこと。

実行犯はK受刑者(22)、S被告(23)の2人。K受刑者は今年7月14日、殺人未遂の罪で懲役8年の判決が言い渡されている。

時系列
2021年
07月    女性容疑者がツイッターに夫殺害依頼の投稿をする。
08月07日 事件発生
10月23日 男性3人が逮捕される。
11月08日 女性容疑者が逮捕される。
2022年
07月14日 K男性被告、夫殺害未遂の罪で懲役8年の実刑判決

***女性被告の一審公判(22年10月)***
1)被告人は「私は主人の殺人依頼などしていません」と否認した。

2)検察側主張
去年2月、内緒にしていた1000万円以上の借金を夫に知られてしまった女性被告は、夫から厳しく金銭を管理された。夫の厳しい態度を逆恨みした女性被告はネットで「復讐代行屋」などと検索し、50万円で夫の殺害を依頼した。依頼を受けた20代の男2人のうち1人がサバイバルナイフで夫の左胸などを刺したが、夫の抵抗を受けて殺害は失敗した。

別の報道では
検察側の冒頭陳述などによると、被告は独身時代から遊興費などがかさんで300万円ほどの借金があった。闇金融にも手を出し、結婚後には1千万円超に膨らんでいたとのこと。
家計のやりくりは被告が行っていたため夫に知られることはなかったが、事件の半年前、被告が娘を連れて家出したのがきっかけで発覚。以来、夫が代わって厳しく金銭管理を行うようになった。

仕事をしていた被告の給料はほぼ返済に回され、手元には月1万~2万円が残る程度。このころから、インターネットで「殺人依頼」などと検索するようになったとのこと。

3)弁護側主張
弁護側も、女性被告が借金をしたことは認めた。
借金が夫に知られた後、女性被告のもとに、大量の出前が届いた。闇金からの嫌がらせだったとのこと。女性被告は自殺を考え、「検出されない毒」などと検索したが、自殺は諦めたとのこと。

その後、女性被告は「なんでも屋」という存在を知り、ツイッター上で「復讐代行」というアカウントにダイレクトメッセージを送ったとのこと。
相手は、一定期間が過ぎるとメッセージが自動的に消去されるアプリ「テレグラム」でやりとりするよう指示した。
女性被告は相手に夫の不満などを漏らしたとのこと。
すると2週間ほど後、突然男2人が夫を襲ったとのこと。

弁護側は、「『復讐代行屋』とやり取りはしたが、復讐目的ではなかった。連絡相手が誤解して殺人計画を立てたかもしれない」と主張した。

***証人尋問(K受刑者)***
スカウトの仕事をしていたK受刑者はコロナ禍で金に困り、ツイッターで「#お金に困っています」と投稿すると、あるアカウントから「恨み晴らし代行」の仕事を紹介された。身元不明のそのアカウントが仲介して、去年7月中旬ごろに連絡を取り始めたのが、女性被告だったと証言した。

Q:依頼の内容は?
A:「自分の旦那を殺してほしい」という内容です。

Q:依頼の理由は?
A:自分の娘に対する言葉の暴力がひどい、見ていられないから。

Q:報酬は?
A:、50万円の報酬を提示された

Q:女性被告との連絡頻度は?
A:「ほぼ毎日ぐらいです」

Q:犯行現場(家)の状況を聞いたか?
A:「ベランダ側に面して寝室があると言われました」

***被告人質問***
検察側が証拠として女性被告の携帯電話の履歴を提出した。去年2月から「検出されない毒」「死ぬカビ」「殺人依頼 下請け」「殺し屋 探し方」「復讐代行屋」「抹殺」「裏稼業」「殺し屋」という言葉が並んでいた

なぜこのような言葉を検索したのか。女性被告は、「保険金を家族に残すために自分を殺してもらいたかった」と主張したとのこと。

Q:復讐屋と言う言葉を含むアカウントにダイレクトメッセージを送っているが、何のために送った?
A:「プロフィールに『詐欺被害解決します』と書いていたので」
「闇金(業者)の嫌がらせをどうにかしたかったです」
「闇金(業者)に嫌がらせを受けている。家庭の事情や愚痴を話しました。」
殺人依頼はしていないと主張した。

***論告求刑公判***
1)検察側は「K受刑者は刑が確定して服役中で、女性被告に責任を押し付けるメリットがありません。自分に不利なことも素直に話して有罪判決を受けています。K受刑者の証言は十分に信用できます」と主張した。
そのうえで「計画的な犯行の主犯的立場」だとして女性被告に懲役11年を求刑したとのこと。

2)弁護側は「女性被告は殺人依頼をしたことはありません。K受刑者が誤解して犯行したとみられます。検察が証拠とするK受刑者の供述は信用できません」と主張したとのこと。

3)最終意見陳述?
「私は、殺人依頼などしていません。お金を渡したり受け取ったりしていません。あちこちに個人情報を流したことを後悔しています。反省しています。いろんなことに主人を巻き込んでたくさんごめんねと伝えたいです」と話したとのこと。

***判決公判(22年10月31日)***
1)判決は懲役10年
「主犯格」と認定される。「主犯格として共犯者より重い責任を負うべき」であり、自らの借金によって自由に使えるお金が制限されたことに不満を募らせ、犯行に及んだことについて「あまりに身勝手で短絡的」として、懲役10年の判決を言い渡した。

2)裁判長は、「判決が確定しているというのであるから、K受刑者が女性被告の事件への関与についてあえて虚偽の供述をする動機や利益はない」「K受刑者の供述は十分に信用できる」と述べた。

3)公判で弁護側は、殺害依頼の検索について「自分を殺してもらうためだった」などと主張したが、判決はこうした点を「不自然、不合理」と切り捨て、検索は夫を殺害するためのものだったと認定したとのこと。

検被害者の夫も出廷。「なんでこんなことをしたのか、信じられない」とうつむきがちに話し、離婚の意向を口にしたとのこと。

***補足情報***
どの時点の情報かわからない報道
察側は、被告のスマートフォンには、夫が襲撃された当日の午後に「シングルマザー」「20万円愛人契約」などと、ネットで検索した履歴が残っていたことを指摘。計画性の高さや、良心の呵責が見られない点も追及したとのこと。

被害者の夫も出廷。「なんでこんなことをしたのか、信じられない」と話し、離婚の意向を口にしたとのこと。

***S被告の一審公判(23年2月)***
交流サイト(SNS)を通じて「夫を殺して」と依頼され、実行役になり殺害しようとしたとして、殺人未遂罪に問われた男性被告(23)に対する裁判員裁判の判決で東京地裁は13日、「犯罪の証明がない」として無罪(求刑懲役10年)を言い渡した。

***S被告の二審公判(23年10月31日)***
東京高裁は31日、1審東京地裁の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。裁判長は共犯者との共謀を否定し「被告が実行行為を担ったとは認められない」と述べた。

***女性被告の控訴審(23年5月)***
6月2日に判決公判の予定なのですが、判決の報道が見つかりません。

こんなところですね。
他の事件の公判でもそうなのですが、言い訳が嘘となると、「反省してないよね」と言う事になるので、有罪になりたくないから、言い訳をするのはわかるけど、それが、荒唐無稽な物となると、かえって罪を重くする事になってしまうので、まー言い訳の内容は良く考えた方が良いでしょうね。

今回、主犯と認定されてますが、もし、公判で罪を認めて反省していたら、2,3割は割り引いてくれたかもしれませんね。
その場合でも懲役7年なので、懲役10年とさほど違いが無いと言うのもあるかもしれませんね。

しかし・・・ちょっと短絡的過ぎるかな?と思いますね。
夫は妻の1千万に及ぶ借金の返済の為に、妻の収入を充てているわけですね。まーこれは普通に考えて正当な手段だと思うわけです。
これが、住宅ローンとか、夫婦で話し合って納得の上でした借金であれば、夫も返済に協力するでしょうが、そうでは無いようですからね。
こういう反応になるのは仕方が無いところだと思います。
むしろ、この話を聞いて、離婚しない夫の方が良い人だと思うぐらいです。
夫にすれば、最悪の場合、自分が返済すると考えていたので離婚しなかったともとれます。(真意は本人に聞かないとわかりませんが)
そこを考える事ができれば、この事件は起こさなかったかもしれないですよね。
離婚していれば、おそらくは子供の親権は夫になり、女性被告は家族を失い、手に残るのは一人では返済できない借金だけですよね。

もしかすると、夫を殺害する事で、生命保険金や犯罪被害者給付金などの収入を返済に充てる予定だったのかもしれませんが・・・

他の事件も同じだと思いますが、追い詰められた時、冷静に考える事ができれば、回避できる事件も多いと思うんですよね。
ここで、周囲に相談できる人がいれば、この家族の未来は変わっていたかもしれません。

唯一被告が許せないのは、事件現場に9歳の娘と一緒にいた事ですね。
もし、犯行が成功すれば、娘は目の前で父親が殺されるところを目撃してしまう事になっていました。
被告としたら、目撃者として用意したのかもしれないけど、人の親としてどうなの?と思う部分です。
この点も含めて、正常な判断力が無かったのかもしれませんけどね。

最後にこの事件を防ごうと考えると、まずは借金をしないと言う事になりますね。
借金自体が悪いと言うよりは、その目的と借金相手ですね。
おそらくは銀行はもちろん、消費者金融なども相手にされなくなって、最後にヤミ金に手を出したのでしょうが、そこへたどり着く前に手を打つべきですね。
最近ではホストクラブで客の女性に借金させて風俗を斡旋するなど悪人がゴロゴロいますが、昔からある手口ですよね。

話が飛びましたけど、「不要な借金をしない」「弱みになるような借金をしない」と言うのが自衛の第一歩でしょうね。

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2024/08/05

神奈川県横浜市大口病院連続殺人事件その9(二審判決刑確定)

横浜市の旧大口病院で2016年、点滴に消毒液を混入して入院患者3人を殺害したなどとして、殺人罪などに問われた元看護師の女性被告(37)の控訴審判決が6月19日、東京高裁であった。
判決は、女性被告を無期懲役とした一審・横浜地裁の裁判員裁判の判決を支持し、検察側、被告側双方の控訴を棄却したとのこと。

検察側は、被告の犯行は「無差別殺人」や「連続殺人」に該当すると主張。過去に3人が死亡した殺人事件で死刑が回避されたケースは、心神耗弱が認定されたものや無理心中で、今回は回避する理由はないとした。
弁護側は、1審を覆せば「裁判員裁判の否定となる」と主張したとのこと。

高裁は、1審と同様に完全責任能力を認め、「死刑の選択は十分に考えられる」と言及。しかし、被告が、死亡した患者の家族からどなられるなどしたことでうつ状態になり、不安軽減のために犯行に至った過程を踏まえ、「被告の努力ではいかんともしがたい事情が影響したとの1審の評価は首肯できる」と述べたとのこと。

その上で、「裁判員裁判で慎重な評議がなされ、真にやむを得ないとの判断に至ったのでなければ、死刑を科すことは許されない」と結論付けたとのこと。

別の報道では
裁判長は判決理由で、検察側の量刑不当などの主張について「本件は、恨みや不満の発散などの動機から他人の生命を奪うこと自体を積極的に望んで行った犯行などとは、やや異なる側面があった」と指摘。「看護師の仕事を離れた場合には再犯のおそれが高いとはいえない」とした上で、「更生可能性が認められる」とした一審判決を支持したとのこと。

遺族のコメント
「判決では犯人の更生可能性や罪と向き合わせるという言葉が何度もありましたが、それは一体誰のためになるのか、何のための更生なのか、遺族の気持ちは考えられていないのではないかと感じました。 仕事や体調に悩みを抱えることは誰にでもあることで、そのことが死刑を回避する理由になるとは考えられません。 今回の判決によって、裁判の場で反省の言葉を述べさえすれば、死刑を免れることができるかのように受け取られてしまうのではないかと感じました」とコメントしたとのこと。

その後
東京高検は7月3日、一審の無期懲役を支持した東京高裁判決に対して、上告を断念すると発表した。被告側も上告しない方針を明らかにし、これにより被告の無期懲役刑が確定するとのこと。

こんなところですね。
事件から10年でやっと刑が確定ですね。
事件の原因には本人の特性が影響していたようですが、自分に向かない仕事を無理して続けるのは止めた方が良いという事なんでしょうね。

ここで問題になるのは、今の仕事が自分に向かないと気づいたとして、ではどうするの?って事でしょうね。
普通に考えれば、自分に向いている異業種への転職や、職種の変更というところだと思いますが・・・

事件当時被告は29歳ぐらいかな。年齢的にはまだ若手と呼ばれるぐらいなのかな?
当時の報道を見ると、看護学校を卒業後に、就職した病院では救急に配属される可能性があったので、15年に転職してますね。
なので、転職する事はそれほど嫌な事ではなかったんでしょう。

だけど、看護学校に入り、努力して看護師になったのだとすれば、それを手放す事はできなかったのかもしれませんね。
私にしても、何年も積み重ねた経験値をゼロにして異業種転職というのは、よほど思い切らないと決断できないと思います。

とはいえ、その執着が場合によっては「うつ病」などを呼び込んでしまう事になるので、仕事を選ぶ最初の段階で、「この仕事は自分に向いているのか?」を良く考えないといけないという事なんですよね。

そうすると、看護学校に入学前の段階、多分、高校生の段階で将来の仕事を良く考えておかないといけないという事なので、高校生になったら本人の適性の情報を本人に渡せるような社会環境が必要なのかもしれません。

とはいえ、夢や希望、憧れなどから仕事を選びたい人もいるでしょうし、その一方で自分に向いた仕事で安定した人生にしたいという人もいるでしょうから、どちらが良いか?は最終的に本人が選ばないといけない事なんでしょうね。

最後に一審の裁判員裁判で死刑判決が出ても、高裁判決で死刑が回避されるし、今度は、一審の裁判員裁判で死刑でないからといって、高裁が死刑を回避するという、一審の裁判員裁判が都合良く使われているような気がしてしまうのは、私だけでしょうか?

亡くなった方のご冥福をお祈りします。

参考リンク
神奈川県横浜市大口病院連続殺人事件その8(一審判決)

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2024/01/04

栃木県日光市バラバラ事件その3( I とOの一審判決)

最初に登場人物
A)同じ容疑で東京都大田区生まれ、住所不定、無職の男 I (75) 懲役1年(求刑:懲役1年6ヶ月)
B)宇都宮市、無職の男 G (55) どうも不起訴と思われる
C)東京都足立区、代表社員の男 N (64) 公判中
D)死体遺棄の疑いで同市、自称アルバイト従業員の男 O (43)懲役2年6ヶ月執行猶予5年(求刑:懲役2年6ヶ月)
 
まずは続報です。
23年08月10日報道
1)8月9日、主犯格とみられる住所不定の無職、I 被告(75)と、宇都宮市の自称アルバイト従業員、O被告(43)の2人が死体損壊などの罪で起訴された。
 
23年08月30日報道
1)宇都宮地方検察庁は8月29日、切断された死体を日光市の山林に遺棄したなどとして、死体遺棄などの罪で東京・足立区の会社役員のN(64)を起訴しました。
 
起訴状などによりますと、被告はほかの男らと共謀し、2020年に切断された死体が収納されたスーツケースなどを日光市内の空き家などに隠してグラインダーで死体の一部を切り取るなどしたとされている。
 
***I と Oの初公判(23年10月11日)***
1) 切断された死体を日光市の山林に遺棄したなどとして死体遺棄などの罪に問われた住所不定・無職のI(75)と宇都宮市の無職のO(44)の初公判が11日、宇都宮地方裁判所で開かれ、2人は起訴内容を認めた。
 
起訴状によると、2人は共謀して2020年の2月から8月中旬ごろ、知人から処分を依頼された死体を空き家に隠し、電動工具で一部を切り取るなどしたとされている。
 
***Nの初公判(23年10月25日)***
1)死体遺棄などの罪に問われている会社役員の男(64)の初公判が25日、宇都宮地方裁判所で開かれ、男は「全く違う」などと無罪を主張した。
 
25日の初公判でN被告は、起訴された内容について「I 被告やO被告とは死体遺棄と死体損壊について話したことはない」などと答え無罪を主張した。
 
2)検察側は冒頭陳述で、N被告は知人のI 被告に「死体はバラバラの状態でミイラ化しているので焼却できる」などと話して、遺体を預けたうえI 被告に報酬として50万円を渡したと指摘した。
 
検察側は冒頭陳述で、男は面識のあった東京都大田区生まれ、住所不定、無職男(75)=同罪で公判中=に、「死体を1体処理すれば50万円を支払うと持ちかけた」などと説明。都内のコンテナで切断遺体の入ったスーツケースやバッグなどを引き渡したとして、共謀が成立すると指摘したとのこと。
 
3)弁護側は、「共謀した事実はない」などと無罪を主張した。
 
***I の論告求刑公判(23年10月25日)***
1)宇都宮地裁で死体遺棄と死体損壊罪に問われた東京都大田区生まれ、住所不定、無職のI (75)の論告求刑公判が開かれた。
 
2)検察側は「態様は悪質で、果たした役割も重要」として懲役1年6月を求刑した。
 
3)弁護側は共犯者を巻き込んだことを反省しているなどとして寛大な判決を求めたとのこと。
 
***I の判決公判(23年11月09日)***
1)宇都宮地方裁判所は9日、懲役1年の判決を言い渡した。
 
2)判決によりますとI 被告は別の被告らと共謀して2020年の2月から8月中旬ごろ、遺体を空き家に隠して一部を切り取り、翌年の21年12月中旬ごろ、遺体の入ったスーツケースを日光市のゴルフ場跡地の山林に投棄したということです。遺体の身元は分かっていませんが40歳から70歳くらいの男性で日本を含む東アジア人の可能性があるということ。
 
3)判決で宇都宮地裁は「犯行は死亡した人の尊厳を踏みにじる悪質な行為で、50万円の報酬欲しさから加担し刑事責任は重い」と指摘した。その一方で「被告が事件について話したことで解明が進んだ」などとして懲役1年6カ月の求刑に対して懲役1年の判決を言い渡したとのこと。
 
***O の判決公判(23年12月01日)***
1)宇都宮地方裁判所は1日、執行猶予付きの判決を言い渡した。
 
2)判決によりますとO被告は、別の被告らと共謀して2021年12月中旬ごろ遺体の入ったスーツケースなどを日光市の山林に投棄したとのこと。
 
3)1日の判決で裁判官は「共犯者から遺体処理の依頼を受け断り切れなかった」などと指摘した。
 
そして、主導的な立場ではなかったものの一連の犯行は悪質だと非難し、懲役2年6カ月の求刑に対し懲役2年6カ月、執行猶予5年の判決を言い渡したとのこと。
 
こんなところですね。
Nが公判中なのですが、次に記事を書けるのがいつになるのかわからないので、一旦ここで記事にしておきます。
とりあえず、遺体の遺棄の実行犯の I (75)とO(43)が起訴内容を認めてそれぞれ判決が出ています。
懲役1年と懲役2年6ヶ月で執行猶予5年ですね。
 
事件の経緯としては、I(75)がN(64)に仕事を紹介してもらおうとして、この遺体遺棄の仕事を持ちかけられた。
I (75)はG(55)と遺体を解体して空き家に隠していたが、最後にO(44)がゴルフ場に遺体を遺棄したという流れですね。
そして、別件でI (75)が逮捕されて、取調中にこちらの遺棄事件について自白したという事なのかな?
 
ちょっと気になったのは求刑です。遺体を損壊したI (75)は求刑が懲役1年6ヶ月で、遺体をゴルフ場に遺棄したO(44)は求刑が懲役2年6ヶ月で損壊よりも遺棄の方が罪が重くなっています。
実際の判決はI(75)が実刑でO(44)が執行猶予がついたのは実際の罪の重さを反映されたのだと思うのですが、求刑が違うのはなぜなんだろうか?と、ちょっと疑問なところかな。
損壊、遺棄の罪はそれぞれ刑法190条で懲役3年以下となっていると思うのですが・・・
 
それから、G(55)が不起訴になったのだとしたら、遺体だと知らずに解体していたという可能性があるかもしれませんね。
 
残るはN(64)の公判ですが、遺棄の実行犯のI (75)と O(44)が起訴内容を認めているので、否認しても難しいかもしれませんね。
 
続報を待ちましょう。
 

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2024/01/03

東京都羽村市同居家族殺人事件その2(一審判決)

判決は懲役7年(求刑:懲役12年)です。

***初公判(23年01月24日)***
1)無職の女性被告は2021年、都内の自宅で本人に頼まれて47歳の息子を殺害した「嘱託殺人」の罪と、その後、保釈中に身元引受人を担っていた74歳の妹を殺害した2つの罪に問われている。

2)被告は息子の事件については起訴内容を認めた一方、妹の殺害については「殺してと言われたので」と述べ、息子の事件と同様、「嘱託殺人」にあたると主張した。

3)検察側は冒頭陳述で、妹が自殺願望を示したことはなく、「保釈中に身元引受人を殺したほかに類を見ない事件だ」と指摘しました。

別の報道では
検察側は冒頭陳述で、三男には「自殺願望があった」としたものの、「被告が妹から殺してと言われた事実はなかった」と主張した。

***第X回公判(23年01月30日)***
被告人質問で2人を殺害したことについて「とんでもないことをしてしまったと思っています」「申し訳ない気持ちでいっぱいです」などと述べた。

***論告求刑公判(23年02月03日)***
1)、検察側は妹について「自らの命を絶つことを望むほどに切迫した客観的事情は確認できず、被告に殺害を嘱託したというのはあまりにも不自然」と指摘したうえで、「保釈中に身元引受人である妹を殺害した類を見ない犯行だ」として懲役12年を求刑した。

2)弁護側は「妹さんの統合失調症が悪化し、転倒による骨折で身体が不自由になっていたため『苦しいから殺して』と頼まれて殺害した」として、執行猶予付きの判決を求めました。

***判決公判(23年02月13日)***
1)、東京地裁立川支部は、女に懲役7年の実刑判決を言い渡した。

2)東京地裁立川支部は妹が被告に対し「殺して」と発言した点について「殺害を依頼してまで死のうとする切迫したものではなかった」と判断した。

そのうえで、妹については嘱託殺人ではなく、殺人罪が成立するとして、被告に懲役7年の実刑判決を言い渡した。

東京地裁は「安易な判断で短期間に2人を殺害したのは、被告人が命の大切さを軽視していたからと言わざるを得ない」と指摘した。

別の報道では
「『殺して』などの発言をきっかけに、今後、体調が悪化した妹を一人にすることへの憂慮や、妹がつらい思いをしているのであれば殺害したほうが妹のためになると自分なりに考えた結果、犯行に及んだ」

裁判長は「高齢の妹の行く末を案じた心情も理解できる」としつつ、2人を殺害したのは「命の大切さを軽視していたから」で「次男に支援を求めるなどして殺害という選択を避けるべきだった」と戒めたとのと。

///補足///
公判中の証言ですが、どの時点での証言かは不明
被告人質問の情報(要約)おそらく、1月30日の証言
A)三男はひきこもりで通院や近所への買い物以外では外出する事はなく、自宅でゲームなどで過ごしていた。
三男は通販(アマゾン)で服やゲームソフトなどを購入するが、三男の障害年金の6万5000円では足りずに、被告夫婦の年金から(20万から30万ほど)補填する事を繰り返していた。
そんな中、被告の夫が死亡し、年金が減額される。以前から三男の金遣いについて注意していたが、再度注意した。事件の日にアマゾンから荷物が届き、再度注意した時に、三男が自殺未遂を起こし、三男の嘱託殺人へ至る。

B)妹殺害について
妹は以前から統合失調症を持っていたが、保釈後に妹と被告が同居を初めて1ヶ月後には妹の精神状態が不安定になっていた。通院している精神かで不眠を訴えるようになっていた。9月には妹の体調は急激に悪化していた。
妹の病院の送迎などをサポートしていた被告の次男によると

「8月下旬から家の中を徘徊するようになった」
「事件の4日前には、話しかけても答えが帰ってこず、目がうつろでしっかり歩けなかった。介護が必要だと思い地域の包括支援センターに連絡をした」

事件の二日前に自宅で転倒した妹は救急搬送されたが、入院せずに自宅に戻った。しかし、一人で歩くことはできなくなっていた。

事件当日に「殺して」と被告に依頼した。

公判以外の情報(近所の住民の談)
C)被告の実家は約40年前に引っ越してきて、高齢の父親と30代の妹(次女)と三女の三人暮らしだった
三女には障害があったとのこと。20年前に父親が死亡し、5年前に三女が死亡して、実家は妹(次女)の一人暮らしになった。

D)被告一家は30年ぐらい前に実家から車で10分ほどの一軒家に住み始めた。
家は4,5年前に建て替えられていた。長男と次男は独立していて、被告と夫、三男の三人で暮らしていた。
夫は大手メーカー勤務で経済的には恵まれていたとのこと。

こんなところですね。
三男は若い頃から糖尿病で大学に進学する事もなかったようです。インスリン治療で生活できのであれば、日常生活には問題なかったと思うのですが、進学や就職は難しかったのかな?
心中もそうですが、家族殺しの事件はこれまでのたくさんあるんですよね。保険金殺人など悪意によるものも中にはあるのですが、責任感から殺害してしまう事件も多いです。
この事件も、被告の責任感が原因かもしれませんね。
自分の死後、三男が一人で生活する事はできないと判断していて、その上で、残った、長男や次男に迷惑をかけたくないと考えたのかもしれません。
そこへ、偶然にも、第二の事件が重なってしまうわけですね。妹も高齢の上に統合失調症で、自分が三男殺害の罪で刑務所に行けば、面倒を見る人がいなくなり、長男、次男に迷惑がかかると思い込んでしまったのかもしれませんね。

この事件を防ぐにはと考えると、
あ)三男についてはもう、就職させて自立させる事がポイントだと思いますね。
三男の病状がわからないので、なんともいえない部分ではあるのですが、体をあまり動かさない事務作業系とか、最悪、在宅でできるような仕事を探すという事でもよかったと思いますが・・・
まー、問題は最初ですよね。新卒で就職ならよかったけど、さすがに30代になって職務経歴ゼロとなると、就職は難しかったかもしれないですが、20代の時はどうだったのだろう?
障害年金が出ていたという事なので、障害者枠での仕事は無かったのだろうか?

い)妹については結構難しいかもしれませんね。
健常者ならば、経済的な問題はあるけど、なんらかの施設を頼る事は可能だったかもしれない。
統合失調症の高齢者で受け入れてくれる病院があるのか?という問題があるかもしれません。
そして、いつも話題になる入院費の経済的な問題がついてきます。
なので、正攻法で考えると、福祉に詳しい専門家に相談するのが正解だったのかな?

ただ、少し視点を変えると、妹の病状が悪化したのは被告と同居を始めた時からのようにも見えるので、もし、同居しなかったら、妹はこれまで通りの生活ができたのかもしれないんですよね。
常識的に考えると、高齢の妹を一人暮らしさせるより、自分も高齢だが一緒に暮らした方が互いに助け合えると考えるのが普通だから、同居の選択は間違ってなかったとは思います。
ただ、同居開始1ヶ月程度で病状が悪化しているので、このあたり、医師に相談するなどしてもよかったかもしれないですよね。

いずれにせよ簡単に答えが出せない問題です。
まずは、一人で悩まずに誰かに相談するのが一番よい方法かもしれませんね。

参考リンク
東京都羽村市同居家族殺人事件その1(9月25日までの報道)

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